1月28日、緊急議会でした。物価高が継続する中、国の重点支援地方交付金を活用する本市独自施策(実施は来年度になりそうですが…)を行うための補正予算の審議が行われました。

2025/01/28

枚方市議会議員の奥野みかです。

1月緊急議会は、1月28日(火曜日)10時から始まりました。枚方市は5月から翌年4月までを会期とする通年議会を導入していますが、定例月議会(原則として6月、9月、12月および3月)、開会議会、閉会議会以外に、緊急に開く会議(緊急議会)があります。
今回は緊急議会です。

 

冒頭、市長の挨拶は、「本市職員による不祥事が発覚し、市政への信頼を著しく失墜させたことについて、議員はじめ市民の皆さまに深くお詫び申し上げる。今回の事態を深刻に受け止め、不祥事の再発防止に全力で取り組み、市政への信頼回復に努める」と始まりました。(職員の懲戒処分について_2025年1月23日

盗撮は悪質な人権侵害です。人権侵害の加害者も、被害者もつくらない実効的な取り組みが絶対に必要であると私は考えます。広辞苑に、「不祥事」は「関係者にとって不名誉で好ましくない事柄・事件」とあります。人権侵害事件を「不祥事」というのはどうなんだろうか…、と疑問を感じながら始まった緊急議会でした。

さて、昨年11月に国から「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」が示され、枚方市では、12月定例月議会において物価高の影響を受ける低所得者世帯に対する給付金に係る補正予算を可決しています。今緊急議会は、物価高が継続する中、社会経済活動を支援し、市民生活を支えるため、物価高対策のための重点支援地方交付金を活用した本市独自の支援策が「速やかに実施できるよう」予算審議が行われたものです(と理解しています)。
なお、本日の議案採決に際しては反対討論が行われました。

審議結果は、原案可決。すべての補正予算案が通りましたが、補正予算計上と同時に、全額を「繰越明許」という手続きは、納得しにくい手続きでした。

 

▲12月補正予算分

▲1月補正予算分(今回審議分)

 

補正予算が通り、2024(令和6)年度一般会計当初予算 1,557億円に対するこれまでの補正増額の合計は、今回の3.3億円を加えて 142.2億円となり、今回補正後の一般会計の額は 1,699.2億円となっています。

1月28日の付議事件議決の結果一覧は次のとおりです。

付議事件議決結果一覧
(※クリックするとPDFファイルが開きます。)

 


◇付議事件(1月28日)の概要について

議案(補正予算)2件

議案第85号 2024(令和6)年度大阪府枚方市一般会計補正予算(第9号)
→補正額  331,000千円
議案第86号 2024(令和6)年度大阪府枚方市水道事業会計補正予算(第4号)
→補正額  10,000千円(債務負担行為)

 


補正予算案件での議案質疑

【歳入】

◇物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金:408,650千円

【内容】国の補正予算に伴う重点支援地方創生臨時交付金の増額

◇財政調整基金繰入金:▲77,650千円

※「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金(枚方市分)」734,450千円について

【内訳】
 省エネ家電買い換え促進事業費 100,000千円
 低所得世帯(住民税均等割のみ課税世帯)に対する給付金事業費 105,000千円
 物価高騰対策消費拡大支援事業費 123,000千円
 自転車乗車用ヘルメット購入補助事業負担金 3,000千円
(小計) 331,000千円
 ※学校給食費支援事業費補助金(食材費助成)
←2024年度当初及び9月補正/財政調整基金繰入金から財源の組み替え
77,650千円
(一般会計分) 408,650千円
 ※水道料金基本料金等の減免に向けたシステム改修 10,000千円
 ※(2025年度当初計上)水道料金基本料金等の減免(2か月分/) 315,800千円
(水道事業会計分) 325,800千円

【歳出】

省エネ家電買い換え促進事業費:100,000千円(←全額繰越明許)

【内容】エネルギー価格高騰による市民生活への影響軽減と地球温暖化対策の意識醸成のため、市内実店舗でのエアコン、冷蔵庫・冷凍庫、テレビの買い換え費用に対する補助を行うための経費(購入金額に応じて1~3万円補助)。

