1月28日に開催された令和2年度第2回の国民健康保険運営協議会を傍聴しました。令和3年度の保険料率は令和2年度の水準に据え置かれる見込み。

2021/01/28

枚方市議会議員の奥野みかです。
1月28日は、第2回の枚方市国民健康保険運営協議会を傍聴しました。

国民健康保険運営協議会は、国民健康保険法に基づいて、国民健康保険事業の運営に関する重要事項を審議するために設置されており、20名の委員(任期3年)で構成され、年2回(8月中旬・2月上旬)開催されています。

市長の諮問事項(1.保険給付に関する事項、2.保険料に関する事項、3.国民健康保険事業の運営に関する重要な事項)に応じて審議し、答申を行なうことが審議会の役割で、この時期に開催される審議会では、次年度の保険料率の算定に向けて審議し、答申を決定されています。

本日の審議会では、市長から諮問された内容を確認していくものでした。
令和3年度の本市の保険料率は、新型コロナウイルス感染症の拡大による経済活動への影響が被保険者世帯の生計に波及していることなどを踏まえ、令和2年度の水準に据え置くことを基本に、激変緩和措置等を講じての算定となるようです。

 


 

諮問事項等、当日の審議内容の概要は次のとおりです。

第2回 枚方市国民健康保険運営協議会 <付議案件>

1.令和3年度一般被保険者に係る基礎賦課総額及び賦課限度額並びに賦課割合について(諮問事項)
基礎賦課総額を 6,732,525 千円とし、賦課限度額を 63 万円とし、賦課割合を所得割 50.96%、均等割 28.88%、平等割 20.16%とする。
(参考:令和2年度は、6,715,243 千円とし、賦課限度額を 61 万円とし、賦課割合を所得割 51%、均等割 29%、平等割 20%)

2.令和3年度一般被保険者に係る後期高齢者支援金等賦課総額及び賦課割合について(諮問事項)
・賦課総額を 2,276,655 千円とし、賦課割合を所得割 50.79%、均等割 2928.99%、平等割 20.22%とする。
(参考:令和2年度は、賦課総額を 2,277,801 千円とし、賦課割合を所得割 51%、均等割 29%、平等割 20%)

3.令和3年度介護納付金賦課総額及び賦課割合について(諮問事項)
・総額を 759,359 千円とし、賦課限度額を 17 万円とし、賦課割合を所得割 45.76%、均等割 54.24%とする。
(参考:令和2年度は、賦課総額を 786,618 千円とし、賦課割合を所得割 48%、均等割 52%)

4.報告事項
・令和3年度国民健康保険制度の適正な運営に向けた本市の取り組みについて

 


 

枚方市保険料率の算定について

平成30年度からの国民健康保険制度改革により、都道府県と市町村はともに保険者となり、都道府県は財政運営の責任主体としての役割を担うこととなっています。府下各市町村は徴収した保険料等を大阪府へ事業費納付金として納付し、大阪府は各市町村から集まった事業費納付金等を財源として、各市町村へ保険給付に係る費用を交付金として交付します。各市町村が国民健康保険事業費納付金を納めるために保険料として集める必要がある額について、大阪府は「市町村標準保険料率」を示します。
府内のどこに住んでいても、同じ所得・同じ世帯構成であれば同じ保険料額となるよう、令和6年度には市町村標準保険料率に統一されることになっています。

なお、令和2年度においては、43市町村中8市町が統一保険料率を採用しているとのことです。
令和2年度、府内平均の1人あたり保険料収納必要額は 148,247円、枚方市の1人あたり保険料収納必要額は 150,215円となっていますが、枚方市の激変緩和措置後の1人あたり保険料収納必要額は 136,566円となり、その差は▲13,649円(激変緩和軽減率 9.09%)となっていました。

※1人当たり保険料収納必要額:(医療分の保険料収納必要額÷一般被保険者数)+(支援金分の保険料収納必要額÷一般被保険者数)+(介護分の保険料収納必要額÷介護2号被保険者数)の式により求めた算定上の額。

※次表は大阪府ホームページより抜粋。その他の表は当日の審議会資料より抜粋。

令和3年度、府内平均の1人あたり保険料収納必要額は 142,845円で、枚方市の1人あたり保険料収納必要額は 144,651円となっていますが、枚方市の激変緩和措置後の1人あたり保険料収納必要額は 137,122円となり、その差額は▲7,529円(激変緩和軽減率 5.49%)と示されています。

大阪府の示す枚方市の市町村標準保険料率 91.96%ですが、実績収納率も向上しているし、少しでも保険料負担を軽減するため、市は令和3年度の予定収納率を 94.00%と設定して算定しています。そのことにより、1人あたり 2,735円が軽減されるようです。

