建物の老朽化と高齢化の「二つの老い」~マンション管理に潜む リスクの認識は待ったなし。マンションの管理の適正化の推進について質問しました。9月定例月議会、一般質問の報告⑥です。

2021/09/21

枚方市議会議員の奥野みかです。

ここでは、「6.マンションの管理の適正化の推進についての報告です。

マンションの管理の適正化の推進について区分所有者の高齢化、若年層の減少の他、空き室や賃貸などによる非居住化の進展、管理組合の担い手不足等、マンション管理のリスクは喫緊の課題となっています。
昨年6月、適切な管理を行政も後押しする「改正マンション管理適正化法」が成立しました。法改正の目的を踏まえた施策の具体化を要望しました。

 

 


 

以下、9月21日の一般質問のやりとりを掲載します。

16.マンションの管理の適正化の推進について

Q.私の質問
分譲マンションは増加の一途をたどり、国土交通省によると、2020年度末、全国のマンションストック総数は約675.3万戸で、国民の1割強が居住しているとのことである。築40年超のマンション数は103.3万戸であるが、20年後には約3.9倍の404.6万戸となる見込みのようだ。
所有者・居住者の高齢化とマンション自体の高齢化という「二つの老い」が大きな課題として指摘されているが、さらに、「所有者・居住者の多様化」「所有者不明化」も加わり、マンションの管理組合の運営はますます難しさを増している、と言われている。
本市においても同様の問題が生じると考えられる。そこで、市内に築40年超のマンションはどれくらいあるのかを伺う。

A.都市整備部長の答弁
令和2年1月時点の固定資産税の家屋課税台帳によると、市内の建築後に40年を超えるマンションは、約210棟、戸数については約7,700戸となっている。

Q.私の質問
分譲マンションの課題として、年数が経過すればするほど、マンションの建物と設備の老朽化や陳腐化が深刻になってくると言われている。適切な長期修繕計画が執行されず、修繕積立金も不足すると、必要な修繕を行うことができなくなる。また、区分所有者の高齢化、若年層の減少の他、空き室や賃貸などによる非居住化の進展、管理組合の担い手不足などのリスクが報告されている。「タワマン」に代表されるマンションの大規模化等は、マンション管理の専門化・複雑化をさらに進めてしまい、住民合意形成の困難さも増大すると言われている。
そこで、市が認識する、市内の集合住宅、特に分譲マンションの適正管理における課題とそれに対する取り組みについて、伺う。

A.都市整備部長の答弁
マンションの管理の適正化については、管理組合が主体となって、適切に計画を立てて、日常的な維持管理に取り組んでいただくことが必要となる。
また、マンションの管理に係る意思決定については、区分所有者の合意形成が必要となることから、できるだけ多くの区分所有者やマンション管理組合の方々には、マンションの管理についてご理解をいただくことが重要であると考えている。
そのため、本市においては、平成16年度から「公益財団法人 マンション管理センター」と本市の共催により、マンション管理セミナーを開催し、マンション管理組合や区分所有者等に対しまして、マンション管理の情報発信等の取り組みを行ってきたところである。

O.私の意見・要望
マンションの老朽化を抑制し、適正管理を促進するとともに、老朽化が進み維持修繕等が困難なマンションについては、再生に向けた取り組みを強化することが喫緊の課題となっている。
施行は2年後であるが、昨年6月、国において、適切な管理を行政も後押しする「改正マンション管理適正化法」が成立し、「基本的な方針」も発出されるとのことである。
枚方市駅周辺をはじめ、新築マンション建設の誘導ばかりを行うまちづくりではなく、改正法に基づき、市としてマンション管理適正化推進計画を定め、マンションの管理状況の実態把握を適切に行い、管理が適正に行われていないマンションに対しては必要に応じて指導や助言、専門家の派遣等による支援、また、マンションの管理組合が定める管理計画認定制度の導入など、マンション管理の適正化の推進を図るための施策をぜひ精力的に進めてほしいと強く要望しておく。
マンションはひとたび管理不全に陥ると、問題は区分所有者や居住者のみにとどまらない。外壁の崩落などは周辺住民にも危険が生じるし、空き室が増えてくると治安も悪化しかねない。また、自治体が建物を強制的に取り壊さざるを得なくなれば、その負担は広く納税者全体にも及ぶことになるわけである。
「管理会社から契約の更新を拒否された管理組合からの相談が増えている。都市部の郊外にあるマンションで顕著」という衝撃的な記事もあった。マンションは区分所有者の所有物であり、これまでは区分所有者の責任で管理することが大前提であったが、いまや区分所有者任せでは手に負えなくなる時代となり、行政が管理不全に陥りそうなマンションを見つけ出して改善を促す方向へと転換した、とも言われている。
国・地方自治体が踏み込んで、マンションの管理について積極的に関与する基盤が作られたわけなので、市には、法改正の目的をしっかりと受け止めた取り組みの具体化を強く要望する。

 


 

▶ 東京におけるマンションの 適正な管理の促進に関する条例の概要
(※クリックするとPDFファイルが開きます。以下は、資料からの抜粋です。)

 

 

マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律(令和2年法律第62号)
(※クリックするとPDFファイルが開きます。以下は、資料からの抜粋です。)


【参考】

変わる!マンション管理:全居住者必見! マンション管理の新制度 来春スタートのインパクト=中園敦二/和田肇 _ 週刊エコノミスト Online

▶ 滋賀県の〝廃虚マンション” 公費解体の難しすぎる後始末=編集部 _ 週刊エコノミスト Online

「契約更新は断りたい……」マンション管理会社のホンネとは=丸山肇 _ 週刊エコノミスト Online

▶ マンション管理、更新拒まれ 業者「採算とれなくなった」 住民は困惑(朝日新聞 2021年9月12日)

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