2月15日、建設環境委員協議会が開催されました。案件は「事業系ごみ処理手数料の見直しについて」等、13件の協議が行われました。ここでは、環境部の2件を報告します。【報告①】

2022/02/15

枚方市議会議員の奥野みかです。

2月15日は建設環境委員協議会が開催され、13件の案件の審議が行われました。「建設環境」は私の所属する常任委員会です。委員長のあいさつの後、理事者側は小山副市長の挨拶でした。
オミクロン株の感染拡大はこれまでにないスピードで進んでおり、病床のひっ迫は深刻な状況で、学校園の臨時休業等も余儀なくされているが、学びを止めないための取組(ハイブリッド型授業)などにより対応、保健所の人員体制の確保も図りながら、ワクチン接種については、3回目接種の希望する方への一日も早い接種に向け、スケジュールを前倒しして取り組んでいるところである等、本市の新型コロナワクチン対策についての話がありました。

今回、提出された案件は次のとおり。

【案件名】

(1)事業系ごみ処理手数料の見直しについて[環境政策室(廃棄物施策担当)]
(2)学校給食牛乳パックリサイクル事業について[環境政策室(廃棄物施策担当)、減量業務室、施設管理室(穂谷川清掃工場担当)]
(3)屋外広告物の安全点検及び特定区域の見直しについて[住宅まちづくり課]
(4)小中学校教室等空調設備の更新及び体育館空調の整備について [施設整備室 教育政策課課]
(5) 市街化調整区域内における開発行為の許可について[審査指導課]
(6)新名神高速道路の進捗状況について [土木政策課]
(7)枚方市無電柱化推進計画の策定について[土木政策課]
(8) 都市計画道路長尾杉線の進捗状況について[道路河川整備課]
(9) 王仁公園 再整備と管理・運営の基本方針(素案)について[みち・みどり室]
(10) 枚方市駅高架下及び光善寺駅前機械式自転車駐車場、並びに光善寺東自転車駐車場の廃止について[交通対策課]
(11) 枚方市水道ビジョン2022及び枚方市下水道ビジョン2022の策定について[経営戦略室]
(12) 上下水道局機構改革の実施について[経営戦略室]
(13) 公共下水道第69工区楠葉雨水貯留管整備工事等の進捗状況について[下水道室 雨水整備課]

ここでは、環境部の以下の2件を報告します。

(1)事業系ごみ処理手数料の見直しについて[環境政策室(廃棄物施策担当)]
(2)学校給食牛乳パックリサイクル啓発事業について[環境政策室(廃棄物施策担当)、減量業務室、施設管理室(穂谷川清掃工場担当)]

以下、各案件の詳細です。

 


(1)事業系ごみ処理手数料の見直しについて[環境政策室(廃棄物施策担当)]

事業系ごみ処理手数料は、現在、90円/10㎏。2026(令和8)年の新施設稼働をめざし、広域でのごみ処理の連携を図る京田辺市は 150円となっており、まずは、京田辺市との水準統一が課題で、目標としては、ごみ処理原価に一致したものとなるよう、今後、廃棄物減量等推進審議会において、事業系ごみ手数料の見直しについて審議・検討を行っていくとの報告。

◆ 事業系ごみ処理手数料

「枚方市一般廃棄物(ごみ)処理基本計画」
事業系ごみ処理手数料の適正化:事業系ごみ処理手数料は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」による排出者責任の考え方に基づき、ごみ処理原価に一致したものとなるように、手数料の見直しを検討する。

「行財政改革プラン2020」
2022(令和4)年度中に一般廃棄物の減量及び適正処理の促進等に関する条例の一部改正を行うこととしている。

【今後の予定】

廃棄物減量等推進審議会において、事業系ごみ処理手数料の見直しについて審議・検討を行い、意見具申として意見等を取りまとめていただき(2022年10月予定)、見直しの検討を進めていく。2022年12月、枚方市一般廃棄物の減量及び適正処理の促進等に関する条例の一部改正案を提出予定。

◆ 参考 令和3年度事業概要【一般廃棄物(ごみ)関係】

奥野の意見(確認)

・事業系ごみ処理手数料は、2013年10月に改定され、10㎏あたり60円から、2015年12月までの 75円の経過措置を経て、現在、90円である。2026年の新施設稼働をめざし、広域でのごみ処理の連携を図る京田辺市は 150円(現時点で改定の予定はない)となっており、まずは、京田辺市との水準統一が課題とのことである。京田辺市において、現在、改定の予定はあるのか。
→予定はないと聞いている。

