女性の政治進出で分断社会を乗り越えられるか ~アメリカの女性参政権が獲得された1920年8月26日からちょうど100年目の今日、市川房枝記念会女性と政治センター主催のオンラインセミナーに参加しました。

2020/08/26

8月26日午後は(公財)市川房枝記念会女性と政治センター主催のオンラインセミナーに参加しました。

アメリカ女性参政権100周年シンポジウム「女性の政治進出で分断社会を乗り越えられるか」
パネリストは、栗原涼子さん(早稲田大学、東京女子大学他非常勤講師)、メリッサ・スウィーニーさん(米国大使館 政治部安全保障政策課長)、中林美恵子さん(早稲田大学社会科学部教授)の3人。

 

アメリカ合衆国の女性たちが参政権を獲得したのが100年前の1920年8月26日。100周年を迎えた今年、アメリカ連邦議会の女性議員は過去最多の127人(全体の23.1%、下院の世界ランキング82位)となったけれども、半数の50%への到達は2117年と推定され、女性の方が構造的障壁にぶつかりやすく、この先まだ97年かかるというメリッサさん。アメリカにおいても、行政職の知事(公選)への参画が低い、有色女性は低い、立候補する女性が男性より低い、しかし、アクティブな有権者は女性に多い等のお話もありましたが、日本の女性国会議員の世界ランキングは166位。ジェンダー平等の枠組みは作られてきたものの、女性の政治参加は著しく遅れており、国際社会で最下位グループに属するので、道のりはさらに厳しい…。

今日の分断社会から共生社会に向かうのは女性たちの政治進出・参画がキーファクターになるのではないかと再認識したと栗原さん。栗原さんからは、女性参政権運動の起源、運動の成立と展開の歴史のお話がありました。女性参政権獲得後にERA(Equal Rights Amendment:1980年代に男女平等を謳った合衆国憲法修正案。1982年に廃案)などの法整備を求めた過程のお話もありました。
日本の婦人(女性)参政権は戦後与えられたものと思われがちであるが、アメリカから帰国した市川房枝も女性参政権運動に力を注いできたとの話とともに、栗原さんの背景にある3色旗(アメリカの女性参政権運動のシンボル旗だった紫、白、金の3色旗)の説明をされていました。

日本と同様、アメリカにもクォータ制はないが、女性国会議員数は増加し続けている。議員ひとりでも法案提出できる等、立法過程に積極的に関与できる仕組みなど日本の学ぶべき点も多いと中林さん。女性が中心となって、アジェンダの懸け橋に人種・移民・LGBT等、アメリカでは対応すべき多様性が多く、女性という属性(カテゴリー)のみでクォータ制を導入することは困難とのことでしたが、例えばメキシコ、クォータ制の導入でランキングが一気に上位(4~5位)となった国もあると。クォータ制について、憲法に入れるのか、法律に入れるのか、政党のルールに入れるのか、さまざまな方策もある。中林さんからは、各国が導入するクォータ制と女性比率を見える化した世界地図の紹介もありました。(「quota women」と検索すれば最新の地図を得られると紹介がありましたが、うまくたどりつけませんでした…。ジェンダークオータ・データベース「https://www.idea.int/data-tools/data/gender-quotas/quotas」このあたりかなと思うのですが。)

主催の市川房枝記念会女性と政治センターの理事の金子さんからは、「婦選は鍵なり」「平等なくして平和なし、平和なくして平等なし」という市川房江さんの言葉を紹介されながら、より良い社会をつくるためのファクターとなっていこうとの呼びかけがありました。

「女性の政治進出で分断社会を乗り越えられるか」~今日はアメリカ女性参政権100周年の催しでしたが、日本の女性参政権運動の歴史も振り返りたく、(公財)市川房枝記念会女性と政治センターの「市川房枝記念展示室」に訪れたいなと思いました。

 

(※クリックすると、公益財団法人市川房枝記念会女性と政治センターのサイトに移ります。)

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