限られた税財源を税財源をどこに優先的に投入するのか。3月12日、予算特別委員会2日目(総論及び総務・教育子育て部門)【その1】では、インフレ局面における予算編成についての考え方を質し、基金財源も含め、ワイズ・スペンディング(賢い財政支出)の観点からの政策判断について、順次確認しました。

2026/03/12

枚方市議会議員の奥野みかです。

2026(令和8)年度当初予算案は予算特別委員会に付託され、A日程(総論及び総務・教育子育て部門)の3月11日、12日、B日程(総論及び市民福祉・建設環境部門)の3月16日、19日、C日程(特別会計・企業会計)の3月25日の5日間にわたって開催される予算特別委員会で審議することになっています。
予算特別委員会は14人で、「連合市民の会」会派からは、八尾議員と私の2人が出ています。今日はその2日目(総論及び総務・教育子育て部門)でした。

質問の順番が10番目の私は、昼一番に質問に立ち、12つの観点から質問を行いました。2回に分けて、まずは当日のやりとりを報告します。(なぜ、その質問を行ったのか、解説や背景等については、追って報告させていただきます。)

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【3月12日の質問項目】

(1) インフレ局面・更新期到来を踏まえた財政運営の基本姿勢について
(2) 指定寄附金の収入と各基金への積立、基金繰入金事業(基金収支計画)
(3) 枚方市こども施策推進基金(子どもの居場所づくり推進事業)
(4) 幼児療育園跡地活用事業(枚方宿地区賑わい創出基金)
(5) 枚方市駅周辺再整備ビジョン推進事業(新庁舎整備を含む枚方市駅南側のまちづくりの推進)
(6) 枚方市駅周辺再整備調査設計等事業費[委託]について
(7) 枚方市駅周辺再整備推進基金、庁舎管理経費について(第3分館)

※録画映像はこちら


 

※以下、質問のやりとりを掲載します。

(1) インフレ局面・更新期到来を踏まえた財政運営の基本姿勢について

Q1.私の質問

まず、インフレ局面・更新期到来を踏まえた財政運営の基本姿勢について、伺う。近年、本市の税収や地方交付税は、賃金上昇や資産価格の動向などを背景に増加傾向にある。
一方で、現在の社会経済状況は、従来の財政運営の前提そのものを大きく変えつつある。物価上昇の影響により、人件費や資材費、委託料など行政運営にかかるコストも上昇しており、公共工事や業務委託において予定価格と実勢価格の乖離が生じるなど、入札環境にも変化が見られる。さらに、インフレ局面における投資の先送りは将来コストの膨張につながるリスクも指摘されている。
また、本市では高度経済成長期に整備された公共施設や上下水道、道路などの都市インフラが更新期を迎えている。大規模災害の発生がいつ起きてもおかしくない状況にある中で、公共施設や都市インフラの老朽化への計画的な保全・更新などの対応は、防災・減災の観点からも極めて重要な政策課題となっている。
こうした状況を踏まえると、今後の財政運営においては、基金の残高をどのように確保するのかという視点と、公共施設や都市インフラなど市民の安全・安心に直結する分野への実行投資をどのように進めていくのかという視点を、どのように整理するのかという点が重要になると考える。
限られた税財源をどこに優先的に投入するのか。いわゆる ワイズ・スペンディング(賢い財政支出) が問われている局面にあるのではないか。

そこで市長に伺う。
現在の社会経済環境の変化やインフラ更新期の到来を踏まえ、本市の財政運営において、「基金の残高」と「公共施設・インフラ等、くらしの安全・安心への実行投資」、この関係をどのように整理し、どのような考え方のもとで予算編成を行っているのか、基本的な見解を伺う。簡潔にお答えいただきたい。

A1.伏見市長の答弁

施設保全やインフラ更新については、市有建築物保全計画等に基づき適切な時期に予算化している。その際、財源として国・府支出金や市債のほか、基金についても積極的に活用を図っている。
いずれも適切に予算化を行ったものと認識している。

