7月9日の全員協議会。土地区画整理事業を選択すると、約5.3億円お得!? 私は、落下物防護ネットが設置されている市民会館大ホール棟や市民会館本館の廃止後の取り扱いや、解体・造成に係る事業手法について質問しました。

2021/07/09

枚方市議会議員の奥野みかです。

枚方市駅周辺再整備事業については、市は、2021(令和3)年3月に「枚方市駅周辺再整備基本計画」を策定されています。7月9日(金)10時から、枚方市議会は全員協議会を開催し、枚方市駅周辺再整備における取り組み状況について審議しました。

冒頭の挨拶で、市長は、枚方市駅周辺再整備事業は、本市の未来を担うまちづくりの最重要課題であり、財政状況を踏まえながら、国・府などと協力・連携して様々な取り組みを進めていきたいとしています。

今回、「③街区と周辺のまちづくり」や「④⑤街区の市有地の有効活用に向けた進め方」などの取り組みについて、現時点での進捗及び今後の予定について、市駅周辺等まち活性化部から報告がありました。
具体的項目としては、「③街区と周辺のまちづくり」については、(1)市街地再開発事業の取り組み状況と今後の予定について、(2)市駅前行政サービスの再編に係る取り組み状況と今後の予定について、(3)枚方HUB協議会の取り組みについて、「④⑤街区の市有地の有効活用に向けた進め方」については、(1)今後の流れ(案)について、(2)④街区の民間活力導入エリアの検討に際しての前提条件について、(3)市民意見聴取の方法について、説明が行われました。

市の報告に対して、10人の議員が質問をしました。私は5番目でした。

全員協議会の発言順位

私からは、枚方市駅周辺再整備事業のうち、特に、市民会館大ホール棟及び市民会館本館の廃止後の取り扱いについて、これまでの全員協議会等で質問をした際に「検討」という答弁しかいただけていないので、「市民会館大ホール棟・市民会館本館の廃止後の取り扱い」について、改めて市の考えを確認するとともに、「市民会館大ホールの解体・造成に係る事業手法」として、市は国補助金を獲得できるという観点から土地区画整理事業の優位を説明しているけれども、実現可能性や機会損失の観点から問題提起を行いました。

そして、市民会館大ホール棟や市民会館本館は残存することで多くのコストも発生するわけです。約 1.6億円で解体・撤去が実施できるのであれば、解体・撤去を先行するコスト・メリットは計り知れないですし、約 5,000㎡を超える大ホール跡地が更地になると、新しい景色が見え、新しいビジョンも生まれてくるのではないかと提案し、市民と考える姿勢をもって、市民の役に立つ市駅周辺再整備事業が④⑤街区で実現できるよう、検討いただくよう要望しました。


 

私の行なった質問の流れは次のとおりです。

↓↓

市民会館大ホール棟は今年9月末で、市民会館本館は来年3月末で廃止されることが決定されています。今年度の維持管理及び保全・改修経費は約 7,200万円を予算化しているけれども、次年度以降、予算も担当部署も現時点では未定で、今後、庁内で検討を行い、年内には確定していきたいとの答弁でした。庁内検討する会議体も不定、建物を残す場合のランニングコストも不明という状況で、廃止施設を残すことを決めてよいのか、目の前にある市民会館大ホール棟、市民会館本館の廃止後の扱いが「おざなり」にされているのではないかと指摘しました。

また、市が土地区画整理事業の対象としている④⑤街区は約9割が公有地であること、特に、④街区は、新たな道路の整備とあわせて良好な市街地形成を図ることが目的の面整備であるとの説明ですが、④街区で実現したいビジョンが全く明らかではなく、土地区画整理事業として行う道路整備と公園整備を、市民会館大ホールなどの既存施設の上に計画して移転補償の対象とし、国補助金をもらうという意図でしかないように思えるわけです。市が市の土地の中で区画を変える事業は、本来、国が補助すべき土地区画整理事業ではないと「ハシゴを外される」リスク、「捕らぬ狸の皮算用」になるのではないかと懸念されます。さらに、あくまでも手段でしかない補助金の獲得を至上命題にし、まだまだ事業計画も事業概要も不透明な⑤街区における事業と一体で土地区画整理事業を進めようとすると、結局、ズルズルと長い時間がかかってしまい、その間、不必要な施設の維持管理コストを出し続けることになるばかりか、新たな活用可能性をつぶすという莫大な機会損失と逸失利益を発生させることになるのではないかと指摘しました。

現在、想定されている土地区画整理事業では、公共としての「枚方市」は、「枚方市」が中心の事業主体に対して、市民会館大ホールの移転補償費約 9億円と解体・造成の工事費約 1.6億円を合わせた約10.6億円を「補助金」として支払うけれども、1/2の約 5.3億円は「国補助金」として収入し、約 9億円は「移転補償費」として収入するので、公共としての「枚方市」は約 3.7億円の収入超過となり、土地区画整理事業ではなく市単独事業で大ホールの解体・造成工事を行って約 1.6億円を支出するよりも、約 5.3億円、お得である、という算段は、「捕らぬ狸の皮算用」と懸念もされますが、本当に公正といえるのかと意見もしました。

