包括的に、切れ間なく継続的に、女性の「生きる」に寄り添う相談支援を。困難な問題を抱える女性への支援のための相談体制の確保について、質問しました。12月定例月議会、一般質問の報告④です。

2023/12/18

枚方市議会議員の奥野みかです。

ここでは、「4.困難な問題を抱える女性への支援のための相談体制の確保について」の報告です。

困難な問題を抱える女性への支援に関する法律の来年4月施行を前に、市として、専門の窓口の設置と、支援の入口として重要な役割を有する女性相談支援員の複数配置に関する市の考えを確認しました。そして、まずは、女性支援相談員の育成支援に努めていただくとともに、若年女性への対応、性被害からの回復支援、自立後を見据えた支援など、時代とともに多様化する困難な問題を抱える女性の「生きる」に寄り添う相談支援を、包括的・継続的に提供できるよう、行政・民間団体を通した多機関連携・協働による、早期からの、さらに、切れ目のない、実情に応じた柔軟な支援体制を整備していただくよう、要望しました。

あわせて、専門性を有する相談員が短期間で離職することのないよう処遇改善に努めていただくともに、相談員も、女性相談支援員も、各種支援団体も、支援する側を支援する仕組みの構築を検討いただくようお願いしました。

なお、特に若年女性に対する相談支援を考えていくにあたり、東京都豊島区のすずらんスマイルプロジェクト、支援調整会議「すずらん・ネット会議」について、是非、学ばせていただきたいと考えています。

 


 

以下、12月18日の一般質問でのやりとりを掲載します。

4.困難な問題を抱える女性への支援のための相談体制の確保について

Q.私の質問

来年4月施行の困難な問題を抱える女性への支援に関する法律、いわゆる困難女性支援法は、困難な問題を抱える女性の発見・相談・必要な援助に従事する女性相談支援員について、都道府県に設置を義務づける一方で、市区町村には努力義務として定めるにとどまっている。
しかし、市区町村は、支援対象者にとって最も身近に相談できる支援機関であり、市区町村における女性相談支援員は、まずは支援の入口として重要な役割を有しており、複数の配置が求められていると考える。
現在、本市においては、配偶者暴力相談支援センターひらかたDV相談室」が設置されているが、現状を踏まえ、4月以降はどのような相談体制を構築するのか、その具体的内容について伺う。また、その内容をどのように周知していくのかについても伺う。

A.野田市長公室長の答弁

本市では、女性のための各種相談を男女共生フロア・ウィルにおいて実施しているが、困難な問題を抱える女性からの相談に対応できるよう、保健医療や福祉的な支援に加え、心理的ケア等、様々な側面からの重層的な支援につなげるような相談体制の整備が必要であると考えている。
体制としては、専門知識を有する女性相談支援員を配置するとともに、支援のための調整会議など、現在検討を進めているところである。
窓口については、これまで相談につながりづらかった若年女性などにも情報が行き届くよう、SNSを活用するほか、男女共生フロア・ウィルの③街区移転とも合わせ、積極的に周知していく。

O.私の意見・要望

「十分な知識と経験を備えた福祉専門職である女性相談支援員の複数配置」、「ワンストップの女性相談窓口の設置」等、相談体制に対して、さまざまな要望も行われている。
市は、男女共生フロア・ウィルや、配偶者暴力相談支援センターとは別に、困難な問題を抱える女性からの相談に対応できる窓口を設け、若年女性にも情報が行き届くよう、広報・周知にも工夫を行う。窓口には、専門知識を有する女性相談支援員を配置し、法の求める支援調整会議設置の検討についても行っているとのご答弁である。これまで配置されてきた婦人相談員の約半数は、母子・父子自立支援員などの他の専門的職種の兼務で、8割強は非常勤であったようだ。急がれるが、相談体制の整備は確実に進めていただくようお願いをしておく。

Q.私の質問

女性の抱える多様化、複雑化、複合化した困難な問題に対して適切な支援を実現するため、包括的かつ継続的な支援の実効性を高めるためには、女性相談支援員の相談にかかる「量」と「質」の確保、「質の向上」が必要である。そこで、相談支援を行う職員を支援する取り組みについて、伺う。

A.野田市長公室長の答弁

女性相談支援員にはジェンダーの視点に基づいた適切な対応と合わせ、幅広い福祉の知識が必要となる。困難女性支援法施行後には、大阪府から市に対して技術的な支援を含めた包括的な支援などが行われることとなるため、女性相談支援員には府の実施する研修会などへ積極的に参加いただく。
また、相談者が求める支援へ適切につなぐことができるよう、関係機関等との連携などについても組織で対応する体制を整えていく。

