急傾斜地の崩壊による災害からいのちを守るために行政が果たす役割について質問しました。6月定例月議会、一般質問の報告①です。

2021/06/22

枚方市議会議員の奥野みかです。

ここでは、「1.急傾斜地の崩壊による災害からいのちを守るために行政が果たす役割についての報告です。

5月21日、前日から降り出した大雨の影響により市内4か所で土砂崩れ(法面崩落)が発生しました。枚方市内での最大連続雨量は阪消防出張所で206.0㎜、最大60分雨量は前伊加賀分室で37.0㎜(5月21日6時)を記録したとのことです。今回の大雨では、市は、5月21日5時43分に情報収集体制を整え、7時40に災害警戒本部体制に移行、8時40分に「避難指示」が発令されました。5月20日より施行となった「避難指示(危険な場所から全員避難):警戒レベル4」の初めての発令です。発令とともに、8時40分には、土砂災害対象避難所25か所が開設されました。避難指示は、市内全域で2,650人が対象で、34人が主に徒歩で避難したと伺いました。その後、同日17時41分に、伊加賀北町7-6付近を除いて避難指示は解除となり、枚方小学校を除く24か所の避難所は閉鎖、枚方小学校は翌22日9時30分に閉鎖となりました。枚方小学校には最大27人が避難したとのことですが、21日18時には0人となったとのことです。

私は、今回の質問で、枚方丘陵にある伊加賀北町で発生した急傾斜地の崩壊による土砂災害について、市はどのような対応を行い、現状をどのように把握しているのかをまずは確認し、市街地における土砂災害対策としては、土砂災害防止法に基づく避難誘導対策だけではなく、現地調査や、地元との調整も踏まえ、急傾斜地法に基づく根本的な解決策となる対策工事を行うことなど、大阪府にしっかり役割を果たすよう求めていくことが必要ではないかと担当副市長に見解を伺いました。枚方丘陵に点在する崩壊の危険がある急傾斜地で、実際に崩壊が起こったわけですから、同じ土質の丘陵に居住する市民は、「警戒レベル4の避難指示が発令されれば全員避難しましょう」では安心することはできません。

副市長からは、「急傾斜地崩壊危険区域の指定がなされ、地域の同意や受益者負担などが整い、対策工事の施行を要請する際には、要望の取りまとめをはじめとする地元及び大阪府との調整など、市としての役割を果たしていく」とのご答弁でしたが、地元自治体である枚方市が本気で動かなければ、大阪府は「急傾斜地崩壊危険区域」の指定や対策工事に取り組まないのではないかと指摘し、市としての役割をしっかりと果たしていただくよう要望しました。

 

 


 

以下、6月22日の一般質問のやりとりを掲載します。

1.急傾斜地の崩壊による災害からいのちを守るために行政が果たす役割について

Q.私の質問

5月21日、前日からの大雨の影響により市内4か所で土砂崩れ(法面崩落)が発生した。そのうち、伊加賀北町で発生した土砂災害について、市はどのように内容を把握し、どのような対応を行われたのか、また、避難の状況、当該地の現在の状況について、伺う。

A.危機管理監の答弁
5月21日午前7時頃に、枚方寝屋川消防組合から危機管理室に伊加賀北町の法面が崩壊している旨の連絡があったため、職員の現地派遣により状況を確認し、当該地域を含めた市内の全土砂災害警戒区域に対して避難指示を発令するとともに、枚方小学校で避難の受入れを実施した。
その後、大雨警報の解除に伴い、伊加賀北町以外の区域については避難指示を解除したが、5月23日、6月3日には、まとまった降雨が予測されたため、枚方小学校の避難所開設準備を整えるとともに、対象区域の住民には、避難に関する案内ビラを配布した。
なお、6月8日に法面所有者による当該区域の応急対策工事が実施されたことを確認している。

O.私の意見
昨年2月、神奈川県逗子市で、雨が降っていないにもかかわらず土砂災害警戒区域(イエローゾーン)に指定されていた道路に隣接する民有地斜面が崩落し、歩道の歩行者が土砂に巻き込まれ、尊い命が奪われるという事故があった。斜面は、風化が進行すると、雨が降っていない時であっても突然崩壊する危険性がある。
そこで、特に市街地における土砂災害対策としては、「土砂災害特別警戒区域」や「土砂災害警戒区域」を指定して避難を呼びかけるだけではなく、がけ崩れの危険性がある区域の防災工事を着実に進め、危険な区域を解消することこそが重要だと考える。
しかし、所有権者個人が急傾斜地の対策工事をするには、負担が大きく、なかなか進まない。そこで、急傾斜地法には、「急傾斜地崩壊危険区域」に指定した区域では、所有権者の同意を取って都道府県が崩壊防止工事を行うという対応策が用意されている。本市では、指定された11か所の「急傾斜地崩壊危険区域」においては大阪府による崩壊防止工事が実施されているが、土砂災害防止法に基づく「土砂災害特別警戒区域」159か所、「土砂災害警戒区域」171か所という指定か所数と比べると、あまりにも少ないと思う。
対策工事が所有権者の同意なしに実施できないことや、財政面での負担から、急傾斜地法に基づき根本的な危険を取り除く対策が、土砂災害防止法に基づく避難誘導対策に置き換えられてきたようにも思える。