・2020(令和2)年に実施の府内自治体の調査結果について。
→京阪沿線 90円、大阪市・堺市 150~170円、北摂80円~105円。100%の負担を求めている自治体はないとのこと。
・ごみ処理経費については、令和2年度決算ベースで 299円である。新施設稼働後の処理コストはどう見込んでいるのか。
→「事業概要」で示しているごみ処理経費には、減価償却費が含まれていないが、事業系ごみ処理手数料の見直しを行うにあたってのごみ処理原価には減価償却費が含まれている。そのため、ごみ処理原価は、減価償却費が含まれるため、高くなる可能性がある。なお、ごみ処理経費に収集経費分 325円は含んでいない。

(※以下、奥野の発言を掲載します。)

(質問)
環境省から平成25年4月に「一般廃棄物処理有料化の手引き」が発行されているが、その中では「廃棄物の処理に係る原価相当の料金を 徴収することが望ましい」と示されている。ごみ処理経費は、決算ベースでは10㎏あたり約300円、減価償却等を踏まえたごみ処理原価は350円程度とのこと。案件説明では、「ごみ処理原価と一致したものとなるよう」とのことであるが、どの程度、回収すべきと考えているのか。今後、審議会からも様々な意見が出てくると思うが、担当部の見解について、伺う。

(回答)
一般廃棄物(ごみ)処理基本計画にも記載させていただいてますとおり、廃棄物の処理及び清掃に関する法律による排出者責任の考え方に基づき、将来的にはごみ処理原価と一致したものとなるように、事業系ごみ処理手数料の見直しを検討していきたいと考えている。

(意見)→事業系ごみ処理手数料の見直しを機に、よりわかりやすく、積極的に情報発信を行い、ごみ処理原価や処理に係る経費について、市民や事業者に理解してもらうことも必要ではないか。

他の委員の質問

・事業系ごみ処理手数料(10㎏あたり)について、現在の90円、京田辺市の150円、処理原価に近い300円であるときの手数料収入の差について。(令和2年度事業系ごみ処理量 28,623トン)
→それぞれ、2億5,800万円、4億2,900万円、8億5,900万円。現在と処理原価分を比較すると、約6億円。現在と京田辺市で1億7,100万円。
・コロナ禍のいま、なぜ見直すのか。
→ごみ処理原価との乖離、京田辺市と広域連携で運営する施設の稼働が2025(令和7)年度末になること。

 


(2)学校給食牛乳パックリサイクル事業について[環境政策室(廃棄物施策担当)、減量業務室、施設管理室(穂谷川清掃工場担当)]

学校給食牛乳パックについて、大阪府内において、これまで納入業者(学校給食会)が引き取っていたが、2022年4月以降、府内一斉に各自治体で処理しなければならなくなった。一方、古紙のリサイクルを実施している製紙会社では、通常の牛乳パックと紙材が異なる学校給食牛乳パックをリサイクルすることは課題であった。
そこで、
学校給食牛乳パックを焼却するのではなく、製紙会社との「公民連携」を活用して本市独自のリサイクルの仕組みを構築し、学校給食牛乳パックのリサイクに取り組むとともに、そのリサイクルを通じて児童・生徒等に環境教育を行うことでより一層の環境意識の向上を図るものという報告。

枚方市内の小・中学校で、一日約26,000個の学校給食牛乳パックが排出される。2022年2~3月、民間事業者と協定を締結し、「公民連携」に基づき、学校給食牛乳パックのリサイクルを行い(8月頃を予定)、学校における環境教育のさらなる充実を図る。(※詳細は以下のとおり)

同じ事業で提案されている教育・子育て委員協議会の資料には、「公民連携によるリサイクルの仕組みを構築」して「民間事業者が作成したリサイクル工程の動画等を活用し広く情報発信」「以降、近隣自治体等へのリサイクル広域化を検討」と記載されてもいます。

2019(令和元)年6月より一般ごみの中に含まれる再生可能な紙類(新聞紙、段ボール、雑誌・雑がみ)の行政回収を実施していますが、紙類の収集から処理までのリサイクルルートの確保や次世代へのリサイクル教育、市民啓発等を通じてリサイクルの推進を図るため、信和商事株式会社(回収業者)と回収した紙類の納入先である大王製紙株式会社(古紙再生事業者)と本市(排出者)との3者で連携し、協定を締結しています(2019年7月16日)
行政回収した紙類の納入先である、大王製紙(株)三島・川之江工場では、あらゆる品種の紙を一貫生産できるシステムを有しているようですが、今回、設備投資も行い、学校給食牛乳パック(学乳パック)の受入れも行うとの報告がありました。「古紙のリサイクルを実施している製紙会社では、通常の牛乳パックと紙材が異なる学校給食牛乳パックをリサイクルすることは課題であった」という前提が示されていましたが、学校給食牛乳パック(学乳パック)はそれほど受け入れ困難な資源になるのでしょうか。

