「副市長付 部長」とは何を担当する職なのか。これまでにない「職」が発令された人事異動の発令同日に、職制に関する規則の改正が行われたよう。

2021/11/13

枚方市議会議員の奥野みかです。

人事異動の発令と職制に関する規則改正が同時に行われるというのはどう理解したらいいのでしょうか。
2021年(令和3年)11月10日付で、規則上も、実態としても、「副市長付 部長」という職が生まれた枚方市です。

規則等の公布は、条例の公布に準じ、市役所及び支所の掲示場に掲示されます。以下は、緑道にある本庁の「掲示場」で撮影したもの(2021年11月13日)です。

人事異動の発令と、その異動により生まれる「職」を定める「職制に関する規則」の改正が同時に行われるというのは、どう理解すればよいのでしょうか。
今回の人事異動の発令は、2021年(令和3年)10月29日付の職員の懲戒処分を受けたものであると考えられますが、さまざまな事情がある中で、既存の職になじまないと考え、当該「者」に担当させようとする「副市長付 部長」という「職」を位置づけるために、職務執行体制を定めている規則を改正されたようです。行政ですから、おそらく「適正」に処理しておこうという考えであるとは思いますが、はたして「公正」な処理であったのか、これは非常に疑問だと考えます。

昨年の黒川弘務・前東京高検検事長の定年延長を決めたという異例の人事について、この改正により事後的に正当化しようとしているのではないか、という批判もあった国の検察庁法の改正のことが思い起こされます。
(※「結局は黒川氏のためだった? 検察庁法改正案が廃案に」【東京新聞 2020年6月18日】

 


 

少し、この間の経過を振り返りました。

市長部局の職制に関し必要な事項を定めることを目的として、市は、「市長部局の職制に関する規則(平成15年枚方市規則第38号)」を定めています。

「副市長付 部長」という職の発令に際して、「えっ、規則にそんな職ってあったっけ?」と不思議に思いました。

市の職に設置に関しては、原則的には「市長部局の職制に関する規則」に定められています。同規則では、「部長は、部に置くこととされています(第3条第1項)。
「危機監理監」及び「子育ち支援監」については、職の設置の中で議論もありましたが(職なのか、組織なのか等々。今も疑問は残っています。)、その設置規則(「危機管理監の設置に関する規則」、「子育ち支援監の設置に関する規則」)が制定され、それぞれのもとに「参事、次長又は副参事を置くことがある」と定められています。

しかし、市ホームページの「例規集」に掲載されている内容を確認すると、「市長部局の職制に関する規則」には「副市長のもとに部長を置くことがある。」という定めはないんですよね。

そうなると、今回の人事異動で発令された「副市長付 部長」の設置根拠はない?、規則違反?、市長部局の中をさまよって宙ぶらりんになっているのでは?、と思い、市ホームページの「例規集」に掲載されている内容以降、「市長部局の職制に関する規則」に何らかの改正があったかどうか、担当部署に確認してみました。

担当部署の説明によると、市ホームページ掲載の「例規集」に反映されていない規則等の改正は「枚方市公報」に掲載しているのことで、「枚方市公報 第856号(令和3年9月公布の条例、規則等)」を教えてもらいました。

そこには、2021年(令和3年)10月1日付の規則改正(枚方市規則第64号)が掲載されていました。

その内容は、市長部局の職制に関する規則に規定のなかった「副参事」を設置することに伴う改正で、具体的には、「職の設置」を規定する第3条第1項の例外規定である第2項「前項の表に定めるもののほか、福祉事務所に次長を、技術職員を置く部、室及び課に監督、班長及び副班長を置くことがある。」を「前項の表に定めるもののほか、福祉事務所に次長及び副参事を、技術職員を置く部、室及び課に監督、班長及び副班長を置くことがある。」に改正していました。