私の意見

市有建築物保全計画等に基づき、必要な施設保全やインフラ更新を予算化しているとの答弁でした。ただ、ここで改めて問われるのは、市政運営の優先順位である。
市長は、市政運営方針で、「20年先、30年先のまちの未来の姿を見定めて、その実現に向けて今なすべきことを推進する」と述べられた。
長期的なまちづくりの視点は重要であるが、同時に、いま目の前にある課題に十分なスピードで対応できているのかという検証も欠かせない。
高度経済成長期に整備された公共施設や上下水道、道路などの施設の老朽化は、平時の安全性の問題にとどまらず、大規模災害発生時に自治体の対応機能を低下させる重大なリスクでもある。
市役所本庁舎周辺の④街区では、すでに廃止され、外壁が落下する危険性に備えて大きな壁面3面を防護ネットで覆われている旧市民会館大ホール棟、まるで工事現場のような状態の職員会館、築後60年を超え2022(令和4)年に閉館されてもう4年が経過している旧市民会館本館などがいずれも解体されないまま、ズルズルと残されている。
もし、もし、いま、大規模地震が発生すれば、この地域一帯が壊滅的な「被災エリア」となり、市役所の災害対応機能そのものが損なわれる危険性がある。大規模災害発災時に、市民の生命と暮らしを守るために、片時も休むことなく機能し続けなければならない市役所及び枚方市駅前の拠点的な防災空間が危険な「被災エリア」になって、全く機能できないなどという事態は、決して招いてはならないものである。
市長は「子育て支援」と「市駅周辺再整備」の2つを最重点施策とされているが、どの施策も市民の生命と安全が確保されてこそ成立するものである。
しかし、市長は「市駅周辺再整備」を最重点施策として掲げながら、この10年間にわたってこの危険な状況から脱却するための具体化な施策に全く踏み出されなかった。
子ども施策を進める上でも、学校や幼稚園、保育所など、子どもたちが日常を過ごす施設の安全性確保や必要機能の整備は、最も基本となる政策基盤である。
先ほど広瀬委員への答弁で、ようやく大ホール棟の解体が具体化するのであろうかというような状態ではあるが、市民の生命と安全を守るインフラ更新、防災・減災の強化、危険施設の解消、こうした「まずやるべき投資」「あたりまえにやるべき投資」を着実に進めていくことこそが自治体の最も基本的な責務であることを指摘しておく。

Q2.私の質問

次に、ただいまの市長答弁を踏まえ、その基本的な考え方が具体的な予算編成実務にどのように反映されているのかについて、伺う。
まず、2026(令和8)年度予算編成方針において、インフレによるコスト上昇リスクや入札不調防止に関して、どのような具体的な積算方針・単価設定・留意事項を各部局に示したのか。
また、防災・減災、老朽インフラ更新について、予算編成上どのような優先付けを明示したのか。
さらに、基金の残高目標や収支計画との関係で、安全・安心分野への投資抑制が生じないよう、どのような調整を行ったのか。以上、3点について伺う。

A2.森財政課長の答弁

まず、インフレによるコスト上昇リスクや入札不調防止の考え方については、当初予算編成にあたり、予算編成方針を踏まえた具体化方策の通知により、労務単価の上昇や物価高騰などの状況に注視を促すとともに、別途、契約検査課においても、最新の取引価格を把握するため、適切に参考見積を聴取したうえで発注することや、複数年契約における年度別予定額において経年の上昇を考慮するなどの対応について通知し示している。
次に、市有施設の保全やインフラ更新については、市有建築物保全計画等に基づく担当課からの要求を受け、市有施設については、利用する市民や職員の人命等影響の高いものや、施設運営面で影響が生じる可能性があるものを優先的に査定し予算化している。また、インフラ更新につきましても計画的に予算化している。
次に、安全・安心分野への投資や基金の考え方については、長期財政の見通しにおいて、市有施設の保全も含めた投資的経費を見込むとともに、財政調整基金から施設保全整備基金へ適宜積み替えを行うことで基金残高を確保しながら、必要な年度に基金を活用することなどにより調整し収支見通しを作成している。

