外国につながる子どもたちの就学保障の徹底、就学した子どもたちの初期支援から放課後支援等、切れ目ない学習支援の実現を。外国につながる子どもたちの就学保障、学習支援について、質問しました。12月定例月議会、一般質問の報告①です。
枚方市議会議員の奥野みかです。
市政の課題は、私たちの生活そのものにつながっています。限られた財源(税)を、何のために、どのように使うのか。未来のために、今、どんな判断が必要なのか。
今回、12月定例月議会の一般質問では、4つのテーマで、順次質問しました。
質問項目は、以下の4つです。
1.外国につながる子どもたちの就学保障、学習支援について
2.要介護認定の遅れについて
3.こども誰でも通園制度について
4.枚方市駅周辺再整備について
ここでは、「1.外国につながる子どもたちの就学保障、学習支援について」の報告です。
外国につながる子どもたちは、言語や生活環境の違いにより、多様な支援を必要としています。枚方市においても、毎年度一定数の「就学状況を把握できない」子どもが報告されていますが、不就学の長期化は将来の進学や就労の機会を奪い、社会的孤立につながる重大な課題です。国の指針でも、自治体による主体的な就学案内や相談体制の整備、就学状況の把握が責務とされていることから、就学前・来日直後からの初期支援や、訪問支援、外国語対応相談員の配置など、教育を受ける権利を確実に保障する体制強化を求めました。
また、本年度、日本語指導が必要な児童生徒は92人と増加している一方、日本語指導教員は5名にとどまり、巡回指導では十分な指導時間を確保できていないのが現状です。学習言語能力の育成には毎日の継続的支援が不可欠であり、現行体制では教育保障として不十分であると考えます。「母語による教育指導員」(母語支援員)が日本語指導を担わざるを得ない現状についても問題提起しています。
本市としては、他自治体の先行事例も踏まえ、放課後を活用した校内日本語学習支援の場の整備や、全小学校で実施されいている放課後オープンスクエアを活用した公的コーディネートによる支援体制、また、オンラインによる支援など複線的な施策を提案しました。初期支援から放課後まで切れ目のない体制を整え、誰一人取り残さない学びを実現することを強く要望しました。

以下、12月12日の一般質問でのやりとりを掲載します。
1.外国につながる子どもたちの就学保障、学習支援について
Q.私の意見(就学状況の把握と初期支援について)
外国につながる子どもたちは、学習言語能力や生活環境の個人差が大きく、多様な支援を必要とする。そのような中、本市においても、毎年度一定数の「就学状況を把握できない」子どもが確認されている。不就学の長期化は、将来の進学、就労機会を狭め、社会的孤立のリスクを高める。
国の「外国人の子供の就学促進及び就学状況の把握等に関する指針」でも、自治体による主体的な就学案内、相談体制の整備、就学状況の把握が責務として求められている。
そこで、質問に先立ち、枚方市で暮らす子どもたちの教育を受ける権利保障の観点から要望する。
教育委員会をはじめ市行政が一体となり、外国籍の子どもに対する就学案内等の徹底と正確な就学状況の把握に努めるとともに、地域の民生委員・児童委員との連携による訪問支援の強化、外国語対応相談員の配置、就学援助制度の周知、外国につながる幼児へのプレスクール、来日直後の保護者・子どもへの初期支援など、保護者との確実なコミュニケーションを支える体制整備を進めていただくよう要望する。

Q.私の質問(日本語指導教員体制の不十分さについて)
次に、就学した児童・生徒に対する日本語教育の体制について伺う。
本市で日本語指導が必要な児童・生徒は、小学校25校に67人、中学校12校に25人、合計92人で、前年度より10人増加しているとのことである。
しかし、大阪府の加配による「日本語指導教員」は、小学校4名、中学校1名の計5名のみで、前年度より1名増とはいえ、所属する拠点校を含め6校から12校を巡回する体制では、年間指導時間というものは、約20時間~140時間にとどまっているようである。
日本語指導が必要な子どもたちには、日常生活言語能力だけではなく学習言語能力の育成が不可欠である。にもかかわらず、母語の種類が4言語から8言語で、しかも、点在して在籍している児童・生徒13人から25人に教員が1名、月に1回から週に1回、2時間程度の巡回指導という体制では、本来、毎日の指導が必要であるとされる日本語学習において、充分な効果を上げることは期待できないのではないか。市の見解を伺う。

A.新保学校教育部長の答弁
日本語指導が必要な児童生徒に対しては、日常生活言語能力に加え、学習言語能力の育成が重要であると認識している。
本市に配置されている日本語指導教員は、文部科学省の考え方を踏まえ、日本語指導に加え、在籍学級担任への指導助言や校内の支援体制づくりを担う役割を果たしている。
現在、対象児童生徒数は増加傾向にあることから、指導時間や体制の在り方については課題も認識しており、今後もより効果的な日本語教育の充実に向けて検証と改善を進めていく。
Q.私の質問(「きめ細やかな支援」について)
学校において外国につながる子どもたちに対する日本語教育で重要な役割を果たす日本語指導教員の配置は極めて不足しており、適切な量と質の教育が保障されているとはいいがたいのではないか。
一方、本市では、保護者を含めた帰国及び来日児童・生徒の学校生活を支援する「母語による教育指導員」が有償ボランティアとして学校に派遣され、1年目は週2回、2年目は週1回、学校適応を支えている。しかし実際には、日本語指導教員の不足を補う形で、母語支援員が本来業務を超えて日本語指導まで担っているケースもあるようである。
日本語指導が必要な児童生徒の教育の充実に資するため、他の自治体では、国の「帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」の活用等により、プレ支援や放課後支援、日本語支援員・母語の話せる支援員の派遣体制の再構築等を進めている。
そこで、本市として、日本語指導が必要な児童生徒の教育の充実のために必要な「きめ細やかな支援」はどのようなものであると考えているか、伺う。