【事業費・財源及びコスト】

《事業費》 12,753千円
①牛乳パック自動洗浄機購入費:10,791千円(令和4年度のみ)
②牛乳パック自動洗浄機運転管理費:142千円
③牛乳パック運搬委託料:1,320千円
④牛乳パック回収ボックス購入費:500千円(令和4年度のみ)
《財源》
一般財源:1,462千円…②③に充当
スマートライフ推進基金:11,291千円…①④に充当

奥野の意見(確認)

・環境部としては、自動洗浄機の購入や運搬委託にコストを投入して、焼却処理していた牛乳パックのリサイクルを推進するという事業。
・「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第三条第一項「事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」
・購入する自動洗浄機は穂谷川清掃工場に設置する。牛乳パックはそのまま(開かない)で、職員が学校から穂谷川清掃工場に運搬し(直営。頻度は?運搬に使用する車は?)、直営で洗浄作業を行い、リサイクル事業者(製紙工場)の指定事業者が運搬を担う(1者しか事業者への搬入を許可されない。よって随意契約になる)というスキーム。
・自動洗浄機の購入経費、運転管理費(光熱水費?)、穂谷川清掃工場からリサイクル事業者までの運搬の委託料の経費は見ているが、市内全域の小・中学校(63校)から牛乳パックを回収して、自動洗浄機のある穂谷川清掃工場に運搬、自動洗浄機への投入等は直営職員の業務となる。そのコストが全く可視化されていない。運搬及び洗浄に必要な職員数はどの程度を想定されているのか。収集の頻度、収集に使用する車両はどのように想定されているのか。
→収集頻度は、現在関係課と調整中。仮に、小学校(44)・中学校(19)の合計63か所の収集場所を1校あたり週2回収集すると仮定すると、収集運搬業務は週4日で1日2名の職員、車両は1台程度洗浄作業に関する業務は1日3時間2名の職員が従事するものと想定。
・牛乳パック自動洗浄機運転管理費14万2千円/年はメンテナンス費用か。光熱水費か。
メンテナンス費用を18,000円、光熱費を約124,000円、年間合計約142,000円を見込んでいる。
・学校以外からの回収について、市民に理解してもらえるのか。啓発が難しいのではないか(小さな牛乳パックは通常の牛乳パックとは紙材が異なるため一緒にできないとの説明あり)。学校以外で、店舗等に回収ボックスを5か所程度設置するというスモールスタートから、との説明があったが、すでに店舗回収している牛乳パックとのすみ分けはどうされるのか。
→地域の集団回収との重なりもあるので大々的に取組むと問題もあることから調整も必要であり、現在、検討中。
・「公民連携」でリサイクル事業者(製紙工場)にリサイクル処理をしてもらうことから説明されているが、まず、学校給食の牛乳パックは「紙パックリサイクル製品(紙パックマーク)」で、「紙製容器包装品(紙マーク)」ではない。「公民連携」と説明されているが、「紙パックマーク」の牛乳パックは古紙回収でも買い取ってもらえる対象である。リサイクル事業者への売り払いはしないのか。
→売り払いではない。
・委託料を支払う「運搬」は、リサイクル事業者(製紙工場)の指定事業者しか許可されないとの説明であるが、随意契約理由(どの随意契約理由?)に該当するか。「競争性の確保」を阻害していないか。
→リサイクル事業者(製紙工場)には指定事業者しか運搬できない。
・紙パックは「食品に使われる紙はきれいでなくてはならない」という考え方から、リサイクルされた材料を一切使わないヴァージンパルプが使われている。それゆえ、紙パックは、リサイクルする材料としては最も上質であり、リサイクルの取引価格は高価というのが現状。リサイクルされた紙パックは、トイレットペーパー、ティッシュペーパー等の家庭紙が全体の約70%を占めており、他には板紙、キッチンペーパーなどがある。ちなみに 1 リットルの紙パック 30 枚当たりトイレットペーパー5 個、ティッシュペーパー3~4 個が再生できる。「製紙会社に運搬することで製紙会社が新たに導入する設備による段ボールなどへのリサイクル」をどう理解すればよいのか。

