3月25日、予算特別委員会の5日目(特別会計・企業会計)は、「病院事業会計だけ、取り残されていませんか」と、退職給付引当金の引当方法に集中して質問しました。

2022/03/25

枚方市議会議員の奥野みかです。

3月25日、C日程(特別会計・企業会計)で行った質問の報告です。

「病院事業会計だけ、取り残されていませんか」という観点から、退職給付引当金の引当方法について、質問しました。

2015(平成27)年度の包括外部監査の指摘を受け、水道事業会計・下水道事業会計と一般会計の間では、2019(令和元)年度に「枚方市職員の退職手当の負担に関する覚書」を締結し、退職手当の会計間負担の調整が行われており、今回、2022(令和4)年度予算において、両会計における退職給付引当金のなかみについても整理されます(包括外部監査意見に対する措置)が、病院事業会計と一般会計との間では「覚書」すら締結されていません。市の財政当局も「退職給付引当金については、職員が従事した期間に応じて、企業会計として適切な負担分を引き当てるべき」という考えを答弁されています。
病院が、医業収益を増やすために行った努力の成果の多くを、人事異動の辞令発令ひとつで帳消しにしてしまうのが、会計間で負担調整を行わないまま支払われる退職金の支払いではないでしょうか。

「現行の処理では、市立ひらかた病院に所属していない期間に係る費用、すなわち発生していない費用が病院事業会計の損益計算書に表示されることになり、病院事業の経営成績を正しく表していないことになる。」
2015(平成27)年度の包括外部監査の指摘を病院に置き換えるとこのようになります。
「病院経営の悪化要因を取り除く」という観点から、病院事業会計としても、職員が従事した期間に応じて、適切な負担調整を行うという他会計と同一のルールを確立すべきであり、退職金の給付に係る会計間の負担調整に関する「覚書」を早急に締結すべきである、と意見しました。

もう1点は、待ったなしの課題である病室のWi-Fi環境の整備について、院内ネットワーク基盤更新事業に関連して質問し、全病室でのWi-Fi利用を可能にすることを早期に実現すべきであることを改めて要望しました。

 

************************

【3月25日の質問項目】

(1) 退職給付引当金の計上方法について(水道・下水道)
(2) 退職給付引当金の計上方法について(病院)
(3) 院内ネットワーク基盤更新事業について

 


 

※以下、質問のやりとりを掲載します。

(1) 退職給付引当金の計上方法について(水道・下水道)

Q.私の質問

C日程では、「重要な会計方針及び財務諸表注記」にある「退職給付引当金の計上方法」について、各企業会計に、順次、伺う。

まず、最初に、水道事業会計は、予算説明書173ページの「退職給付引当金の計上方法」になる。
昨年度までは、「職員の退職手当の支給に備えるため、当事業年度末における退職給付費の要支給額に相当する額を簡便法により計上している。」と、簡便法を採用する内容の記載のみであったが、2022(令和4)年度は、「2022(令和4)年度から、全職員のうち水道事業会計に所属した職員の在籍期間に係る退職手当の支給に備えるため、『枚方市職員の退職手当の負担に関する覚書』に基づき、一般会計等が負担すると見込まれる金額を除く額を計上することとし、当事業年度末における退職手当の要支給額に相当する額を簡便法により計上している。なお、このことによる影響分 139,051千円は特別損失に計上し、期末要支給額に不足する額 65,513千円は退職給付費に計上している。」と記載されている。
そして、「貸借対照表等関連」として、「退職給付引当金の取崩し」について、「令和4年度において、退職手当支給のため、退職給付引当金 23,459千円を取り崩した。」とある。

また、下水道事業会計は、予算説明書297ページの「退職給付引当金の計上方法」になる。
昨年度までは、簡便法の採用と、雨水事業担当職員の退職給付費は一般会計が負担することが記されていたが、2022(令和4)年度は、水道事業会計と同趣旨となり、「なお、」以下は、「このことによる影響分 108,955千円は特別利益に計上し、期末要支給額に不足する額 17,171千円は退職給付費に計上している。」と記載されている。
そして、「貸借対照表等関連」として、「退職給付引当金の取崩し」について、「2022(令和4)年度において、退職手当支給のため、退職給付引当金 129,245千円を取り崩した。このうち、計上基準変更に伴う影響分は 108,955千円である。」とある。

そこで、水道事業会計及び下水道事業会計の「重要な会計方針及び財務諸表注記」の「退職給付引当金の計上方法」にある「枚方市職員の退職手当の負担に関する覚書」について、これは、市と上下水道局との間で締結されているとのことであるが、この覚書の内容について、伺う。

