誰一人取り残されない、多文化共生を。このまちに住む 外国人市民の安心につなげる。「国際化施策に関する考え方」について質問しました。9月定例月議会、一般質問の報告③です。

2021/09/21

枚方市議会議員の奥野みかです。

ここでは、「3.『国際化施策に関する考え方』についての報告です。

昨年4月に策定された『国際化施策に関する考え方』について、「多文化共生のまち・ひらかた」の実現のために適切に総括・評価し、その内容を公表すること、そして PDCAによる実効的な進行管理を行い、昨年9月に発出された国のプラン(地域における多文化共生推進プラン)も参考に必要な改訂を行い、さらなる課題解決をめざしていただくよう要望しました。
また、(公財)枚方市文化国際財団の解散に伴い、財団から寄附収受した3億円余は、一般財源に組み入れるのではなく、財団の設置目的であった国際交流や文化振興に資する財源となる「特定目的基金」とするよう要望しました。

 

 


 

以下、9月21日の一般質問のやりとりを掲載します。

3.『国際化施策に関する考え方』について

Q.私の質問
市は昨年4月、「違いを認めあい、みんなで創る、多文化共生のまち・ひらかた」を理念とする『国際化施策に関する考え方』を策定した。
昨年9月の定例月議会でも進捗管理等について確認しているが、改めて、『考え方』という名称ではあるけれども、「基本計画」「基本方針」のようなものと説明されてきた『国際化施策に関する考え方』の進行管理及び推進体制について、伺う。
また、2020年度の進捗状況を市はどのように評価されているのかについても伺う。

A.観光にぎわい部長の答弁
はじめに進行管理と推進体制については、庁内委員会である「国際化施策検討委員会」において、各部署で取り組む事業などの集約・確認と進行管理、そして施策の推進を担っていく考えである。
また、事務局体制については、公益財団法人枚方市文化国際財団が本年3月末で解散されたことに伴い、翻訳・通訳業務をはじめとする国際交流推進事業等は、本年4月から観光交流課が担っており、会計年度任用職員2名を採用して対応しているところである。
次に2020年度の進捗状況の評価については、年内に予定している「国際化施策検討委員会」において行う。なお、2020年度には部内職員を対象に「やさしい日本語」をテーマに研修を実施したが、今年度は対象を拡大し、庁内職員を対象とした研修を実施する予定である。

O.私の意見・要望
それぞれの「取り組みの内容」にかかる各課の実績や進捗状況について、ヒアリングの際にご報告もいただいた。
このまちでともに生活する外国人の皆さんである。妊娠期からの切れ目のない支援、就学前の子育て支援、就学支援、就労支援、健康・医療・介護の問題等々、さまざまな生活場面での支援を想定していただき、「誰一人取り残さない」「誰一人取り残されない」という観点から、施策に「つなげる」「つながる」働きかけをお願いする。
そして、多言語対応等の環境づくりとともに、市の担当部署の皆さんには、外国人市民の「在留資格」を踏まえた適切な支援を考慮いただくようお願いしておく。
『国際化施策に関する考え方』が「基本計画」「基本方針」のようなものというのであれば、具体的なアクションプランを定めることも有効かと考える。
いずれにせよ、適切に総括・評価し、その内容を公表いただき、PDCAによる実効的な進行管理を行い、さらなる課題解決をめざしていただくようお願いをしておく。さらに、『考え方』の策定後、昨年9月に発出された国のプランも参考に、必要な見直しや改訂を行っていただくよう要望する。

Q.私の質問
次に、『国際化施策に関する考え方』には、「(公財)枚方市文化国際財団の解散後の体制づくり」についての記載もあるが、具体的な検討内容について、伺う。

A.観光にぎわい部長の答弁
国際関係事業については、検討・検証した結果、次のとおり対応することとしており、順次、説明させていただく。
国際交流事業のうち、先ほどもお答えさせていただいた翻訳・通訳業務については、観光交流課で引き続き実施している。ボランティア養成講座、国際理解講座、外国人のための一日相談会については、11月以降に実施する予定で準備を進めている。また、海外友好都市交流業務については、今年度はコロナウイルス感染症の影響で事業を中止している。
各種関係団体と連携・協力して取り組んでいる事業のうち、ひらかた多文化フェスティバルについては、本年度の一年度に限り、市として実行委員会に参画し、11月の開催に向けて役割分担をしながら準備を進めており、来年度以降については関係団体が主体となって取り組むこととなっている。
また、日本語ボランティアの会については、「日本語教室」を市民会館2階の文化国際財団の研修室で行っていたが、同会館が2020年(令和4年)3月末で廃止されることから、来月10月からは市民ギャラリーの跡地を拠点として活動することを予定している。

