今、枚方市民にとって、④⑤街区の公共用地を活用して再整備しなければならない公共課題は何であるのか。大切なのは、大規模災害に「備える」ということ。「④⑤街区の市有地を有効活用したまちづくりの考え方(案)」について質問しました。9月定例月議会、一般質問の報告②です。

2022/09/20

枚方市議会議員の奥野みかです。

ここでは、「2.『④⑤街区の市有地を有効活用したまちづくりの考え方(案)』について」の報告です。

枚方市駅周辺再整備について、先の全員協議会で出された.「④⑤街区の市有地を有効活用したまちづくりの考え方(案)」について、議会からも非常に多くの課題や意見が出されていましたが、この後、市は市民に対してどう説明し、どう取り扱う考えかを、まずは確認しました。

市として行うべき「ファシリティ・マネジメント」の適切な運用を妨げる最大の要因は「区分所有」であると考えます。幼児療育園跡地に関する今後の取り組みや、「地区計画」という考え方も踏まえ、「売却」された土地の将来にわたる適切な土地利用を担保するために細やかな制約を「地区計画」でかける考え(タワマンの制限など)はないのか、また、市として行うべき「ファシリティ・マネジメント」の観点から、民間「売却」後に想定される「区分所有」建築物問題や、唯一無二の駅前公用地という市民の財産を手放すことのリスクを認識しているのか、④街区の土地を高く売ることしか考えていないからではないか等ということを訴えました。

伏見市長は、これまでの議会で「熟慮に熟慮を重ねて売却を決めた」と答弁されていましたが、いったい何のために、現在の市役所あたりに広がる市有地(④街区)を民間に「売却」して、⑤街区(北河内府民センターの移転後の跡地等)に市庁舎を移転させなければいけないのか、その選択によるリスクは何か等を改めて考えるための質問を行い、「熟慮に熟慮を重ねて」市長に出していただきたい結論は、唯一無二の駅前公用地という市民の財産は、手放してしまうのではなく、長く、大切に上手に活用し続ける、これに尽きるということを訴えました。

伏見市長はいったいどこを向いているのか、誰を気にしているのかと思うわけですが、④街区に広がる広大な市有地を手放すことは、北河内府民センターの移転財源を貢ぐために大阪府に差し出すようなもので、長期的なまちづくりの観点での合理性はないわけです。今、枚方市民にとって、④⑤街区の公共用地を活用して再整備しなければならない公共課題は何であるのか、改めて考えていただくことが大切であると考えます。
そして、それは、老朽化し、落下物防護ネットを大きな壁面3面に張り巡らされている廃止された公共施設である市民会館大ホール棟を一刻も早く解体・撤去して、広い空間を確保して大規模災害に「備える」など、大規模災害対策等の公共課題を最も早く解決できる道を考えることではないか、と繰り返しになりますが、強く訴えました。

 

 


 

以下、9月20日の一般質問でのやりとりを掲載します。

2.「④⑤街区の市有地を有効活用したまちづくりの考え方(案)」について

Q.私の質問

枚方市駅周辺再整備事業について、全員協議会で提出された「④⑤街区の市有地を有効活用したまちづくりの考え方(案)」に対しては、非常に大切な意見がたくさんあった。特に、④街区の市有地を売却し、⑤街区に市庁舎を移転する危険性については、新たな観点からの指摘もあったが、それらについて、市はどのように説明し、取り扱う考えか、伺う。
また、「④⑤街区の市有地を有効活用したまちづくりの考え方(案)」は、現時点では「(案)」であるが、この後、どのような手続きが予定されているのか、伺う。

A.市駅周辺まち活性化部長の答弁

枚方市駅周辺再整備では、新庁舎を⑤街区に移転することで、市駅から⑤街区まで広がるシンボリックな「みどりの大空間」を創出し、全国に誇れる魅力あるまちづくりを進めていく考えである。あわせて、④街区では、市民が様々な活動に利活用できる公園・広場を拡充するとともに、公園・広場と密接に連携してまちの魅力を高める複合施設などを誘導し、まち全体の賑わい創出や回遊性向上などを進めることにより、市駅周辺地域の活性化を図る必要があると考えている。そのためには、「④⑤街区の市有地を有効活用した考え方(案)」などを踏まえ、枚方市駅周辺再整備基本計画の改訂や、都市計画決定、土地区画整理事業の事業認可、民活導入エリアの事業者公募などの取組を進めていく中で対応を行い、適宜、議会にご報告する予定である。
また、「同まちづくりの考え方(案)」の取り扱いについては、9月2日の全員協議会や9 月定例月議会でのご意見などを踏まえ、必要に応じて修正を行い、同議会終了後、速やかに、決裁処理を行い、確定するものである。