A.上下水道局 上下水道総務室 総務担当課長の答弁

「枚方市職員の退職手当の負担に関する覚書」では、退職手当は退職日に在職する会計で全額を支出し、それぞれの在職した月数按分により会計間負担額を算出した後に、速やかに精算することなどを定めており、本覚書については、令和元年度から適用している。

Q.私の質問

2015(平成27)年度の包括外部監査は、「水道事業の事務の執行及び上下水道組織の統合に関する管理運営について」がテーマであった。その中で、水道事業会計に関して、「退職時に所属する部署の会計で当該職員の退職金支給額を全額負担するという取り扱いが、過去からの慣例により行われているが、協定書や覚書等の文書による確認がない」という指摘、さらに、「職員の従事した期間に応じて一般会計として負担すべき費用と地方公営企業会計として負担すべき金額を明確にしたうえで、水道部として負担すべき金額が把握可能である場合、水道部負担分のみを引当金に計上すべき」という指摘が報告されている。
今回の見直しは、2015(平成27)年度の包括外部監査で受けた指摘等への対応の一環であると考えるが、2022(令和4)年度にこのような対応を行われた経過や理由について、伺う。

A.上下水道局 上下水道総務室 総務担当課長の答弁

2015(平成27)年度の包括外部監査での指摘の1つは、会計間負担が原則であることを踏まえ、取り扱いについて市と間で協定書等の締結が望まれるとのご意見で、これについては、先ほどの答弁のとおり、2019(令和元)年度から実施している。
もう1つは、引当金について職員が従事した期間に応じて、企業会計として適切に負担分を引き当てるべきとのご意見であり、これについては、事務作業が複雑になることから、今後のシステム改修などに合わせて対応する事を検討していたが、今年度、他市の状況等を調査する中で、他市の取り扱いを参考に、事務作業を見直すことで実現の可能性が見出せたことから、関係部署との協議も進めつつ、2022(令和4)年度から実施することとしたものである。

Q.私の質問

2022(令和4)年度から実施することとした退職給付引当金の見直しにより、水道事業会計では、139,051千円の特別損失と 65,513千円の退職給付費を計上していることが、また、下水道事業会計では、108,955千円の特別利益と 17,171千円の退職給付費に計上していることが、それぞれ記載されているが、これらはどのようにして算出されたものなのか、考え方を伺う。
また、今回の見直しにより、今後も引き続き、2022(令和4)年度同様の会計処理が必要となるのか、伺う。

A.上下水道局 上下水道総務室 総務担当課長の答弁

水道事業会計を例に説明させていただくと、予算書173ページの1の(3)の①の退職給付引当金の5行目に記載の 139,051千円については、今回の見直しによる影響額であり、見直しを実施する場合と、実施しない場合の差額となる。水道事業会計では、見直しにより退職給付引当金の必要額が増大するため、見直しによる不足額を「特別損失」として計上している(P199)。また、次の行に記載の 65,513千円については、退職手当支給のための取り崩しなどにより生じる不足分を退職給付費に計上(P195)しており、それぞれ退職給付引当金に繰り入れるものである。
なお、下水道事業会計では、地方公営企業法が全部適用された2011(平成23)年度以降の在職期間分のみを引き当てるため、見直しを実施することにより引当金の必要額が減少することから、見直しによる超過分を「特別利益」として計上している。
2022(令和4)年度予算に限り、算定方法の見直しによる調整のため、特別損失や特別利益を計上しているが、次年度以降については、取り崩し等による不足分のみを、退職給付費に計上し、退職給付引当金に繰り入れを行っていくことになる。

Q.私の質問

「退職給付引当金について、職員が従事した期間に応じて、企業会計として適切な負担分を引き当てるべき」という考えに基づく整理であることは理解した。
2022(令和4)年度も、4月1日付で人事異動があり、職員の数も、また、それぞれの職員における各会計での在職期間等の構成も変わってくると思う。さらに、簡便法では、「当該年度の定年退職者については、退職給付引当金に計上しない」取り扱いのようであるが、今回の人事異動で、2022(令和4)年度末に定年を迎える職員が一般会計側から異動した場合の手続きはどうなるのか。人事異動により変動が生じる場合には、どのような手続きを取られるのか、伺う。

