「自治労ひらかた」に連載されていた「枚方市施設の豆知識」シリーズ(その2)です。

2022/10/17

枚方市議会議員の奥野みかです。

自治労ひらかた(自治労枚方市職員関係労働組合の機関紙)に連載されていた「枚方市施設の豆知識」シリーズについて、より多くの皆さんにも知っていただければと思い、組合の許可を得て、私のホームページに掲載させていただきました。第2弾です。
ちょこっと「豆知識」、参考にしていただければ嬉しいです。

 

【第9回/市立ひらかた病院(1)】

 

▼2014(平成26)年9月、市立枚方市民病院から名称を変更した市立ひらかた病院が開院した。2015(平成27)年10月には、全許可病床335床(感染病床8床含む)が稼働。2016(平成28)年12月、新病院開院後も進められていた旧病院の解体撤去、駐車場・自転車駐車場・芝生広場の整備等の新病院整備工事のすべてを完了。2017(平成29)年1月に市立ひらかた病院はグランドオープンした▼市民病院は1962(昭和37)年に1次、1969(昭和44)年に2次、1979(昭和54)年に3次の増改築を行い、地域の中核的な医療機関としての機能を高めてきたが、建築物の老朽化に伴う建て替えが重要な課題となった。特に1995(平成7)年に発生した阪神淡路大震災で大きく損傷した病院があったことから、市民病院の耐震性能の不足が問題とされた▼しかし、2000(平成12)年、市民病院では様々な不祥事が発覚し、その一部は刑事事件にも発展した。病院の信頼は大きく傷つき、来院患者の減少等により経営状態が急激に悪化した。病院の建て替えへの苦難の道がここから始まった。

 

【第10回/市立ひらかた病院(2)】

 

▼病院の建替えは、施設が古くなったからという理由だけで実現できるものではない。公立病院を設置し運営するためには多額の市税を投入しなければならないからだ。更に市民病院では2000年に不祥事が発覚し、経営状態が急激に悪化していた▼信頼回復と再建のため、庁内外に様々な検討組織が設置され、市民病院基本構想が2003年に、市民病院基本計画が2005年に策定された。しかし、それらは病院の改革が主テーマで、建替えを方向づけるものではなかった▼更に建替えを否定する考え方が議会等で強まったのは、枚方市駅北口のクラボウ枚方工場跡地に2006年関西医科大学附属枚方病院が開院したためだった。枚方は無医村ではない。公立病院の役割は大学病院や星ケ丘厚生年金病院(当時)等で担えるのではないかという指摘だ▼そうした障壁を乗り越え、2007年に新病院整備計画を策定。2009年には、新病院整備実施計画の策定、基本設計の発注、用地買収という新病院整備事業に着手することになった。

 

【第11回/市立ひらかた病院(3)】

 

▼様々な障壁を乗り越え病院を建替え、新しい病院運営に乗り出すことができた理由には次の4点が考えられる▼(1)市民病院の存在価値を裏付けできる提供医療領域があったこと。(2)職員が一体となった経営改革で黒字転換ができたこと。(3)隣地の国家公務員宿舎用地が集約建替えのため売却されることになり、立地問題が解決したこと。(4)事業管理者・病院長といった経営トップの熱意である▼1986年以降、市民病院では小児科の夜間救急診療日を段階的に増やし、2000年からは全日実施していた。また、産科を含め地域の夜間救急体制主力病院でもあった。1977年の第3次増改築時からは伝染病床、1999年の法改正以降は感染病床を8床設置する病院でもあった▼子どもの夜間の急な病気で市民病院にお世話になった。救急医療や感染症医療等の必要だが不採算な医療は公立の市民病院でしか担えない。こうした市民の声や地域の医師たちの意見が市長や議会を動かして新病院の建設を可能にし、新病院の特徴を形作ったといえる。

 

【第12回/市立ひらかた病院(4)】

 

