配分されるかどうかわからない財源を前提に、公共事業の形を決めてよいのか。3月19日、予算特別委員会4日目(総論及び市民福祉・建設環境部門)は、村野駅西地区土地区画整理事業の財源問題について、都市整備のあり方の観点から質問しました。

2026/03/19

枚方市議会議員の奥野みかです。

3月19日、予算特別委員会のB日程(総論及び市民福祉・建設環境部門)で行った質問の報告です。

村野駅西地区土地区画整理事業において、国庫補助金が要望額の約50%にとどまったことを踏まえ、事業への影響と対応方針を質しました。市は工程見直し等で影響はないとする一方、不足分は組合側の調整で対応する考えを示しました。これに対し、補助金の多寡により事業内容や負担が左右される構造や、都市計画事業としての公共性に対する財源責任の所在が曖昧になりかねない点を指摘しました。

あわせて、この問題は本事業にとどまらず、市駅周辺再整備事業の④⑤街区で想定している事業手法にも関わる都市整備政策の根幹に関わる論点であるのではないかとも考えます。

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【3月19日の質問項目】

(1) 村野駅西地区土地区画整理事業について
※録画映像はこちらから。

 


 

※以下、質問のやりとりを掲載します。

(1)村野駅西地区土地区画整理事業について

Q1.私の質問
村野駅西地区土地区画整理事業として、一般会計予算説明書361ページに、2,521,200千円が計上されており、社会資本整備総合交付金840,400千円の充当を見込まれているようであるが、まず、2026(令和8)年度予算における財源構成について伺う。
あわせて、本事業は、2025(令和7)年度から2029(令和11)年度までを補助予定期間とする国費率1/3(市が2/3を負担)の国庫補助事業で、当初、総事業費6,777,000千円と見積もられていた。
現在までの事業の進捗状況と、資金の動き(収入・支出状況)についても伺う。

A1.友田市街地開発課長の答弁

村野駅西地区土地区画整理事業については、現在、地権者で構成される土地区画整理組合により事業が進められており、本市では組合に対して技術的・財政的支援を行っている。
予算の財源構成としては、国庫支出金として8億4,040万円を歳入予算として計上し、この国庫支出金と市の支出金16億8,080万円を合わせた25億2,120万円を歳出予算として計上している。
また、現在までの事業の進捗については、組合において土地評価基準の決定及び地権者への個別説明が進められており、この3月には、仮換地指定が予定されている。
資金の動きについては、組合において関係機関との調整や仮換地指定の調整に時間を要したため、現在まで組合に対する支払いは国庫補助金を含め交付していない。

Q2.私の質問
2025(令和7)年度の当初予算で計上されていた村野駅西地区土地区画整理事業費(補助金)670,000千円について、3月補正で319,000千円の減額補正が行われたのは、全国からの補助要望額が増大しているため、国庫補助の配分が 要望額の約50%にとどまったことが理由とのことである。
また、補正減額後の351,000千円が繰越明許とされたのは、組合において、関係機関との調整や仮換地指定の調整に時間を要したことから、年度内の執行が困難となったことによるとの説明であった。
今回、国庫補助が当初想定の半分となったことについて、事業工程、事業完了時期、事業全体への影響について、市としてどのように認識しているのか、伺う。

A2.友田市街地開発課長の答弁

事業への影響については、組合より、工事工程を見直すことで、事業完了時期及び事業全体への影響はないと聞いている。本市としても、組合と緊密に連携を取りながら、引き続き、財源の確保に努め、事業の円滑な進捗を支援していく。

Q3.私の質問
国庫補助が当初想定の半分となったにもかかわらず、「事業全体への影響はない」とのことである。
その前提に立てば、計画していた国庫補助を得られなかった場合の対応としては、次の選択肢が考えられる。
第一に、国庫補助財源の確保をあきらめず、工事工程を見直し、次年度以降の補助金確保を前提に事業を進めるという方策、
第二に、計画された事業内容は基本的に維持し、補助金については、国の補助額減少分を市費補助額で調整(補填)するという方策、
第三に、国の補助額減少分を保留地処分金で賄う、つまり組合側の負担で賄うという方策、
第四に、国庫補助財源の縮小にあわせ、当初計画していた事業内容の見直しで対応するという方策、といった整理になると考える。
今回の事態から、社会資本整備総合交付金が国の予算枠の中で全国配分される制度である以上、その確保は必ずしも安定的なものではないことが明らかになった。
今回のように、社会資本整備総合交付金が想定どおり確保できない場合、本市としては、どの方策(選択肢)で対応されようとしているのか、伺う。

A3.友田市街地開発課長の答弁

今回の内示率の低下については、全国的にコロナ禍で活動を中断していた事業地区が再開し始めたことや、近年の資材高騰や労務単価の上昇などの影響により、全国からの補助要望額が増大しているため、各地区への配分が厳しくなっていると認識している。
本市としては、引き続き国の動向を注視し、補助金の確保に努めていく。そのうえで、資材の高止まりなどが続けば、今後も厳しい状況が続くことが予想されることから、そういったケースも想定した柔軟な事業対応について検討するよう組合に対し助言している。
補助金については、国の補助制度を対象とした国の負担額とそれに応じた市の負担額を合わせた補助額が事業に充当されることとなっているが、国庫補助金の内示が要望額を下回る場合については、組合で対応することが基本的な考え方となり、組合においては、当該年度の補助対象工事を内示額に見合うように調整し、全体の事業スケジュールを見直す方法や、事業スケジュールを優先し、補助が得られなかった分を組合で負担する方法などを検討することが考えられる。本市としては、組合がこれらの選択肢を検討するにあたり、必要に応じて助言や支援を行っていく。