A.上下水道局 上下水道総務室 総務担当課長の答弁

人事異動を反映した事務処理については、これまでから毎年度、9月定例月議会における補正予算で調整をしている。仮に、当該年度末に定年を迎える職員が異動してきた場合も、10月1日現在の体制での退職給付引当金の必要額を算定することから、当初の引当金から、退職手当相当分を取り崩した残額との差額について予算措置を行う。
また、その際には、2019(令和元)年度から実施している、退職手当支給に係る会計間負担による、一般会計負担分の収入や、企業会計負担分の支出も見込んで補正を行う。

O.私の意見・指摘

水道事業会計・下水道事業会計では、「枚方市職員の退職手当の負担に関する覚書」に基づき、定年前に異動してきて1年だけで退職する職員も含め、人事異動による変動について、2019(令和元)年度以降、「職員の従事した期間に応じて一般会計として負担すべき費用と地方公営企業会計として負担すべき金額」を明確した上で、一般会計負担分の収入や、企業会計負担分の支出について、補正対応で、会計間負担の整理を行なっているとのご答弁である。
2022(令和4)年度末に定年を迎える職員が一般会計側から水道事業会計に異動した場合の退職手当の支給に係る手続きとしては、水道事業会計で退職金支給額の全額を退職給付引当金として会計処理するけれども、水道事業会計以外の部署等に従事した期間に対応する退職給付費用を水道事業会計において負担することは適切でないことから、一般会計で勤務していた期間分は、一般会計負担分として収入する、下水道事業会計で勤務していた分は下水道事業会計負担分として収入する、それぞれ、その逆の支出もあるが、補正で対応するとの説明があった。
では、地方公営企業会計である病院事業会計で勤務していた職員が水道事業会計に異動した場合、両会計間の取扱いはどうなるのか、という疑問がわいてきたが、水道事業会計も、下水道事業会計も、病院事業会計とは「覚書」を交わされていない、とのことである。
会計間で職員の異動がある同じ本市の地方公営企業会計でありながら、病院事業会計は、一般会計との間においても、「枚方市職員の退職手当の負担に関する覚書」を締結されておられない。

(2)退職給付引当金の計上方法について(病院)

Q.私の質問

そこで、次は、病院事業会計に伺う。
病院事業会計の「重要な会計方針及び財務諸表注記」は、240ページにある。
「職員の退職手当の支給に備えるため、当事業年度末における退職給付費の要支給額に相当する額を簡便法により計上している。」とあり、貸借対照表等関連として、「退職給付引当金の取崩し」について、「令和4年度において、退職手当支給のため、退職給付引当金 82,624千円を取り崩した。」と記載がある。
この内容は、2021(令和3)年度末の「退職給付引当金」1,629,403千円に、2022(令和4)年度における退職手当支給のため「退職給付引当金」82,624千円を取崩し、年度末要支給額との差額として「退職給付引当金繰入額」164,310千円を繰入れ、2022(令和4)年度末の「退職給付引当金」は 1,711,089千円とされている旨、説明を受けた。
しかしながら、水道事業会計及び下水道事業会計の「重要な会計方針及び財務諸表注記」の「退職給付引当金の計上方法」には、「枚方市職員の退職手当の負担に関する覚書」に基づき、「一般会計等が負担すると見込まれる金額を除く額を計上する」処理が記載されているが、病院事業会計では、「覚書」についての記載がない。
水道事業会計・下水道事業会計が一般会計との間の「覚書」を締結しているのに、病院事業会計だけが一般会計との間で会計間負担の「覚書」を締結しておられないというのは、まったく意味がわからない。
この「覚書」がないということについて、病院事業会計としてはどのように認識しておられるのか、また、市立ひらかた病院では、今後、この会計間の負担についてどのようにお考えなのか、伺う。

A.市立ひらかた病院事務局 経営管理室 総務課長の答弁

「覚書」について水道局と市長部局で交わされており、病院においては現状では覚書を交わしていないことは認識している。(←「認識している」までで、「課題と考えている」までの答弁はない。)
退職給付費の会計間の負担については、地方公営企業法においてその方法についての明確な定めはなく、本市一般会計や水道事業会計、下水道事業会計における負担方法、また大阪府下の病院事業における状況などを踏まえ、今後も引き続き、会計間の負担のあり方について調査研究のうえ、各会計間において協議していきたいと考えている。

