9月定例月議会「外郭団体の経営状況等の報告について」

2019/10/10

地方自治法第243条の3第2項の規定に基づき、同法第221条第3項で定める長の調査等の対象となる法人について、議会に対して経営状況等の報告が行われます。
本市で対象となる法人は現在4団体で、議会に対しては、6月の議会で事業計画等が報告され、9月の議会で決算を踏まえた経営状況等が報告されています。

◇枚方市土地開発公社
基本財産5,000千円(出資率100%)
←(根拠)地方自治法施行令第152条第1項①

◇公益財団法人枚方体育協会
基本財産2,500千円(出資率40%)
←(根拠)地方自治法施行令第152条第1項③(市長の調査等の対象となる出資法人を定める条例)

◇公益財団法人枚方市文化国際財団
基本財産300,000千円(出資率100%)
←(根拠)地方自治法施行令第152条第1項②

◇株式会社エフエムひらかた
基本財産130,000千円(出資率30%)
←(根拠)地方自治法施行令第152条第1項③(市長の調査等の対象となる出資法人を定める条例)

今回は、平成30年度の経営状況等の報告でした。

枚方市土地開発公社は、道路施設用地・公園施設用地として4事業の公有用地を取得し、道路施設用地として4事業の公有用地を処分し、当期純損失は3,410,644円となり、次期繰越準備金は166,459,802円になるとのことでした。当期純損失は、処分の際の事務手数料を2%→1%に引き下げたことが主な原因との説明がありました。
公益財団法人枚方体育協会は、市民スポーツの普及啓発事業や総合型地域スポーツクラブの運営・支援事業、指定管理者としてのスポーツ施設の管理運営事業などを行い、経常収益合計は471,214,274円、経常費用合計は464,080,958円、当期経常増減額は7,133,316円の黒字で、法人税等を差し引き、当期一般正味財産増減額は5,033,516円の増となりました。
公益財団法人枚方市文化国際財団は、文化事業として、枚方市・大阪フィルハーモニー交響楽団連携協定記念演奏会等の文化芸術活動や国際交流事業、くずはアートギャラリー事業等を、国際交流事業として、市民の国際交流活動の支援及び促進事業、海外諸都市との友好交流事業、国際理解推進事業、日本語ボランティアの会への支援等を行い、経常収益合計は85,019,688円、経常費用合計は85,192,020円、当期経常増減額は172,332円の赤字でしたが、経常外収益を充当し、当期一般正味財産増減額は5,602,268円の増となりました。
株式会社エフエムひらかたは、災害時の情報発信体制の強化や市民参加型番組・地域密着型番組の編成等を行い、売上総利益は66,578,389円となりましたが、販管費を差し引いた営業利益は1,487,003円で、法人税等を差し引くと当期純損失は165,496円となり、繰越利益剰余金は27,713,237円となりました。

議員からは、株式会社エフエムひらかたの当期純損失の理由、昨年度の実災害への緊急対応の状況、リスナー拡大や安定した財政基盤の確立や自立運営に向けての取り組みなどについて質問がありました。

 


