中宮浄水場更新事業の総合評価一般競争入札で明らかになった課題への対応について質問しました。12月定例月議会、一般質問の報告②です。

2021/12/16

枚方市議会議員の奥野みかです。

ここでは、「2.中宮浄水場更新事業の総合評価一般競争入札で明らかになった課題への対応についての報告です。

膜ろ過方式を採用したDBO発注での新中宮浄水場の更新工事と、場外29施設の浄水施設運転維持管理業務等委託について、合計約300億円・25年にわたる決めごと(契約)を、発注仕様を振り返ることもせず1者応札(総合評価一般競争入札)で手続きを進めてきています。

このまま進めていくというのであれば、総合評価一般競争入札で明らかになった課題への対応を、さらに、「中宮浄水場更新事業総合評価一般競争入札審査会」も数多くの指摘を行っておられますが、評価結果などに記された想定されるリスクへの対応はきちんとしていただきたいと考えます。例えば、通常時も緊急時も市民に影響を及ぼさない(給水安定性)という観点からのバックアップ体制(運転管理人員の確保)、SPC設立時の定款、第二浄水場を早期廃止に係るリスクなどについて、です。

想定を超える状況の変化、見込みと異なる費用変動等が発生した時、SPCを含む受注者は、極限までコストを削減するか、値上げを要求するか、事業撤退するかの3択しかないのではないかと懸念されますが、事業撤退の歯止めとなるペナルティを設定しておくべきではないかと指摘しました。

 


 

以下、9月21日の一般質問のやりとりを掲載します。

2.中宮浄水場更新事業の総合評価一般競争入札で明らかになった課題への対応について

Q.私の質問
当初300億円を予算計上された総合評価一般競争入札であったが、先行きが極めて不透明な今の状況で、25年にも及ぶ長期の契約を、仕様に工夫を加えることもなく発注し、結果として2回目も1者のみの応札を開札して事業者を選定し、現在、契約手続きが進められている。
私は、競争性を確保できなかった1者応札での総合評価一般競争入札によるDBO発注には、あまりにも問題が多く、また、契約には数多くのリスクがある、潜んでいると考える。

この契約は、地方公営企業である上下水道局の事案であり、本議会の議決案件ではないが、巨額の、また長期にわたる契約で、その内容は、私たちの暮らしに密接に関係する、いのちの水の供給体制に関連する重要なものである。そこで、まず、この後、事業実施までのスケジュールについて、伺う。

A.上下水道事業部長の答弁
中宮浄水場更新事業の総合評価一般競争入札で明らかになった課題への対応について、1回目の質問にお答えする。
現在、事業者と12月中の契約締結に向けた事務手続きを進めているところである。契約締結後に、詳細設計等、事業実施のための事前協議を行っていく予定であり、中宮浄水場更新事業総合評価一般競争入札審査会からいただいた意見も踏まえ、事業者とともに創意工夫を図り、安全でおいしい水を提供できる、より良い施設になるよう取り組む。

Q.私の質問
先の補正予算案の可決により、中宮浄水場の設計・建設工事の予算額は令和3年度から令和8年度の継続費で157億5,000万円、浄水施設運転維持管理業務等委託の予算額は令和3年度から令和28年度までの債務負担行為で125億8,400万円、当初300億円で計上していた合計予算額は283億3,400万円になっている。

DBO方式による総合評価一般競争入札での一括での落札額は、279億9,378万円で、予定価格は286億2,532万2千円であったため、落札率は97.6%との説明を受けた。落札額を約3.4億円上回る予算額283億3,400万円を設定したのは、建設工事において、地中埋設物等への対応による追加費用が想定されること、また、運転維持管理業務等委託においては、スライド条項の適用も含め物件費等の高騰への対応を見込んでいるとの説明を受けた。
12月中に契約を締結するとのことである。基本契約のもと、設計・建設工事に係る契約と浄水施設運転維持管理業務等委託に係る契約と、3つの契約書を締結するとのことであるが、それぞれの契約の落札額はまだ公表できないとのことであった。

今年6月の議会で、私は、「競争性の確保は公共契約上の大原則であり、無競争環境での業務展開はリスクが高まるから、立ち止まって再検討すべきだ」と意見したが、この意見に対しての見解を伺う。
さらに、競争性の確保という観点から、今回の入札において、1者応札であることについて、上下水道局としてどのように受け止めているか、伺う。

A.上下水道事業部長の答弁
まず、意見に対しての見解については、本事業の入札は、本市契約規則第34条第1項において適正な契約事務を進めてきた。
また、1者応札については、今発注に至るまでには基本設計時の実証実験や審査会からの意見をいただくなど、検討を重ね要求水準の決定をしてきたことから、適正に実施してきたものと考えている。

