9月2日、枚方市駅周辺再整備の具体化について、全員協議会で審議しました。さて、遠ざかる一方の実現可能性、高まる一方の老朽公共施設の大規模災害対応の即時具体化、深まる一方の理由の薄弱な現時点での市役所移転条例改正強行への疑念、という感じです。
枚方市議会議員の奥野みかです。
9月2日は「枚方市駅周辺再整備の具体化について」を審議する全員協議会が開催されました。(2日のみで終了)
全員協議会の資料はこちらにアップしています。
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私は9番目に質問しました。その内容は以下の4点です。
(1)アリーナ整備について
(2)⑤街区に新庁舎を建設する理由について
(3)④街区における土地区画整理事業について
(4)市役所の位置条例の改正について
6月議会で突如出てきた「市庁舎&アリーナ合築案」について、私も、他の議員もいろいろと質問をしてきたわけですが、今回の全員協議会の資料の「表」からは姿を消しています(6月議会の前には、議員として市から説明は受けましたが、市民に公表できるアリーナ関連の資料はありません)。
しかしながら、(収容人員5,000人、建設費約90億円という)アリーナ整備の検討は消えておらず、現時点においても進めているという答弁です。
また、アリーナ整備は今回の財政シミュレーションには反映されていないとの答弁でしたが、公共施設性格で設置を検討するのであれば、総計予算主義の原則に則り、収入も支出もすべて予算化しなければなりませんし、事業計画の段階でも明確な財政検討を示すべきである、と私からは指摘しました。
6月議会で突如出てきたけれども、今回資料の「表」には出ていないアリーナ整備の取り扱いの不適切性については、他の議員からも多くの問題提起が続きました。何をどう議論したら、この「イメージ図(④⑤街区の土地利用_イメージ図)→大きく示された庁舎・駐車場等など」になるのか、完全に迷走しているという指摘もありました。企業版ふるさと納税による財源調達の可能性をさぐるならば、アリーナ検討状況について、市民に対する説明や議論が必要ではないか。企業版ふるさと納税が想定どおり集まらないと判断された時の対応はいかに、という質問もありました。そして、アリーナ整備のスケジュールはどこかに示されているのかという質問に対しては、今後の予定(主なスケジュール)(案)にある「まちの魅力や庁舎機能をさらに高める施設の実現性の検討(2022~2024)」に含まれている、との答弁等々、納得のできる説明は全くありませんでした。
⑤街区に新庁舎を建設する理由についても、他の議員からの問題提起も多くありました。私は、防災面での⑤街区の優位性への疑問、⑤街区に市庁舎やアリーナの敷地を確保するための財源を調達するために駅隣接の④街区の広大な市有地を手放すことに伴うリスク等から市庁舎の⑤街区移転に対する疑義を伝えました。
④街区で民間デベロッパーに売却された市有地は、タワーマンションが合築された複合施設にならざるを得ず、市が希望する施設や機能が本当に整備されるのかは、民間デベロッパーからの提案に委ねられているわけです。
老朽化した分譲マンションの管理の問題が課題となっていますが、④街区の市有地を民間に売却した結果、たくさんの区分所有者(しかも住宅)が所有する大きな建築物(マンション)ができると、将来、老朽化した際に大変な課題に直面する危険性があること、区分所有者問題が将来世代に大きな負担を背負わせることになるのではないかと、同じ会派の八尾議員が警鐘を鳴らされましたが、本当にその通りだと思います。サンプラザ1号館の例も説得力がありました。
ちなみに、③街区における市街地再開発事業においては、現在、どの工区にも区分所有建築物は存在しないのではないでしょうか。それは、主要鉄道駅に接続する土地に存在する区分所有建築物がリスクであると判断されているからだと推察します。