私の意見

「通知を出している」「参考見積を取っている」「インフラ更新も計画的に予算化している」との答弁であった。
しかし、「入札不調が実際にどの程度発生しているのか」「予定価格と実勢価格の乖離がどの程度あるのか」「単価上昇をどこまで積算に反映できているのか」といった実態は必ずしも十分に示されていない。
また、「人命等影響の高いものを優先している」との説明でしたが、優先していることと、必要なスピードで進んでいることは同じではない。
老朽インフラは待ってくれない。
災害も計画どおりには発生しない。
壁面崩落対策として約2,000万円を投じて、2021(令和3)年に、10年程度はもつという落下物防護ネットが設置された旧市民会館大ホール棟は、施設は解体されないまま残され、現在は屋上部分のたゆみも確認されている。ネットのたゆみはこの部屋からも確認できる。皆さん、後で確認していただければと思う。
いま更新すべきインフラを更新すること。いま除去すべき危険を除去すること。いま防災・減災を強化すること。
これこそ自治体の最も基本的な責務である。
インフレ局面で投資を先送りすれば、将来の事業費増大として市民負担に跳ね返ってくる。限られた財源を、安全・安心という最も基本的な価値のために、賢く、そして迅速に使うこと。それこそが、いま求められている「ワイズ・スペンディング(賢い財政支出)」であることを強く指摘しておく。

(2) 指定寄附金の収入と各基金への積立、基金繰入金事業(基金収支計画)

Q1.私の質問

次に、指定寄附金は、どの基金にどのような基準で積み立てているのか。また、積み立てた基金は、どの時期にどの事業へ充当する計画となっているのか。さらに、寄附の趣旨と充当事業との適合性は、どのように担保しているのか。指定寄附金と基金の運用について、財政担当課の考え方を伺う。

A1.森財政課長の答弁

指定寄附金については、主としてふるさと納税において、寄付をいただく際に選択していただいた使い道に沿った基金に積み立てを行い、後年度に実施する事業の財源として繰り入れることで活用を図っている。
基金を財源とした事業実施については、担当課において基金の目的に合致した事業として予算要求を行い、財政課で内容について聞き取りを行ったうえ査定し、予算化している。

私の意見

寄附は市民からの信託である。基金残高を積み上げること自体が目的ではない。特に、新たに設置される基金については、既存施策の財源付け替えではなく、政策としての新規性・追加性が明確であるのかが問われる。

(3) 枚方市こども施策推進基金(子どもの居場所づくり推進事業)

Q1.私の質問

そこで次に、今回創設される「こども施策推進基金」について伺う。
本市には、こども施策に関連する「こども夢基金」「子どもに本を届ける基金」が設けられている。新たに「こども施策推進基金」を設置するにあたっては、制度としての役割分担を明確にしておくことが不可欠である。
そこで、既存の二基金と新基金との役割の違いを、どのように整理しているのか、伺う。

A1.松本子ども青少年政策課長の答弁

「こども夢基金」や「子どもに本を届ける基金」と今回創設する「こども施策推進基金」は、いずれも本市のこどもたちを支えるものであるが、その役割とアプローチが明確に異なる。
まず、既存の「こども夢基金」は、こどもたちの「夢」や「挑戦」を後押しする付加価値・体験型の基金であり、例えば、一流のアスリートや文化人との交流など、日常生活の中では得がたい非日常の体験を通じて、こどもたちの感性や自己肯定感を育むこと、また、「子どもに本を届ける基金」は学校、保育所等への図書購入・配布を通じた、子どもの成長支援や読書文化の醸成を目的としている。
これに対し、「こども施策推進基金」は、こどもの生活基盤の安定や社会的課題の解消に主眼を置き、こどもたちが将来にわたって心身ともに健やかに成長するための土台を支えることを目的としている。

Q2.私の質問

新設の「こども施策推進基金」については、2025(令和7)年度に多額の寄附をいただき、5,500万円を積立て、今後もふるさと納税制度を活用して寄附を募る予定で、一般会計予算説明書の233ページにあるように2026(令和8)年度は2,000万円の積立てを見込んでおられるとのことである。寄附金を原資とする基金である以上、「特定目的」の趣旨を踏まえた運用が求められる。財政規律の確保は大前提である。
そこで、新基金の活用対象となる事業は、誰が、どのような基準に基づき、どのようなプロセスで選定するのか。選定基準は明文化・公表されるのか、明確な答弁を求める。

