「個人と社会のウェルビーイングの実現」をめざし、可能性を最大限に伸ばす。学びあい、つながりあい、一人ひとりの未来を拓くことを目標に、「枚方市教育振興基本計画」を見直す。(教育子育て委員協議会報告③)

2024/11/25

枚方市議会議員の奥野みかです。

11月25日に開催された教育子育て委員協議会の報告③です。

(3)枚方市教育振興基本計画の見直しについて[教育政策課]

2016年6月に策定した「枚方市教育振興基本計画」は、2027年度までを期間とする本市教育施策の中長期的な方向性を示す12年間の計画で、おおむね4年を目途に取り組みの検証・評価を行ったうえで、見直すこととしている。

2020年9月の「枚方市教育振興基本計画」の見直し2020年3月の「枚方市教育大綱」の策定)から4年が経過、
・2023年6月に閣議決定された国の第4期教育振興基本計画(2023年度~2027年度)のコンセプトである「持続可能な社会の創り手の育成」や「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」など、教育をめぐる国の動きや時代の変化を取り入れるとともに、
・本市において2024年3月に策定した「枚方市教育大綱」を踏まえながら、計画内容の充実に向けた見直しに取り組み、
・このたび(10月)、枚方市教育に関する事務の点検評価に携わっていただいている学識経験者からの意見聴取を行い、作成に取り組んできたもの。
・11月に教育子育て委員協議会へ計画の見直し案の説明の後、12月に素案に係るパブリックコメントの実施して、2025年1月、枚方市教育振興基本計画の見直しの予定。

◇重点的に進める取組

2024年3月に策定された新たな「枚方市教育大綱」の重点方針を踏まえ、今後おおむね4年間で重点的に進めるべき主な取組は以下のとおり。
・個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実と、課題解決型学習(PBL)など子ども主体の学習活動の推進
・障害のある子ども一人ひとりの教育的ニーズに応じた支援教育の充実と、自校式通級指導教室の拡充
・幼保こ小の架け橋プログラムの取組など、幼児期と児童期の教育の円滑な接続・連携の推進
・不登校児童・生徒の状況に合わせた居場所の拡充など、社会的自立に向けた取組の推進
・学校施設のバリアフリー化や、空調の更新・照明設備のJED化によるZEB化など、良好な学習環境の整備

[重点的に進める取り組み「枚方市教育振興基本計画」p20-21] 


[教育を取り巻く現状「枚方市教育振興基本計画」p3-6]

奥野の意見

教育振興基本計画の改訂とのことですが、これまでの計画を踏襲で、いま、子どもたちを取り巻く状況に対する「危機感」が全く感じられません。「不登校」がなぜこんなに増えているのか。子どもたちは学ぶ楽しみを感じているのだろうか。子どもたちの思いや意見は受け止められているのか。教育の原点は何か。「ルポ 学校がつまらない──公立小学校の崩壊」という本も出ていますが、学校に行けない子どもたちの側に課題があるのか、学校の側に課題があるのか。過酷な労働環境の中で疲弊していくと懸念される教員の働き方改革ももちろん大切なことであるとは思います。しかし、教育委員会や学校・教員等々、「教育をする側」の視点とは異なる「教育を受ける側(子どもたち)」からの現状分析や課題抽出、見直し策があってもいいのではないかと感じています。子どもにとっても、先生にとっても、学校や教育の場が、ともに生き生き、ワクワクするような場にしていかなければならないのではないでしょうか。

今回の教育目標のサブテーマの「~個人と社会のウェルビーイングの実現をめざし、可能性を最大限に伸ばす~」にある「ウェルビーイング」について、さまざま意見も出ましたが、ウェルビーイングの定義としてよく引用されるのが、1947年に採択されたWHO(世界保健機関)の憲章前文にある定義であると思います。
Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.(健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。)
ウェルビーイングとは「心身が満たされた状態」を示す言葉です。2015年に国連が掲げた「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」、SDGsが掲げる17の目標(ゴール)の一つ、3番目の目標の「GOOD HEALTH AND WELL-BEING」、日本語では「すべての人に健康と福祉を」ですが、SDGsに掲げられていることもウェルビーイングが注目される一つの要因になっているようです。

他の委員の質問

・ウェルビーイングは、2015年、国連のSDGsにも盛り込まれているが、現場の先生に理解されているのか。学校教育におけるウェルビーイングの実現とはどういうことであると考えているのか。ゴールである2030年以降にはSWGs(Sustainable Well-being Goals)が続くとも言われている。
→国の第4期の教育振興基本計画に掲げられているもの(日本社会に根差したウェルビーイングの向上)。今回サブテーマに取り上げたものであるが、本市が、これまでも、そしてこれからも取り上げていく各種施策につながっていることから、今後、さらに浸透されるよう取り組んでいく。
・現状認識が異なれば対策が異なる(かみ合わない)。教育を取り巻く本市の現状についても入れるべきではないか。支援教育充実審議会での審議や、本市独自の取組であるダブルカウントも記載すべきではないか。
→現状はパブコメ等で検討する。計画は、方向性や考え方を記載しており、ともに学びともに育つ教育の充実や障がいへの理解の促進等については触れている。具体的な事業であるダブルカウント(少人数学級編制)については、これまでも教育に関する点検評価などの取り組みとして進捗管理を行っている。
・概ね4年とされる改訂の時期について。前回は2020(令和2)年9月。改訂時期が決まっていないのにパブコメができるのか。教育長の不在も教育行政の運営に影響しているのではないか。
→計画期間はおおむね4年をめど。ただし、整合を図るべき枚方市教育大綱と改訂の時期がずれている。今回は、12月にパブコメをして、速やかに示していく予定(1月策定をめざす)。
・社会教育を担当するセクションが要るのではないか。なぜ、あったものがなくなったのか。説明を受けた記憶もない。
→市長部局に生涯学習のセクションはある。総合教育部に社会教育の後継は置いている。
・「生きる力」はこれまでも使われてきたが、ここでは、「生き抜く」が使われている。自己責任論が刷り込まれ、勝ち組、負け組への偏重が懸念されるところ。「生き抜く力」とはどういうことを求めているのか、聞く。一人で生き抜くのではない。
→「生き抜く力」については、さまざまご意見をいただいているところである。子どもたちが将来にわたり笑顔で生きていけることをイメージしている。
・「子どもたちの確かな学力と自立を育む」の「自立」は何を意味するのか聞く。「社会的自立」は、支援教育にもかかわる。ウェルビーイングも関わるが、学校の教育は集団作りで、人とのつながりが肝要。「自立」の意味を共通認識すべき。
→自立は、自分で考える、自主的な営み。困っていることをお互いに助け合うことができる力。
・不登校支援において、孤立させないための居場所づくりが大切。つながりが持てていない児童生徒をどうするのか。メタバースの活用。
・教職員の資質と指導力の向上は重要。教職員の働き方改革について。教職員の心のゆとりや時間がないと、児童虐待、子どもの貧困、ヤングケアラー等々、複雑な子どもたちの困りごとに向き合えない。
・教育の現場は教育をする現場であるが、福祉の面が入ってきている。福祉との連携が必要。

 



【参考】国の教育振興基本計画(第4期)

国の教育振興基本計画(第4期)の概要

教育振興基本計画(第4期)リーフレット

次期教育振興基本計画について(答申)参考資料・データ集

 

 


【参考】

▶ 「持続可能な社会の創り手の育成」「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」の2つをコンセプトとする国の教育振興基本計画(第4期)を参酌し、教育大綱を踏まえた「枚方市教育振興基本計画」の見直しへ。(教育子育て委員協議会報告②)

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