A.新保学校教育部長の答弁
議員ご指摘のとおり、一部母語による教育指導員が日本語指導を補完的に担っている実情もあるが、日本語指導教員による専門的な指導と、母語による支援を組み合わせることが重要であると考えている。 今後については、国の支援事業の動向も注視しつつ、現行の支援体制の中で、より勅果的な役割分担や連携を行っていく。
Q.私の質問((校内における放課後の支援)
ご答弁では「現行の支援体制の中で」とのことであったが、そこにこそ問題がある。
浜松市では、中学生年齢で初めて日本の学校に就学する生徒が通級する「初期日本語指導拠点校」を設置している。また、西成区では、地域の支援団体と学校が連携し、放課後に小学校内で日本語教室を開設し、子どもの学びを支えている。
教職員だけで難しいのであれば、放課後を活用し、別途人材を確保し、協力体制を確立して、恒常的・安定的な「学びと寄り添い」の場を必要性の高い学校から早急に構築することが必要ではないか。
例えば、子どもたちにとって安全で参加しやすく、毎日でも学習できるように、学校内の放課後に日本語学習支援等を受けられる場を整備するなど、学校の実情に応じて、「課外」学習の機会提供を検討できないのか、伺う。
A.新保学校教育部長の答弁
本市における日本語指導については、学校の教育課程の中で、日本語指導教員および母語が理解できる教育指導員を配置し、児童生徒一人ひとりの実態に応じた支援を行っている。
指導の量や質の確保については重要な課題であると認識しており、現在は、日本語指導教員を中心に、在籍学級や学校全体での指導の工夫や連携により対応しているところである。
今後も、学校教育活動として行うものであることを踏まえ、学校における指導体制の充実に努めていく。
O.私の意見・要望(誰一人取り残さない学びの実現)
まったくの「縦割り答弁」である。
誰一人取り残さない教育を実現するために、初期支援から放課後支援までの一貫した体制の整備が不可欠である。
例えば、すべての小学校で実施されている放課後オープンスクエアを軸に、公的な運営コーディネートのもと、市民・学生ボランティアとも協働し、日本語学習や教科学習支援の場を開設する等、すぐにでも具体化できる現実的な取り組みはたくさんあるのではないか。オンライン日本語学習支援事業等、複線的な支援策も検討すべきである。
また、全校的な学習環境の整備としては、外国につながる子どもたちへのいじめや不登校が発生しないように、様々な文化への理解や異なる文化を包摂する社会をつくる大切さを学ぶための取り組みを促進していただきたいと考える。
さらには、学校内外、また、就学前段階からの教育委員会・学校と就学前施設、地域・支援団体との連携の強化、加えて、母語・母文化の承継による自尊感情の保持・育成支援など、包括的な支援体制も検討いただきたいと考える。
共生社会の土台を築く未来への投資の観点からも、毎日安心して学べる場を整備することで、誰一人取り残さない学びを実現し、外国につながる子どもたちの学習支援・教育保障につながる実効性のある取り組みを検討いただくよう強く要望する。

◇枚方市議会 2025(令和7)年12月定例月議会(第2日)(5:25:15くらいから)

【参考】
▶ 外国人児童生徒等教育の現状と課題(2025年8月/文部科学省)
▶ 外国人児童生徒等教育の現状と課題(2025年4月/文部科学省)
▶ 柔軟な教育課程編成の促進について~各学校が編成する一つの教育課程では対応が難しい子供の包摂~(2025年4月/文部科学省)
▶ 外国人子供教育支援推進事業(浜松市_2025. 5.1)
▶ 日本語を母語としない子どもを日本語教育につなぐ取り組み(東京都/2024年4月)
▶ 児童の4割が外国ルーツ、どうすれば「共生」できるのか 「違うのが当たり前」大阪・西成の小学校の挑戦、日本語教室でお互いに「知ってみよう」(共同通信)(2025/12/1)
▶【きくリポ】児童4割が外国ルーツ、大阪の小学校。放課後の日本語教室で「共生」に挑戦(共同通信)(2025/12/1)
【これまでの議会での質問】
▶ 3月19日、「共に生きる社会をめざすための施策のあり方に関する提言~枚方で暮らす外国籍の人々や外国につながる子どもたちの 『生きづらさ』の軽減に向けて~」が枚方市議会にも提出されました。(2025/04/01)
▶ 子どもの権利保障の観点から、すべての子どもたちの支援にもつながる、教育を受ける権利を保障する仕組みの構築を。外国ルーツの子どもの就学保障、学習保障について、質問しました。6月定例月議会、一般質問の報告④です。(2024/06/24)
▶ すべての子どもたちに教育の保障を。就学につながる取り組みの徹底を要望。外国につながる児童、生徒の就学支援について質問しました。9月定例月議会、一般質問の報告④です。(2021/09/21)
▶ 誰一人取り残さない。外国につながる子どもたちの就学の機会を確保するためにも、就学案内等を徹底し、就学状況を把握すべき。外国につながる子どもたちの教育の保障について質問しました。12月定例月議会、一般質問の報告③です。(2020/12/15)
▶ 「ちがい」への対応としての「合理的配慮」や個別の支援はまだまだ不十分。「日本語指導の必要な児童徒への教育保障」について質問しました。12月定例月議会、一般質問の報告④です。(2022/12/19)
▶ 12月定例月議会 外国人市民に対する支援について(一般質問②)(2019/12/19)



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