O.私の意見

先の全員協議会では、「区分所有」建築物が建築された場合の将来のまちづくりに対する課題や、再整備に伴い必要となる上水の供給や下水道・ガスなどのインフラ整備の問題などが新たな課題として指摘された。部長は、「必要に応じて修正を行い、この議会の終了後、速やかに、決裁処理をして、確定する」と答弁されたが、民間活力導入エリアの活用の具体化にあたっての様々な課題には、まちづくりの「取組を進めていく中で対応を行い、適宜、議会に報告」と答弁されている。結局、市には、「④⑤街区の市有地を有効活用したまちづくりの考え方」の策定にあたって、議会での貴重な議論を反映させる姿勢が全くないということである。
枚方市駅周辺再整備については、これまでも幾度となく全員協議会が開催されましたが、全く同じことの繰り返しである。

しかし、八尾議員が全員協議会でも、先の一般質問でも指摘された「区分所有」という所有形態の大型建築物を④街区の中心部にデベロッパーに建設させることの是非は、枚方市の将来を見据えると、あいまいにしておくことのできない根本的で、重要な課題である。
サンプラザ1号館、サンプラザ3号館、ビオルネと、枚方市駅周辺でも課題を抱えた建築物がたくさんたくさん存在しているが、これらはすべて「区分所有」建築物である。逆に、サンプラザ2号館は、ソーツーさんがすべての所有権を取得され、一元的な「ファシリティ・マネジメント」、すなわち、財産を時代や状況の変化に合わせて総合的に企画・管理・活用し続ける、そんな「ファシリティ・マネジメント」を可能にした上で、T-Site という活性化を実現されているのである。

Q.私の質問

幼児療育園跡地の活用においては、市は、「売却」ではなく、そういう観点を残した事業枠組みを何とか考えておられるように思われるが、④街区の「複合施設」については、分譲タワーマンションなども想定しての「売却」で、巨大な「区分所有」建築物を駅近くの「市有地」に 2 棟も建設しようとされているわけである。
この考え方に問題はなく、再検討する必要がないと考えておられるのか、伺う。もし、問題がないとされるならば、その理由を伺う。

A.市駅周辺まち活性化部長の答弁

これまで、新庁舎の検討とあわせて民間活力導入エリアのコンテンツや定期借地など、その実施手法について、サウンディング調査などの結果も参考に検討を重ねた結果、魅力的なコンテンツの集積などまちの価値を高めていくために、④街区の民間活力導入エリアについては、「売却」を前提としている。
さらに、「売却」後の土地利用は、都市再生緊急整備地域という特性を活かし、高度利用による公共空間の確保や、市のまちづくりに資するものとなるよう事業者選定などを行う考えであり、その際、所有形態について制限を設けた場合は、提案内容や提案者の意欲などに大きな影響を及ぼすこととなり、より良い提案が受けられない恐れがある。
また、④街区の民間活力導入エリアについては、子育て支援施設や教育、医療などの利便性と快適性の向上に繋がる施設や体験型の文化芸術や公園・広場と連携した健康増進などの市民交流や賑わいを促進する施設、多様な働き方が可能なシェアオフィスやインキュベーション施設などに加え、多様な居住施設などの、まちの魅力を高めるコンテンツを誘導することで、多くの人々が集い、多様な交流が促進されることにより、イノベーションが創出されるとともに、定住促進やコンパクトシティの推進などの効果があると考えており、その具体化に向け検討していく考えである。