O.私の意見・要望

まずは、女性相談支援に求められる機能や専門性が確保されるよう、相談員の育成支援に努めていただくとともに、若年女性への対応、性被害からの回復支援、自立後を見据えた支援など、時代とともに多様化する困難な問題を抱える女性に対して、相談から保護・自立支援までの専門的な支援を包括的・継続的に提供できるよう、行政・民間団体を通した多機関連携・協働による、早期からの、さらに、切れ目のない、実情に応じた柔軟な支援体制を整備していただくようお願いをしておく。
あわせて、専門性を有する相談員が短期間で離職することのないよう労働条件等の処遇改善に努めていただくともに、支援する側を支援する仕組みの構築、女性支援相談員や各種支援団体をサポートする仕組みについてもぜひ検討いただきたいとお願いしておく。

東京都豊島区は、今年10月、困難女性支援法に基づく全国初の支援調整会議「すずらん・ネット会議」を立ち上げたとのことである。構成団体には、若年女性に限らず若者にシェアハウスなどの居場所を提供する団体や、妊産婦支援をする団体、外国人女性を支援する団体など、民間の支援団体も含んでいるとのことで、すでに意見交換等を実施したと報道されている。

2021(令和3)年度、厚生労働省家庭福祉課の調査によると、婦人相談所及び婦人相談員が受付けた来所相談は、全体の45.5%が「夫等からの暴力」であるが、年齢別にみると、18歳未満では、「精神、妊娠・出産を含む医療関係」が24.1%、「子・親・親族からの暴力」が21.8%、18歳以上20歳未満では、「子・親・親族からの暴力」が40.4%とのことである。
法施行後、窓口で新たに受け止めることになるのは、性虐待・性暴力被害に関する若年女性からの相談になるのではないか。
性虐待・性暴力被害が原因となり、長期に渡るトラウマにより「生きること」に影響を受けている被害当事者もおられる。「魂の殺人」とも言われる性暴力は許しがたい犯罪である。犯罪被害当事者には、そのような方々もおられるということも踏まえて、次の「犯罪被害者等支援の現状について」を質問させていただく。

 


【参考】

困難な問題を抱える女性への支援について

(※「困難な問題を抱える女性への支援について」より引用)

困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(概要)

 


【参考】

「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」に基づく施策の実施にあたり、大阪府内における女性相談支援員の拡充等を求める意見書(大阪弁護士会、2023/7/27)

◇意見の趣旨

大阪府及び大阪府内の全市区町村は、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律の掲げる目的・基本理念を踏まえ、困難な問題を抱える全ての女性が必要とする支援制度を真に実現すべく、次の措置を講じるべきである。
1.大阪府は、「大阪府における保護を必要とする女性への支援のあり方について 提言」(2018年(平成30年)3月)及びその議論の過程でなされた実態調査を活かした女性支援の基本計画を策定し、実施すべきである。
2.大阪府内の全市区町村は、女性相談支援員を複数配置するべきである。
3.大阪府は、大阪府女性相談センターの職員を増員し、市区町村の女性相談支援員のスーパーバイズや研修等に専属で従事することができるようにすべきである。
4.大阪府内の全市区町村は、十分な知識と経験を備えた福祉専門職を女性相談支援員に配置するとともに、その待遇を改善すべきである。
5.大阪府内の全市区町村は、ワンストップの女性相談窓口を設け、これを対外的にも対内的にも積極的に広報し、必要な支援が確実に届く体制を構築すべきである。

 


【参考】

困難な問題を抱える女性への支援に関する法律に基づく大阪府基本計画の策定「大阪府社会福祉審議会女性支援専門分科会」(大阪府ホームページ)

 


【参考】

▶ 役所の窓口は行きづらい?女性が行政につながるために東京・豊島区が始めた支援とは~“すずらんスマイルプロジェクト”始動~

▶ なんとなく」不安でも大丈夫。部署の壁を超えた協働が生み出す、若い女性のためのきめ細やかな支援のかたち(2022/6/15)

▶ 豊島区“すずらんスマイルプロジェクト”(支援サイト)~つらい気持ち、かかえこまないで … あなたの”なんとなく”を聞かせてください。

 


【参考】

「認定NPO法人いくの学園」のホームページです。2023年8月10日に開催された「女性支援法に関する議員向け学習会」の資料が掲載されています。

「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律―その背景と内容―」(いくの学園作成)はこちらから。

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