自治体DXとあわせて、デジタル社会から誰一人取り残さない取り組みの推進を。「基幹業務システムの統一・標準化に向けての取り組み」について質問しました。12月定例月議会、一般質問の報告②です。

2022/12/19

枚方市議会議員の奥野みかです。

ここでは、「2.基幹業務システムの統一・標準化に向けての取り組みについて」の報告です。

国は、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律で、政令で定める20業務について基準に準拠した義務付け、地方公共団体情報システムの標準化の推進を図るための基本方針として、2022年10月に「地方公共団体情報システム標準化基本方針」を策定しており、2023年4月から2026年3月までを移行支援期間と位置づけ、地方公共団体の情報システムが2025年度までにガバメントクラウドを活用した標準準拠システムへの移行を目指すこととしています。

2025年度末までを目標とするガバメントクラウドを利用した標準準拠システムへの移行により、コスト削減やサイバー攻撃への防御力の向上等の効果は期待できますが、外部化に伴う通信の安全性の確保、通信障害等の発生リスクへの対応、新庁舎を含む市域全域における市の業務のあり方、そして地域社会のデジタル化、デジタルデバイド対策など、デジタル社会から「誰一人取り残さない」取り組みの検討を求めました。

 


 

以下、12月19日の一般質問でのやりとりを掲載します。

2.「基幹業務システムの統一・標準化に向けての取り組み」について

Q.私の質問

地方公共団体情報システム標準化については、「2025年度までに、ガバメントクラウドを活用した標準準拠システムへの移行を目指す」と国が基本方針を示しているが(10月)、本市の移行スケジュールの現状について伺う。

A.田中総合政策部長の答弁

本市では、標準化の対象となる20業務すべてのシステムについて、2025(令和7)年度末までにガバメントクラウドを利用した標準準拠システムに移行することを目指し、各システム所管部署と情報共有を行いながら取組を進めているところである。2022(令和4)年度から2023(令和5)年度にかけて、標準仕様と現行システムの比較分析を行い、その結果を取りまとめシステム事業者に情報提供依頼を行った上で、仕様を決定し、予算審議をいただいた上で、システムを調達する予定である。

Q.私の質問

これまでの基幹業務システムは、本市の独自施策などを運用するためにカスタマイズしたシステムを本市に設置したサーバ上に構築しているが、標準化すると、国の標準仕様に基づくシステムをガバメントクラウド上に構築することになる。システムの機能や設置環境が変わることになるが、標準化による効果や課題はどのようなものであるのか、また、どのような対応を想定されているのか、伺う。

A.田中総合政策部長の答弁

標準化による効果については、現在は法改正対応などで各業務システムのカスタマイズ部分の改修作業や維持管理費用が発生しているが、全国の自治体が標準準拠システムを利用することで、これらの作業負担や費用が抑えられる。さらに、各業務システムがクラウド化し、本庁のサーバ室で管理するサーバが減少することで、将来サーバ室の床面積を縮小することも可能となる。
課題については、標準準拠システムの利用にあわせて、現行業務フローを見直すことや、これまでカスタマイズにより現行システムで運用してきた市独自施策が標準準拠システムでは運用できない可能性があるが、そのような場合でも、必要な施策については、運用の見直しや別システムでの対応を行っていく。

Q.私の質問

ガバメントクラウドに移行することにより、これまで本市の庁舎内で管理されていた個人情報を取り扱う基幹業務システムが庁舎外で管理されることになるが、セキュリティ対策はどのように確保されるのか。
また、外部へ接続するということで、接続する回線が何らかのトラブルで繋がらないということも想定される。通信インフラの大規模災害等に対する対応や、通信回線トラブル等の発生リスクへの対応などにどう対応されるのか、伺う。

A.田中総合政策部長の答弁

ガバメントクラウドのセキュリティ対策については、安全性について国が確認したガバメントクラウドに市役所から専用回線で接続することで通信の安全性を確保する。また、接続する回線については、障害が発生した際の対応として、バックアップ用の回線や、サーバを構築することを想定しており、安定した業務運用ができるよう検討を進めていく。

O.私の意見

基幹業務システムの統一・標準化によるコスト削減やサイバー攻撃への防御力の向上などの効果は確かにあるかもしれないが、一方で、外部化されるために、通信インフラが大きな鍵を握ることになる。また、システムが標準化されることで、本市の優れた独自施策が制限されるリスクも生じる。システムが対応できないため、独自施策の運用を見直すということがあっては、本末転倒である。
システムのあり方は、新庁舎の建築・電気設備・通信設備の設計に大きな影響を与える。逆に、新庁舎を含む市域全域における業務のあり方を決めなければ、システムのあり方の詳細を描けないと思う。さらに、自治体DXの取り組みとあわせて、地域社会のデジタル化、デジタルデバイド対策など、デジタル社会から「誰一人取り残されない」取り組みも求められている。
いずれにせよ、スケジュールに遅れることなく行政内において的確で詳細な検討を進めるとともに、検討結果を、議会にも市民にも公開、説明し、きちんとした議論ができるようにしていただくことを要望しておく。

 

 


【参考】

▶ 地方公共団体情報システム標準化基本方針(2022年10月 )

 

 地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化のために検討すべき点について(2021年12月)

※以下は、資料より引用。

▶「デジタル社会の実現に向けた重点計画」

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