入管法等改正案の可決について【コメント】
2024年5月21日
入管法等改正案の可決について(コメント)
立憲民主党 政務調査会長 長妻昭
外国人技能実習制度の見直しなどを柱とする「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部改正案(修正)」が本日、衆議院本会議で可決された。
わが党は、閣法への対案「外国人労働者安心就労法案」を衆議院に提出し、法案審議と並行して、立憲案の基本理念を反映させるべく修正協議に臨み、17日の法務委員会の採決で、修正案に賛成、修正案を除く原案に反対した。21日の本会議では、修正後の入管法等改正案に反対した。
技能実習をめぐっては、賃金未払い、低賃金、長時間にわたる時間外労働、パワハラ・セクハラ、労災隠し、不当解雇と強制帰国、監理団体と受入れ企業の癒着、ブローカーへの前借金や高額な手数料など、人権侵害と労働関係法令違反が数多く指摘され、海外からは「奴隷労働」とも批判されてきた。こうした深刻な事態を長年にわたり放置してきた政府の対応には、激しい怒りを覚えざるを得ない。
政府案は、技能実習制度に代わる育成就労制度を導入するものだが、来日前の初期費用や監理費の負担、家族帯同の長期制限、悪質ブローカーを排除できないなど、現行制度と仕組みはほぼ同じで、抜本改正とは程遠い内容である。
立憲案は、悪質な民間ブローカーを排除するため、送り出し国との二国間協定に基づく公的な運用制度とし、求職・求人や雇用・転籍支援等はハローワークなど公的な機関が行うことで、外国人労働者の権利を保護し、適正な雇用・労働環境の実現を図るものである。
わが党案は、政府案よりも日本が外国人労働者に選ばれる国となる法制度であり、担い手・支え手を必要とする地域や産業分野で中長期的により多くの外国人労働者が活躍してもらえる環境をつくるものである。
また、政府案には、人権侵害と言わざるを得ない永住許可取消しの要件強化や、懸念の多い労働者派遣形態の導入など、現行制度の改悪としか言いようがない内容が含まれている。
わが党も賛成した修正案では、永住者の在留資格取消に当たり十分な配慮を附則に明記することとなったが、そもそも永住外国人の権利や安心・安定を脅かすような制度を導入すべきではない。
わが党は、受け入れ後の外国人労働者との共生に関して「多文化共生社会基本法案」を、22 年 6 月に提出している。こうした法制度の整備をすすめるなかで、守るべき人権を守り、日本に暮らす外国籍の皆さんが、安心して生活し就労できる環境を整えるため、今後とも全力を挙げて取り組んでいく決意である。
以上