 

 


 

※以下に、実際のやりとりを掲載します。

Q.私の質問
私からは、大きく3点、質問をさせていただく。
まず、最初に、「1.市民会館大ホール棟・市民会館本館の廃止後の取り扱いについて」、伺う。
5月、待望の枚方市総合文化芸術センターが竣工した。開館イベントも好評のようだ。枚方市駅周辺再整備を考えるとき、総合文化芸術センター整備と市役所庁舎整備は、もともと一体の事業として取り組みが開始された経過を忘れてはいけない、と考える。
総合文化芸術センター本館の一般貸し出しの開始に合わせ、2021(令和3)年度9月末をもって市民会館のホール(大ホール及び小ホール)は完全に廃止される。同センター別館となる旧メセナひらかた会館が改修工事を終え、再オープンすることにあわせて、枚方市市民会館本館も完全に廃止となる。そして、枚方市市民会館条例も2022(令和4)年4月1日付けで廃止となることを定めている。
ところが、参考資料1「大ホールの解体・造成に係る事業手法の比較(案)」における「④⑤街区の土地区画整理事業(A案)」には、2021(令和3)年度末から2023(令和5)年度の途中まで「大ホール跡地の暫定活用(社会実験等)」とあり、その間、令和4年度中に都市計画決定を受け、2023(令和5)年度には土地区画整理事業の事業認可を想定し、2023(令和5)年度末以降に「解体除却・造成工事」と示されている。
比較として掲載されている「市単独事業による撤去等(B案)」では、2021(令和3)年度9月末の市民会館のホール廃止後、速やかに「解体除去・造成工事」が行われ、除却整地された大ホール跡地において、2023(令和5)年度当初より、「大ホール跡地の活用(暫定・本格)」と示されている。
「A案」を評価するにあたり、まず最初に、経年劣化著しい市民会館の現状について、伺う。
2月の全員協議会において、「建築基準法第12条に基づき、昨年5月に実施された特定建築物定期検査において、外壁タイルに亀裂・浮きの発生や屋上防水の劣化、非常用の照明装置の不点灯などの指摘を受けた。特に外壁タイルについては、落下の可能性があるため、歩行者等の安全をさらに確保する観点から、落下物防護ネットの設置工事を実施する予定である。」と答弁され、この5月、巨大な市民会館大ホール棟の外壁3面に、約 2,000万円をかけて「落下物防護ネット」を設置された。
この「落下物防護ネット」はあくまで「応急処置」であるとの説明を受けているし、壁面を使用することはないと思うが、このネットの設置により、どの程度の期間、安全性が確保されるのか、伺う
「A案」では、2023(令和5)年度末以降に「解体除却・造成工事」が予定されているので、少なくとも令和5年度末には大ホール棟が残っているという想定かと思うが、建物そのものの安全性に問題はないのか、リスクマネジメントの観点から、伺う。また、建物が残っている場合、全面打診調査を含む法定点検(建築基準法第12条)について、どのように考えるべきか、伺う

A.都市整備部長の答弁
ネットについては、建築物だけでなく高速道路の橋梁部下にコンクリート片の落下防止対策等に設置されているものを使用し、使用条件下にもよるが、10年程度の耐久性があるものである。したがって、令和5年度末以降の解体除却・造成工事に対しての安全性に問題ないと考えている。
また、法定点検は、外壁だけではなく施設全体の各種点検を行うものである。
なお、全面打診点検については、今回は応急的な工事によって安全対策を講じたため、国の技術的助言に基づき当面は実施する必要はないものと考えている。

Q.私の質問及び意見
「落下物防護ネット」は「10年程度の耐久性があるもの」とのご答弁である。まさか、この先10年もネットを設置した大ホール棟を残置するということをお考えではないと思うが、市民会館大ホール、そして市民会館本館を残置する場合、当然のことながら、相応の維持管理及び保全・改修コストがかかるわけである。リスクマネジメントの観点から、建物そのものの安全性をお伺いした内容については、建物が残存する以上、安全確認のため、法定点検を行う必要があるというお答えであると理解する。2022(令和4)年4月1日以降、条例上廃止となっても、当該施設が解体・除却されるまでは維持管理コストが必要となってくるし、そうした経費をかける以上、前提として、廃止後の市民会館大ホール棟、市民会館本館の取り扱いの方向性について決められていなければならないと考える。

Q.私の質問
大ホール棟は今年9月末で、市民会館本館は来年3月末で廃止されることが決定されているが、まずは、令和3年度の維持管理及び保全・改修経費の内訳について、伺う
そして、2022(令和4)年度以降、いつまでになるのかわからないが、市民会館大ホール棟及び市民会館本館の建物が残存する場合、それらの施設の維持管理及び保全・改修に必要な予算措置、そして何よりも担当部署はどうなるのか、伺う

