6月3日、市民福祉委員協議会が開催されました。案件は「ひらかたポイントを活用した高齢者のICT利用促進に向けた取り組みについて」等、5件の協議が行われました。
6月3日は市民福祉委員協議会が開催され、5件の案件の審議が行われました。市民福祉は私の所属する常任委員会です。
提出された案件は次のとおり。
【案件名】
(1)マイナンバーカードの普及促進等について
(2)地方税制改正の概要について
(3)枚方市成年後見制度利用促進基本計画の策定について
(4)枚方市障害福祉計画(第6期)・枚方市障害児福祉計画(第2期)及び枚方市障害者計画(第4次)の策定について
(5)ひらかたポイントを活用した高齢者のICT利用促進に向けた取り組みについて
以下、各案件の詳細です。
(1)マイナンバーカードの普及促進等について
2022(令和4)年度中にはほとんどの市民がマイナンバーカードを保有する。国の求めに応じて、枚方市が示している「マイナンバーカード交付円滑化計画」は次のとおり。
2016(平成28)年1月からマイナンバーカードの交付が始まり、2020(令和2)年3月までの4年3か月の間に67,725枚(16.9%)の交付実績なので、これから3年度で400,025枚(100%)の交付に近づけるというのは、大変、厳しい目標設定であると思われます。ちなみに、2020(令和2)年5月1日現在では、全国16.4%、大阪府18.0%、枚方市17.2%(69,164枚)となっています。
マイナンバーカード普及の取り組みとして、2020(令和2)年9月から、マイナポイントによる国の消費活性化策が始まります。
マイナンバーカード普及促進の広報を2020(令和2)年7月から行い、8月にはマイキーID設定のための専用端末を5台設置し、9月からはマイナンバーカード専用窓口を設置するというのが本市の取り組み。
コストとしては、マイナンバーカード専用窓口設置経費が423,575千円[当初予算]、マイキーID設定専用端末設置経費が21,194千円[6月補正]の合計444,769千円で、財源は国庫支出金が418,782千円(94.2%)、一般財源24,966千円、その他1,021千円。
委員協議会当日、私は、本市における年齢別の交付状況を尋ね、未成年に対して市はどのような取り組みを考えているのか質問したところ、「マイナンバーカードについては、15歳未満の方は保護者が申請できることや、9月から実施予定のマイナポイント事業についても、年齢制限はないことなど、出生届や転入届の窓口対応や市ホームページなどで周知していく」との回答でした。目標達成に向けては、どれだけ頑張らないといけないのか…という感じですが…。
奥野の意見
マイナンバー普及促進等について、私は2点の意見を伝えました。
1つ目は、マイナンバーカードをほとんどの市民に持たせようという壮大な取り組みにあたって、交付窓口の混雑を適切に想定し、委託の専用窓口も設置することも含め、職員が見通しを立てて仕事に従事できるよう、適切な準備を行っていただきたいということです。2つ目には、「新しい生活様式」やオンライン環境の整備にあたって重要となるマイナンバーカードの普及促進も含め、市が縦割りでバラバラに取り組むのではなく、統一した地域ICT戦略・ビジョンを示していく中で推進していただきたいこと、の2点です。
(※以下、奥野の発言を掲載します。)
意見を2点、述べさせていただく。
1つには、2020(令和2)年度のマイナンバーカードの想定交付枚数は139,300枚で、今年度末までに市民の51.4%が取得、ということが目標として記載されている。経費は9割以上、国庫負担であるが、今年度、約4億5千万円をかけて、委託で「マイナンバーカード専用窓口」も設置して、目標である139,300枚(1月あたりでいうと11,608枚)のマイナンバーカードの円滑な交付に向け、市民室としては取り組みを進めていく、ということかと思うが、直近、2020(令和2)年度4月の交付枚数が1,400枚あまりなので、半端ない交付数を「目標」とされているわけである。
特別定額給付金について、マイナポータル上でのオンライン申請に際して、暗証番号再設定のため、想定を超えるマイナンバー関連窓口の混雑があったが、「新しい生活様式」で「3密を避ける」ということも求められている中、特に、マイナポイント開始の9月当初、駆け込みが予想される3月終了時、その時には健康保険証利用の本格運用もあるのかと思うが、窓口への集中の可能性を適切に想定していただき、窓口で対応する職員としっかりと「状況」を共有しながら、適切な構え(準備)を行っていただきたい。職員が見通しを立てて仕事に従事できること、それが市民サービスの向上につながると思う。
