3月25日、予算特別委員会の5日目は、特別会計・公営企業会計です。国民健康保険特別会計、水道事業会計、病院事業会計の3会計について、質問を行いました。

2021/03/25

枚方市議会議員の奥野みかです。

3月25日に行われた予算特別委員会の5日目(C日程:特別会計・公営企業会計)において、国民健康保険特別会計、水道事業会計、病院事業会計の3会計の令和3年度当初予算について、4つの観点から質問を行いました。

今回の予算特別委員会では、コロナショックの影響も計り知れない中、財源を確保できるのかという懸念があり、収入面に着目して、予算の審議を進めてきました。特に、コロナショックは、一律の打撃ではなく、女性の非正規労働者を選択的に直撃している、とも言われています。
一般会計のA日程では「基金」に着目しましたが、一般会計のB日程では、自主財源である「市税収入」を取り上げ、市税収入を見込むにあたっても、市として必要な施策展開を行うにあたっても、納税者市民の「事実認識」が必要で、所得階層別や業種・業態別の分布、正規・非正規の別、男女差(ジェンダー格差)なども踏まえた現状の分析を、市の保有する課税情報に基づき、的確に行っていく必要があるのではないかと意見もしました。

今日は、国民健康保険特別会計の収入である、国民健康保険料に関することから質問を始めました。
令和3年度の国民健康保険料をどのように決めたのか、予定収納率 94%を確保できる見込みはあるのか、国民健康保険財政調整基金の適切な運用について、令和6年度の大阪府の統一保険料に向けての今後の取り組み方針などを、順に確認しました。

水道事業会計では、事業期間を3年延長し、令和6年度に完成予定とされた中宮浄水場と田口山配水場間の二重化工事の現状や今後の見込みについて、本市の基幹管路の耐震化の現状と今後の進捗について、質問しました。
令和3年度、約 27億円で約 10㎞の水道管路の更新で、耐震化率は約 1%の向上との説明を受けましたが、何とも気の遠くなりそうな現況に、公民連携プラットフォーム等の活用などで、何とか進捗を加速化することはできないのだろうかと、思い付きの域は出ないが…、と投げかけました。

病院事業会計では、第二種感染症指定医療機関として、新型コロナウイルス感染症に対して最前線で踏ん張ってきていただいた市立ひらかた病院が、今月10日に、悲願であった地域医療支援病院の承認を受けられ、また、大阪府がん診療拠点病院の指定も受け、がん治療にも力を入れておられることから、一般病棟の病床利用率の現状とともに、今回は、緩和ケア病棟の病床利用率等の現状についても質問しました。
そして、入院前支援、退院支援・在宅移行、在宅医療の後方支援等、「医療相談・連携室」の相談支援の現状と課題を確認した後、市立ひらかた病院のがん医療が地域医療全体の中で果たす役割を高めるためにどのような取り組みが必要とされているのかについて、最後は病院長にお尋ねしました。
地域の医療・介護関係者、福祉部門の多角的で緊密な連携や、在宅での療養や看取りを支える在宅医療体制の整備のためには、医師会との連携協力関係を築いていただくことも重要で、市としては、地域医療の推進に関する専門の部署を設け、支援体制を強化していただきたいと訴えてきているところですが、今日は、市長に対しても、市からの支援体制の強化・充実を要望しました。

予算特別委員会の5日間の審議を終え、今日は委員会に付託された10議案の採決が行われました。
一般会計予算・介護保険特別会計予算・後期高齢者医療特別会計予算の3会計予算案は起立多数で可決、その他会計予算案は原案可決となりました。
(※いまさらの報告ですが、予算特別委員会13人のうち女性は6人。女性比率の高い委員会でした。)

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【3月25日の質問項目】
・国民健康保険料について(国民健康保険特別会計)
・送配水管更生事業について(水道事業会計)
・市立ひらかた病院の入院収益について(病院事業会計)
・医療相談員設置に対する一般会計負担金について(病院事業会計)

