民間事業者に対するヒアリング結果等を踏まえた「小学校水泳授業民間活用に関する基本的考え方(案)」のとりまとめの報告。今後の年次計画は2025年度中に作成の流れ。(教育子育て委員協議会報告④)

2024/11/25

枚方市議会議員の奥野みかです。

11月25日に開催された教育子育て委員協議会の報告④です。

(4)市立小学校の水泳授業における民間活力の活用について[教育政策課、新しい学校推進課、教育指導課]

2021年12月に「市立小学校の水泳授業における民間活力の活用について~基本的な考え方~」を策定し、2022年度から実施校を拡大しながら実施。その後の物価高騰などによる社会状況の変化や、この間の事業実施の中で明らかになった課題などがあることから、民間事業者へのヒアリングや、課題検証等の整理を行い、本事業の今後の方向性について、改めて「小学校水泳授業民間活用に関する基本的な考え方」(案)をとりまとめたので報告するもの。
今後は、本事業の全小学校への拡大を目指し、庁内協議を進めるとともに、2025年度中に、今後の年次計画を作成する。

小学校水泳授業民間活用に関する基本的な考え方(案)

今回、考え方の整理などを行った主な内容については以下のとおり。詳細については、「小学校水泳授業民間活用に関する基本的な考え方」(案)参照 。

① 考え方の整理

・水泳授業を3学期までの通年で実施するとともに、学校から民間施設までの移動時間の上限を20分程度とすることで、概ね全小学校での施設利用が可能と見込まれる。
・民間活用は施設利用を優先し、移動時間や学校規模などの課題がある学校は、当面の間、スタッフ派遣も検討する。なお、市保有プールの活用により、移動時間の課題は解消の可能性があると考える。
・施設利用を行う学校については、学校プールの維持管理は行わないものとし、何らかの事情により民間施設が利用不可となった場合には、他の民間施設や学校のプール利用について検討する。

② コスト試算・比較

・今後、学校プールを維持管理し続けた場合、50年間で合計約174億円が必要。
・今後、全校に民間活用を拡大した場合、50年間で合計約115億円が必要。

(※「小学校水泳授業民間活用に関する基本的な考え方」(案)」より、以下、抜粋)

 

「小学校水泳授業民間活用に関する基本的な考え方」(案)」より抜粋(P5)]

「小学校水泳授業民間活用に関する基本的な考え方」(案)」より抜粋(P6)/市保有プール等を活用した場合]

※変更内容
[中部]/2か所、4校(バス2校)、150コマ→3か所、13校(バス10校)、455コマ
[南部]/5か所、25校(バス19校)、985コマ→5か所、16校(バス10校)、680コマ

「小学校水泳授業民間活用に関する基本的な考え方」(案)」より抜粋(P13)]

「小学校水泳授業民間活用に関する基本的な考え方」(案)」より抜粋(P10-11)]

(前回記録そのまま)

◇現時点で生じている(把握している)課題等について(ヒアリング時に追加)

・送迎バス確保の困難性(2025大阪関西万博の開催)
・民間事業者としては、単年度契約では目途が立たないので、複数年での契約を求められている。
・氷室小学校へのスタッフ派遣について、他市等のと要請もあり、2024年度は委託事業者を確保できなかった。(2023年度は実施)
・旧中宮北小学校(現禁野小学校)のプールを活用してもいいのではないかという民間事業者の意見。
・学習指導要領(小学校)(中学校)
・水難事故から身を守るトレーニングとしての着衣水泳の実施は必要
・プールサイドでの事故(施設の老朽化)
・現プール施設の活用・維持補修・廃止(解体)等の計画についてもあわせて示すべき。枚方市学校整備計画(2020年3月)にプール施設の更新計画は含まれていない(プール専用附属室は含まれている)。

奥野の意見

市立小学校の水泳授業については、「小学校水泳授業民間活用に関する基本的な考え方」(案)に基づき、民間活用の全小学校への拡大を目指して庁内協議を進めるとともに、2025年度中に、今後の年次計画を作成する考えとのことです。教育環境の地域間格差を作ることは許されません。前提として、市立小学校における水泳授業継続するということであれば、効果として述べられている「児童の泳力向上」、「水泳授業に関連する教員の業務改善」、「学校プールの老朽化に伴う維持管理、改修・改築費用の縮減」等も評価されますが、教育環境である水泳授業の場について、炎天下にさらされる屋外の学校プールと、スイミングクラブ等の屋内プールの2つに分断される状況の早急な改善も求められると考えます。

新設する禁野小学校にはプールが作られません。モデル事業の総括としては、学校プールを残さず、指導者派遣型ではない民間施設活用を全校で統一するのかどうか、その検討と結論、そこに至る検討の詳細が示されることが必要であると考えます。この後、民間プール施設だけで市内全校をカバーできないことも想定されることから、今回の「考え方(案)」の中でも、旧中宮北小学校の跡地活用の可能性について触れられていますが、市有地を活用し、健康増進のためのプール事業や学校における水泳授業を提供する施設を検討すべきではないか、例えば、中部エリアでは旧中宮北小学校跡地、東部エリアでは王仁公園なども新たな施設整備の候補地になるのではないかと意見しました。

