6月定例月議会 就学前の子ども・子育て支援について(一般質問①)

2019/06/26

改正子ども・子育て支援法の成立を受け、本年10月から幼児教育・保育の無償化が実施されます。
子育て世帯にとって、子育てに関する経済的負担の軽減は助かりますが、子育てに関する悩みや願いはお金の問題だけではありません。幼児教育・保育の現場では、喫緊の課題として、待機児童の解消、幼児教育・保育の質の確保、保育士不足への対応がありますし、障がいや配慮を要する子どもたちの就学前の適切な受入れも求められています。そのような課題を順に質問し、子どもの最善の利益を確保し、私たちの未来のために、次代を担う子どもたちの幼児教育・保育の質の向上に取り組んでいただきたいと要望しました。

質問のやりとりは下記のとおりです。

質問①
今回の幼児教育・保育の無償化がどのような効果を生むのか。5歳のお子さんについて、1つ目は、幼稚園等を「教育利用」の場合の負担軽減額について、2つ目は、保育園等を「保育利用」の場合の負担軽減額について、それぞれ、最大の場合と最小の場合の「総額」と「対象所得階層」をお示しいただきたい。

回答① (子ども青少年部長)
本市の保育料基準では、幼稚園等利用の場合は、保育料の最大が月額19,800円(10階層)、保育所等利用の場合は、最大が月額25,000円(4-14階層)の軽減。最小の場合は、第1階層・第2階層の生活保護受給世帯及び市府民税非課税世帯の0円で負担は変わらない。

→(コメント)幼児教育・保育の無償化の効果は、いずれも「高所得階層」において最も大きく、最小は「生活保護受給世帯」及び「市府民税非課税世帯」で、新たな軽減はない。

質問②
働く保護者にとって必要な子育て支援は、経済的な負担の軽減のみならず、保育所に子どもを入所させたいのにできないという「待機児童問題」の解消であるが、保育所の「待機児童問題」について、幼児教育・保育の無償化はどのような影響を与えると予想されているのか。

回答② (子ども青少年部長)
幼児教育・保育の無償化の主な対象が3歳児から5歳児で、すでに9割以上の子どもが保育所、幼稚園や認定こども園に入所・入園していることや、ほとんどの幼稚園で預かり保育を実施しており、就労している世帯のニーズにも対応していることから、保育所の待機状況に大きな影響を与えるものではないと考えているが、無償化後の保育需要の動向についても注視していく。
また、第2期子ども・子育て支援事業計画の改訂にあたり実施したアンケート調査結果では、本年10月に幼児教育・保育の無償化が実施されることを説明した上で、利用したい施設を調査したところ、「幼稚園を利用したい」と回答した方が5年前の調査と比べ、4.4ポイント増加、「幼稚園と預かり保育を利用したい」と回答した方が5年前の調査と比べ、1.1ポイント増加した。一方、「認可保育所を利用したい」と回答した方は、前回調査より0.3ポイント減少しており、本市では、幼稚園を利用したい方が増加している。

→(コメント)幼児教育・保育の無償化が保育所の待機状況に大きな影響を与えるものではないということであれば、待機児童解消のための努力が引き続き必要になる。(※下線部数値修正)

質問③
保育所・小規模保育施設・認可外保育施設・認定こども園のそれぞれについて、特に1・2歳児に関わる保育士の配置基準や施設基準に関して、どのような課題があり、また、今後、どのような取り組みが必要だと考えているか。

回答③ (子ども青少年部長)
各施設の基準における課題であるが、保育士確保が全ての施設に共通する課題で、待機児童を解消するためには、さらに、保育士の確保が必要になる。また、保育の質の確保や向上についても全ての施設に共通する重要な課題であるが、特に、3歳未満児の対象施設である小規模保育施設、また、認可外保育施設については、職員配置に係る資格要件が緩和されていることから、有資格者の比率を上げるとともに、質の確保に努める必要がある。
それぞれの課題に対する本市の取り組みについて、保育士確保については、本年1月に枚方市保育士等就職支援センターを設置し、潜在保育士の掘り起こしや求職者と施設とのマッチングを図るなど保育士確保に努めている。また、保育の質の確保については、本市において、認可外保育施設も含め、保育士等を対象に研修を開催しており、研修を通じて質の向上を図るとともに、無資格の職員については、資格取得を支援している。