O.私の意見

非常に大きな問題を抱えた考え方である、と私は思う。先の議員にも同じ答弁をされ、全くブレておられないので、市としては、「再検討する必要はない」、巨大な「区分所有」建築物が駅近くの「市有地」に建設されても問題はない、ということを重ねて主張されているのだと思う。
「まちづくり」とは、長期的なものである。
現在の④街区の 9 割は市有地であるが、④⑤街区の土地利用イメージ図から推定するところ、土地区画整理事業の中で、④街区の市有地は民間に「売却」され、市有地の割合は減少し、現在の土地利用から大きく変化するようである。

Q.私の質問

そこで伺うが、現在の④街区においては、用途・容積などについて、どのような規制があるのか、例えばパチンコ店などの風俗施設の建築に対する規制はあるのか、また、何階までの建築物を建設できるのかについて、伺う。
また、事業当初だけでなく、将来における望ましい土地利用を担保するためには、「地区計画」という法的な縛りをかけることも必要だと思われるが、これまでそうした考え方を説明されたことはない。それはなぜなのか。また、「地区計画」決定という手法を用いる考えはないのか。あるとすればどのような内容を定める必要があると考えるのか。ないとすればその理由について、伺う。

A.市駅周辺まち活性化部長の答弁

まず、現在、④街区における用途・容積についてお答えする。用途地域は商業地域で、一部には高度利用地区の都市計画決定が定められており、容積率が 400%、建蔽率が 80%の建築物に関する制限が定められている。そのため、建築物を建築する際は、この制限の範囲内で建築しなければならないこととなっている。
また、パチンコ店などの風俗施設については、都市計画による建築物の用途制限はない。
次に、「地区計画」については、地区の特性に応じて、道路などの地区施設や建築物の用途及び容積率の制限や緩和などの建築物等に関する事項などをきめ細かく定めることができるものとなっており、市街地の環境の保全などを図るために有効なものであると考えている。「地区計画」を定めるためには、将来の土地利用を踏まえて定めることが求められるため、枚方市駅周辺再整備基本計画や④⑤街区の市有地を有効活用したまちづくりの考え方を基に、権利者や関係機関などと協議・調整を行うとともに、UR都市機構の支援を受けながら、必要となる都市計画の検討を行う。

O.私の意見

「地区計画」を定めるためには、権利者等と協議・調整を行う」との答弁であるが、④街区の 9割以上の土地の所有者は枚方市である。結局、現時点では検討もしていないということで、「今後の検討」に先送りしただけである。
先の質問で、用地売却のための事業者選定の際、「所有形態について制限を設けた場合は、提案内容や提案者の意欲などに大きな影響を及ぼすこととなり、より良い提案が受けられない恐れがある」と答弁された。今の地区計画などによる制限についても、同様の判断をされているのだと思う。
結局、市の考え方は、④街区の用地売却のための事業者選定において、「たくさんの事業者に参画してほしい、価格を含めていい提案をしてほしい」と。ただそのことだけを重視していて、20年後、30年後、さらには 50年後、100年後のこの街区の将来については、全く無関心なのではないか。しかし、売却先の選定段階での提案がいくら魅力的なものに見えても、将来にわたってそれが続く保証などない。空き床等が増え、売却されたところにパチンコ店などの風俗施設ができるかもしれない。そうした近年の不確かな社会・経済状況は、誰もが知っていることだと思う。
枚方市駅周辺には「区分所有」建築物が多く存在するが、用途制限のかかっていないサンプラザ3号館を取り上げ、「現在の地権者が将来的には「売却」等によって新たな地権者に変わる、転売されることで、市が目指すまちづくりと異なる開発が枚方市駅の目の前で行われる、市のめざすコンセプトが根底から覆される懸念があるのではないか」と、2019(令和元)年12月の全員協議会で漆原議員が指摘されている。
市は「民間ノウハウ」の活用をことあるごとに語られるが、④⑤街区のまちづくりに関しては、将来にわたっての財産活用のマネジメントを可能にする「ファシリティ・マネジメント」の観点が全く欠けている。言い換えれば、「未来に対して無責任」である。未来の枚方市に対しても枚方市民に対しても、実に無責任であるということである。

では、④街区の「ファシリティ・マネジメント」にとって最も障害となる多数の区分所有権者を生み出してまで、貴重な市有地を「売却」する理由は何なのか。それは他人地である⑤街区に市庁舎などをわざわざ移転して整備するための財源を「売却」によって調達しなければならないから、であると考える。