A2.松本子ども青少年政策課長の答弁

新たな基金の活用対象となる事業の選定は、所管課である子ども青少年政策課において、特にこどもたちの生活基盤の安定や社会的課題の解消を目的とする施策を優先的に検討する。
具体的には、児童相談所や保育所等の老朽化施設などの整備・改修、子ども食堂支援や学習支援など、こどもたちが将来にわたって心身ともに健やかに成長するための土台づくりに資する内容であること、市民や企業の皆様の「こどもを支えたい」という想いを形にするため、支援の意義を直接的に実感でき、社会的な共感を得やすい施策であること、一般財源による定型的な事業を単に置き換えるのではなく、基金を活用することで、「新たな課題に対し機動的に着手する」、「事業の実施時期を前倒しする」、あるいは「施策の内容をより充実させる」といった本市独自の先駆的な施策であることなど、これらの基準に基づき総合的に検討するとともに、各事業の緊急性や優先順位も勘案しながら、寄附者の皆様の期待に応えられる事業を個別に判断していく。
また、次年度以降に予定している提案事業の募集にあたっては、これらの選定基準を明確に示して実施するとともに、選定事業の決定に関しては関連部署との協議も適切に図っていく。

Q3.私の質問

基金の充当対象は、基金目的の実現に真に資する施策、あるいは基金を活用することで機動的・先駆的に取り組む必要がある施策に限定する等、明確な選定基準を示して選定されるとのことである。
一般会計予算説明書の251ページに、「子どもの居場所づくり推進事業費(こども施策推進基金繰入金分)」として5,391千円が計上されている。
子どもの居場所づくり推進事業の具体的な内容と、基金の充当先として、なぜ当該事業を選定したのか等、選定のプロセスについて伺う。なお、当該基金以外の財源があれば、その具体的内容についても伺う。

A3.松本子ども青少年政策課長の答弁

「子どもの居場所づくり推進事業」全体の予算額11,191千円に充てる財源のうち、新基金からの繰入金5,391千円は、子ども食堂への支援拡充に充てるもので、事業選定のプロセスにつきましては、寄付者の意向を前提とし、先ほど申し上げた基準に基づき、活動の上乗せ支援に加え、新規開設ニーズの増加に対応し、地域における子どもの居場所を量的・質的に確保するための財源としたものである。
その他5,800千円の財源構成としては、府補助金の5,000千円と、福祉基金からの繰入金として800千円を計上している。
なお、福祉基金からの繰入金については、次年度に見込んでいる子ども食堂の新規開設に伴う備品購入などの「初期経費」への支援に活用する予定としていたが、この「初期経費」について、現在、現場のニーズにより柔軟に応えられるよう、支援対象品目の拡大など、あり方について見直しを図っており、実際の執行にあたっては、寄附者の皆様の想いをより効果的に現場へ届けられるよう、新基金の活用も含めた適切な財源構成について、改めて精査していきたいと考えている。

私の意見

今回創設されるこども施策推進基金についても寄附金を原資とする特定目的基金である以上、その運用には極めて高い透明性と財政規律が求められる。
寄附は、市民や企業からの信託である。基金残高を積み上げること自体が目的ではない。
したがって、「寄附目的と充当事業が実質的に一致しているか」「既存事業の財源振替となっていないか」「基金間の役割分担が明確か」といった点を不断に検証していく必要がある。基金の役割分担が曖昧なまま運用されれば、結果として「どの基金でも使える財源」のような形になり、特定目的基金としての意味が薄れてしまう懸念もある。

本市にはかつて「このまちに住みたい基金」という、実質的に裁量的運用が可能な基金が存在した。使途の幅が広く、特定目的基金と言えるのか、「市長の第二の財布」になっているのではないか等、議会での議論を経て廃止された経緯がある。この経験は、基金は裁量財源ではなく政策目的を明確化する仕組みであるという重要な教訓を示している。
限られた財源をどこに投入するのか。いま自治体財政に求められているのは、「ワイズ・スペンディング(賢い財政支出)」である。寄附者の意思を尊重し、基金本来の目的に沿った運用を行うことを求めておく。

(4) 幼児療育園跡地活用事業(枚方宿地区賑わい創出基金)