④街区の区域拡大については、区域拡大の具体的内容やその理由等を聞きましたが、現時点で、全く地権者及び使用者に説明を行っていないという、行政として考えられない関係者協議の現状に驚きました。それ以上に、④街区のニッペパーク岡東中央や広場から⑤街区方面に、ウォーカブル機能の中心となる「みどりの大空間」を創出する(拡大する)として、営業中の店舗や貸しビルを移転させるという事業拡大を打ち出したことにより、事業費は約20億円増え、市負担額は9億円増加するという提案です。市民の声を聞くこともなく、またぞろ変更されていく④街区・⑤街区の土地区画整理事業への危惧を伝え、公費を投入する事業を決めていく手続きとしてどうなのかと、その欺瞞性を指摘しました。伏見市政は、とんでもない無駄遣いを、ちゃんとした手続きもしないで強引に推し進めているわけです。
▲今回の「④⑤街区のまちづくりの考え方(案)」の土地利用イメージ図
▲2022年3月、サウンディング型市場調査の際に示した「④⑤街区のまちづくりの考え方(骨子案)」
最後に、市役所の位置を定める条例の改正提案の不適切性を訴えました。予算を伴う条例・規則について制限を付している規定があり(地方自治法第222条)、「とりあえず市役所の位置を定める条例を先行制定してから事業を進めていくのは不適切」とする行政実例があります。新庁舎については、予算案の根拠となる施設の規模も内容も予定金額も何一つ決まっていませんし、用地の広さも確定できていません。アリーナ整備の話もあるようなないような状況です。9月補正予算として、③街区の駅前行政サービスにかかる床の取得費用や、④⑤街区のまちづくりを進めるための環境影響評価に係る調査費用を計上するとのことですが、この補正予算の内容と市役所の位置を定める条例の改正は何の関係もありません。新庁舎については、計画レベルでも検討すべきことが山積みで、新庁舎の機能に関する説明は全くできていないのが現状です。市民に対する説明や意見聴取もまだ、施行期日は何年先になるかわからないが規則に委ねるとして提案しようとしている等々、こんな「ないないづくし」の中で、位置条例の改正案が提案されても、市民への説明もできないと訴えました。
市駅周辺再整備にあたって、にぎわい創出であるとか、「職・学・住・楽」近接のライフスタイルの実現等、市は説明されますが、全く根拠の薄弱な「経済活性化幻想」に乗せられて市財政を圧迫する事業を進め、地方自治体として最低限必要な基礎的施策の充実を困難にする事態を招くのか、もしくは、眼前にある大規模災害への対策となり、財政負担の軽減を図る手堅い再整備を進め、必要な基礎的・必需的な政策の充実に力を尽くすのか、このまちに住む市民はどちらを望んでいるのか、何を望んでいるのか。しっかりと市民の意見を聴いていただきたいと切に願います。
以下、当日の議場でのやりとりを掲載します。
1.アリーナ整備について
Q.私の質問
直前の広瀬議員と重なる部分もあると思うが、まず、はじめに、私の方からもアリーナ整備について、伺う。
6月の議会においても、本日の全員協議会でも、多くの議員からの質疑も重ねられている「アリーナ整備」について、今回の「④⑤街区の市有地を有効活用したまちづくりの考え方(案)」において、明確な位置づけや説明が全くなされていないが、どのように扱っているのか、伺う。
A.市駅周辺まち活性化部長の答弁
「④⑤街区の市有地を有効活用したまちづくりの考え方(案)」では、「新庁舎の整備とあわせ、回遊性の向上や防災機能の強化など、まちの魅力をさらに高める施設の実現性について検討」することしており、アリーナについては、参考資料2の中で、そのような施設の一例として、お示ししている。
O.私の意見
6月議会では、市がサウンディング型市場調査を踏まえて⑤街区の行政エリアにアリーナと市庁舎の合築を検討していること、アリーナの規模は概ね 5,000人程度、事業費は 90億円程度であること、建設財源には「企業版ふるさと納税」を活用したいことなどを答弁され、「枚方市駅周辺再整備基本計画」を更新(改定)する、とされた。それに対して、私からは、⑤街区の行政エリアに「市庁舎・アリーナ合築案」は唐突過ぎる、突如として、大きなアリーナ整備を進めることはおかしいと意見させていただいた。