Q.私の質問

次に、土地区画整理事業に関する基本的なことについて、八尾議員のご質問に対するご答弁を踏まえて、少し異なる観点からの確認をさせていただく。
⑤街区の北河内府民センター敷地は大阪府の所有地であるため、ここに枚方市の新庁舎を建設しようとすると、市の用地にしなければならない。市は、「土地区画整理事業において「換地」により取得する」と説明されたが、その理解でよいか。
逆に大阪府は、④街区の市有地を「換地」で取得することになるのか。また、その場所は複合施設を建設する用地を含むのか。これは非常に重要な点で、市として、当然、想定しておられることだと思うので、明確にお答え願う。

A.市駅周辺まち活性化部長の答弁

本市としては、「④⑤街区の市有地を有効活用したまちづくりの考え方(案)」の検討に際して、⑤街区における新庁舎整備について、必要となる現在の大阪府北河内府民センターの用地については、土地区画整理事業において今回対象となる区域内の市有地の一部を「換地」処分で取得することを想定している。
また、大阪府の現在の用地については、④⑤街区の土地区画整理事業の区域内に「換地」処分されることを想定しているが、明確な場所は決まっていない。
現時点においては、「同まちづくりの考え方(案)」を検討するために、「換地」処分による大阪府の換地を市が独自に想定している段階であり、今後、大阪府を含む地権者と勉強会などを通じて、「換地」処分が決まるものである。なお、市といたしては、④街区の民間活力導入エリアでの「換地」を受けることを想定している。

Q.私の質問

大阪府分は、「④⑤街区の土地区画整理事業の区域内に換地処分されることを想定しているが、明確な場所は決まっていない」そして、「市としては、④街区の民間活力導入エリアでの換地を受けることを想定している」との答弁である。複合施設の建設用地が換地対象の土地となるのかについては、明確にはお答えいただけなかった。
はっきりしていることは、大阪府は⑤街区内の現在の用地にかわり、「換地」処分で④街区内に用地を所有することになる、④⑤街区内に用地を所有することになる、厳密に言えば、「換地」処分により④⑤街区内に用地を所有する可能性がある、ということである。しかし、大阪府は北河内府民センターの機能を③街区、つまり、土地区画整理事業の地区外に移転することを決めているわけであるから、④⑤街区内に新たな用地は不要である。
では、大阪府が仮「換地」により所有することになった④街区内の土地が「売却」される場合、その「売却」は誰が行い、その「売却」収益は誰の収入になるのか、伺う。

A.市駅周辺まち活性化部長の答弁

「換地」の土地活用や「売却」などは、地権者が判断されるが、本市としては、大阪府に対して本市のまちづくりに資する活用に向けて、協力を求めていく。

O.私の意見

「換地」の土地活用や「売却」などは、「地権者」が判断するとのことである。ご答弁にはなかったが、その「売却」収益は仮「換地」の地権者、つまり、大阪府の収益であることは明らかである。
⑤街区内の大阪府所有地に建設する市庁舎等の用地を枚方市の土地にすることに見合う土地を、④街区内に大阪府に対して仮「換地」しようとすると、複合施設建設が予定されるエリアの中にも大阪府の仮「換地」が含まれる可能性があると思われる。そのことを確認する質問を先にさせていただいたが、明確な否定をされなかった。実際、ここを除くと仮「換地」する場所は、どうもなさそう、である。
これまで、④街区の市有地は、枚方市が「売却」する、と受け止められる説明であったと思うが、「仮「換地」の土地活用や売却などは地権者が判断する」、「本市としては、大阪府に対して本市のまちづくりに資する活用に向けて、協力を求める」という今の答弁から考えると、④街区の複合施設用地を「売却」する段階における「売却」主体は、実は大阪府である、そんな可能性があるのではないかと思われる。

Q.私の質問

では次に、現在の北河内府民センターの建築物であるが、大阪府の基準である築後70 年、に達していないのに、今回の考え方に基づくと、土地区画整理事業の施行者が大阪府に移転補償を行った上で、解体撤去することになる。市民会館大ホールの際にも確認したが、大阪府に対する移転補償費用はいくらになるのか。また、その財源は、どのようにして調達されるのか、伺う。