【議員からの質問】は次のとおり。
・内容と時期について。前回の助成を受けた世帯も対象となるのか。
・想定件数について。周知方法について。
・前回、不正請求を行った事業者(量販店)の取り扱いについて。

【市の答弁】としては次のとおり。
・エアコン、冷蔵庫、テレビ等、前回同様の仕組みで、夏までには実施したい。統一省エネラベルにおける多段階評価、いわゆる星の数で対象製品を示したい。電子申請も検討。これまでに助成を受けた世帯も年度内1回は申請可能。
・1~3万円を予算の範囲内で助成。約2,900件を想定。広報媒体のみならず、販売店舗でも周知いただく。
・不適正量販店の第3者弁済も完了し、再発防止に向けて取り組んでもいる。ペナルティを課す予定はない。

【奥野の意見】

低所得世帯(住民税均等割のみ課税世帯)に対する給付金事業費:105,000千円(←全額繰越明許)

【内容】国制度の対象とならない住民税均等割のみ課税世帯への給付として、1世帯あたり1.5万円を給付するもの。なお、当該世帯の世帯員である18歳以下の児童1人につき1万円を加算する。

【議員からの質問】は次のとおり。
・内容と時期について

【市の答弁】としては次のとおり。
・5,583世帯、子どものいる世帯は417世帯で、対象の子どもは661人。できる限り早く支給できるよう取り組む。

物価高騰対策消費拡大支援事業費:123,000千円(←全額繰越明許)

【内容】市内経済の活性化を図るため、市内事業者及び消費者を対象としたキャッシュレス決済におけるポイント還元を行うための経費

【議員からの質問】は次のとおり。
・目的、実施内容と実施時期について。事業者の選定について。
・どこで使えるのか。事業者支援になるのか。
・高齢者等、使いたいのに使えないデジタルツールに不慣れな利用者支援について。
・プレミアム商品券ではなく、ポイント還元とした理由。

【市の答弁】としては次のとおり。
・キャシュレス決済の普及にも寄与するはpay pay等の1者を選定し、商品価額の15%分のポイント還元で、1回の上限が500円、1人当たり上限は3,000円(←20,000円分の消費)。実施は約1か月間(8月頃)を想定。
・中小企業(資本金5,000万円以下)の店舗のみ(飲食店・理美容室・小売店等)で使用。事業者にとっても、効率的なキャッシュレス決済の仕組みを導入するきっかけとなる。導入サポートも検討。事業実施後の効果継続が期待できる。
・安全なキャシュレス決済等、使ってもらえる支援、消費者(利用者)教育も検討。
・商品券事業に比べ、印刷コストなど運営コスト経費を節減できる。

自転車乗車用ヘルメット購入補助事業負担金:3,000千円(←全額繰越明許)

【内容】市民の自転車乗車中の事故による被害の軽減を目的に、ヘルメット着用を推進するため、購入に際し家計の負担軽減となるよう購入費用補助を行う経費

【議員からの質問】は次のとおり。
・負担金であるが、助成の内容及び仕組みについて。
・大阪府自転車条例により自転車利用者は自転車保険の加入が義務化されている。自動車保険への加入の呼びかけについて。
・ヘルメット義務化から2年。もっと早く取り組むべきであった。
【市の答弁】としては次のとおり。
・購入価額の1/2補助で上限2,000円。1,500人分。市内在住者で、全年齢対象。枚方警察・交野警察、枚方市、枚方交野交通安全協会の3者で連携して取り組む。助成手続きは、枚方交野交通安全協会(負担金支出)が担う。
・自動車保険への加入についても、警察、交通安全協会と連携する。

上下水道料金システム改修業務委託 :10,000千円(債務負担行為)

【内容】令和7年度水道料金基本料金等の減免に向けたシステム改修

【議員からの質問】は次のとおり。
・システム構築の時期、水道減免の実施内容について。

【市の答弁】としては次のとおり。
・システム構築に4か月を想定(長いですね…)。2025(令和7)年度当初予算で計上するが、減免は、5・6月(6月検針分)か、6・7月(7月検検針分)の2か月分の基本料金の免除。対象は、福祉減免対象世帯以外すべて。