O.私の意見・指摘

「今後も引き続き、会計間の負担のあり方について調査研究のうえ、各会計間において協議していきたい」との病院事業会計からのご答弁である。病院事業会計が、一般会計と「枚方市職員の退職手当の負担に関する覚書」を締結していない、ということは、実は大きな問題であることをご認識いただきたいと思う。
2015(平成27)年度の包括外部監査で指摘された退職金の給付に係る一般会計と企業会計との適正な負担関係は、何も水道事業・下水道事業との関係だけではない。包括外部監査の指摘を受け、水道事業会計・下水道事業会計では、2019(令和元)年度に「枚方市職員の退職手当の負担に関する覚書」を締結し、実務的には退職金の給付の負担関係の適正化をすでに図ってきているが、今回、退職給付引当金の引き当てのなかみについても、現時点で適正なものとなるよう見直しを行ったとのことである。病院事業会計だけ、一般会計と「覚書」すら締結できずに、「退職金の負担関係の適正化」から取り残されているのである。

Q.私の質問

「枚方市職員の退職手当の負担に関する覚書」の締結は職員課が担当のようであるが、この退職金の給付にかかる会計間負担の課題について、一般会計側ではどのようにお考えなのか、これは、財政課に見解を伺う。

A.財政課長の答弁

2015(平成27)年度の包括外部監査では、「退職給付引当金については、原則として、一部であっても公営企業の職員として属した期間に対応する費用は、属した公営企業会計で負担すべき」とされている。
そのため、先程、総務課長より答弁があったとおり、各会計間において協議を進めていく必要があると考えている。

O.私の意見・指摘

地方公営企業法で、「地方公営企業においては、その経営成績を明らかにするため、すべての費用及び収益を、その発生の事実に基づいて計上し、かつ、その発生した年度に正しく割り当てなければならない。」とされていることから、現行の退職手当の会計処理では、水道部に属していない期間に係る費用、すなわち発生していない費用を水道事業会計が負担することになり、水道事業の経営成績を正しく表していないことになる、というのが、2015(平成27)年度の包括外部監査の指摘である。
病院事業会計の場合は医業収益、水道事業事業の場合は水道料金、下水道事業会計の場合は下水道使用料として、それぞれ市民に負担をいただいているが、人事異動で非合理な超過負担費用が発生することは、経営上の合理性を欠き、説明責任を果たせない。
本市には、水道・下水道・病院、本市には3つの企業会計があるが、各企業会計に所属する職員が退職する際には、それぞれの会計において退職給付引当金処理が行われている。しかし、一般会計では引当金処理を行わないので、退職金はそのまま支出として決算される。
そこで、一般会計における人件費の見た目の支出を減らし、退職金財源を企業会計の引当金財源に求めて、退職を控えた職員を企業会計職場に異動させ、企業会計職場で退職させるということが起こされ得るわけである。逆に、企業会計側が、本来負担すべき退職金の費用を一般会計負担に移すということもあり得るのである。
そうしたことを防ぎ、適切な負担調整を行うために、水道・下水道において、当該企業会計間も含め、整理・確立が行われたのが「覚書」であるとも言えるわけである。ところが、病院事業会計だけ、「覚書」が締結されていない。
しかし、実は、病院事業会計こそ、この整理の必要性が高いのではないか。
病院事業会計では、病院独自採用の医療職等が多く、医師や看護師などの退職は頻繁にあるものの、勤務年数が短いことから実際の退職金負担は大きくないと聞いている。ところが、病院事務局に勤務する幹部行政職員が病院で退職する際の退職金は大きな負担となる。その職員が病院事業会計に所属する期間が非常に短い場合、非常に不合理であると考える。
すなわち、病院職場で行政職員が退職する場合、一般会計との間で覚書による負担調整が行わなければ、受診料収入を主な財源としている病院事業会計に、一般会計が負担すべき行政職員の退職金が押し付けられることになりかねない。
財政課長は、退職給付引当金について、「職員が従事した期間に応じて、企業会計として適切な負担分を引き当てるべき」という考えを答弁されている。総務課長のご答弁のように、会計間の負担のあり方について調査研究している場合ではない。
「現行の処理では、市立ひらかた病院に所属していない期間に係る費用、すなわち発生していない費用が病院事業会計の損益計算書に表示されることになり、病院事業の経営成績を正しく表していないことになる。」
2015(平成27)年度の包括外部監査の指摘を病院に置き換えるとこのようになると思うが、このことを宮垣病院事業管理者はどのように受け止められるのか。
ここで、「病院経営の悪化要因を取り除く」という観点から、病院事業会計としても、一般会計との間で早急に「覚書」を交わし、職員が従事した期間に応じて、適切な負担調整を行うという同一のルールを確立すべきではないか。この状態を放置しておいてよろしいのか。」と、宮垣病院事業管理者にお伺いしたいところであるが、今回はあえてお伺いはしない。
病院事業会計の健全化は、あらゆる角度からの見直しが必要であると、これまでの委員からのご意見もあったが、退職金の適切な負担調整も、まさにその一つだと思う。これまでの質疑を聞かせていただいた中で、病院はコロナ診療に対応しながらも、本当に大変な努力をされていることがよくわかった。しかし、医業収益を増やすための努力による成果の多くを、人事異動の辞令発令ひとつで帳消しにしてしまうのが、会計間で負担調整を行わないまま支払われる退職金の支払いではないか。だからこそ、速やかな改善が必要ということになる。
早急に、退職金の給付に係る会計間の負担調整に関する「覚書」を締結すべきと、意見しておく。