他の委員の質問

・移動時間10分で12校。移動時間を20分程度の想定にすれば全校の対応が可能との説明であるが、事例は10分のみなので、20分の場合も示し、不公平の内容もしっかりと検討すべき。
→前後の時間の取り方、入水時間の取り方に工夫が必要。状況に応じて示していく。
・2025(令和7)年度は14校とのことであるが、バス利用が確保されるかは不透明(万博バスの影響あり)である。2027(令和9)年度に実際の活用が始まるとして、それまでは学校プールの活用となるが、学校プール施設は、更衣室にクーラーもなく、トイレも含め、とても汚い状況であるが、改修等の対策も必要ではないか。
→この後、庁内協議を行うが、民間プール活用を全小学校に展開するとなった場合は、学校プールの維持管理は行わない方針。学校間格差が長期間にならないよう、スタッフ派遣も含め、できる限り速やかに事業を進めていく。
・プールの維持管理費用は50年間で174億円、民間活用の場合は50年間で115億円。改築であれば見込める国からの1/3補助も見込む必要があるのではないか(国補助の記載も必要)。また、50年先に小学校が44校、スイミングプールが14か所あるとの想定を行う根拠について。
→学校プール整備について、国の補助は新改築1/3補助、大規模改修は補助なし。補助はな必ずしも満額ではない。改築費用を仮に1校2.5億円年、満額の補助を受けられたとして合計36億円となるが、その場合であっても、民間活用のコストメリットが確認できる。想定は、2020(令和2)年度と同様のもの。
・民間施設が活用できない場合、中学校プールの活用をするのか。中学校プールの改修についても検討が必要。
→まずは他の民間活用。中学校プールの民間活用は、安全面も含め慎重に検討する。
・プールの改修をしないということはプール施設の跡地活用をどうするのか。他の遊び場、活動場所を作るのか。全く先のことを考えない枚方市である。
→子どものたちの遊び場であったり、跡地活用の選択肢を公共施設マネジメント推進委員会にて検討する。今は考え方の提示で、いったん立ち止まって諸条件を整理し、次年度、本格的な年次計画を示していく。
・民間施設活用にあたり、支援の必要な子どもへの配慮・対処に苦労しているのではないか。
・枚方寝屋川消防組合の全員協議会でも枚方消防署の移転建て替えの話が出ていたが、旧中宮北小学校跡地活用をどうするのか、全体像が全く見えない。いったいどうなっているのか地元の苦労もある。どんな思いで統廃合にOKをしたかという地域の声などを踏まえ、整理が必要ではないか。室内プールの整備についても、民設民営か、直営か、さまざまな課題がある。中宮北小学校の廃止が決定してから数年経っている。。副市長の考えを聞く。
→前回8月の総務委員協議会で枚方消防署の移転建て替えについても提案させていただいた。旧中宮北小学校跡地活用の全体像・イメージについて、今、庁内の検討会議で議論している。年内に一定まとめて、来年の2月委員協議会で説明をさせていただく。特に、枚方消防署の移転建て替えについては、危機管理部から地元にも説明しているところ。
・民間プール施設を全44校が利用となり、バス利用の学校も出てくる。学校ではなく、教育委員会で調整いただけるという理解でよいか。
→まずは、教育委員会の方でスケジュールの調整を行う。

 


【参考】

教育子育て委員協議会資料(2024年8月)

教育子育て委員協議会資料(2024年2月)

教育子育て委員協議会資料(2023年2月)

「2022(令和4)年度の小学校水泳授業における民活事業に係る効果検証」 

 


【参考】

▶ 施設瑕疵による児童の負傷事故について、プライバシー上の配慮を行うことと、事故内容や原因を明らかにし、再発防止策を徹底する等、市としての責任を適正に果たすことは両立させるべき。学校水泳授業における安全管理について、質問しました。9月定例月議会、一般質問の報告③です。(2024年9月17日)

 

▶ すべての市立小学校の水泳授業における民間活力の活用を図る計画策定のための課題整理として、今回は、民間事業者に対するヒアリング結果の報告から。(教育子育て委員協議会報告③)(2024年8月28日)

 

▶禁野小学校新校舎整備事業。新校舎の実施設計のとりまとめが完了し、7月より、いよいよ建設工事が始まります。(教育子育て委員協議会報告②)(2024年6月3日)

 

▶ 3月17日、予算特別委員会2日目(総論及び総務・教育子育て部門)、公の施設として廃止される市民会館の維持管理経費や学校給食牛乳パックリサイクル事業等について質問しました。→(8) 学校水泳授業民間活用事業について

 

▶「上尾市立学校の水泳授業及びプール施設のあり方基本方針」を策定

上尾市立学校の水泳授業及びプール施設のあり方基本方針(2022年3月24日)
上尾市立学校の水泳授業及びプール施設のあり方検討報告書(2022年3月
民間スイミングスクールを活用した水泳授業モデル事業アンケート調査報告書(2023年9月)

(オンブスマン)
「水泳モデル事業」を利用したい市教委事務局 & 言いなりの教育長

 

佐倉市学校プール・市民プール再編に向けた調査の結果の公表について

 

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