そして、今回、そのアリーナ整備はどういう扱いになったかというと、全員協議会資料3ページの「議会からの主なご意見と市の考え」に、
「現在、アリーナ施設の効果や財源等について、検討・整理を行っているところ」
「今後、アリーナ施設の必要性や実現性…などについて検討し、適時議会等への報告などを行う考え」、と記載されています。
つまり、アリーナ施設については、効果や財源等も、施設の必要性や実現性の検討もまだ完了していない状態である、ということである。
6月議会の質疑を踏まえるなら、この全員協議会までに検討を終え、幻であった合築案の図や財政シミュレーションも示し、議会にも、市民にも、しっかりとした説明をされるのかと思えば、「そうはできなかった」ので、参考資料2の1ページ下から2行目に小さく、施設の一例として「多目的アリーナなどの広域集客施設」という文言だけが書かれたというわけである。
Q.私の質問
先の議員からも、何をどう議論したらこういう土地利用のイメージ図に変わるのか、と疑問を呈されたが、「④⑤街区の土地利用 イメージ図」の⑤街区の図の中に「庁舎・駐車場等」と記載されているが、この「等」の内容は何か、伺う。新庁舎だけで、この広さが必要であるということか。
⑤街区に「庁舎・駐車場等」と記載されているこの「図」は、6月議会でさまざま答弁いただいた根拠でもあるが、5月のサウンディング型市場調査の報告を受けて以降、庁内で検討しているという「アリーナ合築整備案」と同じではないのか、伺う。
A.市駅周辺まち活性化部長の答弁
⑤街区では、庁舎と一体となってまちの魅力や庁舎機能を高める施設を検討することとしているほか、枚方寝屋川消防組合と連携して、⑤街区への救急ステーションの配置についても検討をしている。
また、庁舎・駐車場等の敷地については、「枚方市駅周辺再整備基本計画」では、新庁舎や国施設とあわせて行政エリアの中にお示ししており、今回の「④⑤街区の土地利用 イメージ図」においても行政エリアの範囲は、同規模としている。
O.私の意見
大きな区域を示されている「庁舎・駐車場等」の「等」の内容は何かと質問しましたが、ご答弁は、全く説明になっていない。⑤街区の行政エリアの範囲が同規模だから、5,000人収容・建設費約90億円と説明されたアリーナを合築整備することも、今回の報告資料の中に位置づけられていると言わんばかり。イメージ図のみでなく、スケジュールも、先の総合政策部長の説明の中では、「まちの魅力や庁舎機能をさらに高める施設の実現性の検討」に含まれているというわけである。今回の資料では表立って説明されていないけれども、アリーナ整備を断念したわけではないようである。
Q.私の質問
では、今回の概算事業費や、財政シミュレーションの中で、アリーナ分は見込んでいるのか。見込んでいないとすれば、それは、なぜなのか、伺う。
A.市駅周辺まち活性化部長の答弁
アリーナ整備については、現時点においても、必要性や実現性、財源面なども含めて検討を行っているところである。そのため、今回の財政シミュレーションには反映していないものである。
O.私の意見
6月議会の答弁では、アリーナは公共施設性格であることを前提とする、とされた。市の事業である限り、歳入・歳出は市の会計で処理するわけであるから、総計予算主義の原則に基づき、収入も支出もすべて予算化しなければならない。当然、事業計画の段階でも同様であるし、財政検討から除外することも許されるわけがない。
公共施設マネジメント計画による公共施設の総床面積の縮小を一方で掲げながら、新規に整備しようとする大型施設に関する内容、また、財政負担に関する見通しなどについて、検討中だからという理由で全く説明を行わないまま、建設する方向性だけは忍び込ませるような今回の説明のプロセスは、納税者市民に対する背信行為である。「今回の財政シミュレーションには反映していない」とのご答弁であるが、市として当然行うべき説明責任は、適時適切に果たしていただくよう、求めておく。