以下、各論です。

◇枚方市土地開発公社について

平成29年度の公有用地取得事業は5事業(道路施設用地・その他施設用地)、取得面積は2565.84㎡、用地費等の金額に保有地に係る利息を加えた取得費合計は77,510,354円、公有用地処分事業は5事業(教育施設用地・道路施設用地)、合計9586.16㎡を市へ売却し、売却収益は1,380,911,920円でした。
これに対して、今回、平成30年度の公有用地取得事業は4事業(道路施設用地・公園施設用地)、取得面積は1980.76㎡、用地費等の金額に保有地に係る利息を加えた取得費合計は201,141,614円、公有用地処分事業は4事業(道路施設用地)、合計4871.42㎡を市へ売却し、売却収益は581,995,308円でした。
経営状況については、平成29年度は純利益が13,137,872円でしたが、平成30年度は純損失が3,410,644円となっています。これは市に売却の際に受け取る事務手数料について、取得価格の2%から1%に引き下げた(平成30年1月~)ことなどが主な要因とのことでした。
その結果として、平成30年度末の資産合計は5,481,072,834円(うち公有用地[流動資産]は5,290,503,111円)で、前期繰越準備金から当期純損失を加えた準備金合計は166,459,802円となり、資本合計は171,459,802円、負債資本合計は5,481,072,834円となっています。
土地開発公社の平成27年度末の公有用地は48,032.90㎡、8,072,057,543円、平成30年度末の公有用地は44320.50㎡、5,290,503,111円となっていますので、この3年間で約27億円の減少となっています。
平成25年度から平成29年度の土地開発公社の経営健全化計画では、「枚方市の債務保証・損失補償に係る土地簿価総額」を「枚方市の標準財政規模」で除した値0.10を経営指標の目標値としていましたので、5,290,503,111円(5年以上の長期保有土地も含む)は平成30年度の枚方市の標準財政規模(78,336,693千円)の0.1以下となっていることから、経営の健全性は保たれているものと考えられます。

 

なお、上記の4法人も含めた外郭団体等の経営状況等について、平成29年度に市がまとめたものがあります。

 外郭団体等の経営状況等の点検・評価書(平成29年10月)

以下、評価員の総括意見を抜粋しています。
「市が各団体に期待する役割と各団体が実施する事業の合致性」「各団体の財務状況の健全性」及び「市と各団体の関係性」の視点から、各評価員の専門的見地から各団体を包括的に評価したものと記載されています。

◇枚方市土地開発公社について

・当団体は「公有地の拡大の推進に関する法律」に基づき設立された特別法人であり、市の実施する事業の補完的役割を担っている団体である。市として、経営の健全化に関する計画を策定し、進捗状況を管理している。
・当団体は現在では職員1名の小規模な組織となっているが、公拡法上の土地の先行取得を行うことが出来るため、市として今後も土地の先行取得が財政運営上必要なのであれば、内部統制に配慮しつつ組織を存続させることが合理的であると考える。
・当団体の存廃の検討を早急に進め、結論を出すことが望まれる。市は今後も、団体の保有地について、経営健全化計画どおり処分がなされているかの管理が重要と思われる。

◇公益財団法人枚方体育協会について

・市のスポーツ振興のパートナーとしての役割を期待しており、市の施策に必要な事業を実施する団体と位置づけられる。市からの委託事業では、直接経費のみで構成され、間接人件費が含まれていない。他方、団体運営事業として市から相当額の補助がされているが、これでは、個々の委託事業が団体から見て、黒字か赤字かが不明である。また、収支差額がゼロと記載されているものが多いが、予算と決算の差額が「ゼロ」となること自体、適切に精算がされているか否かが不明である。市としては、個々の事業の必要性と採算性を検討し、当該事業を当団体に実施させることの是非を検討すべきである。
・市のスポーツ普及の推進に向けた幅広い取り組みが行われており、団体が果たす役割は大きいが、今後指定管理者の選定等で管理施設数が増減することも想定されることから、より自立的な法人運営を行うための財務健全性の確保と新たな収益源の獲得を検討することが望まれる。
また、指定管理者選定で当団体が選定されるケースが目立っているが、その原因として、活動補助金が別途団体には措置されており、指定管理者選定において間接費相当を見込む必要がない半面、民間事業者は間接費相当を考慮する必要があること、すなわち競争における公平性が担保されていない可能性もあるため、活動補助金の取り扱いも含めて、市から団体に対する支出の在り方について再検討が望まれる。
・指定管理応募者が当団体のみの 1 社独占状況が続くにあたり、市の公募のあり方の閉鎖的体質が維持されている。当団体について指定管理者としての努力や工夫の観点を何をもって評価されているのか。平成 31 年の次回の指定管理者選定時には複数の応募者が集まる手法を探る必要がある。また、縦割りによる事業の非効率性が見受けられるため、もっと発注元の
部署間同士の連携をうまくはかっていただくことを望む。

