6月定例月議会 窓口業務等のアウトソーシングについて(一般質問④)

2019/06/26

先日の総務委員協議会において、市は「窓口業務等のアウトソーシングに係る考え方」を報告されました。
市民対応業務においては、「窓口業務」だけを切り取ることは難しく、反対に窓口で対応する職員が備えるべき専門性やコミュニケーション能力の高度化が求められているなか、今回示された考え方は、そうした窓口業務の質に関する考察や検討を飛ばして、委託化・効率化というコストの話に飛びついているように思われると、市役所の「窓口業務」について私なりの意見を述べ、行政改革として行うアウトソーシングの対象を「窓口業務」と表現することで、市民に誤解を与えるのではないかと懸念されることを訴えました。
そもそも、今、行政に問われているのは、まさに「仕事の質」で、懸命に生きている市民の皆さんが抱える複雑な「困りごと」に対応できる「高度な質と総合的な対応体制」を確立することが求められていて、行政改革のテーマや必要性はこの点にこそあるのであって、決してコスト削減による「安上がりの行政」を作ることではないとの意見を述べました。

質問のやりとりは次のとおりです。

質問①
行政の仕事は、一言で表現すれば、すべて「市民のための仕事」であり、市民に対する説明責任を負っているので、どんな業務においても、市民への案内や説明、相談対応などが伴う。その業務を、最も広い意味で「窓口業務」と呼んでいると、私は理解している。そして、市民の皆さんからは、ずっと以前から、「杓子定規な対応」や「たらい回し」と批判される、いわゆる「お役所仕事」の「窓口業務」の改善を求められてきた。
さらに、市民の皆さんの「困りごと」は、どんどん複雑になっているが、その「とっかかり」は、相談や申請手続きの場面、「窓口」である。つまり、市民対応業務においては、「窓口業務」だけを切り取ることは難しく、反対に「窓口」で対応する職員が備えるべき「専門性」や「コミュニケーション能力」がどんどん高度化していると思う。ところが、今回示された考え方は、そうした「窓口業務」の「質」に関する考察や検討を飛ばして、委託化・効率化というコストの話に飛びついているように思われる。
アウトソーシングや委託を検討するのであれば、その対象業務は「独立的・定型的でかつ簡易であること」が前提となるべきで、仮にそうした性格の業務が行政の仕事にあるとするならば、それを「窓口業務等」と表現すると、誤解を与えるのではないかと思うが、見解を問う。

回答① 総合政策部長
今般のアウトソーシングについては、総務省の通知で示される「窓口業務の見直し及び庶務業務の集約化」を踏まえ、「窓口業務等」と標記をしているものであるが、窓口業務の検討にあたっては、その中でも、定型的業務を前提としており、市としての判断が求められる生活保護の個別ケースなどについては、検討の対象外としている。
また、検討の対象としている業務についても、窓口における受付からその処理までの工程中の定型的な業務について、トラブルなどの事象やその発生時の対応も想定したうえで、一連の業務フローの中で円滑かつ効率的に業務を遂行できるよう、コスト面も含めて、詳細な検討を行っていく予定としている。

質問②
現在、窓口業務を行う職場には非常勤職員の配置も行われており、その業務を委託に切り替えても、前提となる業務量や必要人員数に大きな変化はないと思う。一方、委託化する場合には、偽装請負とならないように、現場における責任体制の構築や本社管理経費も積まれるし、今後は10%もの消費税が課税される。そうしたことをすべて積み上げて、なぜコスト削減を図ることができると考えられるのか。窓口業務等のアウトソーシングによって、期待されているコスト削減効果について、あらためて説明をお願いする。

回答③
アウトソーシングを行うことで、窓口の繁忙期にあわせて対応する人員をフレキシブルに変更できること、また、複数の窓口業務を一元的にアウトソーシングすることで、待ち時間の短縮やワンストップによる受付など市民サービスの向上を図ることが可能となり、ひいては、職員の時間的な資源、また、財政的な資源の確保にも資するものと考えている。
こうしたことを踏まえ、今後におきましては、単にコストの縮減の観点だけでなく、市民の利便性の向上、また、セーフティネットや知識の継承などの観点を含め、先行導入市での対応、事業者へのヒアリング等も参考にしながら、アウトソーシングの具体の検討を行っていく。

→(コメント)アウトソーシングについては、単にコスト縮減の観点だけでなく、詳細な検討をされるとのことである。効果も期待できないのに、「窓口業務」を無理やり委託するようなことだけは止めていただきたいと指摘しておく。

要望
今、行政に問われているのは、まさに「仕事の質」だと思う。懸命に生きている市民の皆さんが抱える複雑な「困りごと」に対応できる「高度な質と総合的な対応体制」を確立すること。行政改革のテーマや必要性はこの点にこそあるのであって、決して「安上がりの行政」を作ることではないとの意見しておく。

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