施設瑕疵による児童の負傷事故について、プライバシー上の配慮を行うことと、事故内容や原因を明らかにし、再発防止策を徹底する等、市としての責任を適正に果たすことは両立させるべき。学校水泳授業における安全管理について、質問しました。9月定例月議会、一般質問の報告③です。
枚方市議会議員の奥野みかです。
ここでは、「1.学校教育における安全・安心の確保について」「(3)学校水泳授業における安全管理について」の報告です。
学校での水泳授業において、学校側の過失によるプール施設の瑕疵が原因で児童が負傷し、入院加療を余儀なくされたことは明らかなので、市には国家賠償法上の賠償責任が生じ、適切な対応が求められています。負傷事故が発生した当該校において、原因追及のための基本調査等を実施し、再発防止を含めた安全対策を講じること、また、他の学校園に情報提供を行い、同様の事故の発生を防ぐリスク対応を徹底することは当然のことだと考えます。
保護者の意向を最大限尊重し、児童のプライバシー保護を優先して対応するとの説明がありましたが、もちろん、プライバシーの保護は必須です。しかしながら、公表を望まれない保護者の意向に沿って児童の特定につながるプライバシー上の配慮を行うことと、事故内容や原因を明らかにし、再発防止策を徹底する等、市としての責任を適正に果たすことは両立させるべきものであると考えます。
プール設備・施設の定期点検や、教職員の教育、管理体制の強化を徹底し、再発防止策を徹底的に検証すること等で、他の教育機関や関係者が同様の事故を防ぐための教訓とできるわけですから、適切な情報公開と対応等による透明性の確保は重要です。被害児童の保護者と十分な協議を行い、示談や賠償に関しては保護者の意向を最大限尊重しつつ、公正な対応を行うとともに、保護者の意向を尊重しながらも、透明性を持った適切な対応を行うよう求めました。
以下、9月17日の一般質問でのやりとりを掲載します。
1.学校教育における安全・安心の確保について
(3)学校水泳授業における安全管理について
Q.私の質問
今年7月、高知市の小学4年生の男子児童が、水泳の授業中に溺れて死亡する事故が発生した。学校プールでの事故報道に不安を覚えるとともに、自校以外のプールで水泳の授業を実施する事例も増えているなか、水泳授業の安全対策、安全指導のあり方が問われているのではないか。
そこで、枚方市における、学校水泳授業での事故の発生状況について、伺う。
A.学校教育部長の答弁
次に、「(3)学校水泳授業における安全管理について」、お答えする。
2024(令和6)年度について、これまでの学校事故報告では、プール内での事故についてはなかったが、児童のプールサイドでの外傷を伴う事故はあった。
Q.私の質問
今年度、プール内での事故の発生はなかったけれども、プールサイドで児童の外傷を伴う事故はあったとのことである。では、その事故のあらましと、児童の負傷等の程度について伺う。
A.学校教育部長の答弁
本件については、プールサイドにおける学校の施設管理の瑕疵により児童が怪我をしたものである。当該児童については、入院加療の後、現在は登校している。保護者への説明の際には、学校とともに教育委員会事務局の指導主事が同席し、謝罪、状況の説明等の対応を行い、その際に保護者から本件についての公表は望まないとのご意向をうかがっている。
今後の治療経過についても丁寧に対応を進めていく。
Q.私の質問
「学校の施設管理上の瑕疵」で、児童が入院加療する負傷の事故であったとのことである。しかし、この事故の概要は説明されないし、9月議会に本件に関する議案も提出されていない。この事故は、児童の不注意によるものではない。改めて、本件に対する教育委員会としての見解を伺う。また、議案がなぜ提出されていないのかについても伺う。
A.学校教育部長の答弁
本件については、学校の施設管理に瑕疵があったと捉えている。加えて、入院加療が必要な怪我を負ったことを重く受け止めている。学校においては基本調査を実施し、再発防止を含めた安全対策を講じている。また、本件については全学校園に情報提供を行い、安全対策の徹底について周知している。
現在、当該児童については治療中であるので、今後、児童の怪我の症状固定後、示談についての話し合いを進める予定である。今後の手続きについては地方自治法等の法令に基づき対応していく。
O.私の意見
本件は、学校の施設管理の瑕疵により、児童に損害を与えた事故であり、そのため、国家賠償法により市が賠償しなければならない事案である。本件内容を確認する中で、本来、求められる行政手続きが執行されない、遂行されないように感じられたため、賠償責任についての市としての見解を担当副市長に確認しようかと考えたが、本来の手続きを行われることが確認できたので、あえて聞くことはしない。
学校プールの設備管理において、学校側の過失が原因で児童が負傷し、入院加療を余儀なくされた事故が発生したというのは極めて重大なことである。児童のプライバシーに配慮しながらも、事故内容や原因を明らかにし、再発防止策を徹底することが重要です。公表を望まれない保護者の意向に沿って児童の特定につながるプライバシー上の配慮を行うことと、市としての責任を適正に果たすことは両立させるべきものであると考える。
今後、被害児童の保護者と十分な協議を行い、示談や賠償に関しては保護者の意向を最大限尊重しつつ、適切な手続きを行うよう求めておく。
【参考】
▶ 国家賠償法(第1条)
国家賠償法第1条は、公権力の行使に当る公務員が故意や過失によって他人に損害を与えた場合、国や地方公共団体がその損害を賠償する責めに任ずることを定めています。
第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
2 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。