▼ひらかた病院の施設・機能で注目すべき大きな特徴は感染症医療の機能である。大阪府の第2種感染症指定医療機関で、8床の感染症病床がある。新病院建設にあたり、全室が陰圧個室とされた。強毒性感染症にも対応可能な診察室が隔離エリアに設置され、感染症病棟専用エレベーターで他の患者と接触することなく感染病棟に移動することが可能となった。さらに、発熱外来の設置を想定して正面駐車場側に感染診察室や専用出入口、小児科外来が配置され、ドライブスルー型の運用も可能となった▼こうした設計上の工夫は、基本設計を行った1996年に新型インフルエンザ(H1N1)のパンデミックが発生し、対応に苦労した経験を踏まえたものだ。新病院の建設には総額で約3億9千万円の国・府補助金が交付されているが、そのうち約1,900万円は感染症医療機関としての施設・設備の整備費用に対する補助金であった▼現在の新型コロナウイルス感染症への対応を準備した「前史」と言える。

 

【第13回/市立ひらかた病院(5)】

 

▼ひらかた病院の施設・機能の特徴で感染症医療以外のものでは、災害医療センター機能がある。だから大規模地震の際にも病院機能が維持できるよう建物は免震構造で、非常用発電設備も強化されている。主玄関前には芝生広場が設けられ、発災時の活動場所を確保。さらに2階に講堂を配置し、災害時には医療活動スペースとして利用できるよう医療ガス設備などが備えられた。また、近くの外来用エレベーターはストレッチャー搬送が可能なサイズとされた▼もう一つは、がん治療である。ひらかた病院は新病院開院後の2016年、大阪府がん診療拠点病院に指定されたが、がん治療のための施設・設備が充実している。7室の手術室のうち2室は旧病院時代から力を注いできた内視鏡外科手術の専用室で、今年には手術支援ロボットダ・ヴィンチも導入される。2階には外来化学療法室、地下には放射線治療装置が整備され、7階には充実した環境の緩和ケア病棟が設けられた▼施設・設備(ハード)は、担うべき役割・機能(ソフト)によって決まることを示す好例だ。

(※画像をクリックするとHPにリンクします。)

(※市制施行65周年記念冊子「写真で見るひらかた今昔」より抜粋。クリックするとPDFファイルが開きます。)

 

【第14回/香里ケ丘図書館】

 

▼香里ケ丘図書館が建替え工事を終えてリニューアルオープンしたのは、2020年7月22日。旧図書館の前身である香里ケ丘分室が、市内で最初の図書館分室の一つとして当時の日本住宅公団事務所(香里ケ丘3丁目)の3階に開設されたのも47年前の同日だった▼1974年には日本住宅公団(現UR)の土地を無償で借り受け、現在の場所に新築移転。その後、増築を行って閲覧室を拡大。自動車文庫基地の移転や集会室の増築などもなされた。しかし、築年数が経つにつれて老朽化が著しくなり、閲覧室の狭さも深刻だった▼そこで市は2017年3月、香里ケ丘図書館建替え基本計画を策定。2018年4月には香里ケ丘図書館・中央公園の一体的な整備の考え方を公表し、図書館及び隣接公園との景観・動線・機能の連携を強化した施設整備を進めることにした▼新図書館はCD・DVDの視聴席、インターネット閲覧席、自習コーナー、多目的室等の新機能が満載。指定管理者は図書館と公園を一体管理している。


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【参考】

市制施行65周年記念冊子「写真で見るひらかた今昔」

市内で撮影された昔の写真を現在の写真と比較しながら市の歴史や変遷を記録したもので、懐かしいまち並みや風景、稲作や祭りといった風俗など、当時の人々の暮らしぶりを市民が語る思い出とともに紹介されています。市制施行65周年を記念して、「広報ひらかた」で連載していた「写真で見るひらかた今昔」をまとめて発行されたものです。

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