「自治労ひらかた」に連載されていた「枚方市施設の豆知識」シリーズ(その1)です。

2022/10/17

枚方市議会議員の奥野みかです。

自治労ひらかた(自治労枚方市職員関係労働組合の機関紙)に連載されていた「枚方市施設の豆知識」シリーズについて、より多くの皆さんにも知っていただければと思い、組合の許可を得て、私のホームページに掲載させていただきました。
ちょこっと「豆知識」、参考にしていただければ嬉しいです。

 

【第1回/枚方市駅】

 

▼京阪電鉄開業当時、枚方町の中心だった枚方駅は現枚方公園駅。ここは枚方西口と呼ばれ、現枚方市駅は枚方東口だった▼1970(昭45)年前後に枚方市駅周辺は市の中心市街地として発展。だが、駅は狭いプラットホームに乗降客があふれて危険で、駅の南北は「開かずの踏切」で分断されて交通渋滞を引き起こしていた▼1978(昭和53)年に京阪本線・交野線の連続立体交差事業が着工され、枚方市駅周辺の高架化は1993(平成5)年3月に完成した。しかし、枚方公園駅・光善寺駅・香里園駅周辺は鉄道が地上を走る状態のままで、危険な踏切が数多く残された▼その3駅を高架化の対象駅とする連続立体交差事業が2013(平成25)年に都市計画決定・事業認可され、2022(令和4)年度から鉄道本体工事が着手される。事業の完成時期は2028(令和10)年度以降になる見込みで、完成時期の目途が立つのは2026(令和8)年度頃という▼事業主体の大阪府や、京阪電鉄と一緒に事業を進めている枚方市役所の担当部署は、都市整備部市街地整備室連続立体交差課だ。

(※市制施行65周年記念冊子「写真で見るひらかた今昔」より抜粋。クリックするとPDFファイルが開きます。)

 

 

【第2回/総合福祉会館】

 

▼枚方市駅の北口から淀川に向かって徒歩3分。府道京都守口線を渡った新町2丁目地区は工場跡地だった。1920(大正9)年、日本メリヤス枚方工場が操業を開始。1924(大正13)年に倉敷紡績に売却され、1996(平成8)年に工場が閉鎖されるまでクラボウ枚方工場だった▼枚方市は東側の用地を買収し、総合文化会館と総合福祉会館を建設する計画を決定。二つを合築した施設の設計コンペを実施し、選定された案に基づく基本設計まで完了した。しかし、財政悪化と新清掃工場建設等の主要事業の重なりを理由に総合文化会館の整備は分離して延期。総合福祉会館だけを整備し、1998(平成10)年10月に開館した。愛称はラポールひらかた。なお、ラポールは「信頼関係」を意味するフランス語で、施設の管理運営にあたる指定管理者は枚方市社会福祉協議会を代表団体とするHUGだ▼工場西側の敷地には関西医大附属枚方病院が2006(平成18)年に開院。2013(平成25)年には病院に隣接して大学の学舎が開設された。

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【第3回/総合文化芸術センター】

 

▼元々、1998(平成10)年10月に開館した総合福祉会館(ラポールひらかた)と一体の建築物として設計された総合文化会館だったが、整備を延期するために分離された▼その後、施設性格や規模等を再検討し、新たな整備計画を策定。2015(平成27)年に新たな設計事業者が公募型プロポーザルで選定された。2018(平成30)年10月、建設工事に着工。2021(令和3)年9月に開館した▼施設は、大ホール1,468席、小ホール325席、イベントホール、美術ギャラリー、創作活動室、リハーサル室、カフェ、マルチスペース、施設前広場等を備え、高機能で魅力的な枚方市のランドマークとなった。なお、これらの施設はセンターの本館で、元メセナひらかた会館がセンターの別館とされた。別館についても改修工事が行われ、2022(令和4)年4月1日にリニューアルオープンした▼指定管理者はサントリーパブリシティサービスを代表団体とするアートシティひらかた共同事業体だ。

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【第4回/元枚方市市民会館(本館)】

 

▼総合文化芸術センター別館は元メセナひらかた会館。その前は勤労者総合福祉センターと施設性格は変遷を重ねてきた。総合文化芸術センター別館とするにあたっての改修工事が2022(令和4)年3月に完了。同月に閉館する市民会館(本館)の利用者を受けとめるため貸会議室が増やされた▼市民会館は、1963(昭和38)年に1階部分を市立労働会館として、1965(昭和40)年に2・3階部分を増築して市民会館として開館した。当時、1階は会議や催し物会場、2階は天津殿という結婚式場だった。2011(平成23)年に廃止されるまで、数多くの新婚カップルに現代的な結婚式会場を提供した。また3階は府立枚方ブックステーション(その後、枚方図書館)、青少年センター、4階は音楽室として利用された。当時、市内で初めての本格的な文化施設で、市民からも多額の寄附が寄せられた▼総合文化芸術センター整備に伴い2022(令和4)年3月末に廃止。4月以降は枚方市役所庁舎(第3分館)として使用されている。