さらに、第3条で定める「職」にある者の「職務」を第4条第1項で定めていました。
例えば、「部長」は「(1)市長及び副市長の命を受け、所管する部の事務を掌理し、その事務の処理について、所属職員を指揮監督すること。(2)市政の基本方針の決定について、市長及び副市長を補佐すること。」となっています。この第1項にあてはまらないものを、第2項(監督、班長及び副班長の職にある者の職務)、第3項(理事、参事、副参事、主幹及び副主幹の職にある者の職務)、第4項(前条第2項の規定に基づき福祉事務所に設置する次長の職にある者の職務は、おおむね福祉事務所長を補佐し、福祉事務所長が指定する担当事務を総括整理することとする)に定めていますが、ここに、新たに設置された「副参事」の職務を、第5項「前条第2項の規定に基づき福祉事務所に設置する副参事の職にある者の職務は、おおむね福祉事務所長の命を受け、福祉事務所長が指定する事務の執行の調整に当たることとする。」として追加するというのが、2021年(令和3年)9月30日公布、同年10月1日施行の規則改正(枚方市規則第64号)の内容でした。

これは、人事異動で発令された「副参事(重層的支援体制整備担当)」(2021年10月1日付採用の再任用職員)を位置づける改正のようですが、解散した財団法人枚方市文化国際財団での清算等が終了し、従事されていた職員を市に受け入れたことに人事発令であったようです。

 

この改正を反映させても、「えっ、規則にそんな職ってあったっけ?」と思った「副市長付 部長」の解にはたどり着けず…。

そこで、最新の情報は「掲示場」にあるかと思い、緑道に設置されている「掲示場」で確認した内容が、人事異動の発令日と同日である2021年(令和3年)11月10日公布(同日施行)の改正規則でした。
こういう収め方をされていたんですね…、という感じでした。

以下がその内容です。
↓↓↓

市長部局の職制に関する規則の一部を改正する規則をここに公布する。
 令和3年11月10日  枚方市長 伏見 隆(公印)

市長部局の職制に関する規則(平成15年枚方市規則第38号)の一部を次のように改正する。
第3条第2項中「ほか」の次に、「、市長部局に部長を」を加える。
第4条第4項を第5項とし、第3項の次に次の1項を加える。
4 前条第2項の規定に基づき市長部局に設置する部長の職にある者の職務は、おおむね次のとおりとする。
(1)市長及び副市長の命を受け、特命事項の執行に当たること。
(2)市政の基本方針の決定について。市長及び副市長を補佐すること。

附則
この規則は、公布の日から施行する。

↓↓↓

これは、「市長部局の職制に関する規則」にこれまで規定のなかった「副市長付 部長」を設置することに伴う改正で、具体的には、「職の設置」を規定する第3条第1項の例外規定である第2項「前項の表に定めるもののほか、福祉事務所に次長及び副参事を、技術職員を置く部、室及び課に監督、班長及び副班長を置くことがある。(←令和3年規則第64号改正赤字)」を「前項の表に定めるもののほか、市長部局に部長を、福祉事務所に次長及び副参事を、技術職員を置く部、室及び課に監督、班長及び副班長を置くことがある。(←令和3規則第70号改正、赤字」と改めています。

さらに、第3条で定める「職」にある者の「職務」を第4条第1項で定め、この第1項にあてはまらないものを、第2項~第5項に定めていますが(←令和3規則第64号改正、赤字、今回の改正(←令和3規則第70号改正、赤字は「第4条第4項を第5項とし、第3項の次に次の1項を加える。」となっているのですが、ん?、項ズレかな。このままですと、第5項がかぶってしまうのではないでしょうか…。

第4条 前条第1項又は第2項の規定に基づき設置する職にある者(次項から第4項までに規定する者を除く。)の職務は、おおむね次の表のとおりとする。
2 監督、班長及び副班長の職にある者の職務は、おおむね次の表のとおりとする。
3 理事、参事、副参事、主幹及び副主幹の職にある者の職務は、おおむね次の表のとおりとする。
4 前条第2項の規定に基づき市長部局に設置する部長の職にある者の職務は、おおむね次のとおりとする。
(1)市長及び副市長の命を受け、特命事項の執行に当たること。
(2)市政の基本方針の決定について。市長及び副市長を補佐すること。
45 前条第2項の規定に基づき福祉事務所に設置する次長の職にある者の職務は、おおむね福祉事務所長を補佐し、福祉事務所長が指定する担当事務を総括整理することとする。
5  前条第2項の規定に基づき福祉事務所に設置する副参事の職にある者の職務は、おおむね福祉事務所長の命を受け、福祉事務所長が指定する事務の執行の調整に当たることとする。