A.市駅周辺まち活性化部長の答弁

土地区画整理事業の施行に伴い、建築物を移転する必要がある場合については、土地区画整理事業の施行者が調査などを行ったうえで移転補償額を算定し、事業費から支払われることとなる。
この財源については、一般的に土地区画整理事業の制度に伴う国費及び市費ほか、地権者などが協力して保留地を設けた場合は、その処分金などを想定している。

O.私の意見

大阪府に対する移転補償費用がいくらになるか、答弁はなかった。土地区画整理事業「全体」の事業費見込みを出しておられるのに、その事業費を構成する移転補償費の想定を答弁されないのは全く不可解な姿勢である。
また、移転補償費の財源は、「国費及び市費ほか、地権者などが協力して保留地を設けた場合は、その処分金など」とのことである。仮に「国費」が期待できたとしても、それを除く財源である「市費」は直接的な市の支出であるし、地権者が設ける保留地の処分金というのも、圧倒的な比率の土地を所有する地権者として、保留地となる市有地を枚方市が差し出すわけであるから、枚方市の負担は膨大な額になっているのではないか。
これまで、「民間ノウハウをフルに活用するために、規制を少なくした上で「売却」する」との答弁であったかと思うが、実は、仮「換地」された用地の所有権者である大阪府の土地を少しでも高く「売却」しなければならない。移転補償費をはじめ、膨れ上がる一方の土地区画整理事業の財源を生み出すために、少しでも高く売らなければならない。だから、できる限り制限は設けたくない。できるだけ高く売るためには、大きな問題が指摘されているタワマンを制限するような地区計画も定めずにOKしたい、そういう意図の背景となる構図が見えてくる。
将来にわたる適切な土地利用を担保するために必要なきめ細やかな制約もかけず、とりあえず、売却先の選定作業の中で、好ましい提案を誘導できて、高値で「売却」できたらそれでいい。分譲タワマンが建設されて、大量の区分所有者が「区分所有」する超大型の建築物ができてもかまわない。

しかしそれでは、市が行うべき公共的な「ファシリティ・マネジメント」の完全放棄になるのではないか。
市はエリアマネジメントということを持ち出されているが、いったん、整備が終わってしまったら、何の権限もない者が、さまざまな多数の権利者が混在するエリアをコントロールできるはずはない。「ファシリティ・マネジメント」に置き換えられるものではない、と考える。

④街区の土地区画整理事業の区域をまたぞろ急に拡大し、コンビニや民間テナントビル等を移転させる事業内容にしたため、土地区画整理事業費が 20億円も跳ね上がった。この新たな区域拡大もそうであるが、⑤街区の大阪府用地に枚方市の新庁舎を移転するという計画を見直せば、これらの建築物の移転補償費や解体撤去費用は不要になる。ペデストリアンデッキの建設費などの事業費も縮減できる。
③街区移転後の北河内府民センターの建物の活用は、状況変化を理由に、大阪府に改めて検討してもらうこととし、市としては、その際、市民の安全と安心を高めるため、老朽化した枚方警察署の更新に活用してもらうよう大阪府に対して要望すればよいのではないか、と意見しておく。

京阪HDさんが、③街区の市街地再開発事業において、自らが建設される施設の中のマンションを「区分所有」建築物にせず「賃貸」とし、自ら所有権を保持し続けられる意味は、駅に直結する建築物は将来に渡ってしっかりとマネジメントしないといけない、将来の状況変化への対応能力を持ち続けなくてはならないとのお考えに基づいていると、私は理解している。
幼児療育園跡地の活用についての質疑で指摘したように、民間企業が重視する基本的な論理は、「収益性の確保」と「リスクの最小化」である。建築物を早く売り逃げて(儲けて)、早く次の案件に移りたい、これが民間デベロッパーの本音である。
しかし、将来にわたって駅直結の開発地から離れることは鉄道事業者としてできないと「覚悟」されているからこそ、京阪HDさんは、長期にわたる「ファシリティ・マネジメント」に取り組まれるのだと考える。くずはモールもそうだと考える。自治体行政としては、こうした姿勢、こうしたノウハウこそ学ばなければならないと考えるが、やっておられることは真逆、である。
市長は「熟慮に熟慮を重ねて、売却を決めた」と答弁されていたが、この決定は、市民的利益=公益を捨てて、「売却」がうまくいくことを最優先にして、民間デベロッパーの要望にすり寄った、ということに他ならないのである。