Q1.私の質問

「幼児療育園跡地活用事業経費」について、2026(令和8)年度、68,295千円が計上された、賑わい創出広場として暫定活用するための造成工事の内容については、昨日の藤田委員への説明で理解した。当該整備事業には、「枚方宿地区賑わい創出基金」から65,555千円を繰り入れるとされているが、基金設置の経過と繰入れ実績、基金残高の見通しについて、伺う。

A1.辻観光交流課長の答弁

枚方宿地区にぎわい創出基金については、枚方宿地区の賑わいの創出を推進する目的で2023(令和5)年度に設置したもので、2020(令和2)年度に受領した指定寄附金2億円を原資としており、この間、ふるさと寄附金や利子等の収入が約5,700千円あった。
また、繰入れの実績としては、2024(令和6)年度は既存建物の解体設計や工事に係る費用として68,530千円、2025(令和7)年度は、賑わい創出広場造成工事に向けた設計費として約2,870千円を見込んでおり、2025(令和7)年度末の基金残高は約135,000千円となる予定である。
なお、2026(令和8)年度は、造成工事などに65,555千円を繰り入れる予定であることから、2027(令和9)年度当初の残高としては約68,000千円を見込んでいるところである。

私の意見・要望

2019(令和元)年に廃止された幼児療育園跡地の活用は、これまでも議会で議論を重ねてきた案件である。2022(令和4)年には「民設民営による観光交流拠点整備」として進められてきたが、事業者公募には応募がなく、結果として現在の広場としての暫定活用に至っている。
老朽建物を解体し、更地として広場活用すること自体は地元からも要望があり、私自身も過去の議会で提案してきたところである。しかし、本来の事業スキームが実現しないまま暫定活用に移行していることについては、行政の事業マネジメントとして総括が必要ではないかと考える。
担当課へのヒアリングでは、暫定活用期間は概ね5年間を想定し、その間に広場を活用しながら事業者参入の機運を高めるとの説明であった。また、「幼児療育園跡地活用事業者選定審査会」は委員をいったん解嘱しているものの、附属機関としては存続しているとのことであった。地元関係者を含む委員の皆さんが相当の議論を尽くして募集要項等を整理されたとも聞いている。
市の目標が民設民営による拠点施設整備であることを踏まえると、5年間という暫定期間は決して短いものではない。事業全体の見通しや戦略が十分整理されているのかという点には疑問が残る。
また、本事業では、観光交流拠点整備を目的として2020(令和2)年度に寄附された2億円の指定寄附金を原資とする「枚方宿地区賑わい創出基金」が活用されている。寄附の趣旨は「枚方宿地域の歴史文化を生かした観光交流拠点の整備」であったと認識しているが、暫定広場整備に基金を充当することについては、寄附の趣旨との関係を市として丁寧に整理する必要がある。
さらに、現在の社会経済情勢のもとでは、観光施設整備を全面的に民間に委ねるという手法そのものについても検証が必要である。行政の方向性が十分整理されないまま民間活力に依存し、結果として事業が進まないという、いわば「民間任せ型まちづくりの失敗パターン」はいま各地で見られている。本事業もその典型に近い状況になっているのではないかと考える。
今後は、当初のスキームに固執するのではなく、公的に必要最小限の施設整備を行い、その運営を民間に委ねる公設民営など、より実現可能性の高い手法についても検討すべきと考える。
枚方宿は歴史文化を有する地域であり、その景観や文化的価値を尊重することが大前提である。くらわんか五六市など地域の活動とも連携しながら、その時々の「流行」や来訪者のニーズに柔軟に対応できる形で賑わいづくりを進めていくことが、枚方宿という地域の特性にも合致するのではないか。交流スペースや休憩機能、淀川河川敷に近い立地を踏まえたトイレ整備など、来訪者の受け入れ環境を整えることは現実的な施策である。

本件は単なる跡地活用ではなく、基金財源を含む限られた財源をどう賢く使うかというワイズ・スペンディング(賢い財政支出)の観点からも重要な事例である。
暫定活用を単なる時間稼ぎに終わらせることなく、寄附の趣旨、地域の思い、事業の実現可能性を踏まえ、持続可能で現実的な事業のあり方を改めて整理して取り組まれることを求めておく。