私の意見・要望
国庫補助金の配分が要望額の約半分にとどまったことについて、本事業が想定どおり進むのか強い懸念を持つ。
そうした事態に対する対応方策として市が示された考え方は、まずは第一の方策で、国庫補助金の確保に努めるというものである。しかし、この実現は相当困難なものではないか。
次の選択肢として市が示されたのは、補助を得られなかった分を組合で負担する第三の方策、そして、「補助対象工事を内示額に見合うように調整し、全体の事業スケジュールを見直す方法」ということであるから第四の方策である。第三の方策である保留地処分金の増額による国の補助額減少分の補填はかなり困難かと思われるので、実質的には、事業計画の縮小見直し等によって国庫補助の範囲内に事業内容を合わせていくという第四の方策を市として求めることになるのではないか。
しかし、本来、土地区画整理事業というまちづくりは「補助金ありき」で組み立てるものではなく、まず本市としての公共目的があり、その実現のためにどの財源を充てるのかを判断すべきものである。補助金の多寡によって事業の形や負担のあり方が左右され、その調整が主として組合側に委ねられるとすれば、都市計画事業としての責任の所在が曖昧になりかねない。
また、土地区画整理事業は都市計画事業として一定の公共性が認められている以上、その公共性を担保する財源についても、公共としての責任の整理が不可欠である。国庫補助の確保を前提とした財源設計であったのであれば、その配分減は本来、市の側のリスクとしてどのように受け止めるのかが問われるべきである。
したがって、来年度以降も国庫補助金の確保に努めていただくことは当然であるが、それにとどまらず、事業の公共性に対してどの財源で責任を持つのかという点について、市としての整理を明確にすべきであると考える。適切な事業を推進するために必要な財源設定については、市補助のあり方を含めて改めて整理されるべきだと考える。
国の補助金に過度に依存し、その配分によって事業内容が左右されるようなまちづくりとならないよう、慎重かつ適正な対応を求めておく。
そして、この問題は本事業にとどまるものではなく、今後、取り上げられるかもしれない④⑤街区の区画整理のあり方にも直結する、都市整備政策の根幹に関わる論点であることを指摘しておく。
(都市整備政策の根幹に関わる論点から)
今回の質疑を通じて明らかになったのは、社会資本整備総合交付金は国の予算枠の中で配分される不確実な財源であり、その多寡によって事業の進め方や負担構造が左右され得るという現実である。
このことは、「配分されるかどうかわからない財源を前提に、公共事業の形を決めてよいのか」という、都市整備の根本に関わる問題を提起するものである。
こうした観点から、今回指摘した「補助金依存構造」と「公共性と財源責任の整理」の問題は、単なる一事業の課題にとどまるものではなく、④⑤街区における区画整理のあり方、さらには市駅周辺再整備の方向性そのものに直結する、都市整備政策の根幹に関わる論点である。
問われているのは事業手法ではなく、このまちの将来に対して、誰がどの責任で決めるのかという都市整備の根幹である。まず本市として何を実現すべきかという公共目的を明確にし、その上でどの財源で責任を持つのかを整理するという、原点に立ち返った意思決定を図られるよう求めて、私のB日程の質疑を終わる。

 

(※以下は、時間の関係で省略した総括意見の一部です。できれば述べておきたかった内容なので、ここに記しておきます。)

本市の市駅周辺再整備事業においては、市庁舎整備のように本来国庫補助の対象とならない事業を含め、土地区画整理事業という枠組みの中で一体的に進めようとしている点に、大きな構造的課題を抱えているのではないか。
本来は市が自らの責任と財源で判断すべき公共施設整備が、区画整理事業や国庫補助の枠組みに組み込まれることで、結果として事業全体が補助金の配分や市場動向に左右される構造となっていないか、厳しく問われなければならない。
とりわけ、本市の場合、対象区域のほとんどが市有地であり、本来であれば市の意思によって公共的な土地利用を主体的に設計できる条件が整っている。それにもかかわらず、市有地の売却や民間需要に依存した事業スキームを前提とすることは、市民共有の財産のあり方として適切なのか、極めて慎重な検討が必要である。
加えて、人口減少局面においては、タワーマンション等の民間需要に過度に期待する前提自体が成立しにくくなっている現実も直視すべきである。
本来、駅前かつ市役所隣接地という極めて高い公共性を有するエリアであるからこそ、防災拠点となる公園整備など、市民の安全・安心に資する土地利用を優先的に検討すべきであり、その実現に向けた財源のあり方を公共として責任をもって整理することが求められる。

 

◇インターネット配信(録画配信) 2026年3月19日

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