 


 

※以下、質問のやりとりを掲載します。

 

国民健康保険料について(国民健康保険特別会計)

Q.私の質問
一般会計のB日程では、「自主財源」である「市税収入」を取り上げ、市税収入を見込むにあたっても、市として必要な施策展開を行うにあたっても、納税者市民の「事実認識」が必要である、ということから、証拠に基づく政策立案・評価(EBPM)を掲げるのであれば、課税情報という最も明確でかつシビアなエビデンス(データ)に着目し、ジェンダー視点も含め、的確に分析することから始めるべきではないか、と意見させていただいた。
今回の予算特別委員会では、コロナショックの影響も計り知れない中、財源を確保できるのかという懸念があり、収入面に着目しているが、本日、C日程では、国民健康保険特別会計の収入である、国民健康保険料に関することから質問を始めさせていただく。

まず最初に、令和3年度の国民健康保険料について、どのように決められたのか、伺う。

A.国民健康保険室課長の答弁
国民健康保険料は、毎年度医療費など保険給付に必要な額や被保険者数、被保険者の所得総額などの推計を行い、保険料として収納が必要な額を定め、その額を被保険者数などで按分して保険料率を決定する。このため、あらかじめ定められた率により賦課を行う税とは異なる、国民健康保険料独特の仕組みとなっている。
保険料として賦課する額を決定するときは、一定の滞納額が生じることを見込み、予定収納率を設定して被保険者全体に賦課する総額を決定する。例えば収納必要額が 9億円であるとき、予定収納率を 90.0%と設定したならば、賦課総額は 10億円とする必要がある。
具体的な保険料率は、賦課総額を所得割、被保険者均等割、世帯平等割の3方式に按分して算定する。例えば賦課総額が 10億円で、所得割を 5億円、均等割を 3億円、平等割を 2億円に按分した場合、所得割率は 5億円を被保険者の所得総額で割ることで求められる。同様に均等割額は、3億円を被保険者数で割る、平等割は 2億円を世帯数で割ることで求められる。所得額が多い世帯において保険料額が限度なく高くなることがないよう、賦課限度額が設定されており、令和3年度は介護納付金分を含めた合計で、2年度から 3万円引き上げとなる 99万円が限度額となる。
令和3年度の本市の保険料率は、予定収納率を 94.0%と市町村標準保険料率による設定より 2.04ポイント高い率に設定するなど、被保険者の負担が急激に増加することのないよう措置を講じ、賦課総額を 97億6,853万9千円と定め、各料率を決定するものである。
なお、大阪府市町村の国民健康保険料率は令和5年度までの激変緩和措置期間ののち、令和6年度には全市町村が統一保険料率を採用することとなるものである。

Q.私の質問
あらかじめ定められた率により賦課を行う税とは異なる、国民健康保険料独特の仕組みについて、ご答弁をいただいた。
国保加入者である、自営業者や非正規雇用者の令和2年度の所得が予想以上に落ち込み、被保険者の所得総額等の推計を大幅に下回ったらどうなるのかという疑問はあるが、説明にあったように、市は令和3年度の保険料の予定収納率を 94.0%と設定されている。この率に設定された根拠と、コロナ禍の影響が予測される中、この率が確保できる見込みはあるのか、伺う。

A.国民健康保険室課長の答弁
大阪府が市町村標準保険料率において設定する予定収納率は、府内市町村の実績の平均値を基に算定されている。本市はこれまでから、標準より高い収納率を目標値として設定しており、令和2年度においても標準より 1.41ポイント高い 93.0%を設定し、これを達成する見込みである。
令和3年度の本市の予定収納率は、保険料率を据置きとするために保険料収納額をいくら確保しなければならないか検証を行った結果や、府内政令市・中核市の実績などを踏まえ 94.0%と設定したものである。
保険制度における受益と負担の公平を担保し、将来にわたって持続可能な国民皆保険制度を運営するため、保険料収入の確保は、保険者として最も重要な責務であると考えている。今後においては、従来の郵便や電話による催告に加え、ショートメッセージサービスの活用、口座振替勧奨キャンペーンなど新たな手法に取り組んでいく。