(5) 枚方市駅周辺再整備ビジョン推進事業(新庁舎整備を含む枚方市駅南側のまちづくりの推進)

Q1.私の質問

次に、枚方市駅周辺再整備ビジョン推進事業、新庁舎整備を含む枚方市駅南側のまちづくりの推進について伺う。75,114千円の内訳については、これまでの委員への答弁で理解したので、そのうち、まず、報償費114千円の関連で伺う。

(参考答弁)枚方市駅周辺再整備調査設計等事業費については、まず、②街区については、現在、地権者とともに取り組んでいる市街地再開発事業の事業化に向け、枚方市駅南口駅前広場の検討として、周辺の交通計画検討のため、交通量調査の実施や、駅前広場の検討、及び市街地再開発事業調査検討などを実施する。
また、④街区と、⑤街区では、それぞれの庁舎位置の比較評価のほか、市有地の有効活用したみどりの大空間や土地利用の整理など、枚方市駅南側のまちづくりの具体化に向けた検討を行う。
報償費については、新庁舎整備に向けて、公共政策、防災、福祉、建築等の知識経験を有している有識者にアドバイザーとしてご協力をいただいく経費を計上している。

新庁舎整備については、2024(令和6)年7月5日から2026(令和8)年3月31日まで、(株)長大_大阪支社に29,625,999円で「枚方市新庁舎整備機能検討等支援業務委託」が実施されている。一方で、2026(令和8)年度予算では新庁舎整備にかかる委託料は計上されておらず、アドバイザーの報償費114千円のみとなっている。
そこで、新庁舎整備に向けてどのような検討を行うのか、また、新庁舎整備基本計画はいつ策定する見通しか、加えて、約3,000万円を投じている2025(令和7)年度の「枚方市新庁舎整備機能検討等支援業務委託」等の成果をどのように活用するのか、伺う。

A1.福本市駅周辺まち活性化部課長の答弁

新庁舎整備に向けては、議員お示しの「枚方市新庁舎整備機能検討等支援業務委託」などにより、庁舎の位置に関わらず取り組めることとして、「枚方市新庁舎整備基本構想」に示す10の機能などについて、検討を進めており、現在、災害時においても業務継続が可能な耐久性と安全性を備えた建築構造や、ICTも取り入れ、利便性に配慮した窓口、並びに、効率性と生産性、快適性に資する執務環境など、各機能の基本的な整備方針について整理を行っているところである。
引き続き、庁舎の位置確定後に、基本計画策定や基本設計をスムーズに進めるために、現在、整理している内容を踏まえて、庁内横断的なワーキングチームや関係部署と連携し、災害拠点や窓口機能のフロア配置、及び必要となる設備等、各機能の具体化について、アドバイザーのご意見もいただきながら検討する考えである。
「新庁舎整備基本計画」については、庁舎位置確定後に、庁舎等建物や施設の配置計画や、事業手法についてPPP導入可能性調査などの検討を行うための予算を計上させていただきたいと考えており、その後、約1年程度で素案を作成し、パブリックコメント等の手続きを経て、策定する想定をしている。

私の意見

新庁舎の機能については、庁舎位置に関わらず、取り組むべきことへの検討が進められているとの答弁である。
新庁舎整備基本計画は、庁舎位置音確定後、約1年程度で素案をつくる予定との答弁もあった。

(6) 枚方市駅周辺再整備調査設計等事業費[委託]について

Q1.私の質問

この間、本当に多くの調査や検討を委託されているが、2021(令和3)年3月の「枚方市駅周辺再整備基本計画」の策定以降、2025(令和7)年度までに市駅周辺再整備関連で締結した委託契約の「件数」と「総額」について、伺う。なお、それらの概要、委託の成果等についてもお示しいただきたい。