O.私の意見
そもそも競争の余地があり、価格のみの競争によらないのが適切と判断したからこそ、総合評価方式による一般競争入札を採用したのではなかったのか。1者応札で、公共契約上の大原則である競争性が確保できなかった中での事業者選定にならざるを得なかったことは、大きな課題を残していると、改めて指摘しておく。

Q.私の質問
今回、価格評価100点、技術評価200点、合計300点での評価であったが、1者応札であるため、価格評価は満点の100点となり、まったく競争性が働いていない。また、技術評価は、200点満点のうち68.36点の評価で、得点率はわずか34.2%である。仮に競争相手が存在していた場合、この程度の評価点しか獲得できない技術提案の水準で落札できるのか、はなはだ疑問である。
この事業者選定結果(価格評価・技術評価)について、上下水道局としての見解を伺う。

A.上下水道事業部長の答弁
価格評価については、事業全体を通じ、本市が求める水準を満たした上で予定価格内の入札があったことから、適正な提案だと考える。
また、技術評価については、審査会では、評価区分として「優れている」から「やや優れている」に相当するとの評価をいただいており、本市としても同様の考えである。

O.私の意見
そもそも総合評価一般競争入札は、複数の入札参加者による競争の存在を前提にした選定方式であることから、一者応札になったことにより、評価が限りなく無意味になっている。
価格については、予定価格以内であれば、例えいくらであっても満点である。技術評価については、基本要求を満たしてさえいれば、加点評価なので、提案評価が0点でも落札候補者となり得るわけである。優れた民間の技術力云々というよりも、これでは、仕様書発注と同じではないか。
競争性が確保できなければ、価格と質の両面で優れた事業者を選定するという総合評価方式による事業者選定が全く無意味になってしまったと感じている。

Q.私の質問
次に、「浄水施設運転維持管理業務等委託」について、どのような人員配置を前提とし、人件費単価や物件費の水準をどのような考え方として予定価格を設定されたのか、具体的な内容について、伺う。また、契約上、人員配置が変更となる場合の取り決めはあるのか、伺う。
さらに、人件費や物件費の高騰など、著しい変化への対応については、契約上、どのように規定し、どのように取り扱う考えであるのか、伺う。

A.上下水道事業部長の答弁
まず、運転維持管理業務の積算については、現浄水場及び既設施設における維持管理業務での実績をもとに、見積もりや水道施設維持管理等業務委託積算要領等を用いて算定した。
次に、本市が新たな要求事項に追加等変更がない限り人員配置の変更はないと考えている。
次に、人件費や資材費等著しい変動が生じた場合については、国が定める物価変動による全体スライドの運用と同様の規定を設けている。

O.私の意見
原材料や燃料コストの上昇、人件費の上昇が見込まれるインフレリスクの高い現況を鑑みて、浄水施設完成の5年後を起点とする20年もの長きにわたる期間の運転維持管理業務等の委託料を見通すというのは、非常に困難であると考える。過去の実績などで見通せない不確実性があまりにも大きいということが複数の入札参加を得ることができなかった大きな原因であったのではないか。
「本市が新たな要求事項に追加等変更がない限り人員配置の変更はない」とのご答弁であるが、契約上、上下水道局が示す人員配置を受託事業者が遵守しなければならない契約内容となっているのか。審査会も数多くの指摘を行っておられるが、日常的な運転管理体制もさることながら、非常時の対応能力は日常の体制と密接に結びついているわけである。大規模な災害や水にまつわる異常事態発生時に、市民のいのちを守る水の供給を確実に続けることができるのかについては、大きな不安が残る。

想定を超える状況の変化、見込みと異なる費用変動等が発生した時、民間事業者の対応は、コストを極限まで削減するか、値上げを要求するか、事業撤退するかの3択しかないと思う。
徹底したコスト削減をされると水道事業の安全・安心が脅かされる。
1.5%程度の物価変動で、「物価スライドの適用」と言って安易に値上げに応じれば、そのリスクゆえに入札参加できなかった事業者に対する公共契約としての公正さを失ってしまう。
となれば、事業撤退の選択が現実的になるのではないか。だからこそ、事業者に対して、事業撤退の歯止めとなるペナルティを設定しておくべきではないかと考える。

Q.私の質問
そこで、水道施設維持管理業務等委託契約の相手方(SPC)の都合により契約を解除する場合、また、契約を変更する場合、ペナルティ(違約金)にかかる取り決めはどのようになっているのか、伺う。