アリーナ整備は、これまでの構想や計画には全く書かれていない新しい内容であった。6月議会で「急に出てきたアリーナ」である。アリーナを整備したいのであれば、検討をすべて終えてから、議会に説明すべきである。そして、「枚方市駅周辺再整備基本計画」の改定、「新庁舎整備計画」及び「アリーナ整備計画」の策定、そして、長期的な視点における財政面からの実現性を明らかにするために定めておられると説明された「長期財政見通し」の改定など、行政のあたりまえの手続き、プロセスに基づく作業を終えてから、事業を進めるのが、本来の姿ではないか。
2.⑤街区に新庁舎を建設する理由について
Q.私の質問
次に、⑤街区に新庁舎を建設する理由について、伺う。
「④⑤街区の土地利用 イメージ図」の⑤街区の図の中に「庁舎・駐車場等」が示されている。そもそも、大阪府敷地が大半のこの位置に、なぜ、市庁舎を移転・新築しなければならないのか、あらためてお尋ねしようと思ったが、同じご答弁を会派の八尾議員にしていただいたので、意見だけにしておく。
(※以下、参考にいただいた答弁案を記載)
新庁舎の位置については、平成29年8月に「枚方市における国・府・市有財産最適利用推進連絡会議」において、枚方市駅周辺再整備を円滑に進めるために、大阪府北河内府民センターが③街区に移転し、その跡地の⑤街区に国・市による合同庁舎を整備する方向で検討を進めていくことを確認した。
※参考:「枚方市における国・府・市有財産の最適利用に向けた基本的な考え方について」(2017年8月31日)
その上で、新庁舎の位置については、④街区と⑤街区を比較した結果、⑤街区の優位性がまちづくりや市負担額などの観点から総合的に高いと判断し、令和2年度に策定した「枚方市駅周辺再整備基本計画」や「枚方市新庁舎整備基本構想」に、⑤街区に移転する旨を位置付けている。
なお、新庁舎用地については、今後の土地区画整理事業に伴う換地処分により取得していく考えである。
O.私の意見
もともと、枚方市の新庁舎整備計画は、総合文化会館の建設によって不要地となる枚方市市民会館大ホール棟等の敷地に建設するというものであった。そうであるのに、⑤街区への移転を検討しようということになったのは、国・大阪府・枚方市による総合庁舎を実現できる可能性が生じたからである。しかし、それは、北河内府民センターの③街区への移転による大阪府の離脱、国においても税務署のみの話に縮減しているわけであるから、この構想というのはもはや消えているわけである。
「平成29年8月の連絡会議での確認」ということを市は言われるが、誰と誰のどのような性格のものか、よくわからない。何よりも、その後、社会・経済、そして行財政の状況も大きく変化しているわけであるから、多くの議員からの指摘もあったが、これは、見直すべきものではないか。市庁舎、ひょっとすればアリーナの用地となる大阪府の所有地を枚方市のものとするのに、「土地区画整理事業に伴う換地処分により取得する」と言われても、枚方市が「ただ」で、一切の財政負担なく手に入れることができるわけではない。④街区に面として確保されている広大な市有地を手放して、売り払って、はじめて取得できるわけである。
Q.私の質問
では次に、④街区と比較して、⑤街区での新庁舎整備の優位性として防災面のことがあげられ、洪水時にも対応できるように地盤かさ上げも検討しているという答弁が以前の議会であったが、今回の案では、どのように想定しているのか、伺う。
A.市駅周辺まち活性化部長の答弁
「④⑤街区の市有地を有効活用したまちづくりの考え方(案)」においては、土地区画整理事業における造成工事による地盤の嵩上げや駐車場の効果的・効率的な配置など、様々な方策を用いて、新庁舎の浸水対策を新庁舎前広場との接続に配慮しながら実施し、行政機能の継続性の向上を図る考えである。
O.私の意見
この優位性についても、大きな疑問がある。
⑤街区を取り巻く府道や郵便局前の市道という道路の地盤高までを高くする整備ができるわけではない。また、新庁舎の配置図を見ると、駐車場等を含め新庁舎へのアプローチは郵便局側の道路からになると考えられる。ということは、いくら府道に接道する広場のかさ上げをしても、建物の1階、もしくは地下1階は市道の地盤高になるのではないか。
