税金と貴重な保育人材を使う以上、市として実施する意味と成果を明確にした通園制度を。「こどもの育ち」を目的とする、こども誰でも通園制度についての質問です。12月定例月議会、一般質問の報告③です。

2025/12/12

枚方市議会議員の奥野みかです。

ここでは、「3.こども誰でも通園制度について」の報告です。

こども誰でも通園制度について、2025(令和7)年度の試行的実施を踏まえ実施しようとしている2026(令和8)年度の本格実施について、本市としての事業設計と成果目標を質しました。

市は、待機児童が発生する中で保育ニーズの推移を見極めつつ、「試行的実施の結果」を踏まえ、各エリアで少人数規模から実施する方針を示し、定期利用によって子どもの育ちと保護者支援の両立を図る考えを明らかにしました。また、一時預かりや地域子育て支援拠点との役割整理の必要性についても認識が示されました。

これに対し、こども誰でも通園制度は「こどもの育ち」を中心に据えた制度であり、国の給付事業だからといって、目的や成果を十分に整理しないまま形だけ実施することは許されないと指摘しました。

税を使い、限られた保育人材を投入する以上、本市の実情の中で、何を目的に制度を活用し、どのような成果を得ようとしているのかを明確にする責任があります。そのため、制度を有意義で効果的なものとするための体制整備、人材配置、運営の仕組みづくりにしっかりとコミットするよう強く求めました。あわせて、一時預かりなどの類似事業についても、本来の目的に立ち返った丁寧な運用を要望しました。

 


 

以下、12月12日の一般質問でのやりとりを掲載します。

3.こども誰でも通園制度について

Q.私の質問(本格実施に向けての事業設計)

今年度の試行的実施の総括を踏まえ、国の給付制度として始まる令和8(2026)年度に向けて、本市として、どのような成果を獲得目標として、規模・予算等をどのように設定して実施しようと考えているのか、伺う。

A.田中子ども未来部長の答弁

本市では、保育ニーズが高い水準で推移しており、待機児童が発生している状況にあるため、今後の推移状況を見極めながら取り組みを進める考えであり、実施の規模等につきましては、渚西臨時保育室での試行実施での状況により確認されたニーズを踏まえ、まずは北部・中部・南部・東部の各エリアにおいて、比較的少ない定員数での実施を想定し、現在、民間法人の意向確認を行っているところである。
また、実施にあたっては、国の制度では他の子どもや大人との関わりを通じて、乳児等の成長につなげていくことを主旨とし、様々な施設運営の方法が提示されている中、本市では定期利用での実施を行うことで子どもの育ちに主眼を置きながら、育児する保護者を孤立化させないという親支援の視点も踏まえつつ、取り組みを進める考えである。

Q.私の質問(類似事業の再確認)

本市は、3か月単位の定期利用としてはいるが、保育者にとっては保育する子どもが日々変わることは大きな負担である。また、市では、類似した事業として一時預かりや地域子育て支援拠点などの事業が実施されており、目的や内容が一部重なる既存事業がある。
そこで、これらの事業内容について改めて確認させていただくとともに、今後、それぞれの事業が担う役割をどのように考えているのか、伺う。

A.田中子ども未来部長の答弁

既存事業である一時預かり事業は、一時的に家庭での保育が難しくなったときや保護者の短時間就労、リフレッシュ目的の場合にお子さんをお預かりするものである。また、地域子育て支援拠点事業は、安心して自由に遊べる場を提供し、親子のふれあいや親同士が交流することができるほか、相談機能を備えているものである。これら事業をこども誰でも通園制度に照らし合わせると、保護者の負担軽減や親同士の交流という観点で共通するところがある。
他方、こども誰でも通園制度を定期利用されることで、親子通園を経て集団保育に入ることで、他児を真似て発語したり、積極的にコミュニケーションを取るようになったり、心身の発達も確認しやすいといった効果もあることから、引き続き、それぞれの事業の役割や違いをわかりやすく明確にしながら、取り組みを進めることが重要だと認識している。

O.私の意見・要望(事業目的・成果検証へのコミット)

「こども誰でも通園制度」は、こどもの成長の観点から、「全てのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整備する」ことを目的としている。こどもの成長のために「通う」という考えを基本とし、家庭にいるだけでは得られない様々な経験を通じて、こどもが成長していくように、こどもの育ちを応援するもので、保護者の立場からの必要性に関わらない利用となる。
給付制度として実施するにあたり、全国どの自治体でも共通で実施することになるが、国がやれと言うから、事業の具体的な目的や効果も曖昧なまま、「とにかく形だけやってます」という馬鹿げた実例になってはいけない。税を使い、限られた貴重な保育人材を投入する以上、本市として何を目的に、どんな成果を得るために制度を活用するのかを明確にしなければならない。本市にとって、何のために何を行うことに意味があるのか、必要なのかをしっかりと考えていただきたいと意見しておく。「国費(税金)のバラマキ型、自治体お任せ事業」については、事業を有意義に、そして効果的に活用するための体制・人材配置・運営の仕組みをしっかりと構築することが不可欠であると考える。
なお、「保護者の立場からの必要性」に対応する「一時預かり制度」など、類似の他制度についても、それぞれの本来目的をしっかりと見据えて、引き続き課題解決に丁寧に取り組んでいただくよう求めておく。

 

◇枚方市議会 2025(令和7)年12月定例月議会(第2日)(5:25:15くらいから)

 

 

 

 

 


試行的実施(2025年度)について

※以下は、照会内容に基づき、奥野が作成

 

 


【参考】

2024(令和6)年度こども誰でも通園制度-試行的事業 検証結果報告書(千葉市)

こども誰でも通園制度の実施に関する手引 (2025年3月/こども家庭庁)

こども誰でも通園制度(基礎資料集)(2025年7月8日改定/こども家庭庁)

 

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