A.上下水道事業部長の答弁
SPCは本事業のためにだけ設立する特別目的会社のことであるため、事業期間中の変更が生じることはないと考えるが、受注者の責により契約解除または、損害を及ぼす変更が生じた場合などは契約書に基づき対応する。

O.私の意見・要望
SPC=特別目的会社というのは、本業である親会社から切り離された事業プロジェクトでの会社であるため、事業撤退も容易という側面もあるのではないかと懸念される。企業構成の変化への対応や、主たる企業の事業放棄にどう対応されるのか。また、事業の質が著しく悪く改善されない場合どのような対応をするのか。また、大阪府レベルでの水道事業の経営枠組みの変化に伴う契約変更の必要性に対して、どのように対応できるのか。

契約の相手方となる事業者に対して、審査会の「選定結果及び講評」を渡しておられると聞いた。
その「付帯意見」には、「緊急時の給水安定性にかかわる緊急時のバックアップ体制(運転管理人員の確保)について、通常時も緊急時も市民に影響を及ぼさないという観点で対応していただきたい。」「SPC 設立時に策定する定款については、事前に枚方市が確認できる場を設けるなど、適正な内容となるよう対応いただきたい。」「第二浄水場を早期廃止するにあたり、安定した給水及び浄水水質を欠くことのないよう、あらかじめ想定されるリスクを抽出し、再検証を行うなど、適切に対応いただきたい。」といった指摘もある。

上下水道事業は地方公営企業であるから、契約に関しては本議会の議決案件ではない。その上、施設更新事業の予算も、運転維持管理業務等委託の予算も、増額リスクに対応した予算化を行っていると伺った。ということは、今後、25年間、浄水場関係の業務に対して、議会が実質的に関与できる場面がなくなってしまうということになるのか。
当該事業について、これからもきちんと監視していきたいと考えるが、今後とも、議会への報告や説明をしっかりと行い、意見を聞いていただき、その内容を検討いただき、適切に対応いただけるよう要望しておく。

 

中宮第1浄水場の丸形高速凝集沈でん池

中宮第2浄水場の横流式沈でん池

隣接の新浄水施設用地

枚方市水道施設整備基本計画(※クリックするとPDFが開きます。)

 


 

◇ヒアリングの中で確認してきたこと

当初、2020(令和2)年9月に予定されていた契約書(案)は以下のとおりです。(※市ホームページより引用)

中宮浄水場更新事業及び浄水施設運転維持管理業務等委託_基本契約書(案)

設計・建設工事請負契約書(案)

浄水施設運転維持管理業務等委託契約書(案)

※契約締結後の契約書(2021年12月中に締結予定)が公表されれば、追って掲載します。

 

なお、「入札参加者評価点一覧」は下記のとおりです。

 

総合評価一般競争入札案件公表(中宮浄水場更新事業及び浄水施設運転維持管理業務等委託 ※再発注 )

 

 


 

2021年6月の定例月議会では、DBO方式を用いた総合評価一般競争入札を実施している中宮浄水場更新事業が、新第1浄水場の設計・工事・運転維持管理(DBO)だけではなく、新第1浄水場以外の中宮浄水場内施設、高度浄水施設、場外29の既存施設の運転維持管理も含み、さらに、新第1浄水場の整備に伴い既存施設の改造が生じる場合には、それら改造の設計・工事も行うことまでを包括する巨大な業務内容であること、そして、2047年3月末までの25年という長い契約期間で、予算額が300億円という巨額の契約案件であることを、まずは確認しました。

そして、入札参加者が複数者とならず、競争性を確保できていないのは、25年と長期にわたる契約期間内における多数の業務と多額のコストを、現時点で契約により定めるリスクを避けた民間事業者側の評価であると謙虚に受け止め、契約スキーム等の見直しを検討すべきではないか、競争性の確保という公共契約上の大原則は、適正価格の実現だけではなく、長期にわたる効率性の担保のためにも不可欠で、長期にわたる無競争環境での業務展開は、利益確保のための質の低下や惰性による非効率を生み、さらに、発注者側の能力の低下により、受託事業者のコントロールが難しくなるリスクも高まること、発注者側の体制や人材、ノウハウなどが失われてしまう事業スキームでは、「民間依存」になってしまうのではないかと指摘しました。

私たちは、このコロナ禍で、公共部門の削減一辺倒では、危機管理対応能力を危うくすることを学びました。この案件は、地方公営企業である上下水道局の案件ですから、議決案件ではありません。議会で契約締結に関する賛否を議論できる機会はありませんが、私たち議員も含め、市民とともに考える姿勢を持ち、枚方の未来に禍根を残すことのないよう、適切な対応を行っていただきたい、今ならまだ再検討できると訴えました。