→(コメント)現在、待機が深刻なのは1・2歳児で、その解消のために、さまざまな手法で受入れ枠の確保に努められるとのことであるが、大切なことは、子どもは荷物ではないので、預けることができるならどんなところでもよいということにはならない。1・2歳児は手もかかるし、危ないことをしがちなので、事故が起こる危険性も高いと思う。特に1・2歳児に関わる保育士の配置基準や施設基準には注視が必要である。

質問④
仕事と子育てを両立する方法として育児休業制度がある。現在、育児休業は保育所に入れないなどのやむを得ない事情があれば2歳まで延長でき、育児休業中には、申請することでもらえる「育児休業給付金制度」がある。
昨年、入れそうもない人気保育所1か所だけを希望する「不承認通知」ねらいの入所申請があることが話題になった。申請することでもらえる「育児休業給付金制度」の延長について、「保育所に入れない」ことを条件にすることで、保育所の入所手続きにおける問題を生じさせているのではないかと思うが、国に対して制度改正を要望する考えがあるのか。

回答④ (子ども青少年部長)
育児休業給付金の延長に係る制度の見直しについては、本市を含め大阪府内の一部市町村と共同ですでに国へ要望をしている。国からは、2歳まで希望するすべての保護者に対して「育児休業給付金」を給付することは財源上の問題からできないとの回答であったため、引き続き他の市町村と連携し要望していきたいと考えている。

→(要望)仕事と子育てを両立する方法は多様であっていいと考えている。2歳までの子どもの保育について、「家庭保育」という選択肢を拡大するために、一定の所得保障を行う育児休業期間を拡大するのであれば、「保育所に入れない」ことを条件にする制度は中途半端なので、引き続き、国への改善要望を続けていただくよう要望。

質問⑤
冊子「枚方の教育」によると、市立小学校の支援学級に在籍する児童のうち「自閉症・情緒障害」の児童は、平成30年5月1日現在で569人、この10年間で約3倍に増えている。そうした子どもたちの保護者は、就学前の段階において、集団保育の中で、お友だちと一緒に過ごしながら、それぞれの子どもたちの特徴に配慮した保育を受けたいと願っておられる。
現在、公立保育所においては、そうした願いに応えられているのか、また、今後、どのように充実していこうと考えているのか。

回答⑤ (子ども青少年部長)
公立保育所の3歳児から5歳児クラスにおいて、配慮を必要とする子どもたちについては、一人ひとりの特徴を把握しながら、それぞれのペースを尊重し、興味・関心に寄り添った活動を行う小集団保育と、必要に応じて加配保育士を配置しながらクラスの一員として関わる時間を大切にした集団保育を一日の生活の中で持つように努めている。
今後も各保育所における取り組みの共有を通じて質の高い支援の提供に取り組むとともに、子ども発達支援センターなどの専門機関などと連携しながら、子どもが自己を十分発揮しつつ、友だちとの関わりの中で成長していける保育の充実に努めていく。

→(要望)本市で実施されたアンケート調査結果において、5年前の調査と比較して幼稚園利用の希望者が増加しているとのこと。アンケート結果どおり、3歳児から5歳児の保育所利用の希望者の減少につながるかどうかはわからないが、公立保育所においては、配慮を必要とする子どもたちを、引き続き、積極的に受け入れていただけるよう要望。

質問⑥
市は「子育て支援の充実」を重点施策として位置づけられている。保育や幼児教育の施設の整備にあたっては、「少子化で将来、子どもの数が減るのだから、とりあえず暫定的なものとして入所枠拡大を図る」という考え方もあるが、市はどのような見解をお持ちか。

回答⑥ (長沢副市長)
教育・保育施設は、乳幼児期の子どもが、長い時間を過ごす場所であることから、子どもたちにとって、安心して楽しく過ごせる環境を整備する必要があると考えている。今後も引き続き、すべての子どもが質の高い教育・保育を受けることができるよう「子育て支援の充実」を図っていく。

要望
乳幼児期の子どもたちの保育・幼児教育環境の整備に社会的な支援をするのは、子どもたち自身の成長のために必要であることはもちろん、私たち大人の未来のためにも大切であるからである。保育や幼児教育の「質」は、施設などの環境をきちんと整備するとともに、子どもたちの保育・教育に直接携わる人たちが、安心して働け、また、しっかりとした専門性を身につけることができなければ、決して高めることはできない。目先の「効率性」に惑わされることなく、私たちの未来のために、環境整備や処遇改善によって整えられる保育・教育の「質」の向上に取り組んでいただくよう要望する。

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