「唯一無二の駅前公有地という市民の財産は、手放してしまうのではなく、長く、大切に、上手に活用し続ける」。熟慮に熟慮を重ねて出していただきたい結論はこれに尽きる。身の丈に合った活用を、と八尾議員は言われた。唯一無二の駅前公有地に市庁舎を建設するのがベストとは言い切れないかもしれない。
しかし、⑤街区への移転、④街区の市有地の「換地」「売却」を前提にしているからこそ、タワマンメインで、あとは提案があるかどうかもわからない、持続性があるかどうかも不明な民間提案まかせの、市民に対して全く説得力のない問題点だらけの計画になっているのである。

南海・東南海のプレート型大地震はいつ発生してもおかしくない状況である。今、最も重要な公共課題は、「多くの人がワクワクするまちを目指す」とか、「にぎわい創出」云々といったものではなく、確実に発生する南海トラフを震源地とする大地震などの大規模災害に「備える」ということである。台湾で、17日から 18日にかけ発生した大きな地震により、市街地の中層ビルが倒壊等の被害が報道されている。今朝も岩手県沖で震度 4の地震が発生している。
大きな壁面 3面に落下物防護ネットを張られたまま、いつまでもいつまでも残されている古い公共施設をさっさと解体することも、安全・安心な都市機能を確保するため、老朽化や狭隘化に伴う建て替えが極めて重要な政策課題である市役所の庁舎、消防署の庁舎、警察署の庁舎等を整備していくことも、すべてが大規模災害に備える」ことにつながる。

Q.私の質問

社会経済状況も大きく変化する中で、将来世代にツケを残すことのないよう、枚方市及び枚方市民の利益と将来を考えれば、「基本計画」を改定して④街区で新庁舎を建設することにし、大阪府に対して新たな協議を申し入れるべきである、と私は考えるが、なぜそれを行わないのか、最後にこれは伏見市長に伺う。

A.伏見市長の答弁

新庁舎の位置については、これまでから国・大阪府と協議や会議を重ねた結果、本市の魅力を高めるためには、まちづくりや実現性など多くの面で優れている⑤街区とすることを確認していることから、引き続き、その実現に向けて、国・大阪府と連携して進めていく。

O.私の意見

説明責任、を全く放棄するようなご答弁である。枚方市及び枚方市民の未来に対して無責任である。
伏見市長に問われているのは、突き詰めれば、誰の利益を最優先にして枚方市の政策や事業に臨むのか、ということであると考える。
もと大阪府職員であった清水副市長の力強いサポートを受けることもできるわけだから、大阪府に対して新たな協議を申し入れていただきたいと意見しておく。

いずれにせよ、大阪府施設の移転財源を枚方市が提供することを最優先に考え、市民に対する説明も行わず、市民を置き去りにして、前のめりに事業を強行しようとすることは、決して許されない。
他の議員が、中学校給食や支援教育等の施策の進め方について指摘されていたが、伏見市長の市政運営は、何でも「始めに結論ありき」である。だから議会で議論を重ねても、結局、結論は変わらず、問題点はあいまいにされる。それどころか、突如として十分な検討もされていない「思いつき」のような案が出てきて、そしてまた、急に消える。⑤街区への市庁舎移転案を中心に据えた、④⑤街区の再整備計画はその最たるものではないか。
そして、未だにこのような議論がなされ、市民に対する説明も、合意形成も全くできていないのであるから、特別多数決議を必要とする市役所の位置を定める条例の改正などを急ぐ必要性は全くない。
何よりも、改正条例案では条例の施行について、期日のめどを設けず、規則に全面委任するものとしている。条例は施行されてこそ意味をなす。条例が施行できる時期のめども定められない現時点で、条例の施行そのものを「行政」に丸投げさせる条例案を「行政」が提案するなど、二元代表制を軽んじるもの、「議会」をないがしろにしたものに他ならない。
繰り返しになるが、何よりも、今、枚方市民にとって、④⑤街区の公共用地を活用して再整備しなければならない公共課題は何であるのかを、改めて考えることが大切である。
そして、それは、例えば、落下物防護ネットを張り巡らされた危険建築物であるもと市民会館大ホール棟を一刻も早く解体・撤去することで、広い空間を確保して大規模災害にも「備える」ことではないかと意見しておく。