 

さて、人事異動の発令にあわせて、職制に関する規則を改正しても、また次の問題が生まれるのではないでしょうか。つまり、「副市長付 部長」という「職」は、機構・組織のあり方として、どんな必要性にもとづき、何を目的にして置かれた職であるのか。そのことで何か問題が生じないのか。
市長及び副市長の命を受け、特命事項の執行に当たること。」と同じ職務がその一部に規定される「理事」(第4条第3項)と何がどう異なるのか。(「理事」は前述の他に、「市長及び副市長の命を受け、市議会との連絡調整及び部間の事務執行の調整を図ること」「市長に対し、政策に関して意見を具申すること」「市長が指定する理事にあっては、市長の命を受け、副市長の職務の一部について、その執行に当たること」が規定)
市政の基本方針の決定について、市長及び副市長を補佐すること。」と同じ職務が規定される「部長」(第4条第1項)と何がどう異なるのか。(「部長」は前述の他に、「市長及び副市長の命を受け、所管する部の事務を掌理し、その事務の処理について、所属職員を指揮監督すること」が規定)
なぜ、議会に報告もしないで年度途中に開始するのか。コンプライアンスの観点から鑑みて、懲戒処分を受けた「副市長付 部長」がどんな特命事項の執行に当たるのか。今回の処分と人事異動は関係があるのか、ないのか。
規則改正の方法としては、第3条「職の設置」の第1項の表(置くことができる職)の「理事」の次に「、部長」を加えるという改正もあったのかなとも思われますが、第4条「職務」で定められたようです。これは、市長部局に置く部長は各部の部長よりも上の職位になるのか、等々…。
いろいろと疑問がわいてきますし、確認すべき内容も多いのではないかと考えています。

 


※以下はホームページの例規集より転載(令3規則37まで反映分

市長部局の職制に関する規則 (平成15年5月26日 規則第38号)

(職の設置)

第3条 市長部局に置き、又は置くことができる職は、次の表に定めるとおりとする。

区分

置く職

置くことができる職

市長部局

 

理事

室又は課を置く部

部長、次長

参事、副参事

室又は課を置かない部

部長、次長、課長代理

参事、副参事、課長、主幹、副主幹、係長、主任

課を置く室

室長

 

課を置かない室

室長、課長代理

課長、主幹、副主幹、係長、主任

課長、課長代理

主幹、副主幹、係長、主任

2 前項の表に定めるもののほか、福祉事務所に次長を、技術職員を置く部、室及び課に監督、班長及び副班長を置くことがある。

3 職員への職の発令に際して、前2項に規定する職の名称は、組織の名称又は職務に適したものを用いることがある。

(平16規則18・平18規則13・平19規則28・平20規則10・平21規則16・平24規則32・平26規則86・平28規則33・平28規則51・平29規則43・平30規則38・令3規則37・一部改正)

(職務)

第4条 前条第1項又は第2項の規定に基づき設置する職にある者(次項から第4項までに規定する者を除く。)の職務は、おおむね次の表のとおりとする。

区分

職務

部長

 (1) 市長及び副市長の命を受け、所管する部の事務を掌理し、その事務の処理について、所属職員を指揮監督すること。
(2) 市政の基本方針の決定について、市長及び副市長を補佐すること。