 

(※以下、奥野の質問のやりとりを掲載します。一部、給食担当課に事前確認分あり)

(質問)
確認したい事実がたくさんあるので、順番に伺う。
まず、この事業の必要性について、2022(令和4)年度以降、学校給食用の牛乳パックを自治体ごとに処理しなければならなくなったが、「焼却」ではなく、「リサイクル」にもっていきたかったということか。
(回答)
そうである。

(質問)
府内各市の状況について。
(回答)
年度当初に大阪府(教育振興室保健体育課)が令和4年度以降の処理について調査した段階では、未定の自治体が多かったと聞いている。(給食担当課)

(質問)
毎日のことであるが、学校給食用の牛乳パックをこれまではどう処理されていたのか。
(回答)
牛乳納品業者が納入時に使った段ボールの箱に、飲んだ後の牛乳パックを入れて持ち帰ってもらっていた。(給食担当課)

(質問)
業者は持ち帰った牛乳パックをどう処理していたのか。また、引き取り費用は負担していたか。
(回答)
おそらく「焼却」されていたと思われる。引き取り費用負担はしていない。(給食担当課)

(質問)
枚方は「毎日牛乳」であるが、この学校給食用牛乳パックは「紙パックリサイクル製品(紙パックマーク)」か、「紙製容器包装品(紙マーク)」のどちらか。
(回答)
「紙パックリサイクル製品(紙パックマーク)」である。

(質問)
この「紙パックマーク」が付いているものだと思う。紙パックとは、牛乳容器などで、容器の内側にアルミのないもので、1000mlの他に500mlのものや、学校給食に使われている200mlの容器も集められて、同様にリサイクルされていると理解している。紙パックは100%バージンパルプで作られている上質な資源であり、多くがトイレットペーパーやキッチンペーパーなどの家庭紙に再生されている。紙の包装品や古紙などが、段ボールなどに再生されているのとは違う。
紙パックのリサイクルは、
排出者が、洗って、開いて、乾かして、自治会などの集団回収やスーパーなどの店舗に設置されたボックスで回収されている。それを回収業者や古紙問屋が集めて再生紙メーカーに持ち込み、売却していると思う。全国には、学校給食用牛乳パックもリサイクルしているところもあるが、本市の場合、業者回収された牛乳パックがリサイクルされず、焼却されていた。紙パックリサイクルは、中身が残って腐らないように「洗って」、かさばらないように中身が見えるように「開いて」、かびが生えないように「乾かして」排出するのがルールであるが、それが困難だったからであるという話を聞いた。
洗って、開いて、乾かすという「ひと手間」をかけないと資源化できない、ということである。
紙パックはラミネートされたポリエチレンを除く設備のある工場でリサイクルされるが、その際、500mlや200mlなどの小さな紙パックもリサイクルできると業界団体のホームページに書かれている。
今回の事業の内容ですが、この「ひと手間」はかけないで、穂谷川清掃工場に自動洗浄機を購入し、裁断・洗浄処理と行うということにした理由について、伺う。
(回答)
学校現場で教職員の負担増になる作業は困難であると判断されたためである。

(質問)
ここには教育委員会がおられないので、意見だけ言わせていただく。
地球環境を守る取り組みは、すべて当事者の認識を高め、主体的な取り組みを求めるものである。それは子どもたちでも同じである。今までは、ストローを使って牛乳パックから牛乳を飲み、そのまま捨てていたが、それも変えなければならない。近く紙パックもストローレスのものに変わる。そして、牛乳を飲んだ子どもたちが洗って、開いて排出する、そのような行為者に変革する、それが環境教育であるべきだと思う。これは意見としておく。

そうしたひと手間をかけられたら、そこから先は、既存の牛乳パックリサイクルの拠点に学校が加わり、リサイクル量が増えるだけで、特別なコストはかからない。逆に、学校で紙パックリサイクルに出せば、わずかでも収入になるかもしれない。
では、今回、説明されている事業だと、どれぐらいのコストがかかるのか。
学校から穂谷川清掃工場に牛乳パックを運搬し、洗浄することになるが、
当該事業により追加される業務(運搬・洗浄)に必要な職員数や車両台数はどの程度で、頻度はどれくらいを想定しているのか。
(回答)
収集頻度については、現在関係課と調整中である。仮に、63か所の収集場所を1校あたり週2回収集すると仮定すると、収集運搬業務は週4日で1日2名の職員、車両は1台程度、洗浄作業に関する業務は日3時間2名の職員が従事するものと想定している。これは、現状の人員のなかで職務内容の整理を行い、対応することとしている。