枚方市のハザードマップを見れば、淀川洪水・天野川洪水において北河内府民センターエリアは3~5mの想定浸水深で④街区と同じである。内水ハザードマップでも、市道面は④街区と同じである。
浸水に対応できる庁舎にしようとするならば、機械室設置階を上層階に配置するなどの工夫をしなければならない。となると、それは④街区新庁舎の場合と同じで、そうであるならば、⑤街区が優位というわけではないのではないか。
Q.私の質問
⑤街区の優位性が確認できないが、お考えを伺う。
A.市駅周辺まち活性化部長の答弁
⑤街区では、地盤の嵩上げなどに加え、新庁舎の低層階や地下室には、機械室などの庁舎を維持していく設備等を配置しないなどの工夫を行うことで、大規模災害時における防災拠点として事務執行の継続性やエネルギーの安定供給の確保などを図っていく考えである。
なお、⑤街区では、④街区と比較して大規模災害時に想定する浸水深が浅いため、仮に浸水した場合においても庁舎の被害を軽減できると考えている。
O.私の意見
水害という災害において、淀川や天野川の決壊という大規模災害の場合は、想定浸水深等で、④街区と⑤街区の間に大きな差があるわけではない。内水ハザードマップでも、庁舎への車両動線となる市道面では、④街区と変わらず浸水することが想定される。ニッペパーク岡東中央に隣接する④街区が、⑤街区に比べて、災害時の活動空間が狭いとの説明もあったが、どうなのか。
結局、④街区にせよ、⑤街区にせよ、浸水被害を防ぐことなど、庁舎機能の災害対策機能強化の必要性は同じ、ということである。
Q.私の質問
今回の「新庁舎整備基本計画策定の考え方(案)」では、ICTの活用で「市役所に行かなくても手続きができる環境を整備する」とし、また、市駅前行政サービスの再編として、③街区内に庁舎分室・子育て支援関係などの機能を整備している。加えて、今回は、新庁舎にフリンジパーキング機能を持つ大きな駐車場を整備する、ともしている。
これまで、行政庁舎は目的型施設なので、回遊性の高いまちづくりに寄与できると説明してきておられたが、どういった利用者が歩いて新庁舎に行くことになると想定しているのか、伺う。
A.市駅周辺まち活性化部長の答弁
将来のスマート自治体を見据え、今後のDXの推進による「市民が市役所に行かなくても手続きができる環境の整備」をめざしていく考えであるが、個々の事案や事情などにより市役所まで来られ、対面による手続きや相談等をされる方を想定している。
また、将来的には、マイナンバーカードの普及や利便性の向上、ICT技術の発展などにあわせて、市役所で各種手続きなどを行いたいと思われる方は、減少していくと考えている。
O.私の意見
「ウォーカブルなまちづくり」などという言葉を並べても、市役所の位置を鉄道駅から遠ざけるということは、結局、市役所に行かざるを得ない限定された利用者市民にご不便をおかけするだけで、まちづくりに何の効果をもたらすわけでもなさそうである。
新庁舎の駐車場はフリンジパーキングの機能を果たすと想定しているようであるが、規模は、新庁舎基本構想の想定のとおりで(※新庁舎整備基本構想では、来庁者用駐車場142台、公用車用駐車場136台、議員用駐車場32台、の合計310台を配置することとしている)、立体駐車場の整備費をもとに整備コストを想定されているようである。
総合文化芸術センターの建設にあたっても、地下駐車場にすると建設費が莫大なものとなるので、地下駐車場設計を見直した経過があると聞いている。自走式の立体駐車場にすると、車が走る車路の面積が大きく、広い敷地面積が必要となる。
新庁舎と駐車場、さらにはアリーナまでを合築するとした場合、どのような建築形状になるのか、本当にそれらの施設すべてが整備できるのか、整備費用はどうなるのか、まったく分からないのが現状ではないかと指摘しておく。
3.④街区における土地区画整理事業について
Q.私の質問
次に、④街区における土地区画整理事業について、伺う。
