通年の待機児童の解消をめざして~東部エリアにおける臨時保育室の開設について(教育子育て委員協議会報告②)
枚方市議会議員の奥野みかです。
11月25日に開催された教育子育て委員協議会の報告②です。
(2)東部エリアにおける臨時保育室の開設について[私立保育幼稚園課]
希望する施設を利用できていないといった潜在的な待機児童について通年での解消を図るため、これまでから公私立保育所(園)等の定員増加や臨時保育室の開設に取り組むとともに、2024年度には一時預かり事業の空き枠を活用して待機児童を受け入れる「就労応援型預かり保育」を2園増加させるなど、様々な手法により取り組みを進めている。
2024年4月時点での待機児童数は218名(2019年4月時点では281名)(国定義の待機児童数はゼロ)である。また、毎年、年度途中では、育休復帰や転入などに伴い年度当初に比べ待機児童数は増加し、国定義の待機児童についても発生している状況。
本市が目指す「通年の待機児童の解消」を図るためには、さらなる対策が必要であり、まずはより保育の必要性が高い国定義の待機児童について通年での解消が図られるよう、国定義の待機児童が多く発生している東部エリアにおいて、年度途中での育休復帰や転入などへの対応も踏まえ、私立徳風保育園の一室を改修し、2025年4月から新たな臨時保育室を開設するもの。
◇待機児童(国定義)の状況
待機児童(国定義)の推移については、臨時保育室開設等の対策によって、2022年3月の待機児童133 人は2024年3月では42 人まで減少し、2024年4月当初では待機児童は発生していないが、毎年、年度途中には待機児童が発生している状況。
【東部】
私立徳風保育園(田口山2丁目5-1)は、1970年に開設した保育園で、2階奥の保育室にトイレなど必要な設備を設置するための改修を行い、新たに定員10人の臨時保育室を開設するもの。なお、施設の運営については、徳風保育園を運営している社会福祉法人に委託する。
(1)開所時間:7時から19時まで(日曜、祝日、年末年始は休室)
(2)入室対象:複数の保育所等の入所申込を行っているにも関わらず、待機状態となっている児童のうち0歳児から5歳児の保育の必要性の高い児童。
(3)利用料:月額 27,000円(給食費は別途必要)、国の無償化対象となる場合は、給食費(6,300円)のみ実費負担。
【北部】くずは光の子保育園分園 臨時保育室(りんご)/開設年月 2023年4月/定員 15人/受入れ歳児 1歳~5歳児
【中部】枚方市立渚西臨時保育室(ぽかぽか)/開設年月 2022年10月/敷地面積 2288.77平方メートル/建築物構造・面積 鉄骨造平屋建・770.11平方メートル/定員 50人/受入年齢 0~5歳児
【南部】枚方市立さだ西臨時保育室(にこにこ)/開設年月 2021年10月/敷地面積 940平方メートル/建築物構造・面積 鉄骨造平家建・423.55平方メートル/定員 50人/受入年齢 0~5歳児
【配置図】
【事業費】
補助金(開設準備費) 5,790千円
≪財源≫
国庫支出金 2,252千円
(内訳)
・子ども・子育て支援交付金 1,284千円(補助率1/3)
・保育対策総合支援事業費補助金 968千円(補助率1/2)
・府支出金 子ども・子育て支援交付金 1,284千円(補助率1/3)
・一般財源 2,254千円
奥野の意見
保育需要は2023(令和5)年度がピークとされていましたが、東部で発生した待機児童への対策、市内の保育需要の把握など、まだまだ予断を許さない状況のようです。いずれの臨時保育室についても、年度末に向けて利用が増えており、一時的な利用ではあるけれども、保育が必要な方の受け皿につながっています。
現在の取り組みの中で、臨時保育室は、保育需要のピーク時を乗り越えるための暫定的な施設であると理解していますが、今後、臨時保育室を廃止した際の跡地活用についても考えておかなければならないと考えます。臨時の対応をする場合には、臨時対応における「質」の確保対策以外に、今後の見通しや、臨時対応をどのように解消していくのか、そして、解消後の体制のイメージ、ハードの対策も明らかにしてもらいたいと思います。
また、臨時保育室は、大人の理由、大人の都合ではないかとの指摘もありますが、その大人にとっても、応能負担でないことや、第2子以降無償化の対象とならないこと等の問題があります。それ以上に、子どもたちを取り巻く保育環境を鑑みると、子どもの最善の利益の観点からは、保育需要があるのであれば、「臨時」ではない保育施設を整備すべきではないかと考えます。さらに進めるならば、子どもの数が減った時に何らか充実させる戦略があるならば、「臨時」ではない体制を先行確立するという対応もできるのではないでしょうか。
他の委員の質問
・2025年4月から開設する臨時保育室の定員10人で待機児童対策として有効か。
→まずは10人で受け入れていただき、その後、法人と協議も行いたい。
・どれだけの法人が希望され、実際に決めた基準はどうであったのか。なぜ、北部に近いこの位置か。
→東部エリアに保育施設のある法人に意向確認したところ、4法人から手が挙がった。過去3年間の国定義の待機児童の住所を全て確認する中、一番多いエリアに所在する法人に決定。過去の実績を踏まえて決定したもの。
・私立徳風保育園[東部]は3~5歳児の受け入れ園(150名)である。0~2歳児の給食について。
→他の施設で0~2歳児の受け入れもある。(私立第二徳風[北部]/0~2歳児/120名)
・利用料が月額27,000円である。保育所に入れないので、やむなく臨時保育室を利用するのであるから、定額の利用料ではなく、保育所保育料と同じ基準(応能負担)にすべきではないか。
→臨時保育室が認可外施設であること、他の臨時保育室とあわせて決定したもの。
・認可外施設である臨時保育室に1年間在籍する子どももいる。行事等もない臨時保育室が子どもの視点から見て本当にいいのか懸念される。必要に応じて増設はいいが、内容の改善も必要ではないか。
・待機児童の解消にはさまざま課題もあると思うが、これまで未設置の東部に開設されたのでしっかりと運営していただきたい。公立2か所(直営)、私立2か所(民間委託)となるが、民間委託を決断された経緯について。
→この度、施設整備等、スピード感をもって協力いただける民間法人が確保できたもの。国定義の待機児童が4人という状況。
【参考】
▶ 10月3日、決算特別委員会2日目(総論及び総務・教育子育て部門)、まずは、経常収支比率が悪化する中での事業実施についての考え方を質し、「ズルズル」「ダラダラ」と続くがゆえ、「グダグダ」になってしまっている手続きについて、さまざま指摘し、意見しました。(9.臨時保育室事業経費について)(2024年10月3日)
▶ 枚方市立さだ西臨時保育室が10月からオープン。9月27日、準備中の施設を訪問させていただきました。(2021年9月27日)