(質問)
穂谷川清掃工場に購入予定の牛乳パック自動洗浄機・裁断機の初期費用・運転管理費は、年間どの程度になるか。
(回答)
メンテナンス費用を18,000円、光熱費を約124,000円、年間合計約142,000円を見込んでいる。
(質問)
また、洗浄・裁断したものを、市が協定を締結した大王製紙株式会社の四国中央市にある三島工場に搬送されると思われるが、その搬送はどのような形態で行われ、年間でどの程度の費用がかかるのか。
(回答)
工場内に搬送できる業者が限られるので、委託で搬送する。年132万円程度を予算化している。

(質問)
その搬入物は多くのコストをかけられたもので、製紙会社の製品の原料になるわけですが、買取費用は支払われるのか。
(回答)

費用負担は想定していない。
(質問)
搬入された洗浄・裁断された牛乳パックは、何に再生されるのか。

(回答)
段ボールと聞いている。

(意見)
最後に意見を述べさせていただく。

児童・生徒に「洗って・開く」、学校に置いて「乾かす」という手間をかけさせることをどう考えるか、このことを最初から検討・議論もせずに「リサイクル」という形を整えようとするから、多額のコストが発生し、また、特定企業にコストのかかった製品原材料の無償提供を行うという事業内容になると思う。そして、せっかくの紙パックという上質な再生紙原料を、それに見合う形に再生利用できないということになると思われる。
何よりも、児童・生徒に、自分たちの主体的な行動で、二酸化炭素排出の抑制や森林保全など地球環境を守る行動を日々行うという機会、また、そのことを気づかせ続けるという、真の意味での環境教育を放棄することになると思う。スーパー等にも回収箱を設置、ということが示されているが、牛乳パックリサイクルの中で築き上げられてきた「洗って、開いて、乾かして」排出するという、これまで培われてきた大切なリサイクル文化を破壊する危険性もある。紙パックをポイっと捨てたら、あとは市が回収し、洗浄して、再生工場に届け、まとめて段ボールになるというシステムを構築するというということである。
従って、この事業については、もう一度、ゼロベースで再検討すべきだと意見しておく。

他の委員の質問

・納入事業者による引き取りがなくなり、自治体が処理することになる。公民連携でリサイクルに取り組むとのことであるが、リサイクルすることでの本市のメリットは何か。
→学校給食の牛乳パックを焼却することなく再生することで、地球温暖化への対応やCO₂削減、SDGsにもつながる。
・近隣市の状況について。ストローレスの課題もある。
→北河内7市は可燃ごみとして排出。リサイクルはないと聞いている。枚方市が率先してリサイクルを行うことで、先進的な取り組み「枚方モデル」になればと考える。

 


「牛乳パック自動洗浄機」ってどんなもの?

ヒアリングの際、春日井市が導入している専用処理機で、枚方市の学乳パックの洗浄テストをさせてもらい、洗浄後の材料を製紙工場に受け入れてもらえるものか確認をとったと話されていたので、春日井市の導入状況をググってみました。

カネミヤ 給食用牛乳パック処理機 自治体から初の受注(中部経済新聞/2020年4月17日)

環境機器メーカーのカネミヤは、学校給食用牛乳の紙パックを自動洗浄する専用処理機を、関東地区の公立中高一貫校と春日井市の学校給食共同調理場に合計11台納入した。従来は乳業メーカー向けが主体で、自治体からの受注は初めて。今後も年間10~15台の受注獲得を目指す。

関東地区の学校に納入した「紙パック自動洗浄処理機」

(紙パック)自動洗浄処理機「Bun-Sen」(ブンセン)

Q&Aでは、「作業者は何人必要か→1人で作業可能」「洗浄後の紙パックはどこが買い取ってくれるのか→カネミヤの提携先」「引取運賃は→運賃込みの引取値段になる」といった回答も示されています。

 


紙パックとリサイクル法
※全国牛乳容器環境協議会(容環協)ホームページ

・「紙パックマーク」と「紙マーク(紙製容器包装)」は表示しているマークで区別できる。紙製で飲料を充填する容器包装でアルミニウムが利用されているものは、紙製容器包装となる。「紙パックマーク」がついていれば、牛乳だけではなく、ジュースやお茶、また小型の200ml容器などもリサイクルできる。