A1.笠井市駅周辺まち活性化部課長の答弁

2025(令和7)年度までに市駅周辺再整備に関して実施した委託業務については全部で14件であり、総額は191,225,899円である。
それらの概要として、
基本計画の策定支援業務として1件、7,821,000円であり、令和3年に枚方市駅周辺再整備基本計画を策定した。
次に、②街区に関連する市街地再開発事業検討業務等として、3件、合計41,499,700円である。この成果としては、市街地再開発事業の可能性調査を実施後、事業の具体化に向けた設計業務を進めており、現在、②街区のまちづくりの機運が高まりつつある。
④⑤街区に関連する、土地区画整理事業調査検討や環境影響評価業務等として、4件、合計99,387,200円である。この成果としては、④街区と⑤街区の事業区域検討、新たな道路の計画などの見直しや、都市計画決定に向けた資料作成などを行っている。また、成果物を活用して、市議会との意見交換や、地権者協議や関係機関協議などを実施している。
環境影響評価業務については、枚方市駅前の大規模な開発行為であることから、本業務で実施した調査、予測により適切に環境影響を把握し、評価結果を含め「報告書」としてまとめ、適切に環境保全措置を取り組む考えである。
次に、新庁舎整備関連としては、先ほどご答弁させていただいた通り、現在、実施している委託業務1件であり、29,625,999円の契約金額となっている。庁舎の各機能の基本的な整備方針についての整理などを行っているところである。
そのほか、エリアマネジメント導入検討支援業務は5件であり、本年度、契約中の業務を含めて、合計12,892,000円である。以上である。

Q2.私の質問

2021(令和3)年度以降、市駅周辺再整備関連の委託は14件、総額191,225,899円との答弁であった。
④・⑤街区にかけてきた委託の総額はいくらかと、昨日、前田委員も同じ趣旨の質問をされていた。調査検討は4件及び新庁舎整備・機能検討は1件で、129,013,199円であると答弁があった。ここに、②街区検討の3件、基本計画策定支援1件、エリアマネジメント5件を加えると、ただいまの答弁の14件、総額191,225,899円となるようである。
いずれにせよ、多額の委託費を投じ、多くの検討が行われてきたことは理解するが、庁舎位置は未確定、街区の都市計画も未決定、土地区画整理事業の具体化も途上、要求される環境影響評価も未了で今年度末で終わると、事業としての意思決定には全く至っていない段階である。
その中で、2026(令和8)年度も新たに7,500万円を計上する以上、何を決定するための検討なのか、どこまで到達するのかを明確にしなければ、結果として「検討のための検討」が続くことになりかねない。
特に、④街区と⑤街区の調査については、⑤街区庁舎案を前提にした検討の「やり直し」が含まれているようにも見える。
ここで改めて確認しておきたいのは、この調査が何を決定するためのものなのかという点である。調査や検討は意思決定のために行うものであり、検討自体が目的になってはいけない。
これまで、約2億円近い委託費を投じてきて、なお説得力のある事業計画を提示できてこなかったことを踏まえれば、次の段階に進むための判断を行う時期に来ているのではないか。
今回の調査が、単なる追加検討ではなく、庁舎位置や土地利用の判断に結びつく調査となることを求めておく。
少なくとも、相変わらず⑤移転に固執して、⑤街区移転を前提として、「みどりの大空間」以外の④街区の市有地活用策について、民間への貸付による確証のない「イメージ」を振りまくだけの調査を行うのではなく、公共的視点からの土地利用を具体的に示す検討が必要ではないかと考える。④街区の市有地を活用し、新庁舎整備と防災と市駅に隣接する魅力ある都市空間として公共活用するビジョンのもと、どのようにして危険な公共施設の廃止と新たな公共活用を進めていくのかに関する具体的なプランの提供をめざすべきではないのかと考えるが、見解を伺う。