 


[参考]

※以下は、2021年11月の建設環境委員協議会に提出された資料のうち、「中宮浄水場更新事業及び浄水施設運転維持管理業務等委託_落札候補者の選定結果及び講評(2021年10月4日)_中宮浄水場更新事業総合評価一般競争入札審査会」からの抜粋です。

落札候補者の選定結果及び講評 個別評価結果

1.事業全体に関する事項

【事業計画】
基本方針については、既存施設の課題などに対する解決策については不十分
業務実施体制(設計・建設)については、統括責任者の位置づけが一部不明確な部分がある。
業務実施体制(運転維持管理)については、業務管理責任者と統括マネージャーとの役割に曖昧な点があるため、事業開始時までに明確にすることが望まれる
【事業の安全性】
リスク分担の事象が抽象的である部分もあり、明確化が望まれる
運転維持管理期間においても適切なモニタリング体制の構築が望まれる

2.設計・施工に関する事項

【浄水施設設計に関する提案】
膜材質の選定の考え方及び耐用年数や膜ろ過装置の耐震性能は、根拠が不明確な点も見受けられる。
膜ろ過装置(安全性)や使用する注入設備の構成、注入方法、排水処理施設の能力、容量の考え方については、系列停止時でも計画水量を確保する予備力の保有などが提案されているが、リスクの抽出や再検証が必要である。
【土木建築施設設計に関する提案】
その他については、既設浄水場を含めた浄水場全体についての新たな提案は示されていない。
【施工に関する提案】
実施時には、作業員教育など品質確保に対する施策や、交通誘導員の具体的な配置など、周辺の状況に即した取り組みが望まれる。
【工事監理に関する提案】
工事監理計画については、品質確保に向けた取り組みなど、工事監理者のさらなる関与が望まれる。

3.運転・維持管理に関する事項

【運転・維持管理業務の基本方針に関する提案】
基本方針において、既設第二浄水場の早期休止は効率化に資する提案であるが、施設能力の検証が必要である。
【教育・訓練に関する提案】
人材育成や市職員への技術継承については、多岐に渡る提案であるが、常駐者のみの提案であり、バックアップ人材の育成、職員に対する技術継承効果が確認できる内容が示されておらず、今後の検討が望まれる。
【運転管理業務における提案】
浄水施設の切替方法、排水処理施設の運転管理、水質管理については、切替時に想定されるリスクが抽出されていない。
薬品注入設備の運転管理については、稼働後においても実験との同様の制御が可能であるかなど、今後の再検証が望まれる。
【緊急時対応に関する提案】
緊急時の体制と対応、機器類などの事故対策、災害への対応については、故障時などに迅速に対応できるよう機器メーカーとのバックアップ体制や、事故などの対応の指示系統や体制が示され、技術員の派遣に要する時間が示されているが、一部については、確実性が不明と考えられる部分もある。

4.地域貢献に関する事項

【地域経済・社会への貢献に関する提案】
地域社会への貢献や、地域経済への貢献については、ひらかたクリーンリバー活動などが示されているものの、周辺地域という点において十分ではないと判断した。
【見学者対応に関する提案】
見学者対応については、実施時には、外国人対応、具体的な身体の不自由な方への対応などについて配慮が求められる。

評価の総評 <付帯意見>

緊急時の給水安定性にかかわる緊急時のバックアップ体制(運転管理人員の確保)について、通常時も緊急時も市民に影響を及ぼさないという観点で対応していただきたい
SPC 設立時に策定する定款については、事前に枚方市が確認できる場を設けるなど、適正な内容となるよう対応いただきたい
第二浄水場を早期廃止するにあたり、安定した給水及び浄水水質を欠くことのないよう、あらかじめ想定されるリスクを抽出し、再検証を行うなど、適切に対応いただきたい
・見学者コースの障害者対応について、合理的配慮の観点からも視覚障害者や聴覚障害者などのさまざまな障害者に気持ちよくご見学いただけるよう、創意工夫を凝らし適切に対応いただきたい。
・本事業を実施するにあたり、近隣に居住区があることに鑑み、更なる地域貢献の提案など、地域住民などと緊密で良好な協力関係を構築し、円滑に事業を進めていただきたい。
・工事の安全性の確保を図るとともに、施工時の品質確保に努めていただきたい。
・その他、個別評価結果にも審査会として、今後、より良い事業実施に向けて検討が必要と考えられる事項や、実施時に配慮を求めたい事項を記載しているので、対応について前向きに検討されることを期待する。

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