O.私の要望
(公財)枚方市文化国際財団の解散に伴い、残余財産3億円余を市は寄附収受されている。当初予算で説明されていた「この街に住みたい基金」への積立ては、当該基金が廃止されたので、使途の特定はなく、2021年度の事業にかかる一般財源(歳入)の一部として活用する旨、説明いただいた。
しかし、国際交流の充実や文化芸術の振興のため、市が3億円を出捐して設立した公益財団法人からの返金のようなものであるから、そもそもの目的達成も道半ば、まだまだ施策を展開しなければならないと思う。財団の解散に伴う寄附金の取り扱いについて、財団の設置目的であった国際交流や文化振興に資する財源となるよう「特定目的基金」の設置を検討いただくよう、強く要望する。

 


 

 「地域における多文化共生推進プラン」の改訂について

「地域における多文化共生推進プラン(改訂)」

総務省は、地方公共団体における「多文化共生の推進に係る指針・計画」の策定に資するため策定した「地域における多文化共生推進プラン」(2006年3月)について、外国人住民の増加・多国籍化、在留資格「特定技能」の創設、多様性・包摂性のある社会実現の動き、デジタル化の進展、気象災害の激甚化といった社会経済情勢の変化を踏まえ、2020年9月に改訂。

「地域における多文化共生推進プラン」の改訂のポイント

<関連資料>

「多文化共生の推進に関する研究会報告書~地域における多文化共生の更なる推進に向けて~」

 


 国際化施策に関する考え方
(※クリックするとPDFファイルが開きます。以下は、資料からの抜粋です。)

国際化に関する基本的な考え方を明確にするとともに、様々な分野における理念や基本目標を明らかにし、総合的かつ体系的に施策を推進していくため、市は2020年4月、「違いを認めあい、みんなで創る、多文化共生のまち・ひらかた」との理念を掲げる「国際化施策に関する考え方」を策定しています。
「4つの基本目標」の達成のため、「多文化共生の推進」「国際化基盤整備」「国際交流の推進」と「3つの基本方針」のもとにそれぞれ2つずつ「6つの取り組みの方向」も定められ、実現するための「取り組みの内容」も示されています。

各部署で取り組む事業などの集約・確認と進捗管理等について、2020年9月の定例月議会において、「今後の取り組みについては、国際化施策を所管する観光交流課が総括し、庁内の横断的な連絡調整を強化することで、様々な課題解決を目指していく。」と答弁いただいています。

策定時の委員協議会において、確認した内容は以下のとおりです。

 

基本方針1「多文化共生の推進」の2つの取り組みの方向である「外国人市民等に対する支援の充実」及び「多文化を包摂する地域社会づくり」にかかる2020年度の実績や進捗状況、今後の取り組みについて、また、「(公財)枚方市文化国際財団の解散後の体制づくり」について、ヒアリングの際に報告いただいた内容は以下の通りです。

◇外国人市民等に対する支援の充実

① やさしい日本語や多言語による情報提供の環境整備
・2020年度、やさしい日本語を用いた情報提供や窓口対応などにおける言葉の置き換え方法に関する研修を実施。今年度も実施予定。
・新型コロナワクチン接種予約サイトの操作マニュアルをやさしい日本語で作成。
・多言語による情報提供(翻訳・通訳)については、今年度から観光交流課が事務を引き継いだことで今までより迅速に対応できている。
2020年度まで→依頼部署⇒観光交流課⇒財団⇒通訳・翻訳者⇒財団⇒観光交流課⇒依頼部署
2021年度から→依頼部署⇒観光交流課⇒財団⇒通訳・翻訳者⇒財団⇒観光交流課⇒依頼部署