◇公益財団法人枚方市文化国際財団について

・市は、市民会館大ホールにおけるソフト事業を中心的に担うことで、市民の文化活動の振興を図るとともに、本市の地域文化の創造に寄与することを目的としていると説明している(市民会館大ホール自体は指定管理制度により民間業者が指定管理者に選定されている)。市は、当団体が本市の実施する事業の補完的役割を担っている団体に該当するのかについて検証すべきであり、当団体の活用が一定の役割を終えていると評価できる場合には、当団体の民営化・自立化又は清算について検討すべきである。団体としても、(仮称)総合文化芸術センターへの関与の可否により団体の存続に影響するのかもしれないが、早期に団体としての在り方について主体的に検討すべきである。
・市におけるこれまでの文化芸術振興への貢献については評価されるが、(仮称)総合芸術文化センター開業後の団体の在り方が明確になっていない。センターの指定管理者を目指すのかも含めて、団体の在り方を十分に検討する必要がある。また、自主事業について、実施するイベントに関するより一層の見極めが必要である。出演者との十分な交渉による報酬の適正化、赤字リスクの回避方策を検討する必要がある。
・団体の在り方、存続の可否が決まった段階で、文化と国際のそれぞれの事業に関する方向性を早急に決定していくことが必要となる。その際、各事業において目利きが問われるため、人員のプロフェッショナルの高さが事業成果にも大きく影響する。よって、今後、事業の質・サービスの観点から人員(人材)の採用・確保にも十分な配慮が必要になると思われる。

◇株式会社エフエムひらかたについて

・市では、団体による放送事業は、災害時や緊急時の情報伝達手段の一つとして必要なものであり、平常時の地域密着型の放送についても、市の情報発信手段として有効なものであると位置付けており、市の実施する事業の補完的役割を担っている団体とされる。提供される資料からは地域コミュニティFM放送局に地方公共団体が出資している事例は相当あり(第三セクター方式が 103 社)、当団体もその一つと理解される。他方、市としても、市民の聴取状況を把握し、近隣の地方公共団体と資本提携が実現できないか等、関与の在り方については継続して検討する必要がある。市の施策に必要な事業を実施する団体については、事業自体が不採算なこともあり得るし、市の行政目的や施策の達成に必要な範囲で事業委託等の財政的関与はあり得るが、当団体は、災害時における放送以外は、本来、営利企業として事業を実施し、経営基盤を確保していく必要がある。
・コミュニティFMは、地域の身近な情報を提供するメディアとして一定の役割を果たしてきている。一方で、コミュニケーション手段の多様化により、相対的な重要性は低下してきているのも事実である。市からは相当の放送料が支出されており、放送による便益と放送料負担とのバランスは更にシビアに検討せざるを得ない状況といえる。自治体が設立に関与したコミュニティFMに対しては、市町村から放送料として多く支出されていることが一般的であるが、中には民間企業からの出稿獲得に努め、自治体からの収入を上回るFM局も見られることから、費用対効果を考慮しつつも営業を強化するなどの取り組みが期待される。
・当団体が地域に根差した情報、ならびに災害時の情報発信機能として一定の役割を果たしていることは評価するが、今後の営業活動のさらなる強化を目指すならば、広告収入拡大のための手段の工夫などがより一層必要と思われる。財務的に大きな予算をスリム化する大胆な発想も考慮に入れると、減資の検討も含め、当団体の適正規模を再検討する余地もある。寝屋川市、交野市にも広域放送の連携について積極的に声をかけてスポンサー確保や番組政策の共同化などを模索することも必要ではないか。FMの活動の在り方について他の自治体などの事例なども調査したうえで、当団体に対する市の関与についても検討すべきである。

 

 

^