すべての市立小学校の水泳授業における民間活力の活用を図る計画策定のための課題整理として、今回は、民間事業者に対するヒアリング結果の報告から。(教育子育て委員協議会報告③)
枚方市議会議員の奥野みかです。
8月28日に開催された教育子育て委員協議会の報告③です。
(3)市立小学校の水泳授業における民間活力の活用について[教育政策課、新しい学校推進課、教育指導課]
2021年12月に「市立小学校の水泳授業における民間活力の活用について~基本的な考え方~」を策定し、2022年度から実施校を拡大しながら実施。
その後、この間の物価高騰などによる社会状況の変化や、事業実施の中で明らかになった課題などもあることから、改めて課題等の整理を行った上で、本事業の今後の方向性を示す計画の作成期間を2024 年度まで延長。現時点で生じている課題等について対応策などを整理することとしていた。
今回、各施設(民間事業者)へのヒアリングの結果等について、報告するもの。
◇施設(民間事業者)からの意見について
【対象者】
市内および近隣の民間水泳施設_計14施設を運営する計9事業者
【意見】
① 施設の受入れ枠拡大について
② 契約手法について
③ 送迎バスについて
④ スタッフ派遣について
⑤ その他、本事業に対する意見等について
● 本ヒアリングを踏まえた受入れコマ数の見込みについて
※「およそ1,760コマ」<「およそ1,820コマ」(理論的には「可能」)
◇ヒアリング結果を踏まえた今後の検討事項について
施設側の受入れ可能コマ数について、計算上では、全学校での実施に必要な数を上回る見込みであるため、次の事項について検討を行う。
・通年での実施を想定した、学校行事のスケジュールなど学校との調整や保護者の理解
・施設と学校の効率的なマッチングを進めるため、効果的な指導時間との両立が可能なバスによる移動時間の考え方の整理
・学校と施設間を送迎するバスの確保
・複数校合同実施などコマ数の効率的な活用手法
・安定的な事業実施のためのセーフティネットの考え方の整理や、複数年契約の検討
・スタッフ派遣の考え方の整理、実施校の選定や持続的な実施に向けた仕様の見直し
・市保有プール等を活用した新たな施設整備の必要性
・バスの賃借料を含め全小学校の水泳授業を民間委託した場合に必要なコストの試算
◇現時点で生じている(把握している)課題等について(ヒアリング時に追加)
・送迎バス確保の困難性(2025大阪関西万博の開催)
・民間事業者としては、単年度契約では目途が立たないので、複数年での契約を求められている。
・氷室小学校へのスタッフ派遣について、他市等のと要請もあり、2024年度は委託事業者を確保できなかった。(2023年度は実施)
・旧中宮北小学校(現禁野小学校)のプールを活用してもいいのではないかという民間事業者の意見。
・学習指導要領(小学校)(中学校)
・水難事故から身を守るトレーニングとしての着衣水泳の実施は必要
・プールサイドでの事故(施設の老朽化)
・現プール施設の活用・維持補修・廃止(解体)等の計画についてもあわせて示すべき。枚方市学校整備計画(2020年3月)にプール施設の更新計画は含まれていない(プール専用附属室は含まれている)。
【委託料】
2024年度 51,879千円
(水泳授業指導委託料) 49,074千円
(送迎バス運行委託料) 2,805千円
奥野の意見
水泳授業における民活活用について、今回、報告された内容は、モデル授業を始める前、そして、新設する禁野小学校にプールを設置しないことを決める前に協議しておく内容や取り組みではないかと感じます。
市域全体で、子どもたちへの水泳指導にかかる教育機会を均等に保障するためには、市が本気で基盤整備をしなければならないのではないでしょうか。まずは、個別のプール事業者ではなく、市の責任で送迎システムを確保すること。そして、市民プール兼用とする等の工夫も踏まえ、PFI事業手法等を用いて市が不足するプール整備も行うこと。いきあたりばったりではなく、このような明確な方針を定めた上での取り組みが必要ではないでしょうか。