② 関係機関・団体と連携した日本語教育
・日本語ボランティアの会との連携、教育政策課(日本語よみかき教室担当)との情報共有

③ 相談体制の検討
・2021年2月にOFIXと共催でオンライン相談会を開催。(枚方市内の相談者はなし)
・2021年度も2月に、OFIXの協力のもと、外国人のための1日相談会の開催に向け調整していく。OFIXにて実施している相談窓口に係る情報提供を行うなど、相談が必要な人に相談の機会を提供する。

④ 災害時等における支援
・危機管理室にて「防災ガイド」の多言語化を検討。

⑤ 健康・福祉・子育て支援等における対応
・保健師による家庭訪問(乳児訪問)への同伴
・乳幼児健診 3歳6か月児健康診査
・コロナ感染拡大防止のための周知看板の多言語化翻訳
・新型コロナワクチン接種予約サイトの操作マニュアルの多言語化翻訳
・「子ども医療証の使い方」の多言語化翻訳

⑥ 外国籍等の児童・生徒の学校への受入れ体制の確保
・入学(就学)手続きについて(ご案内)多言語化翻訳
・学校たよりの翻訳
・懇談会の通訳

◇多文化を包摂する地域社会づくり

⑦ 多文化理解の促進と偏見・差別の解消
・人権政策室にて、「枚方市人権施策基本計画」を作成中

⑧ 多文化を受けとめる行政の場における仕組みの改善
・未実施。外国人の対応をできるよう職員レベルの多文化理解を深めるような講座を実施する。

⑨ 地域における外国人市民等の受入れの支援
・外国人市民等を地域で円滑に受け入れるためには、ゴミの出し方等、生活ルールについて、外国人市民等に理解してもらうことが必要であることから、外国人のための枚方生活ガイドを発行し、サポートしている。また、不法投棄の啓発看板を多言語化し作製した。

⑩ 外国人市民等との交流の促進
・外国人市民等と交流し互いの理解を深めるためには、多文化の芸術や交流が必要であることから、市民団体等が主体で活動している多文化フェスティバルの開催に向けた支援を行う。

⑪ 関係団体との連携の強化
・やさしい日本語ネットワーク、大阪府国際交流財団(OFIX)、日本語ボランティアの会、多文化フェスティバル実行委員会との連携を強める。

◇(公財)枚方市文化国際財団の解散後の体制づくりについて

・財団解散後の国際関係事業については、各種団体等の協力を得ながら、観光交流課にて事業の実施を行っている。
・国際化施策検討委員会を開催し、財団の事業内容や現状の課題等を踏まえ、事業の引継ぎに向けた確認を行った。
・考え方で示した取り組みの方向性や内容に基づき、各部署において取り組みを進め、その内容を情報共有することにより、更なる各部署の事業推進につなげていく。
・財団の解散については、財団の理事会・評議員会において決定されたため、市として審議や検証は行っていない。

 


 「市政運営方針」について

◇市政運営方針に「国際」「多文化共生」に関することがどのように記載されているのかを確認しました。令和3年度は(公財)枚方市文化国際財団の解散後の体制づくりもありますし、「国際化施策に関する考え方」が策定されて2年目になるので、PDCAも回していかないといけないと思うのですが…、以下の記載にとどまっています。

■3月定例月議会で伏見市長が令和3年度市政運営方針を表明しました

「誰一人取り残さない」持続的な発展をめざすというSDGsの理念は、本市のあらゆる施策に通じる考え方であり、健康・福祉、教育、ジェンダー平等、環境、平和などの目標の達成に向けて、本市も国際社会の一員として取り組みを進めます。

■3月定例月議会で伏見市長が令和2年度市政運営方針を表明しました

「国際化施策に関する考え方」に基づく多文化共生のまちの実現に向け、外国人雇用については、市内事業者との情報共有を推進するとともに外国人が理解しやすい「やさしい日本語」で行政情報を提供するための職員研修などに取り組みます。また、家事の負担を抱える方々の活躍推進や家事支援ニーズに対応するため国家戦略特別区域家事支援外国人受入事業の活用をめざします。

■令和元年度9月定例月議会で伏見市長が所信を表明しました

本年4月に改正出入国管理法が施行され、新たな在留資格「 特定技能」 が創設されました。これは深刻な人手不足の状況に対応するため、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人材を受け入れようとするものです。今後、本市においても外国人労働者が増加することを踏まえ、支援団体等と連携し、日本語教育や多文化共生など国際化施策の取り組みを進めます。

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