2つめは、マイナンバーカードをほとんどの市民に持たせようとする壮大な取り組みの交付の担当は確かに市民室かと思うが、カードの普及にばかり話がいっては本末転倒である。9月からの消費活性化策「マイナポイント」は、産業振興の担当部署で、ポイントに対応する事業者への支援も含めて様々な取組みが必要な施策である。
そもそも、政府が運営するオンラインサービス「マイナポータル」にマイナンバーカードでつなぐという事業は、地域におけるICT推進のかなめとなる取り組みだと思う。枚方においては、7月からは公式LINEアカウントによるサービスも本格実施となっているし、このあと、健康福祉部からは、高齢者のICT利用促進に向けた取り組みとして、ひらかたポイントを活用する案件が出てくる。
新型コロナウイルスの感染拡大、緊急事態宣言下での外出自粛等々の経験を経て、「新しい生活様式」はオンライン環境なしでは考えられないし、これまでオンラインサービスと疎遠であった人たちにも、どう結び付けていくのかが喫緊の課題だと思うが、本市として、地域におけるICTをどう推進するのかについては、各部署の縦割り感、バラバラ感が否めない。
機構改革で総合政策部に「ICT戦略課」という名前の課を設置したのに、オンラインサービスの普及において、極めて重要なマイナンバーカードの普及促進事業について従来の延長線上で市民室の担当として市民福祉委員協議会の案件とする。そもそもこういった取り扱いが、市としての統一した地域ICT施策の戦略・ビジョンの確立を妨げている現状を示しているのではないか、と指摘しておく。
他の委員の質問
・デジタル機器に不慣れな方がマイキーID端末を使用するのは迷うのではないか。→補助説明員の配置を考えている。
・申請窓口の想定は。→専用窓口を含めて14窓口を予定、1件20~30分、1日あたり300件。出張窓口も検討する。
・マイキーID専用端末の設置場所、交付想定は。→年間約80,000件交付想定(約7,000件/月)のうち、マイキーIDは40,000件程度を想定。交付状況を鑑み、必要であれば予約制で対応。
(→当日、確認しませんでしたが、計画数値の年間139,300枚を想定しているわけではないのですね…。)
・マイナポイントは先着順か。→国において4,000万人が対象。
・専用窓口の委託業者の条件や人数はどの程度を考えているのか。→個人情報保護のため、プライバシーマークやISO27001 (情報セキュリティマネジメントシステム)の認証、30万人以上の自治体での受託実績を事業者選定の条件として考えており、配置人数は15人程度。
・インターネット申請方法の周知を。
(※国全体でのマイナンバーカードの交付状況について、参考に掲載します。[総務省資料より引用])
(2)地方税制改正の概要について
「地方税法等の一部を改正する法律」について、2020(令和2)年3月31日公布分、及び4月30日公布分(新型コロナウイルス感染症緊急経済対策)の報告で、6月定例月議会で枚方市税条例の改正も予定されています。
※内容は次のとおり。
(1)未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直し等について(令和3年度分以後の個人住民税について適用)
(2)軽量な葉巻たばこの課税方式の見直しについて ※2020(令和2)年10月から2回に分けて段階的に実施
(3)所有者不明土地等に係る固定資産税の課題への対応について
①現に所有している者(相続人等)の申告の制度化【新設】
②使用者を所有者とみなす制度の拡大(2021年度分以後について適用)【新設】
(4)新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置について
①徴収の猶予制度の特例
②固定資産税:中小事業者等が所有する償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税等の軽減措置、生産性革命の実現に向けた固定資産税の特例措置の拡充・延長
③軽自動車税環境性能割の臨時的軽減の延長
④イベントを中止等した事業者に対する払戻請求書を放棄した者への寄付金控除の適用に係る対応
⑤住宅ローン控除の適用要件の弾力化にかかる対応
(3)枚方市成年後見制度利用促進基本計画の策定について
2016(平成28)年5月の「成年後見制度の利用の促進に関する法律」の施行、2017(平成29)年3月の「成年後見制度利用促進基本計画」の閣議決定などを受け、枚方市としても、2021(令和3)年度から2024(令和6)年度まで(4年間)を計画期間とする「枚方市成年後見制度利用促進基本計画」を策定するもの。
スケジュールとしては、2020(令和2)年5月、社会福祉審議会(本審)に計画策定の諮問、障害・高齢の各専門分科会で調査審議や関係団体へのヒアリング、市民意見の聴取を経て、社会福祉審議会から計画案の答申を受け、2021(令和3)年3月に計画を策定しようとするもの。
