すべての子どもたちが、地域でともに育ちあうよう「ともに学び、ともに育つ」教育をめざしてきた枚方市の支援教育が変わるのか?
枚方市議会議員の奥野みかです。
7月27日、「大阪の『ともに学ぶ教育』が変わる?『特別支援学級で半分以上の授業を』文科省の通知が波紋 分断危ぶむ声も」という記事が「朝日新聞EduA」に掲載されました。
「大阪府内で長年続いてきた、障害のある子もない子も通常学級でともに学ぶ教育の形が変わろうとしています。きっかけは文部科学省が今年4月に出した通知。特別支援学級に在籍する児童生徒は授業時数の半分以上を支援学級で学ぶよう求める内容で、保護者や先生たちからは不安の声が上がっています。」と記事にあり、枚方市の保護者の声、現場の教員の声もインタビューされて掲載されています。
文科省はなぜ、支援学級の児童生徒は「授業時数の半分以上」を支援学級で学ぶことを求める通知を出したのかについては、「大阪府を含む一部の自治体を対象に実施した調査で、支援学級に在籍する児童生徒が大半の時間を通常学級で学び、障害の状態や特性に応じた指導を十分に受けていない事例があることが明らかになったことから、改めて通知を出すことになった。支援学級で半数以上の時間を過ごす必要がないのであれば、通常学級に在籍する方が『ともに学ぶ』という観点に整合的だ」とのこと。
「文科省の通知を受けて大阪府教委も5月、市町村教委に向けて同様の通知を出した。府教委の担当者は「ただ『ともに学ぶ』というだけでなく、一人一人の状況に合わせた指導の中身が問われているのであって、時間数ありきではない」とする。今のところ、通知を受けて具体的な変更案を発表しているのは枚方市だけだが、「これまでのやり方をもう一度見直す機会と捉え、それぞれの自治体が来年度に向けてアクションを起こす必要がある」と求めている。」とも記載されています。
「今後の枚方市の支援教育」に関して、枚方市では大きな議論が起こっています。
本来的な目的を確認し、これまでのやり方を改めて見直す機会にしたい、という教育委員会の思いもあるようですが、保護者にとっては、想定していなかった市教委からの通知文が、5月、突然、手元に届いたという状況です。
それは、「学びの場」に関する大きな変更を意味するものであったにもかかわらず、教職員への説明もなく、保護者へのプリント配布のみという不誠実な対応であったため、保護者の疑問や不安を増長させてしまい、さらに、支援学級での授業内容及び時数の変更、それに伴う通級指導教室の利用について等、不十分な内容であったにもかかわらず、保護者に対する説明も十分に行われなかったことから、学校現場に大きな混乱を招くことになりました。
その結果、市教委は、6月に再度、内容を補足した「今後の枚方市の支援教育について(お知らせ)」を配布、保護者説明会を行うことになりました。とはいえ、市教委に対する不信感は払拭されておらず、保護者の理解を得るまでには至っていないのが現状です。
2022年6月28日及び7月2日に開催された保護者説明会の資料及び動画、質疑内容は、市のHPにアップされています。市からの通知等も掲載されています。(※以下にも転載)
今後の枚方市の支援教育について
▶ 今後の枚方市の支援教育に関する通知等
01 今後の枚方市の支援教育について(お知らせ)→保護者の皆様に向けてのお知らせ(2022年6月)
02 枚方市の支援学級・通級指導教室について→枚方市の支援学級・通級指導教室についてのリーフレット(2022年6月版)
03 (府通知文)特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について(写)→大阪府教育庁の通知(2022年5月10日)
・本通知の内容について十分にご了知の上、障がいのある子どもたち一人ひとりの教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できるよう、以下の点を踏まえた適切な対応をお願いします。
04 (文科省通知文)特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について(写)→文部科学省の通知(2022年4月27日)
・支援学級に在籍している児童生徒が、大半の時間を交流及び共同学習として通常の学級で学んでいる場合には、学びの場の変更を検討すべき。
・ 原則として週の授業時数の半分以上を目安として支援学級において児童生徒一人ひとりの障害の状態や特性および心身の発達の段階等に応じた授業を行うこと。
05 支援教育に係る保護者説明会QAについて(回答)→保護者説明会の開催にあたり、申込時にいただいたご質問とその回答
▶保護者説明会資料
「枚方市の支援教育のこれまでとこれから」(※上記資料より抜粋)
市教委は、児童・生徒一人ひとりに寄り添った支援教育となるよう、努めていくと記されていますが、昨日(7月28日)、連合市民の会として、市長及び教育長に対して、「要望書」を提出しました。
その中で、「今後の枚方市の支援教育」について、しっかりと課題整理をおこない、「学びの場」の拙速な変更を行うのではなく、撤回も含めて再検討を行うこと、また、支援学校を選ばず、「障害」の有無に関係なく、集団の中で育ちあうことを願い、地域の学校に入学されている子どもたち及びその保護者の思いに寄り添うこと、この2点を強く求めています。保護者の不安を増幅させる対応はしないでいただきたい。
要望書の提出にあたっては、教育長の考えも聞かせていただきながら意見交換をさせていただきました。