Q.私の質問
これまでから標準より高い収納率を目標としているが、達成は見込んでおられること、また、保険料率を据置きとすることも踏まえ、令和3年度の予定収納率を設定したとのことである。保険料収入の確保のため、さまざまな取り組みも行われるとのことであるが、徴収した保険料収入が国民健康保険事業費納付金に満たない場合等に、昨年度、設定した「国民健康保険財政調整基金」を活用するのか。当初予算に基金積立金・基金利子は計上されていないが、基金の目的と運用(積立て・取崩し)の方針、基金残高について、伺う。

A.国民健康保険室課長の答弁
徴収した保険料収入が国民健康保険事業費納付金に不足する場合、不足額の財源がなければ、大阪府から借り入れをし、後の年度の保険料に上乗せして収入する必要があるが、そのようなことがないよう、基金を設けたものである。
基金の積み立ては、地方財政法第7条の規定を踏まえ、前々年度の決算剰余金の積み立てを基本とし、基金の目的としては本市基金条例において「国民健康保険事業費納付金の納付に要する費用の不足に充てるため。」としている。現在の基金残高は、7億2768万2千円であるが、令和2年度3月補正予算において基金利子収入 72万8千円を計上し、積み立てを行う。

Q.私の質問
般会計の質問で基金を取り上げてきたのは、「自主財源」としてあてにしているのに、現在の予算審議の仕組み・提示される資料等から、基金残高などの現状がわかりにくいことがあったからである。もちろん、決算書には、基金残高などの状況は示されているが、国民健康保険特別会計の「国民健康保険財政調整基金」について、予算書からは存在の有無さえわからない。多額の利息は期待できないとはいえ、必ず収入するわけであるから、「基金利子」の予算化があれば、基金の存在が明示されるのではないかと意見しておく。
あわせて、「国民健康保険財政調整基金」の適切な運用をお願いしておく。

最後に、保険料について、令和6年度までに府内統一保険料になるとのことであるが、市独自の減免の取り扱いも含め、今後の方針について、伺う。

A.国民健康保険室課長の答弁
大阪府では、府・市町村広域化調整会議での議論を踏まえ、平成30年度に保険料率の統一化を行い、経過措置期間を令和5年度までとして、大阪府国民健康保険運営方針に沿って各市町村での取り組みを進めているところである。
本市の保険料率は、市町村標準保険料率と比較して、所得割保険料の配分が高く、均等割・平等割の配分が低いという特徴があり、統一保険料に合わせると所得の低い層の負担が大きくなることから、令和5年度までの経過措置期間において、このことに配慮した激変緩和措置を講じていく必要がある。
また、本市独自の減免である児童扶養減免については、令和6年度までに段階的に廃止する考えである。

O.私の意見
国保制度改革の中で、全国的にも、保険料は都道府県単位で統一されていく方向で、大阪府はそのトップにあるようだ。令和6年度の保険料統一までの経過措置期間において、激変緩和措置等の必要な対策とともに、制度改革の意義を正しく理解してもらえるよう、保険料が決定される仕組みの説明も含め、繰り返し、市民への周知、加入者への丁寧な説明を徹底していただきたいとお願いしておく。

 

送配水管更生事業について(水道事業会計)

Q.私の質問
次に、水道事業会計について、伺う。
各特別・企業会計予算説明書 164ページの「送配水管更生事業」について、事業期間が平成27年度から令和6年度と記載されている。令和2年度の予算説明書では、事業期間が令和3年度までとなっていたが、今回、事業期間が3年延長され、事業費総額も約 2 億4千万円増額の 26億9,660万円に変更されている。
そこで、事業期間延長の理由や現状、令和3年度以降の見込みについて、伺う。