 


【参考】

物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金の取扱い等について(2024年12月17日_事務連絡)

※重点支援地方交付金の対象事業や効率的・効果的な事業に活用についての通知とあわせて、「地方公共団体において実施する個々の事業の必要性、経済対策との関係、内容の妥当性、運用方法及び執行状況など説明責任をしっかり果たす」こと、さらに、「なお、事業の実施にあたっては、説明責任を果たし、適切に執行いただく観点から、当該事業が、国の重点支援地方交付金を活用した事業であることが客観的に把握できるよう、その旨を事業HPやチラシ等で周知するなど実施状況の公表」を行うことも記載されています。議員からの質問の中でも、事業内容や期待できる効果等、市民への周知も必要ではないかという意見もありました。
なお、2024(令和6)年度補正予算に係る2024(令和6)年度実施計画(重点支援地方交付金を活用して実施する事業の実施内容)の提出期限は2025年1月24日(厳守)となっており、枚方市も提出済とのことでした。それにしても、国からの要求では単年度予算主義というものを遵守するのが難しくなるようですね。


 

【これまでの補正予算の振り返り】

議案第133号 2024(令和6)年度大阪府枚方市一般会計補正予算(第1号) 3月定例月議会
歳入歳出予算額 3,256,947千円、補正後の額 158,956,947千円

【歳入】物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金 3,256,947千円
【歳出】定額減税補足給付金事業費 3,256,947千円

議案第1号 2024(令和6)年度大阪府枚方市一般会計補正予算(第2号) 5月開会議会
歳入歳出補正額 2,201, 410千円、補正後の額 161,158,357千円

【歳入】前年度繰越金 2, 200, 000千円 等
【歳出】予備費 2,201, 410千円

議案第10号 2024(令和6)年度大阪府枚方市一般会計補正予算(第3号) 6月定例月議会
歳入歳出補正額 782,788千円、補正後予算額 161,941,145千円

【歳出】予防接種実施経費 728,983千円 等

議案第24号 2024(令和6)年度大阪府枚方市一般会計補正予算(第4号) 9月定例月議会①
歳入歳出補正額 1,123,736千円、補正後予算額 163,064,881千円

【歳入】地方交付税 1,937,9141,000円 等

議案第52号 2024(令和6)年度大阪府枚方市一般会計補正予算(第5号) 9月定例月議会②
(歳入歳出補正額 158,867千円 、補正後予算額 163,223,748千円

【歳入】衆議院議員選挙委託金 158,867 千円(府委託金)
【歳出】衆議院議員選挙費 158,867 千円

議案第53号 2024(令和6)年度大阪府枚方市一般会計補正予算(第6号) 12月定例月議会①
(歳入歳出補正額 3,612,454千円、補正後予算額 166,836,202千円

【歳出】子宮頸がん予防接種委託料 267,725千円 等

議案第75号 2024(令和6)年度大阪府枚方市一般会計補正予算(第7号) 12月定例月議会②
(歳入歳出補正額 919,140千円、補正後予算額 167,755,342千円

【歳出】人件費補正 919,140千円

議案第84号 2024(令和6)年度大阪府枚方市一般会計補正予算(第8号) 12月定例月議会③
(歳入歳出補正額 1,832,102千円、補正後予算額 169,587,444千円

【歳入】物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金 1,832,102千円
【歳出】低所得世帯に対する給付金事業経費 1,832,102千円

議案第85号  2024(令和6)年度大阪府枚方市一般会計補正予算(第9号) 1月緊急議会
(歳入歳出補正額 331,000千円、補正後の額 169,918,444千円

【歳入】物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金 408,650千円 等
【歳出】低所得世帯(住民税均等割のみ課税世帯)に対する給付金事業費 100,000円、物価高騰対策消費拡大支援事業費 123,000円 等(いずれも繰越明許)

 ↓
※2024(令和6)年度当初予算は155,700,000千円なので、ここまでで 14,218,444千円(9.1%)の補正増額になります。

 

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