地域住民の安全を守る枚方市行政としての責任をしっかりと果たすべき。「急傾斜地の崩壊による土砂災害への対応の現状」について質問しました。12月定例月議会、一般質問の報告⑥です。

2022/12/19

枚方市議会議員の奥野みかです。

ここでは、「6.急傾斜地の崩壊による土砂災害への対応の現状について」の報告です。

昨年5月、大雨の影響による崩落で土がむき出しだった急傾斜地の法面は、土地所有者による「緑化」により、現在は安定しているように見えます。しかし、この現状が、真に崩落防止に有効な工法として実施されたのかについては大きな懸念が残ります。土地所有者が行った対策内容を適切に把握・評価し、根本的な対策になっていなければ、大阪府に対して抜本的な対策を要請するなど、地域住民の安全を守る枚方市行政としての責任をしっかりと果たすよう、要望しました。

 

 


 

以下、12月19日の一般質問でのやりとりを掲載します。

6.急傾斜地の崩壊による土砂災害への対応の現状について

Q.私の質問

昨年5月、伊加賀北町において、大雨の影響により法面が崩落する土砂災害が発生し、周辺住民に対して避難指示も発令された。
その後、大阪府枚方土木事務所の助言を受けて、土地所有者による対策工事が行われ、今年5月に避難指示がようやく解除された。崩落によって土がむき出しであった箇所を含めて、指定区域(土砂災害警戒区域)全体の法面に草木が生い茂り、現在は安定しているようにも見える。しかし、市がこの現状を適切に把握・評価されているのか、安全であると判断されているのか、懸念される。
「大阪府への対策工事の要請は、地域の同意や受益者負担などが整い、急傾斜地崩壊危険区域の指定がなされた際にできるものと考えている。」との答弁をいただいているが、今後、市としてどのような対応を行っていく考えか、これは副市長に見解を伺う。

(▲2022年10月現在)

2022年8月)

2022年7月)

2022年6月)

2021年6月)

 

A.小山副市長の答弁

今後の対応としては、引き続き、風水害の警戒時に実施するパトロールを継続するなど、現状の把握とともに安全確保に努めていく。また、諸条件が整い、急傾斜地崩壊危険区域の指定がなされた場合には、地元要望のとりまとめや大阪府との連絡調整など、市としての役割を果たしていく。

O.私の要望

昨年、実際に崩落が発生し、今後においても崩落の危険性がある大きな斜面地である。土砂災害警戒区域の住民に対する平時からの啓発や、警戒時に実施されているパトロールによるリスク回避は継続的に行っていただくようお願いしておく。
崩落によって土がむき出しであった急傾斜地の法面は、土地所有者によって行われた「緑化」により、現在は安全であるかのようにも見えるが、生育基盤の形成や植生の選択などにおいて、また、事後の手入れにおいて、本当に崩落防止に有効な緑化工法として行われたものなのであるのか、市や土地所有者は、住民に対して責任をもって説明されていない。「次に大雨が降った際には、草木ごと崩落してしまうのではないか心配だ」とのお声もある。
土地所有者が行った対策内容を、市は適切に把握・評価し、根本的な対策になっていなければ、急傾斜地崩落防止工事の実施主体である大阪府に対して抜本的な対策を要請するなど、繰り返しになるが、地域住民の安全を守る枚方市行政としての責任をしっかりと果たしていただくよう、要望しておく。

 


 

【12月22日追記】

私の意見「市や土地所有者は、住民に対して責任をもって説明されていない」に対して、「工事内容は大阪府の助言を受けて行ったもの」であり、「土地所有者からマンションのオーナーに対して、工事内容等の説明を行われた」旨の説明が市の担当課からありました。隣接マンションとして、現況説明を受けておられるようでよかったです。ただ、地域の住民さん(校区コミュニティ協議会等の役員含む)への説明は、市からも土地所有者からも行われていないと聞いています。
また、私の要望「市は適切に把握・評価し、根本的な対策になっていなければ、急傾斜地崩落防止工事の実施主体である大阪府に対して抜本的な対策を要請する」に対しては、「原則、土地所有者(管理権限者)が対応すべきもの(所有権に基づく管理義務)」であり、私有財産権の立ち入り調査には、行政であっても法的権限が必要(土砂災害防止法による権限はなし)であるの説明がありました。ただし、「所有者が対策を行わず、市民等に対し危険回避措置を要する場合は、行政により一定の責務(民法上の緊急避難)に基づく緊急的な措置を行うことは正当性がある」との説明を受けました。当該地は見通しのよい法面ということもありますので、適時・適切な措置が遅滞なく行われることを願っています。

 


 

◆土砂災害防止法

国の「土砂災害防止対策基本指針」について

大阪府内の土砂災害防止法の指定状況はこちらから。(大阪府ホームページ)

※上記から枚方市分を抽出したものが下記のとおりで、伊加賀北町の区域指定等についても下記に転載しています。

枚方市各市町村の指定箇所について(枚方土木事務所 )_2020年1月30日
土砂災害警戒区域数_171箇所、土砂災害特別警戒区域数_158箇所

「伊加賀北町(2)-2_K21000792 急傾斜地」
(警戒区域指定→ 2020年1月30日_大阪府告示第144号、特別警戒区域指定→ 22020年1月30日_大阪府告示第146号

 

 


【参考】

▶ 2022年6月17日 定例月議会「急傾斜地の崩壊による土砂災害への対応について」

急傾斜地の土砂崩落から1年。法面所有者が行った「本復旧工事」により、崩落した斜面下部に擁壁が設置されましたが、崩落した斜面上部は、依然として土がむき出しのままになっています。急傾斜地の崩壊による災害からいのちを守るため、住民の安全に責任を持つ自治体としてなすべきことはいったい何かについて、質問しました。

 

 

▶ 2021年6月22日 6月定例月議会「急傾斜地の崩壊による災害からいのちを守るために行政が果たす役割について」

枚方丘陵にある伊加賀北町で発生した急傾斜地の崩壊による土砂災害について、市はどのような対応を行い、現状をどのように把握しているのかを確認し、地元自治体である枚方市が本気で動かなければ、大阪府は「急傾斜地崩壊危険区域」の指定や対策工事に取り組まないのではないかと指摘し、市としての役割をしっかりと果たしていただくよう要望しました。

 

 

▶ 2021年6月22日 6月定例月議会「防災情報の見直しと地域の防災リテラシーの向上について」

「避難」は、難を避けることです。市からの「知らせる努力」ととともに、市民には「知る努力」も必要です。住民のさらなる防災意識の向上に努めていただくよう、要望しました。

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