(3) 院内ネットワーク基盤更新事業について

Q.私の質問

次に、予算説明書263ページに、企業債として、院内ネットワーク基盤更新事業の企業債 222,400千円が計上されているが、この対象事業の内容を伺う。

A.市立ひらかた病院 医事課長の答弁

2014(平成26)年10月の新病院開院時から稼働している現行の電子カルテシステム及びインターネット環境などのネットワーク機器の保守期限が2022(令和4)年10月となっていることから機器の更新を行うものである。
あわせて、外来待合や病室のWi-Fi環境の整備も予定している。

Q.私の質問

2022(令和4)年度、院内ネットワーク基盤更新事業で、外来待合や病室のWi-Fi環境の整備も予定しているとのことである。
2021(令和3)年6月議会の一般質問の際、「新型コロナウイルス感染症感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金」を用いて、「オンライン面会」ができる環境を整備されたことを伺った。感染症病棟として確保した7階東病棟に入院されている患者さんが、持参したスマートフォン等で使用することができるWi-Fi環境と、スマートフォン等をご準備されていない方のために貸し出しタブレットを整備し、オンラインで面会ができるよう環境を確保したものとのご答弁であった。その時点では、感染症病棟の7階東病棟のみWi-Fi環境を整えたとのことであったが、現在の状況について、伺う。

A.市立ひらかた病院 医事課長の答弁

現在院内では、4階から7階の病棟ディルーム、外来の待合エリアの一部、及び特別室2室に、Wi-Fi機器を設置している。これに加えて委員お示しのとおり、2021(令和3)年1月に、感染病棟での入院患者向けにWi-Fi環境を整備し、同年10月に一般病棟についても面会制限を行っているため、オンライン面会を希望される患者さんには、移動型の通信機器でWi-Fi環境を整え、当院のタブレット端末を用いて、オンラインでの面会ができる環境を整備した。
2022(令和4)年度の院内ネットワーク基盤更新事業については、電子カルテ等の運用に用いる業務用のネットワーク基盤の老朽化に伴う機器の更新が主な内容であるが、あわせて予算の範囲内で患者用Wi-Fi環境のエリア拡大を行おうとするものである。
今後、具体的なエリアの設定や使用上のルール、料金設定等について検討していく。

O.私の意見・指摘

現在では、スマートフォンやタブレットを使えるのが当たり前となっており、人々のライフラインにもなっている。入院生活を送る患者と家族のオンラインでの面会やLINEなどのSNS、メールの送受信、病室で受ける遠隔授業、手話通訳や多言語対応のためのタブレット活用等、病室でWi-Fi(無線LAN)を利用したいという声は高まっている。枚方市は「手話でつむぐ住みよいまち 枚方市手話言語条例」を制定しているが、「電話リレーサービス」も、遠隔手話通訳のさまざまな仕組みもWi-Fi環境が整備されていなければ効果的に生かすことができない。聴覚障がい者に限らず、視覚障がい者や筋ジストロフィーなどの障がい者の患者さんにしても、日本語の理解が困難な外国人の患者さんにしても、外部とのコミュニケーションのために病室でWi-Fiを使うことが必要になってきている。「孤立」を防ぐ観点からも、また、安心して退院することができるための支援としても、病室のWi-Fi環境の整備は待ったなしの課題であると考える。
全国の病院の中でもまだまだ数少ない全病室でのWi-Fi利用を可能にすることを早期に実現すべきであると強く要望しておく。

 

▶ 2021(令和3)年6月定例月議会「市立ひらかた病院における病室でのWi-Fi環境の整備について」の質問
全国の病院の中でもまだまだ数少ない全病室でのWi-Fi利用を可能にすることを早期に実現いただくよう強く要望。

 

^