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【第5回/元枚方市市民会館(大ホール)】

 

▼市民会館大ホールは、1971(昭和46)年1月に完成。枚方市の文化芸術の拠点施設としての役割を担ってきた。多目的ホールとして利用率も高く、アリスやキャンディーズ、加藤登紀子など様々なアーティストのコンサートなども開催されてきた▼しかし、全国で同種施設の建設が進み、施設水準が高まる中で数多くの課題が表面化した。一つは耐震性能などの安全性。次にバリアフリーでないこと、狭い座席・外部での入場待機などの快適性。そして大小ホールが同時稼働できない、舞台の狭さや音響・舞台機構等の性能上の問題であった▼新しい総合文化施設への建替が延期される中で、舞台周りの設備や座席の更新、ホール内外壁の改修、天井落下防止工事や耐震補強工事が重ねられたが、2018(平成30)年6月、大阪北部地震で大ホール天井が損傷。総合文化芸術センターの開館を待たず大ホールは廃止。小ホール・ロビーも2021(令和3)年9月末に廃止され、次の事業展開に伴う解体を待っている。


※牧方市市民会館閉館記念誌「ありがとう市民会館」に市民会館の歴史が記されています。

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枚方市市民会館の経過について

 

【第6回/枚方市立やすらぎの杜】

 

▼車塚1丁目にある「やすらぎの杜(もり)」は市立火葬場。「安らかな眠り」と葬送する側の「心安らか」な気持ちの「やすらぎ」に、周辺の植生をイメージする「杜」を加えて名付けられた▼2008(平成20)年5月に稼働し、火葬炉12基、告別室3室、炉前ホール1室、待合ロビー1室、待合室4室、収骨室3室、霊安室、多目的室、軽食コーナー、駐車場を備える現代的な施設だ。指定管理者は五輪・日本管財グループ▼この施設ができる前に隣接地にあった旧火葬場は、地元の共同墓地の火葬場を市営火葬場として1950(昭和25)年に新装したもの。夜間にしか火葬できなかったため、新しい火葬場の整備が市の長年の懸案課題だった▼当初、東部地域に整備する計画だったが、小松製作所枚方工場の縮小で生じた跡地に関西外国語大学が移転したことから、同大学の片鉾キャンパス跡地に新火葬場や防災公園、都市計画街路、中央図書館などを整備する計画に転換し、実現した。

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【第7回/輝きプラザきらら】

 

▼小松製作所枚方工場の縮小で生じた跡地に関西外国語大学が移転。同大学の片鉾キャンパス跡地に対して市は「安心と輝きの杜整備計画」を策定、総合的な整備を進めた▼新火葬場、都市計画道路楠葉中宮線、中央図書館の整備と並んで重要だったのが人材育成複合拠点施設の整備。公募で「輝きプラザきらら」と名付けられたこの施設は元関西外大の本部棟。火葬場の隣地に位置することになるこの建物を2002(平成14)年に市が買収。既存の建築形態を最大限に活用して改修整備した▼大学のオフィス階は教育委員会事務局に、教室・教授室・レセプションホールの階は地域活性化支援センターとされた。地域防災センターや備蓄倉庫、生涯学習プラザで構成されたこの施設は2005(平成17)年にオープンした▼なお、都市基盤の一体的整備は都市再生機構(当時。現UR都市機構)が実施する防災公園街区整備事業を活用して行われた。防災公園と周辺市街地の整備改善を一体的に実施する事業で、全国で6箇所目の事例だった。

 

 

【第8回/中央図書館】

 

▼中央図書館は、元々、関西外国語大学片鉾キャンパスの図書館棟で、エントランス及びその上層階(新図書館棟)は増築後8年、増築前の図書館棟は築後14年であった。2002(平成14)年、市がキャンパス跡地を総合的に整備する際に寄贈を受け、敷地は車塚公園に、建築物は改修して2005(平成17)年4月に中央図書館としてオープンした▼施設規模は地下1階・地上7階建で専有面積は約9,300㎡。蔵書冊数は約44万冊だ。中央図書館に求められる専門書等も閲覧できる特色ある開架図書館としての機能と、中央書庫の役割、分館・分室・自動車文庫・学校図書室等を支えるバックアップ機能等を備えている▼また、公園に面した地下階にはカフェが設置されている。大学図書館時代は学生食堂だった場所だ。立地が原因で経営が困難なことから事業者の入れ替わりが激しかったが、現在、レンタルボックス サーコママがカフェを運営している。

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【参考】

市制施行65周年記念冊子「写真で見るひらかた今昔」

市内で撮影された昔の写真を現在の写真と比較しながら市の歴史や変遷を記録したもので、懐かしいまち並みや風景、稲作や祭りといった風俗など、当時の人々の暮らしぶりを市民が語る思い出とともに紹介されています。市制施行65周年を記念して、「広報ひらかた」で連載していた「写真で見るひらかた今昔」をまとめて発行されたものです。

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