A.上水道工務課長の答弁
当該事業の施工中に既設水道管の一部が民有地に埋設されていることが判明したため、地権者と用地買収等の交渉を行ってきたが、水道管を移設撤去することで協議が整った。このため、改めて施工方法について検討した結果、水道管の布設替えに際し、新たに中圧ガス管の移設が必要となった。
このガス管は供給量が多くなる冬場を避けて移設工事を行う必要があり、通常のガス管移設より長い期間を要することが判明した。
以上のことから地権者との協議や施工方法の検討に要した期間も含め、事業工程の見直しを行った結果、令和6年度まで事業期間を延長することとしたものである。
次に、当該事業の進捗状況は、令和元年度末で、総延長約 3,000mのうち施工済み延長は 1,450mで、48%となっている。
令和3年度は、穂谷川から田口山配水場区間約 400mの完成を予定しており、残りの約 1,150mは、令和6年度の完成を目指し事業を進めていく。

Q.私の質問
この送配水管更生事業は、中宮浄水場と田口山配水場間を結ぶ旧送水管のリニューアル工事で、管更生により送水管を二重化し、地震等の災害による断水を回避するためのバックアップルートを確保する事業で、本市の水道事業としては非常に重要なバックアップ構築の事業であると聞いている。
令和元年度末で 48%の進捗率であったけれども、事業工程の見直しにより、令和3年度の完成予定が、令和6年度の完成予定に変更されたとのことである。
目に見えない地中にある管路工事は、想定外の事態もあり、思いのほか大変であると思われるが、最重要な水道管であることから、可能な限り早期に事業が完了できるよう、お願いしておく。

断水を回避するためのバックアップルートの確保はもちろんであるが、水道施設整備基本計画に基づき、管路評価を踏まえた基幹管路の計画的な更新・耐震化も非常に重要である。
そこで、全管路・基幹管路等の本市の耐震化率の現状を伺う。
また、どの程度の経費で、どの程度の耐震化率の改善が見込まれるのか、令和3年度の
水道管路事業全体の予算と耐震化の進捗について、伺う。

A.上水道工務課長の答弁
令和元年度末時点での本市の全管路の耐震化率は約 26%、基幹管路は約 32%となっている。また、令和3年度の水道管路全体の予算については、送配水管更新事業では 1億4,400万円を、配水支管更新事業は、9億9,900万円を計上している。
また、移設工事等を含む建設改良事業として 7億50万円を、送配水管更生事業として 6億3,150万円を、道路築造工事に伴う水道移設工事として都市計画道路内里高野道線整備関連事業を 1億7,700万円計上しており、合計 26億5,200万円となっている。
これにより約 10㎞の水道管路が更新されることとなり、基幹管路及び全管路の耐震化率とも約 1%の増加が見込まれる。
なお、現在、本市の水道管路工事はすべて、耐震機能を有する管材を使用して施工している。

O.私の意見
厚生労働省のホームページによると、令和元年度末時点での全国の基幹管路の耐震化率は 26.6%、大阪府の基幹管路の耐震化率は 36.8%となっている。本市においては、令和3年度、約 27億円の予算執行により、約 10キロメートルの水道管路の更新となり、その結果、1%の耐震化率の向上につながるとのことである。
約 27億円かけて耐震化率の向上が1%なら、50%向上させるためには単純計算で 1,350億円程度が必要なことになる。既存の発想、既存の技術で、既存の契約発注方法を重ねていくだけでは、費用的にも、時間的にも、気の遠くなりそうな話である。
そこで、このようなテーマにこそ「公民連携プラットフォーム」を活用して、民間企業の先端技術や新しいアイデアを引き出し、実証実験を行って実用化に道を開くことを追求すべきではないか。これが実現できたら、全国の水道管路更新工事をけん引する莫大な経済効果も生むと思われる。
私の思いつきの域を出ないので答弁は求めないが、地震等の災害に強い、安全安心な水道事業を確立するために、積極的な取り組みを行っていただくよう、要望しておく。