 


【参考】

▶ 2022年9月2日 全員協議会「枚方市駅周辺再整備の具体化について」

遠ざかる一方の実現可能性、高まる一方の老朽公共施設の大規模災害対応の即時具体化、深まる一方の理由の薄弱な現時点での市役所移転条例改正強行への疑念。私は、「アリーナ整備について」、「⑤街区に新庁舎を建設する理由について」、「④街区における土地区画整理事業について」、「市役所の位置条例の改正について」の4点について質問しました。

 

▶ 2022年6月17日 6月定例月議会「枚方市駅周辺再整備事業について」

今、枚方市民にとって、④⑤街区の公共用地を活用して再整備しなければならない公共課題は何であるのかを改めて考えていただくことが大切です。そして、それは、例えば、老朽化し、落下物防護ネットを大きな壁面3面に張り巡らされている廃止された公共施設である市民会館大ホール棟を一刻も早く解体・撤去して、広い空間を確保して大規模災害に「備える」など、大規模災害対策等の公共課題を最も早く解決できる道を考えることではないか、と意見しました。

▶ ④⑤街区のまちづくりの考え方(骨子案)【2022年2月_全員協議会資料】

 

▶ 2021年7月9日 全員協議会「枚方市駅周辺再整備事業について」

市が土地区画整理事業の対象としている④⑤街区は約9割が公有地であること、④街区は、新たな道路の整備とあわせて良好な市街地形成を図ることが目的の面整備であるとの説明ですが、④街区で実現したいビジョンが全く明らかではなく、土地区画整理事業として行う道路整備と公園整備を、市民会館大ホールなどの既存施設の上に計画して移転補償の対象とし、国補助金をもらうという意図でしかないように思えます。あくまでも手段でしかない補助金の獲得を至上命題にし、まだまだ事業計画も事業概要も不透明な⑤街区における事業と一体で土地区画整理事業を進めようとすると、結局、ズルズルと長い時間がかかってしまい、その間、不必要な施設の維持管理コストを出し続けることになるばかりか、新たな活用可能性をつぶすという莫大な機会損失と逸失利益を発生させることになるのではないかと指摘しました。

 

▶ 「枚方市駅周辺再整備基本計画」及び「枚方市新庁舎整備基本構想」【2021年3月】

2013年3月に策定した「枚方市駅周辺再整備ビジョン」に基づき、2021年3月に「枚方市駅周辺再整備基本計画」を策定し、市は、新たなまちづくりの取り組みを進めています。


(※「基本計画」28ページより)

そして、枚方市駅周辺のまちづくりと調整しながら、新庁舎整備の基本となる理念や機能等の考え方や新庁舎の必要性、整備方針等をまとめた「枚方市新庁舎整備基本構想」も2021年3月に策定されています。

 

▶ 2021年2月24日 全員協議会「枚方市駅周辺再整備の具体化について」

枚方市駅周辺再整備事業については、市民とともに考える姿勢をもって、どうぞ枚方の未来に禍根を残すことのないよう、的確な状況判断・財政判断を行っていただきたいと、繰り返し述べてきました。
先行する大阪府における説明が既成事実となり、本市における議論や合意形成が形骸化してしまうことはないのか、民主的な合意形成が行われているのか、という質問から、⑤街区に整備しようとする新庁舎の機能について、⑤街区における区画整理事業の対象課題について、市民会館大ホール廃止後の取り扱いについて等を質問しました。

 

▶ 2020年12月15日 12月定例月議会「枚方市駅周辺再整備における③街区の再開発事業の影響等について

 

▶ 2020年12月4日 全員協議会「枚方市駅周辺再整備の具体化に向けた検討について

 

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