A2.山中市駅周辺まち活性化部長の答弁

市駅周辺の再整備については、これまで多角的な検討を行い、相応の期間と費用を費やしてきた。その中には、今後の事業の進捗を待たなければ明確化が難しい内容についても、可能な範囲で具体化し、お示ししてきた。これらに基づく成果は、今後の事業推進の基礎資料として活用していく考えである。一方、庁舎の位置や都市計画が未決定であることについては、継続して、さらなる検討が求められる状況であると考えている。
そのため、2026(令和8)年度予算案の7,500万円の一部に、これらの検討に関する予算を計上しており、議員が提案されている④街区の庁舎整備案も含め、最適な選択肢を導き出すために取り組んでいく。
また、④街区の市有地活用については、民間活用のアイデアを引き出すことを目的にヒアリングを行うため、⑤街区庁舎を前提としている。市有地の保有形態や「みどりの大空間」の形成など、様々なケースについて、シミュレーションを実施するものである。
これらの進め方については、市議会から頂いた「⑤街区庁舎の押し付け的なやり方」や「市有地を手放すべきではない」などのご指摘を真摯に受け止め、より丁寧な対応として取り組むものである。
次に、老朽化した公共施設の廃止と再配置や「みどりの大空間」の形成などのまちづくりの具体的なプランについては、まずはまちづくりの方向性を左右する新庁舎の位置を確定したうえで、方針を明確にできるよう、取り組みを進めていく。

私の意見・要望

市駅周辺再整備は、本市の将来にとって重要なプロジェクトであることは言うまでもない。しかし同時に、大規模災害の発生に備える必要性、またこの間の社会経済状況の大きな変化や財政環境を踏まえると、これまでの進め方を見直す局面に来ていると考える。それは、
第一に、人口減少が進む一方で各種の行政需要が高まり、工事費用や長期金利の上昇も見込まれる中で新庁舎整備及び市駅周辺再整備への財政投入は、老朽公共施設の解体撤去に一刻も早く着手すべきであることなど、優先順位を明確にし、効果的・効率的な事業に対して段階的に行うことが必須になったからである。
第二に、④街区・⑤街区における土地利用のあり方について、駅前の貴重な市有地を手放し、離れた別の場所に代替地を取得して庁舎を移転する合理性について、議会内でも疑問が示され続けている。加えて、市有地を商業機能や住宅機能利用に転換する合理性が認められないことは明白になってきているからである。

これまで様々な検討業務に多額の公費を投じながら、意思決定ができずに先送りされてきた状況を、来年度も繰り返すことは許されない。
市長は、新庁舎の⑤街区移転に必要な議会の合意を取れないこと、ひいてはそれを市駅周辺再整備に反対されているとして、それは「政治的な理由」で反対する議員がいるからだと市民向けに説明されていると聞いている。昨日も同様の指摘があったかと思う。
しかし、ここでの議論は決して政治的なものではなく、極めてロジカルで、都市計画、財政、公共施設配置という極めて現実的・具体的な判断の問題である。市役所の市庁舎であるのだから。
来年度の調査は、特定案を前提とするものではなく、議会提案も含めた複数案を公平に比較し、市民に説明できる最適解を導く調査となるよう強く求めておく。
これこそが、ワイズ・スペンディング(賢い財政支出)の考え方にかなう進め方であると申し添えておく。

(7) 枚方市駅周辺再整備推進基金、庁舎管理経費について(第3分館)

私の意見

関連して、枚方市駅周辺再整備推進基金、庁舎管理経費については意見です。
2022(令和4)年に「新庁舎及び総合文化施設整備事業基金」を引き継いで設置された「枚方市駅周辺再整備推進基金」の令和7年度末の基金残高(見込み)は7,353,677千円と聞きました。
一方で、市役所第3分館として活用している旧市民会館本館及び大ホール棟の2026(令和8)年度の維持管理費用は、会派の八尾委員からも確認されましたが、警備、清掃や各種点検などを一括した総合管理委託料、樹木の剪定、その他光熱水費などで約4,000万円とのことです。
危険性が指摘されている老朽施設を長期間放置し、維持費用を支払い続ける状況は、財政運営としても合理的とは言えません。
ちなみに、2020(令和2)年に、大ホール棟の解体費用は約160,000千円とのお示しもありました。
土地区画整理事業のスキームに組み込むことで移転補償費を得る可能性を期待するよりも、約73億円ある再整備推進基金を活用して老朽公共施設の解体・撤去を早期に進めることは、安全確保の観点からも、防災・減災の観点からも、将来負担の抑制の観点からも、極めて合理的な判断であると考えます。
限られた財源を、「危険の除去」「維持費の削減」「将来投資の余地確保」に充てることこそ、持続可能な行財政運営におけるワイズ・スペンディング(賢い財政支出)の具体例であることを意見しておきます。

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