 

市立ひらかた病院の入院収益について(病院事業会計)

Q.私の質問
次に、病院事業会計について伺う。
各特別・企業会計予算説明書 222ページに入院収益 57億5,847万5千円が計上されている。病院にとっては、入院収益、つまり、病床利用率が病院経営の鍵となる。
令和2年度は新型コロナへの対応で異例の年であったと思われるが、令和3年度予算ではどのくらいの病床利用率を予定しているのか、伺う。

A.経営企画課長の答弁
令和3年度予算の病床利用率については、新型コロナウイルス感染症の影響が長く続くことが見込まれ、たとえ終息したとしても来院患者数の回復は不透明であることから、コロナ禍で落ち込んだ令和2年度の実績を踏まえつつ、これを上回る目標を設定すべく、病床利用率 80%として計上している。

Q.私の質問
中期経営計画では、85%を目標として掲げてこられ、それなりの伸びがみられていただけに、80%を目標とせざるを得なくなったのは残念ではある。しかしながら、市立ひらかた病院は、第二種感染症指定医療機関として、新型コロナウイルス感染症に対して最前線で踏ん張ってきていただいている。本当に感謝している。そして、今月10日には、悲願であったという地域医療支援病院の承認も受けられた。また、大阪府がん診療拠点病院の指定を受け、がん医療にも力を入れておられる。
市立ひらかた病院では、がん患者とその家族の心身の苦痛を少しでも和らげ、最期まで苦しみや悩みを緩和できるよう、緩和ケア病棟を設置されている。特色あるケアを提供されている緩和ケア病棟は、市立ひらかた病院の貴重な医療資源でもある。
経営という観点からは厳しい側面があると考えるが、令和3年度において、緩和ケア病棟の病床利用率や収益はどの程度を見込んでおられるのか、伺う。

A.医事課長の答弁
令和元年度の実績では、緩和ケア病棟の病床利用率は年平均で 84.2%であったが、令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響で、2月までの実績で 74.3%となっている。また、緩和ケア病棟 20床についての当初予算における病床利用率は、病院全体と同様 80%で、入院収益は約 3億円を見込んでいる。

O.私の意見
緩和ケア病棟でもコロナ禍の影響を受けて、病床利用率が下がっており、令和3年度は  80%を目標にされているということであるが、非常に手厚く親身なケアで、患者さんからの評価も高い緩和ケア病棟が、経営的にも成り立っていることは、とてもありがたいことだと思う。

 

医療相談員設置に対する一般会計負担金について(病院事業会計)

Q.私の質問
次に、各特別・企業会計予算説明書 251ページの一般会計負担金の中に、医療相談員設置に対する負担金 1,409万3千円が計上されているが、この医療相談員に係る負担金の対象者は何名であるのか、また、医療相談員の業務のうち、患者さんが入退院する際の業務としてどのようなことをされているのか、伺う。
さらに、相談支援の実績と、どのような課題があるのかについても、あわせて伺う。

A.医療相談・連携室課長の答弁
本院における医療相談員設置に対する負担金については、社会福祉士専任 3名と専任看護師 1名の合計 4名に係る人件費について、診療報酬上の入退院支援加算を上回る金額の交付を受けているものである。
これらの職員は、配慮を要する妊婦や小児への支援やがん相談支援センターの運営など、多岐にわたる業務を行っているが、そのうち入退院支援については、この 4名に看護師 5名を加えた 9名で業務にあたっており、その主な内容として、入院時には患者さんやそのご家族と面談し、安心して入院生活及び医療を受けていただくよう、入院計画書に作成し、入院中はこの計画に基づいたサポートを実施しつつ、入院生活だけでなく経済的問題や介護に関することなど様々な相談にも対応しており、その内容に応じた支援を行なっている。また、退院時には安心して退院後の生活を送っていただけるよう、退院前からカンファレンスに参加して、転院や施設入所の支援、必要に応じて在宅療養に向けた在宅医・訪問看護事業所・福祉関係への連携調整など、できる限りトータルサポートが提供できるように取り組んでいる。
支援の実績でございますが、今年度 2月までで月平均 271件、そのうち最も多く対応した月で 376件の支援を実施してきている。退院支援における課題として、患者の状態によって連携施設への転院等が困難な場合があり、スムーズに療養型、回復期リハビリテーション等への連携移行ができるように環境を整える必要があると考えている。