新庁舎を⑤街区に移転する必要があることを説明するには、④街区がよほど魅力的になることが必要だと思う。今回、④街区における土地区画整理事業区域について急な区域拡大を示しているが、具体的な内容、例えば、拡大した面積、地権者・使用者の数などについて伺う。そして、④街区の区域を拡大した理由についても伺う。
A.市駅周辺まち活性化部長の答弁
④街区のニッペパーク岡東中央や広場を⑤街区方面に拡大して、賑わいと憩い・安らぎの空間となる公園・広場機能を整備し、ウォーカブル機能の中心となるシンボリックな「みどりの大空間」を創出することにより、まちの魅力を高めるため、今回、④街区の区域を拡大するものである。登記記録などから、拡大した面積は約0.1haであり、地権者は5人である。
これにより、④街区と⑤街区の繋がりが強化でき、特徴的な都市景観を作り出す「みどりの景観軸」が形成され、回遊性の向上も期待できると考えている。
O.私の意見
営業中の店舗やビル敷地を事業対象に加えると、事業費は当然増加するわけである。また、事業区域に入れることについて、土地や建物の所有者や使用者の合意を得ることが必須だと思う。地権者は5人とのことである、使用者(テナント利用者)の数はわからないということのようである。
Q.私の質問
こうした地権者や使用者など、関係者との協議状況について、伺う。また、実現可能性についてどのよう判断しているのかについても、伺う。さらに、事業費はどれほどの増加になる見通しなのかも伺う。
A.市駅周辺まち活性化部長の答弁
本市としては、区域拡大や新庁舎の位置などを含めた「④⑤街区の市有地を有効活用したまちづくりの考え方」を今後、速やかに決定した上で、④街区の区域拡大に含まれる地権者の皆さまにご説明させていただくとともに、勉強会や個別協議などを行いながら、ご理解とご協力をいただく考えである。
また、区域拡大に伴い事業費が約20億円増え、これに伴い約9億円の市負担額の増加を見込んでいる。
O.私の意見
⑤街区へつながるウォーカブル機能の中心となるシンボリックな「みどりの大空間」なるものを拡大するために、事業費を約20億円増加させ、市の負担額も9億円増えるとの説明である。
⑤街区へ新庁舎やアリーナを整備しようとするために、現在の社会状況の中で、これだけの公費を投入することは極めて疑問である。驚き以外のなにものでもない。
さらに、土地区画整理事業において、④街区の区域拡大のプランを公表するまでに、当該事業地内の地権者・使用者等の意見を全く聞いていないというのは、行政として、信じられない、ありえない進め方である。「まず、大規模地権者としての市のまちづくりの考えを取りまとめ、議会に説明していくことを優先するため」、現時点では、当該事業地内の地権者・使用者等の意見は全く聞いていないというような説明も受けたが、土地区画整理事業は事業区域内の土地所有者等の協力抜きに実現は不可能である。④街区の区域拡大のプランを策定する過程において、土地所有者等の状況や意向の把握などを全くしないで、頭ごなしに事業を打ち出すなんて、事業を本当に実現させようとしているのか、はなはだ疑問である。この事業の「実現性」は全く担保されていないのではないか、と指摘しておく。
Q.私の質問
次に、④⑤街区の土地利用 イメージ図」では、④街区内に2つの巨大な「複合施設」が配置されており、「まちの魅力を高める複合施設」として様々な機能が記載されている。市は④街区を市街地再開発事業ではなく、土地区画整理事業手法を用いて整備するとしているので、この土地(市有地)は手放して、⑤街区の土地を取得することになるわけであるが、④街区の「まちの魅力を高める複合施設」の建設・保有主体は誰になるのか、また、誰が施設を維持し続けるのか、伺う。
「④⑤街区の土地利用 イメージ図」に記載されているように、市が希望する施設・機能の実現が担保できるのかについても伺う。
A.市駅周辺まち活性化部長の答弁
現在、旧市民会館大ホールなどが立地する④街区の民間活力導入エリアについては、土地区画整理事業によって、従前の市有地であるため、市に換地されることを想定しており、その土地は売却することを基本に民間活力を導入して、まちの魅力を高める複合施設の誘導を検討することとしている。
