「子どもは、一人の人間であり、かけがえのない大切な存在」で始まる子どもの権利条例を全国で10番目に制定し、子どもの権利救済制度も備え持つ志免町。こどもがこどもらしく生き、学び、育ちゆく、「こどもにやさしいまち」の実現に向け、子どもアドボカシーに取り組む福岡市。今年度の教育子育て常任委員会の行政視察のテーマは「子どもの権利」です。

2024/11/06

枚方市議会議員の奥野みかです。

教育子育て常任委員会の今年度の先進都市研修(行政視察)のテーマは「子どもの権利/子どもの権利条約を踏まえた子どもの意見の反映に関する取り組みについて」で、2024年11月5日~6日、福岡県の福岡市志免町に行かせていただきました。

【福岡市/子どもの権利サポート事業など子どもアドボカシーに関する取り組みについて】

 

福岡市は、全国に先駆け、子どもの意見表明を支援する「子どもの権利サポート事業」を開始し、子どもの権利を守る「子どもアドボカシー」を推進しています。
子どもが「権利の主体者」であることを自覚し、自ら声をあげることができるようエンパワーするプログラム、意見形成・意見表明の仕方を学ぶ「子どものためのワークショップ」、また、子どもの声に耳を傾け、尊重する環境(おとな・社会)整備、「アドボカシー文化」を育てていくため大人が子どもの権利について学ぶ「子どもアドボカシー出前講座」、「子どもアドボケイト養成講座」など等、こどもの意見を尊重し、こどもにとって最もよいこと(最善の利益)を実現するためのさまざまな取り組みについて聞かせていただきました。

福岡市には子どもの権利条例はないけれども、「子ども総合計画」に子どもの権利を尊重し「子どもの最善の利益」を考慮した社会全体の取り組みについて明確に示し、「第5次_福岡市子ども総合計画」からは子どものアドボカシー(権利擁護、意見表明の支援、代弁など)の推進についての取り組みも記しているとのことでした。子どものアドボカシーについては、専門性を有する第三者の存在が重要ですが、福岡市においては、行政とNPO団体との連携が特徴的でした。

さらに、「NPO法人子どもアドボカシーセンター福岡」「子どもNPOセンター福岡」等と行政との協働を支える「地域・学校ワーキングチーム」といったプロジェクトの実施体制についても参考になりました。

 

その後、児童相談所の機能も有する福岡市こども総合相談センター「えがお館」を見学させていただきました。
1990年の構想から基本計画の策定を経て2003年に開館した「こども総合相談センター」は、現在の支援にも通じる機能を備えており、公共施設の整備にかかる計画の重要性について改めて考えさせられました。

なお、福岡市では、毎月1~7日を「「『い~な』ふくおか・子ども週間♡」と定めているようです。

◇「第5次_福岡市子ども総合計画」(抜粋

▶第5次_福岡市子ども総合計画」実施状況の点検・評価について
(※2023年11月20日開催の福岡市こども・子育て審議会の会議資料から、いずれも、「目標3_さまざまな環境で育つ子どもの健やかな成長」に関する部分を抜粋)

「施策別進捗状況・自己評価一覧」

「第5次福岡市子ども総合計画」施策別進捗状況・自己評価(個票)


「第5次福岡市子ども総合計画」における関連指標の状況 

◇「NPO法人子どもアドボカシーセンター福岡


◇広報活動(福岡市)

【志免町/子どもの権利条例や子どもの権利救済制度などについて】

 

志免町では、2007年4月に、「子どもは、一人の人間であり、かけがえのない大切な存在です。子どもには、人間として生きていくための当然の権利があります。」との前文で始まる「志免町子どもの権利条例」が施行されています。

九州の自治体としては初めて、全国でも10番目と非常に早いわけですが、施行と同時に、子どもの権利を守る制度として、独立した公的な第三者機関としての「子どもの権利救済委員」が3名任命され、さらに、同年中に、子どもの相談窓口として「子どもの権利相談室_SK²S(スキッズ)」が設置され、この相談室にいる「子どもの権利相談員」が、子どもや保護者からの相談を受け付けることになっているようです。
さらに、条例に基づく施策の実施状況を検証し、真に子どもの権利を保障することにつながっているかについて、第三者的な立場から調査・審議をする「子どもの権利委員会」も設置されています。

その他、条例に基づく施策として、中学生から18歳までの「子どもの居場所(リリーフ)」があったり、「しめまち子どもの権利の日(11月20日)」を定め、例えば、子ども実行委員などによる「子どもの権利フェスタ」の開催なども行われているとのことでした。
研修会場の入口にも、文化祭や子どもの権利かるた大会のパネル展示もしていただき、とても嬉しく思いました。
「志免町子どもの権利条例」の目的である、「子どもの最善の利益を第一に考えながら、子どもの権利の保障を図ること」につながる、本当に盛りだくさんの先進的な取り組みに学ばせていただきました。

学んできたことを生かせるよう、枚方市の状況を振り返っていきたいと思っています。

 

◇「志免町子どもの権利条例

◇「第5期_志免町子どもの権利委員会報告書

◇「令和5年度子どもの権利救済活動報告(2023)

◇「志免町子ども未来プラン(子ども・子育て支援事業計画)(※抜粋)」(ダイジェスト版

◇「旧志免鉱業所竪坑櫓

▶ 福岡県糟屋郡志免町にある【旧志免鉱業所竪坑櫓(きゅうしめこうぎょうしょたてこうやぐら) 】は、国の重要文化財に指定され、志免町のシンボルとして地域の方々に愛されています。(竪坑櫓特設サイト)

▶ 国の重要文化財である竪坑櫓の修理工事について

 

 


◇「こども基本法

 

こども基本法に基づくこども施策の策定等へのこどもの意見の反映について(自治体向けQ&A)
2022年6月に成立したこども基本法においては、第3条第3号、同条第4号で、年齢や発達の程度に応じたこどもの意見表明機会の確保・こどもの意見の尊重が基本理念として掲げられるとともに、第11条で、こども施策の策定等に当たってこどもの意見の反映に係る措置を講ずることを国や地方公共団体に対し義務付ける規定が設けられています。こどもの最善の利益を実現する観点から、こどもや若者の意見を年齢や発達の程度に応じて積極的かつ適切にこども政策の策定等に反映できるよう作成された質疑応答集(Q&A)

◇「こども大綱

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