そして、賦課総額を算定し、以下が令和3年度の保険料率と見込まれています。予定収納率が高く設定されており、介護分の所得割は、令和2年度より引下げとなるようです。

表6の中で示されているおり、枚方市の 1人あたり保険料収納必要額は、統一保険料率と比べて7,529円の差があります。令和6年度の保険料統一までには、一定の引上げが必要となってきます。今回の算定では、令和3年度の保険料率を据置くこととなるため、令和4年度から令和6年度までにおける単年度の引き上げ幅は大きくなることが見込まれますので、適切な激変緩和措置が求められるところです。

保険料の減免については、本市は独自減免として「児童扶養減免」の制度がありますが、令和6年度の保険料統一までに廃止すると記載されています。(←また確認しておきます。)

次表は、国民健康保険特別会計の当初予算(案)です。

 

※以下は厚生労働省のパンフレットです。

 


 

令和3年度国民健康保険制度の適正な運営に向けた本市の取り組みについて

(1)資格適正化の取り組み

(2)保険料徴収の取り組み
令和3年度の現年度目標徴収率を 94.0%(大阪府 91.96%) とし、滞納繰越分を含めた収納率向上を図る。

(3)保険給付適正化の取り組み
債権回収担当部署、弁護士職員との連携による取り組み、レセプト点検、柔道整復療養費及びあんま・はり・マッサージ療養費にかかる内容点検の業務委託、第三者行為による傷病の早期発見、ジェネリック医薬品の普及(政府目標・使用割合80%)に近づけることなど。

(4)保健事業推進の取り組み
「第3期特定健康診査等実施計画・第2期データヘルス計画」の中間評価を踏まえ、主な取り組みである特定健康診査受診率・特定保健指導利用率の向上、糖尿病や糖尿病性腎症・高血圧等の重症化予防、その他重複頻回受診者保健指導等における保健事業について引き続き目標達成に向けて努めていく。

 


 

審議会における委員の質問等

・大阪府より示された標準徴収率は91.96%であるが、市は令和3年度の現年度目標徴収率を94.0%としている。目標達成できなければ次年度で補うのか。収納が大きく減少しないのか。
→予定収納率に達しない場合、府財政調整基金から借り入れる方法などもある。

・令和6年度の保険料統一のスケジュールは予定通りか。約8,000円の統一保険料との差について、毎年度 2,000~3,000円ステップで引き上げる必要があるのか。
→府の運営方針も新しく策定されているが、現行の方針が引き継がれ、令和6年度統一に変更はない。

・収納方法の多様化は収納率向上に貢献しているのか。
→キャッシュレス決済は0.5%程度。コンビニ収納がキャッシュレスに流れるのではないかと思ったが、コンビニ収納も5月で27%、現在28%なので、あわせてキャッシュレス化は進んでいる。

・特定健診未受診者へのハガキについて、受診者の把握はどのようにしているのか。
→国保事務局から受診データが各市町村に届くのに約1か月遅れとなる。ハガキ勧奨は今回は11月に。

・マイナンバーカードの健康保険証機能の付与について
→各医療機関の窓口に端末を設置することになる。

・4~6月の受診抑制、健診どころではないという状況が,秋頃には何とか回復してきていたが、年末より再度の感染拡大である。年度末に向け、検診数も増えてくるとは思うが、受診していない人への手立ては検討しているのか。
→国の指導により、日曜健診も取り止めている。4~6月の対象者へのフォローも必要。

・糖尿病性腎症の重症化防止プログラムについて

・コロナ禍のなか、精神科的なフォローは行わないのか。心と体は切り離して考えられない。
→精神的ケアは保健所で対応。

・特定健診の受診率が他市に比べ低いが、何か対策は行っているのか。
→はがきでの受診勧奨は、AIも活用して行動パターンを推測し、年度ごとにターゲットや送付方法を変えながら取り組んでいる。例えば、年度途中加入者、65歳退職者を重点化するなど。特定健診が大切であると捉えていただきたい。

・糖尿病性腎症重症化防止プログラムについて。なぜ、糖尿病性腎症をフォーカスするのか。
→保健師が月1回電話をしフォローアップ。一般かかりつけ医から糖尿病・腎症の専門医に適切につなげられる仕組みづくりに努めている。生活習慣病の中でも、高血圧症・脂質異常症は投薬もあるが、糖尿病から腎症(合併症)→人工透析となると、結果として財政の圧迫につながるので、前段階での対応に取り組んでいる。

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