➣地域連携ネットワークのイメージは次のとおり。
他の委員の質問
・中核機関が大切。委託・直営のいずれを検討しているのか。→中核機関は制度の司令塔である。委託にあたっては、公平性・中立性が求められるが、社会福祉協議会・NPO法人・公益法人などが考えられる。
・計画策定後、適切な進捗管理を行い、責任を持った市の関与をお願いする。議会にも報告を。
(4)枚方市障害福祉計画(第6期)・枚方市障害児福祉計画(第2期)及び枚方市障害者計画(第4次)の策定について
2021(令和3)年4月を始期とする計画期間3年の「枚方市障害福祉計画(第6期)」及び「枚方市障害児福祉計画(第2期)」を策定するにあたり、「枚方市障害者計画(第4次)」についても始期を合わせて、計画期間を6年として策定するものです。
スケジュールとしては、2020(令和2)年5月、社会福祉審議会(障害福祉専門分科会)に3計画策定の諮問、障害者手帳所持者等及び団体等に対するアンケート調査、障害福祉専門分科会での調査審議、市民意見の聴取を経て、社会福祉審議会から3計画案の答申を受け、2021(令和3)年3月に計画を策定しようとするものです。
➣計画の位置づけ・計画期間は次のとおり。
(5)ひらかたポイントを活用した高齢者のICT利用促進に向けた取り組みについて
1.「新しい生活様式」に係る高齢者のICT利用に関する調査について
新型コロナウイルス感染症の拡大による長期の外出自粛を経て「新しい生活様式」に移行するにあたって顕在化してきている高齢者のオンライン環境やICT利用の現状や課題を把握するため、65歳以上の高齢者を対象に基礎的な調査を実施するとともに、ひらかたポイントを活用して外出のきっかけを創出するものです。
具体的には、65歳以上の高齢者115,000人にアンケート用紙を配布し、返信時にひらぽカードの登録申請(カード所有者はポイント申請)を行っていただくことで、1,000ポイントを得ることができるという組み立てです。
コストは、ポイント付与負担金100,000千円(1,000ポイント×10万人)、通信運搬費34,210千円、委託料19,219千円(情報登録・カード発行・封入封緘等)となっています。
奥野の意見
ひらかたポイントを活用した高齢者のICT利用促進に向けた取り組みについて、高齢者に実施しようとしている基礎的な調査の目的を再確認するとともに、11万を超える高齢者の皆さんにアンケートを送付するのであれば、その内容そのものが啓発の機会となるよう取り組むことが効果的であること、そして、高齢者の実態を把握する中で、情報格差の解消に向けた具体的な支援の取り組みにつなげていただきたいという意見を伝えました。
(※以下、奥野の質問のやりとりを掲載します。)
【奥野の質問】
「新しい生活様式」に係る高齢者のICT利用に関する調査については、1憶5,342万9千円と多額の事業費が見込まれているが、この調査の目的、そして必要性についての考えを聞く。
↓
【市の回答】
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う長期の外出自粛期間においては、オンライン通話に代表されるように、ICT利用の重要性が非常に高まったものと考える。若年層の方は比較的スムーズにこうした環境に適応されていたように思われるが、高齢者の方は機器をお持ちでなかったり、不慣れであったりと、ICTが利用できないことで、生活の不便さや困難さが、よりいっそう増したのではないかと推測される。
また、国から新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」の実践例が示されたが、その中にも、オンラインや通販、電子決済の利用など、ICTを前提としたものが含まれていることから、高齢者の方にとっては引き続き実践が困難であると考えられ、ICTが利用できるかどうかで、生活の質に格差が生じることが危惧されるため、こうした格差の解消は大きな課題であると考えている。
さらに、高齢者の方にICTを利用していただければ、行政から防災関連情報などを提供することも容易になるので、今後、ICTの利用を促進するため、スマートフォンやパソコンの所有状況、インターネットの利用状況等を把握し、また利用できない原因を分析し、その対策について検討することを目的とした調査を実施するものである。
【奥野の質問】
国でもICT利用に関してさまざまな調査が行われており、一定の実態は明らかにされていると思われるが、それでも多額の費用をかけて市内の高齢者全員、11万5,000人を対象にアンケートを実施する必要が本当にあるのか。アンケートの内容及び回収率の見込みについての考えを聞く。
↓
【市の回答】