次長

 所属部長を補佐し、所属部長が指定する担当事務を総括整理すること。

室長

 所属部長の命を受け、所管する室の事務を掌理し、その事務の処理について、所属職員を指揮監督すること。

課長

 (1) 所属上司の命を受け、所管する課の事務又は担当事務を掌理し、その事務の処理について所属職員を指揮監督すること。
(2) 所管する課の事務又は担当事務の執行について、所属職員が最善の努力を払い、かつ、有効な方法で執務するよう指導教育を行うこと。
(3) 部の総務を担当する課の課長にあっては、所属部長及び次長を補佐し、部内各課の事務事業の執行の調整を図ること。

課長代理

 (1) 所属上司の命を受け、グループの担当事務を執行するとともに、グループの事務の処理について所属職員を指揮監督すること。
(2) 所属上司を補佐し、所属上司が指定する担当事務を総括整理すること。
(3) 所属上司に協力して、所属職員の指導教育を行うこと。

係長

 (1) 所属上司を補佐するとともに、所属上司の命を受け、グループの担当事務の処理について、所属職員を指揮監督すること。
(2) 所属上司に協力して、所属職員の指導教育を行うこと。

主任

 所属上司の命を受け、グループの担当事務の処理について、所属職員の指導教育を行うこと。

2 監督、班長及び副班長の職にある者の職務は、おおむね次の表のとおりとする。

区分

職務

監督

 (1) 所属上司の命を受け、グループの担当業務を総括するとともに、その処理について、所属技術職員を指揮監督すること。
(2) 所属上司に協力して、所属技術職員の指導教育を行うこと。

班長

 (1) 所属上司の命を受け、グループの担当業務の処理について、所属技術職員を指揮監督すること。
(2) 所属上司に協力して、所属技術職員の指導教育を行うこと。

副班長

 所属上司に協力して、所属技術職員の指導教育を行うこと。

3 理事、参事、副参事、主幹及び副主幹の職にある者の職務は、おおむね次の表のとおりとする。

区分

職務

理事

 (1) 市長及び副市長の命を受け、市議会との連絡調整及び部間の事務執行の調整を図ること。
(2) 市長に対し、政策に関して意見を具申すること。
(3) 市長及び副市長の命を受け、特命事項の執行に当たること。
(4) 市長が指定する理事にあっては、市長の命を受け、副市長の職務の一部について、その執行に当たること。

参事

 所属部長の命を受け、所属部長が指定する担当事務の執行に当たること。

副参事

 所属部長の命を受け、所属部長が指定する事務の執行の調整に当たること。

主幹

 所属部長の命を受け、所属部長が指定する担当事務の執行に当たること。

副主幹

 所属部長の命を受け、所属部長が指定する事務の執行の調整に当たること。

4 前条第2項の規定に基づき福祉事務所に設置する次長の職にある者の職務は、おおむね福祉事務所長を補佐し、福祉事務所長が指定する担当事務を総括整理することとする。

(平16規則18・平17規則26・平18規則13・平19規則28・平20規則10・平21規則16・平24規則32・平26規則86・平28規則33・平28規則51・平29規則43・平30規則38・令2規則54・令3規則37・一部改正)

 


 

【2022年1月追記】

令和3年12月1日規則第72号により、項ズレは修正されていました。

第4条(抜粋)

4 前条第2項の規定に基づき市長部局に設置する部長の職にある者の職務は、おおむね次のとおりとする。
(1) 市長及び副市長の命を受け、特命事項の執行に当たること。
(2) 市政の基本方針の決定について、市長及び副市長を補佐すること

5 前条第2項の規定に基づき福祉事務所に設置する次長の職にある者の職務は、おおむね福祉事務所長を補佐し、福祉事務所長が指定する担当事務を総括整理することとする。

6 前条第2項の規定に基づき福祉事務所に設置する副参事の職にある者の職務は、おおむね福祉事務所長の命を受け、福祉事務所長が指定する事務の執行の調整に当たることとする。

(平16規則18・平17規則26・平18規則13・平19規則28・平20規則10・平21規則16・平24規則32・平26規則86・平28規則33・平28規則51・平29規則43・平30規則38・令2規則54・令3規則37・令3規則64・令3規則72・一部改正)

^