市内全校での学校プールの更新を行わずに廃止して、子どもたちにとって必要であるとされる水泳教育(水難回避能力)を継続するためには、それぐらいの代替基盤整備に投資しなければならないのではないかと考えます。
他の委員の質問
・市内全域に展開するにあたって、通年実施を想定しているのか。コマ数は確保できるのか。コマ数が減ってきたときに実施が可能か(費用対効果)。
→全学校での実施に必要なコマ数はおよそ1,760コマで、現在、ヒアリングを踏まえて各施設で受け入れ可能なコマ数を見積もるとおよそ1,820コマ。計算上では前項の実施が可能。通年実施について、現在は5月から9月。限られた施設なので、5月から2月で実施できればよい。
・寒い時期のプール授業について、クリアできるのか。
→町田市は温水プールに改修し、通年実施とし、市民にも開放。しかし、冬はそれほど来ない。実施にはクラブの子しか使っていない。
・プール授業の位置づけについて。冬のスイミングでもドライヤーは奪い合い。冬の寒さをクリアできるのか。事業者のヒアリング、子どもを送る学校側の意見について。
→アンケート素実施したところ、泳力向上、プールの維持管理、業務軽減、職員の業務改善の観点から、学校側は肯定的で、民間活用を早く導入してほしいという意見。
・学校プールと民間プールを使用する子どもたちに格差が生まれないか。公平性の確保について。施設改修の平準化も問われると思うが、整備計画は策定するのか。
→プールの維持管理の方向性は検討する。
・「市内および近隣の民間水泳施設 計14施設を運営する計9事業者」が10年後に残っているのか。どこまで継続できるのか不安である。いったん、民間でやると決めたからには、全校で実施すること、また、継続して実施できることが求められる。年間、どの程度のコストを見込んでいるのか。
・現禁野小学校(もと中宮北小学校)の跡地に条件が合えばやるという業者があるが、この先、どうなるかわからない。枚方消防署の話もある。体育館は地域で活用するため、空調設備を整備をするという話もある。いったい、誰がまとめているのか。市として、やみくもに3歩先までは考えているが、10歩先はわからないように感じられる。
→水泳授業への民間施設活用は、学校プールの維持管理経費より効果がある。子どもたちの泳力向上、教員の負担軽減にも資するもので、コマ数もOKであるが、費用が膨大になってもやるのか。計画をどのように進めていくのかが今後の課題である。
・夏のプール授業は体力の消耗も大きく、水質管理も大変である。バスの移動時間等の課題はあるが、民間活用を期待している。
【参考】
◇教育子育て委員協議会資料(2024年2月)
◇教育子育て委員協議会資料(2023年2月)
「2022(令和4)年度の小学校水泳授業における民活事業に係る効果検証」
【参考】
▶「上尾市立学校の水泳授業及びプール施設のあり方基本方針」を策定
・上尾市立学校の水泳授業及びプール施設のあり方基本方針(2022年3月24日)
・上尾市立学校の水泳授業及びプール施設のあり方検討報告書(2022年3月)
・民間スイミングスクールを活用した水泳授業モデル事業アンケート調査報告書(2023年9月)
(オンブスマン)
「水泳モデル事業」を利用したい市教委事務局 & 言いなりの教育長
▶禁野小学校新校舎整備事業。新校舎の実施設計のとりまとめが完了し、7月より、いよいよ建設工事が始まります。(教育子育て委員協議会報告②)(2024年6月3日)
▶ 3月17日、予算特別委員会2日目(総論及び総務・教育子育て部門)、公の施設として廃止される市民会館の維持管理経費や学校給食牛乳パックリサイクル事業等について質問しました。→(8) 学校水泳授業民間活用事業について
▶ 佐倉市学校プール・市民プール再編に向けた調査の結果の公表について