Q.私の質問
今回、土砂災害の発生した伊加賀北町の急傾斜地の土砂災害・急傾斜地の崩壊リスクを、市はどのように評価されているのか、対策工事についてどのよう考えているのか、伺う。
また、現在、ブルーシートで斜面が覆われているが、これが当該区域の対策工事と考えていいのか、伺う。

A.土木部長の答弁
今回、法面崩壊が発生した伊加賀北町の斜面地は、いわゆる土砂災害防止法に基づき、大阪府により、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に指定されている。
また、地域の同意や受益者負担などにより、大阪府による対策工事が可能となる、いわゆる急傾斜地法による急傾斜地崩壊危険区域の指定はなされていない。
現在設置されているブルーシートは、所有者が応急措置として設置されたものであり、今後、本復旧工事を施工されるとのことである。

Q.私の質問
枚方台地・枚方丘陵の市街地に点在する崩壊の危険がある急傾斜地で、実際に崩壊が起こったわけである。同じ土質の丘陵に居住する市民は、「避難指示が発令されれば全員避難しましょう」では安心することはできない。
当該地域の場合、指定避難所である枚方小学校も「土砂災害警戒区域」の指定が行われている。急傾斜地の土地所有者任せにせず、今後、現地調査や、地元との調整も踏まえ、急傾斜地法に基づく根本的な解決策となる対策工事を行うことなど、大阪府にしっかり役割を果たすよう求めてていくことが必要ではないかと思うが、これは担当副市長に見解を伺う。

A.小山副市長の答弁
本市としては、引き続き、防災、減災の取り組みをしっかりと進めていくことが重要と考えており、大阪府とはこれまでも、土砂災害警戒区域のパトロールや大雨警報時等の情報共有など、相互に連携した取り組みを行っている。
議員お示しの急傾斜地崩壊危険区域の指定がなされ、地域の同意や受益者負担などが整い、対策工事の施行を要請する際には、要望の取りまとめをはじめとする地元及び大阪府との調整など、市としての役割を果たしていく考えである。

O.私の指摘
急傾斜地法に基づく急傾斜地崩壊防止工事の実施主体は大阪府であるが、危険箇所を調べ、工事の計画、地域の同意、受益者負担などに関する事前調整に地元自治体である枚方市が本気で動かなければ、大阪府は「急傾斜地崩壊危険区域」の指定や対策工事に取り組まないのではないか。急傾斜地の崩壊による災害から市民のいのちを守るため、必要な箇所すべてにおいて、大阪府による法に基づく「急傾斜地崩壊危険区域」の指定と急傾斜地崩壊防止工事を実現するために、市としての役割をしっかりと果たしていただくよう指摘する。

 


 

(※以下の資料は、市危機管理監から市議会議員への報告「大雨による避難所の開設等について(情報提供)」等より抜粋)

 

枚方丘陵

枚方丘陵は、標高50m前後の定高性のある丘陵で、一部台地が分布。比高10~15mの急崖がみられる。土砂災害崩壊リスクとしては、急傾斜地崩壊危険箇所及び同危険区域が集中しており、人工改変による急傾斜地などで崖崩れ、法面崩壊が生じやすいとされている。災害履歴としては、斜面崩壊が発生、谷部の埋土地では浸水被害が発生等。

 


 

【急傾斜地法】

急傾斜地崩壊危険区域指定・災害危険区域一覧(1種10か所、2種1か所) ~「枚方市地域防災計画(資料編)」より抜粋~

急傾斜地法に基づく急傾斜地崩壊危険区域の指定や急傾斜地崩壊防止工事に対する市のかかわりについて

大阪府が区域指定を行いますが、急傾斜地崩壊危険区域内で災害を防止するために勧告及び命令を行うことができます。また、土木政策課では、専門家による危険度等の判定を行う「斜面判定士」の派遣要請や土砂災害補助制度の説明を行っています。さらに、地域からの工事実施に係る「要望書」をとりまとめ、大阪府に依頼するとともに、工事に関する地元説明会等のサポート業務も行っています。また、大阪府による急傾斜地崩落防止工事が施工された箇所の軽易な除草作業等は市で行っているとのことです。

急傾斜地崩壊対策の実施に伴う受益者負担金の徴収について(大阪府ホームページ)
(※クリックするとPDFファイルが開きます。以下は、資料からの抜粋です。)