国などによりICT利用に関してさまざまな調査が行われているが、これらは一定数のサンプルを抽出して行われたものであり、本市での事業展開に当たって、やはり本市の高齢者の実態や意識の正確な把握に努める必要があると考える。加えて、高齢者の方が情報機器を利用しない大きな理由として、「必要性を感じない」ことが挙げられており、本市として「新しい生活様式」にはICTの利用が必要であることを、今回の調査を通じて高齢者の方々にお知らせする啓発効果も意図している。
アンケート項目の詳細については現在検討中であるが、スマートフォンやパソコンの所有状況、インターネットや電子決済の利用状況など、ICT利用に関する基礎的な項目について調査を実施する予定としており、高齢者の方のご負担にならないよう、また回収率を向上させるよう、設問数についてはできるだけ絞り込む考えである。
なお、回収率については、高齢者保健福祉計画を策定する際に行っている高齢者の方を対象とした調査で、特にインセンティブがない場合に7割弱であることなどを参考に、9割弱と見込んでいる。
【奥野の意見】
今回のアンケート用紙の配布は、11万5,000人の高齢者の皆さん、お一人お一人にアプローチする非常に貴重な機会となるので、啓発効果を意図して、「新しい生活様式」においては、オンライン環境が重要であるということや、ICTを活用する意義や必要性を認識してもらえるような内容を伝達できるようお願いする。
なお、回収率が9割弱であれば10万を超えるわけであるが、統計処理だけではなく、せっかくの機会なので、何か具体的な支援につなげる取り扱いを検討されてはどうかと、これは意見とさせていただく。
【奥野の質問】
インセンティブとされているひらかたポイント事業について、今回、高齢者の皆さんがアンケート調査に協力して1,000ポイントをもらったとしても、使い道がない、あるいは有効期限内に使えないといったことになるのではないか心配されるが、その点についての考えを聞く。
↓
【市の回答】
ひらかたポイント事業については、今年度より健康福祉部が所管し、事業のさまざまな改善を検討しつつ、新型コロナウイルス感染症対策に伴う状況に対応しながら、制度運営に当たっているところである。
今後は、今回のICT調査事業における高齢者へのポイント付与、また、あわせて報告させていただく関西医科大学と連携したひらかた健康ウォーキングアプリにおけるポイント付与など、健康や福祉、生きがいなどを増進するためのポイント付与に力点を置いた事業展開を図る考えである。
そのため、高齢者の方々が買い物などのために外出し、今回の事業で付与されるポイントが活用できるよう、これまで少なかった健康や福祉に関連する業種についても協力店舗に加わっていただけるよう、受託事業者を通じて働きかけていく。
また、ひらかたポイントの有効期限は、最終のご利用日から1年となっており、有効期限内にポイントを貯める、またはポイントを使うという行為がなかった場合、それまでに貯められた全ポイントが失効するが、こうした失効ポイントの取り扱いについては、現在、受託事業者と協議中であり、カードの所持者にポイントを再付与することなどを含め、有効な活用方法を検討していく。
【奥野の意見】
ひらかたポイントを活用して、高齢者のICT利用促進に向けた取り組みを行うことがこの事業の目的とのことであるが、高齢者にアンケートを行い、ポイントを配って終わりというのではなく、1億円を投じるこの事業を通じて、今回の新型コロナウイルス禍において明らかになった高齢者の情報格差(デジタルデバイド)の是正につなげることこそが大切だと思う。投じた予算に見合う、それ相応の効果が得られたのかどうかについては、改めて検証させていただきたいと考えている。
他の委員の質問
・活用の進まないひらかたポイント事業になぜこだわるのか。
・ポイント付与がアンケート協力のインセンティブになるのか、疑問である。
・ひらかたポイント事業は庁内担当部署も変遷し、迷走している。ポイントを付与しても、活用は1割程度。市民に説明できるよう、方向性を定めての展開を。→健康面からの促進が必要ではと考えての所管変更である。抜本的な変換も視野に入れ、活用先や費用対効果も検証していく。
2.ひらかたポイント事業における健康ウォーキングアプリの活用について
関西医科大学健康科学科と連携して健康増進のために取り組む「ひらかた健康ウォーキングアプリ(歩数計アプリMFSPLUS)」をひらかたポイント対象事業に加え、毎月8,000歩×20日を達成した方のうち抽選で100名の方に対して500ポイントを付与するもので、10月から運用開始となります。
コストは、ポイント付与負担金600千円(500ポイント×100名×12月)であるが、開始が約半年遅れるため、導入キャンペーンを実施して特別ポイントを付与する予定。