Q.私の質問
医療相談・連携室を通して担っておられる市立ひらかた病院の重要な役割の一端をご説明いただいたと思う。病床の利用状況や収益はもちろん大切であるが、公立病院として果たすべき役割にも着目していかなければならないと思う。
地域包括ケアシステムの確立のためにも、入院前支援、退院支援・在宅移行、在宅医療の後方支援がとても重要で、医療相談・連携室が果たすべき公的な役割は非常に大きなものがあると思う。
新型コロナウイルス感染症対策としても、感染症治療が終了した、特に、高齢者の退院支援・在宅移行には、医療・介護連携機能の強化が待ったなしである。要介護状態にある高齢者が、たとえ数日でもベッド生活をしようものなら、途端に、それまでの在宅生活に戻るのが難しくなってしまうからである。
大阪府がん診療拠点病院で、今回、地域医療支援病院の承認も受けた市立ひらかた病院である。今後、在宅医療との連携や、在宅での看取りへの支援など、市立ひらかた病院のがん医療が地域医療全体の中で果たす役割を高めていくことが、ますます強く求められていくと考えるが、この市立ひらかた病院の果たす役割を高めていくために、どのような取り組みが必要とされているのか、これは病院長に伺う。

A.ひらかた病院 病院長の答弁
医療と介護の両方を必要とする高齢者が、本院で治療を受けられた後にも、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるようにするためには、地域で包括的かつ継続的に医療・介護を提供していくことが重要となっている。
そのため、本院に入院された患者さんについては、安心して退院後の生活を送っていただけるよう、ご本人及びその家族のご要望に寄り添い、退院後の生活においても、例えば癌による疼痛のコントロールなど、患者さんやその家族の抱える不安をできる限り取り除いて、安心して療養生活が送れるように在宅医や訪問看護事業所、福祉関係等、様々な機関との緊密な連携調整により、トータルサポートできるよう取り組んでいく。

O.私の意見
安心して退院することができ、安心して在宅での療養生活・緩和ケアに臨めるよう、病院の医師、かかりつけ医等の在宅医、訪問看護事業所、介護サービス事業者、福祉関係等、さまざまな立場で対象者に関わる地域の医療・介護関係者間の緊密な連携を、是非、確立していただきますようお願いしておく。
一昨年の12月定例月議会での一般質問において、人生の最終段階の過ごし方を選択できる環境の整備のためには、枚方市医師会との強力な連携協力関係を是非とも早期に築いていただき、在宅での療養・在宅での看取りを支える在宅医療体制の整備に努めていただきたいこと、そして、救急搬送・救急医療の課題も勘案しながら、市としては、地域医療の推進に関する専門の部署を設け、支援体制を強化していただくことを要望したところ、副市長から、「在宅医療体制を構築するにあたっては、本人意思を尊重する観点から、さまざまな部署や関係機関と多角的な連携を図るように考えていきたい。」とのご答弁があった。ご検討を待ち望んでいるところである。
院長がお話しいただいた取り組みを実現していくためにも、市立ひらかた病院が果たすべき役割は極めて大きいと思う。さらに、市立ひらかた病院の横にまもなく移転される枚方市医師会とのさらなる連携協力関係を築いていただくためにも、市長には、市からの支援体制の強化・充実をお願いしておく。

 


 

※2021年3月10日付けで、大阪府より地域医療支援病院の承認を受け、4月1日よりその役割を担う市立ひらかた病院のニュース「かわせみ」号外です。

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