また、この土地の売却にあたっては、公募により土地活用事業者の選定を行うこととしており、この事業者が施設の整備などを行うことを想定している。
議員からご指摘のあった、担保については、持続的なまちの賑わいに寄与する事業者を選定することが重要であると考えており、公募の要件や都市計画制度の活用など、他市の先行事例を参考とするとともに、UR都市機構の支援を受けながら検討する考えである。
Q.私の質問
UR都市機構の支援を受けながら検討する考えとのことである。つまり、UR都市機構が、基盤整備を担う事業者となるということか、伺う。
A.市駅周辺まち活性化部長の答弁
今回、「④⑤街区の市有地を有効活用したまちづくりの考え方(案)」の中で、本市としては協力を求めていきたい、と考えているところである。
Q.私の質問
ヒアリングの際には、基盤整備を担う事業者となる、というように確認させていただいたが、もう少し具体的にお聞かせいただきたい。
A.市駅周辺まち活性化部長の答弁
現在、UR都市機構とは協議を行っているところで、正式な決定には至っていないので、本市の方からは協力を求めていくという表現にさせていただいているところである。
※参考にいただいていたが、当日、答弁されなかった回答
④⑤街区の土地区画整理事業については、既成市街地であるため、まちの活動を停めることなく進めることが求められることから、事業期間が長期に渡るとともに、事業の施行にあたって、高度な技術力や事業資金の確保などが必要となる。このため、民間主体で、この事業を施行することは困難と考えられ、UR都市機構が事業者となる機構施行が最も有効な事業手法と考えている。
UR都市機構については、全国で数多くの土地区画整理事業や大規模公園整備などのまちづくりの実績を有するとともに、専門性に優れた人材も豊富であることに加え、公共施設整備に対する独自の支援制度の活用が見込めるなどから、この事業の施行者の有力な候補であると考えている。
また、まちづくりについては、事業が完了したのちも継続して魅力向上に向けたエリアマネジメントに取り組むことが重要であり、UR都市機構の有するまちづくりのノウハウを活用できると考えている。このため、コンテンツやまちのデザインなどについて、UR都市機構に対してまち全体のトータルコーディネートへの協力を求めていきたいと考えている。
O.私の意見
ご答弁はなかったが、ヒアリングの際に聞かせていただいた内容をもとに意見をさせていただく。
つまり、土地区画整理事業はUR都市機構に施行してもらうけれど、売却された土地の上に建設される複合施設なるものは、公募により選定された土地活用事業者、いわゆるデベロッパーが整備するという形で認識をさせていただいている。経営管理形態については、提案次第なので、全く未定である。そもそも、市が希望するような内容の提案があるのか、どの程度の事業者が提案に参画するのかも定かではない。当初、民間アドバイザーとしたデベロッパーなどの④街区における施設整備提案は、そろってタワーマンション建設ではなかったか。
枚方市駅に近接する岡本町地区の市街地再開発事業で整備された分譲マンションと商業施設の複合施設であるビオルネは1990年の開業であるが、その後、運営会社の倒産、大きな区分所有者の撤退などで、今、全体的な経営・管理運営に大変な苦労をされている。同じことを④街区で繰り返すことになりはしないか。
結局、今回の説明では、⑤街区だけではなく、④街区における事業内容や必要性、また実現可能性や将来見通しについても、全く熟度が不足したものであると指摘しておく。
4.市役所の位置条例の改正について
Q.私の質問
次に、市役所の位置条例の改正について、伺う。
地方自治法において「市役所の位置を定める条例」が特別多数議決とされているのはなぜか、伺う。
A.市駅周辺まち活性化部長の答弁
市役所の位置は住民の利害に関する点が特に大きいので、その決定、変更に当たっては慎重になるようにするとの趣旨から特別多数決とされているという認識である。