大阪府急傾斜地崩壊防止工事に係る負担金の徴収に関する条例(平成27年11月2日)」はこちらから。

【ハード対策】急傾斜地崩壊対策事業について(兵庫県ホームページ)
(※クリックすると別サイトにリンクします。)

急傾斜地崩壊対策事業とは降雨や地震などに伴って発生するがけ崩れ災害に対し、急傾斜地崩壊防止施設等を設置することによって人の命を守る仕事で、1969(昭和44)年8月に施行された「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」に基づいて区域指定や崩壊対策工事を実施しているとのこと。兵庫県下の急傾斜地崩壊危険箇所のうち、崩壊による被害を受ける可能性のある人家が5戸以上または官公署、学校、病院、旅館等のある箇所は、5,557か所(うち要対策箇所4,684か所)で、これらのうち、1086か所に着手しており、崩壊防止施設の整備率は約20%(2020年3月)と記されています。

▶ 急傾斜地崩壊防止工事について(兵庫県パンフレット)
(※クリックするとPDFファイルが開きます。以下は、資料からの抜粋です。)


 

【土砂災害防止法】

 

土砂災害特別警戒区域の住民への案内ビラ
(※クリックするとPDFファイルが開きます。以下は、ビラからの抜粋です。)

 

土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域内の住所地

枚方市のホームページ(危機管理室)に以下の情報が掲載されています。
急傾斜地/土砂災害警戒区域
地滑り/土砂災害警戒区域
土砂流/土砂災害警戒区域
急傾斜地/土砂災害特別警戒区域

大阪府 土砂災害の防災情報はこちらから。

土砂災害防止法の概要について
(※クリックするとPDFファイルが開きます。以下は、資料からの抜粋です。)


 

2020年2月5日に神奈川県逗子市で、道路に隣接する民有地斜面が雨が降っていないにも関わらず崩壊し、歩道の歩行者が土砂に巻き込まれ死亡する災害が発生しました。斜面は、無降雨であっても風化(地表の岩石が気温、雨水などの作用により次第に破壊され土や砂になること)により突然崩壊する危険性があるため、土地所有者に対して国土交通省から斜面の自主点検を行う際のポイントとして国土交通省が示されたものです。
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神奈川県逗子市のがけ崩れをふまえた急傾斜地(がけ地)の点検を行う際のポイント
(※クリックするとPDFファイルが開きます。)

 

また、国土交通省や地方自治体は、台風や大雨による土砂災害による被害を防ぐため、砂防えん堤などの施設整備や警戒避難体制の整備などの対策を実施しているけれども、これらとあわせて一人ひとりが土砂災害から身を守れるよう、土砂災害にに対して日頃から備えておくことが重要であるとして、国は、以下のとおり「土砂災害から身を守る3つのポイント」を示しています。土砂災害を発生させる現象(がけ崩れ、地すべり、土石流等)の前兆現象も記されています。
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政府広報オンライン「土砂災害から身を守る3つのポイント」
(※クリックするとPDFファイルが開きます。)

(1)住んでいる場所が「土砂災害警戒区域」かどうか確認
(2)雨が降り出したら土砂災害警戒情報に注意
(3)警戒レベル4で全員避難

 

土砂災害防止法に基づく警戒避難体制の整備等を推進するとともに、気候変動による集中豪雨の多発化も見据え、住民の防災意識を喚起しつつ、土砂災害防止法に基づく警戒避難体制づくりを推進するため、国は2020年8月、「土砂災害防止対策基本指針」の改定も行っています。
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 「土砂災害防止対策基本指針」の主な変更ポイント
(※クリックするとPDFファイルが開きます。)

土砂災害から一人一人が身を守れるよう、日頃からの備えとともに、実際の避難行動に移れるよう意識を高めていくことはもちろん大切です。しかし、枚方台地・枚方丘陵の市街地に点在する崩壊の危険がある急傾斜地で、実際に崩壊が起こったわけですから、同じ土質の丘陵に居住する市民は、「警戒レベル4の避難指示が発令されれば全員避難しましょう」では安心することはできないと思います。

「兵庫の砂防」~兵庫県の土砂災害対策~

山地が県土の約7割を占める兵庫県。ハード対策だけでも、ソフト対策だけでも防ぐことは困難な土砂災害が、近年、激甚化しています。砂防堰堤などの整備による「ハード対策」と土砂災害特別警戒区域等の指定や土砂災害警戒情報の提供などによる「ソフト対策」を両輪として、総合的に土砂災害対策を推進していかなければならない状況がよくわかります。

 


 

この6月の定例月議会での一般質問で、私は、「防災情報の見直しと地域の防災リテラシーの向上について」の質問も行いました。

 


 

【7月3日追記】

西成の崩落、危険は全国に 専門家「対策に自治体格差」(朝日新聞_2021年7月2日)

▶ 豪雨、7月上旬に集中 山を背にした住宅街で相次ぐ被害(毎日新聞_2021年7月3日)

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