「ひらかたモデル」のめざす先に、学校と地域がつながり、混ざり合い、インクルージョンにつながる取り組みを。学校部活動の地域連携について、質問しました。12月定例月議会、一般質問の報告⑥です。

2023/12/18

枚方市議会議員の奥野みかです。

ここでは、「6.学校部活動の地域連携について」の報告です。

中学校における部活動に関して、国のガイドラインを踏まえ、「少子化の中でも、将来にわたり、枚方市の子ども達がスポーツ・文化芸術に継続して親しむことができる機会を確保」「地域の持続可能で多様なスポーツ・文化芸術等に親しむ環境を一体的に整備し、子ども達の多様な体験機会を確保」をめざす、 本市の実情に沿った「ひらかたモデル」の策定に向けた取り組みが進められています。

中学校部活動の「地域移行」の中で、子どもたちが、様々なスポーツや文化芸術活動に触れることができる機会は保障されるのか、また、中学校部活動の「地域移行」が「教員の負担軽減」のための手段に収斂されてしまうのではないかという懸念を伝えました。また、学校内での部活動を単になくすだけになれば、子どもたちの機会損失や体験格差の拡大をもたらすだけになりはしないかとの懸念も伝え、既存の部活動の持続可能性を高めるための取り組みもあわせて検討いただくよう要望しました。

子どもたちに学校以外の新しい居場所を創出することは、子どもたちの成長・活躍の場をつくるということ、地域におけるインクルージョンを深めることにもつながります。いま、求められていることは、中学校部活動の「地域連携」を通して、地域のさまざまな人材を中学校の活動と「つなぐ」ことや、地域における安定した活動が子どもたちを「包摂」していくことではないでしょうか。中学校部活動は学校で続けるべきか、地域に出すべきか(移行)などという「分断」議論ではなく、スポーツも文化芸術も、学校部活動が、学校と多様な地域住民によって育まれる地域がつながり(連携)、混ざり合い(協働)、ソーシャル・インクルージョン(包摂)につながるフィールドになればいいのではないかと考えています。

 


 

以下、12月18日の一般質問でのやりとりを掲載します。

6.中学校部活動の地域連携について

Q.私の質問

中学校における部活動に関して「地域移行」という言葉が使われているが、私はこのことに大きな懸念を持っているため、今回の質問項目においては、「地域連携」とさせていただいている。
国のガイドラインでは、「学校部活動の地域移行は『地域の子供たちは、学校を含めた地域で育てる』という意識の下、生徒の望ましい成長を保障できるよう、地域の持続可能で多様な環境の一体的整備により、地域の実情に応じ、スポーツ・文化活動の最適化を図り、体験格差を解消することを目指すものである。」とある。
しかし、この説明は大きな矛盾を抱えている。つまり、「生徒の体験格差の解消を目指すもの」としながら、生徒を受け止める地域環境には、大きな格差が生じるのではないかと思われるからである。
そこで、本市において、中学校部活動の「地域移行」が進められた場合、子どもたちが、様々なスポーツや文化活動に触れることができる機会は保障されるのか、伺う。

A.新保学校教育部長の答弁

学校部活動の地域連携・地域移行を進めるにあたって、子どもたちの選択肢を広げるとともに、様々なスポーツ・文化活動に関わることのできる機会を創出していけるよう検討を進めており、まずは試行実施として、2024(令和6)年1月から施行実施を行う大学クラブとの連携について取り組んでいく。この試行実施では、駅伝や園芸、ジャグリングなど、これまでの学校部活動にはない種目も実施する予定としており、土日には、興味のある大学クラブの活動に参加することを可能にするものである。
また、既存の学校部活動についても、持続可能な形を目指し、平日の学校部活動と土日の地域でのスポーツ・文化活動とを併せて、子どもたちの多様な活動の機会を確保できる方策を検討していく。

Q.私の質問

現在、有識者等による懇話会を設置し、部活動の在り方についての議論を行っておられるとのことであるが、子どもも含めた当事者の意向調査、他市事例の把握等も含め、今後、どのように進めていくのかについて、伺う。

A.新保学校教育部長の答弁

現在、2924(令和6)年度中に中学校部活動の地域連携・地域移行を含んだ新しい方針である「ひらかたモデル」を策定すべく、有識者等による懇話会で意見を聴取している。これまでの議論の中で、児童生徒、保護者、教員からの現状や費用負担に関するアンケートを基に議論を進めてきており、現在地域の方からのアンケートをとっているところである。また、スポーツ庁が公表している他市事例に加え、指導主事が視察した千葉県柏市の統括団体が運営するクラブ活動などを参考に、議論を進めてきているところである。今後の進め方としては、2024(令和6)年1月から実施する大学と連携した試行実施の成果や課題も加味しながら、懇話会での議論をさらに進めるとともに、一定のたたき台ができた段階で、あらためて中学校体育連盟の専門委員の先生方や、子どもたちの意見を聴取、パブリックコメントなどを踏まえて、子どもたちにとって、よりよい形になるようにしていきたいと考えている。

O.私の意見・要望

今、とても懸念されることは、中学校部活動の「地域移行」が「教員の負担軽減」のための手段に収斂されてしまうことではないかということである。必要なのは、地域人材、外部人材をいかに中学校での活動とつなぐことができるか、もしくは、地域における安定した活動における子どもたちの「包摂」ではないか。
学校部活動の「地域連携」については、子どもたちに学校以外の新しい居場所、第3の居場所を創出することで、子どもたちの成長の場、活躍の場をつくるという側面もあるのではないかと考える。地域におけるインクルージョンを深めることにもつながると思う。
いずれにしても、学校内での部活動を単になくすだけでは、子どもたちの機会損失や体験格差の拡大をもたらすだけではないかと懸念する。子どもたちの成長の場、活躍の場を保障し続けるためには、多様で手厚い支援を具体化するための積極的な取り組みによって、既存の部活動の持続可能性を高めることも重要であると考えるので、あわせての検討を要望する。

 

 


【参考】

▶ 学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン(概要)

▶ 学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン(本文)

 


【効果的な情報発信を行っている自治体例】

全国各地で取り組まれている、部活動の地域連携・地域クラブ活動への移行に向けた取組より。

▶ 千葉県柏市(地域クラブNET
市民向けの制度概要の説明、生徒用の地域クラブ活動参加申込フォーム、指導者登録フォーム、兼職兼業についての説明等、地域移行関連の諸々が一元化されたプラットフォームを構築。

 

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