O.私の意見
市役所の位置を定める条例は、住所を定めるだけの内容であるが、この条例は、自治体の基本的なことを定める極めて重要な条例で、だからこそ、特別多数議決が求められるものとなっている。
Q.私の質問
次に、市役所はもとより、公の施設を条例で定めて設置する場合、条例制定に先立って、または、同時に行わなくてはならない議会手続は何か、伺う。
A.市駅周辺まち活性化部長の答弁
予算を伴う条例、規則等について制限を付している地方自治法第222条のことをご指摘されていると思う。この条文の解釈については、財政の計画的で健全な運営を確保するための規定である。
O.私の意見
いま富田部長がお答えいただいた地方自治法第222条であるが、予算先議原則は、税の使い道を決める予算というものを議会が決めるということを揺るがせないために極めて重要な規定である。
Q.私の質問
しかし、新庁舎については、予算案の根拠となる施設の規模も内容も予定金額も何一つ決まっていない。新庁舎の整備基本計画さえ決まっていない。そのベースになる枚方市駅周辺再整備基本計画ですら、まだ内容が確定できるような段階ではないわけである。さらに、位置を定める住所地の大半となる用地については、まだ枚方市の用地でもない。「とりあえず市役所の位置を定める条例を先行制定してから事業を進めていくというのは不適切」とする行政実例があるが、まさにそれに当てはまると考える。市の見解を伺う。
A.市駅周辺まち活性化部長の答弁
新庁舎整備については、枚方市駅周辺再整備基本計画や枚方市新庁舎整備基本構想に基づき、③④⑤街区のまちづくりと連携して、一体的に取組を進めていく。
今般、⑤街区への新庁舎整備を見据え、新庁舎整備費などを含めた財政シミュレーションとあわせて、先行して③街区に設置する(仮称)市民窓口を含めた枚方市駅前行政サービスの再編事業として床の取得経費や、④⑤街区のまちづくりを進めるための環境影響評価に係る調査経費を9月補正予算により計上していく考えである。新庁舎整備をまちづくりとあわせて円滑に進めていくために、関連する予算とあわせて必要となる位置条例を提案するものである。
O.私の意見
9月補正予算により計上しており、新庁舎整備をまちづくりとあわせて円滑に進めていくために、関連する予算とあわせて必要となる位置条例を提案するという答弁であったが、9月補正予算の内容と新庁舎への移転に伴う位置条例の改正は、何の関係もない。
まだまだ計画レベルでも検討すべきことが山積みで、新庁舎に関する詳細の説明は全くできていないのが現状である。
そもそも新庁舎に教育委員会事務局の事務所は入るのか。そうなれば、輝きプラザきららはどうするのか。先の議員からの質問にもあった。土木部の現業の事務所である中部別館、上下水道事業部の現業の事務所である北部別館など、現業関係の事務所はどうするのかの説明もまだできていない。もちろん、市民に対する説明や意見を聞くことなど、全くできていないのが現状である。条例においては施行期日を明確に定めることもできない。いつになるか、何年先になるかわからないけれども、規則に委任するということのようである。
こんな「ないないづくし」の中で、位置条例の改正案など、提案すべきではない。
新庁舎の位置などを明確に示し、地権者等との勉強会や都市計画手続きを円滑に進めたいとか、サウンディング型市場調査に参加した民間事業者から、「さらに具体的な検討・提案を行うためには、新庁舎の位置が決まるなど、④⑤街区の具体的な計画を市が示す必要がある」との提案もいただいた。ヒアリングの際、そんな話も伺ったが、民間事業者からさらに具体的な提案を受ける次の場面は、先の答弁にあった④街区市有地売却の段階である。
しっかりした計画を策定し、予算議決を得て土地区画整理事業に着手する際に、新庁舎の住所を定める条例改正を行えばいいのである。なぜ、こんな「ないないづくし」の中で、極めて重要な位置条例の改正案などを焦って提案されようとするのか、理解に苦しむ。議会や市民に対して、まともに説明もできないことは、すべきではないと意見し、私の質問を終わらせていただく。