2021年度概要版_飲料用紙容器(紙パック)リサイクルの現状と動向に関する基本調査
「2020年度リサイクルの実態」(全国牛乳容器環境協議会)

紙パック手開き動画_屋根型(小型パック)

 

「パック連通信119号(2021.12.14)」_学乳パックリサイクル実施校の視察特集
※全国牛乳パックの再利用を考える連絡会」(全国パック連)

東京都では、2020年から学乳パックリサイクルを実施することとなり、西東京市や練馬区などでは学乳パックリサイクルが導入されています。1年生からしっかり学乳パックを「開いて、洗って、乾かす」ことを徹底している学乳パックリサイクル校の特集です。練馬区の小学校では、牛乳アレルギーの児童に配慮しながらリサイクルを実施されています。
効率的で児童にもあまり負担感のないようなリサイクルの方法を試行錯誤の中で編み出されたこと、給食を終えたら牛乳パックを開くことは、子どもたちにとって日常当たり前に行う作業となっていること等が報告されています。子どもたちが、自分たちの主体的な行動を通して、環境問題への理解も深めていくという大切な環境教育の機会になっているようです。廃掃法を盾に、リサイクルの道筋もつけずに、牛乳業者が一方的に学乳パックの引き取り停止を行ったところでは、自治体も混乱し、結局、学乳パックは廃棄されることとなっているとの報告もあります。

紙製容器包装と紙パック

家庭系紙パック回収の種類、紙パックの回収実績について、森林と環境など。

 


【2022年2月17日追記】

教育・子育て委員協議会での委員の質問

・子どもたちが主体的にリサイクルに参加することを考えなかったのか。
→飲用後の学乳パックは、調理員もしくは配膳員が取り扱うことにしている。
・牛乳アレルギーの問題はあると思うが、「開いて、洗って、乾かす」というリサイクルを検討すべきではないか。
→アレルギーは生命に関わる状況が考えられる。給食の提供は、非常に細かいマニュアルに従い提供している。牛乳パックの中に牛乳が残っているという状況での作業は困難。アレルギーの子どもたちがいるので、作業はできない、洗えないのが現状。リサイクルは、ビデオで見て学んでいただきたい。
※奥野の意見→牛乳アレルギーに対する正しい理解を妨げ、いたずらに恐怖心を煽るものではないでしょうか。牛乳アレルギーが非常に強い子どもがいた場合に、最も必要な対策は、誤飲・誤食の防止で、過去に学校給食で発生した事案も、含有のチェック漏れによる摂取で発生したアナフィラキシーであったと思います。

・アレルギーのある子どもに牛乳が一滴でもついたら大変、という状況は理解するが、工夫できないのか。3月~8月までの間、考えていくことも可能ではないか。
→手洗い場の数が限られている。まずは、デジタル副読本で学んだ後、発達段階に応じた作業を、机上ではなく体験を、と考える(部長)。一斉に毎日洗うのは大変で、どう環境教育を充実させていくか、考えていきたい(教育長)。
・子どもたちへの環境教育という観点からの取り組みが必要ではないか。
・遠方の製紙工場まで、指定運送事業者に委託料を支払って、原料となる牛乳パックを運搬するというのは理解できない。牛乳パックを学校から回収し、洗浄もして運搬し届けるというのであれば、喜んで受け入れてくれるリサイクル事業者も多くあるのではないか。市内事業者の育成やもうけにつながるのではないか。
→「そんじょそこらの工場」ではできない特殊な技術が必要で、専門的な工場での難しいリサイクル処理が求められる。コストもかかる。枚方からは毎日26,000個の排出で、年間50トンを超える。遠距離運送となるとハードルも高い。
・学校給食の牛乳パックの取り扱いはそれほど困難であるのか。市内事業者にまかせることが本当にできないのか、確認が必要である。
→学校給食の牛乳パック(学乳パック)は高度な技術での処理が求められる。コーティングの層など、「そんじょそこらの開け方」では開かなくて、家庭で使用される1リットルパックとは違う。リサイクル処理が、高度な技術での工場でしかできない。どうしても、そういう事業者の協力が必要である。
※奥野の意見→容器にはいろいろなものがありますが、枚方の学校給食で出されている牛乳パックには「紙パックマーク」がついています。「紙パックマーク」がついていれば、牛乳だけではなく、ジュースやお茶、また小型の200ml容器なども同様にリサイクルできます。厚さは特に問題になっていないようです。

 

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