A.観光にぎわい部長の答弁
市民会館における2021(令和3)年度の維持管理経費の内訳であるが、受付業務や各種点検業務、清掃業務や保安業務など施設運営委託料として 4,752万円の他、光熱水費 1,428万 8千円、修繕費 240万円等で合計 7,238万 2千円の予算となっている。
また、2022(令和4)年度以降の市民会館における維持管理に係る予算及び担当部署については、今後、廃止後の市民会館の取り扱いについて庁内で検討を行い、年内には確定していきたいと考えている。

Q.私の質問及び意見
2022(令和4)年度以降の予算措置及び担当部署について、次年度予算の編成もあることから、年内には確定していきたいということだが、現時点では未定だとのご答弁である。建物を残した場合のランニングコストも把握せずに、残すことを決めてよいものだろうか。
まして、廃止後の市民会館の取り扱いについて庁内で検討するとのことだが、ヒアリングの際、「庁内検討」の会議体はまだ決まっていないとのご説明であった。枚方市駅周辺再整備活性化推進委員会や公共施設マネジメント推進委員会等といった既存の庁内委員会になるのか、新たに庁内委員会を設置するのか、もしくは、都市経営会議で決定するのか。
現時点で、「庁内検討」の会議体すら決まっていないというのもどうなのかなと思う。目の前にある市民会館大ホール棟、市民会館本館の廃止後の扱いが「おざなり」にされているのではないかと指摘しておく。

Q.私の質問
次に、「2.土地区画整理事業について」、である。
「参考資料1」の「④⑤街区の土地区画整理事業(A案)」では、2022(令和4)年度中に「都市計画決定」を受け、令和5年度には土地区画整理事業の「事業認可」を予定されている。
土地区画整理事業は、まちづくりのハード部分、すなわち、道路・公園・建物・街並・景観を受け持つまちづくりの整備手法のうちのひとつで、一定の広がりを持って「まち」を整備することができる、いわゆる面整備の代表的な手法であると私は理解している。
土地区画整理事業の目的について、土地区画整理法(第2条)は、「都市計画区域内の土地について、公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図るため、この法律で定めるところに従って行われる土地の区画形質の変更及び公共施設の新設又は変更に関する事業である。」と定めている。つまり、土地区画整理事業は、「枚方市駅周辺再整備基本計画」計画書の31ページ、〈参考2-1〉に記載されているように、「権利者からその権利に応じて少しずつ土地を提供してもらい(減歩)、この土地を道路・公園などの公共用地が増える分に充てる他、その一部を売却し事業資金の一部に充てる事業制度」ということなのである。

④⑤街区の土地区画整理事業の対象面積は、道路などの公共施設を含めて約4ヘクタールで、④街区の地権者は、「枚方市」が面積比で約9割、民間が約1割で地権者は数件、⑤街区の地権者は、「枚方市」が面積比で約3割、大阪府が約4割、国が約2割、そして民間が約1割で、地権者は公的団体が2者程度と昨年12月にご答弁いただいた。
通常、土地の形と面積を変えるためには、土地を分筆したり合筆したり、また交換したりという作業を繰り返していかなければならないが、土地区画整理事業における「換地」では、いったん従前地をすべて抹消して白紙の状態にし、新たに換地を創設することによって一気に入れ替えを完成させる仕組みである。先の議員へのご答弁でも、ところが、約9割が「枚方市」の土地である④街区においては、そんな仕組みは必要ない。公共減歩についても、保留地減歩についても、数件の土地所有者の協力を得られるとは到底考えられない。「市の責任と負担で行えばいい」と言われてしまうと、説得するのが難しいと思うからである。また、⑤街区については、新庁舎や枚方消防署などを整備していくとはいうものの、事業内容については、まだまだ雲をつかむような状況である。先の議員へのご答弁でも、基本計画等に基づき「検討する」というご答弁ばかりであった。
そのような状況でも、市が④⑤街区で想定されている土地区画整理事業については、一体で都市計画決定を行うとのことだが、事業計画、施行対象区域、地権者、換地設計や建物移転補償の支払時期、換地処分の時期、施行者、事業期間、市負担額を含む資金計画はどのように考えておられるのか、具体的内容について、伺う

A.市駅周辺等まち活性化部長の答弁
事業計画案については、現時点で定まっていないが、事業概要としては、枚方市駅周辺再整備基本計画でお示ししている④⑤街区において、地区内の新たな道路の整備と合わせて、良好な市街地形成を図る考えである。本区域の地権者としては、国・府・市などの官公庁と公的団体、及び、数件の民有地がある。
また、換地設計については、地権者の意向などを伺いながら、2023(令和5)年度の事業認可後、早期に仮換地指定を行いたいと考えている。そのため、移転補償費等の支払いについては、早くても既存施設の解体など本工事と合わせた時期となる。また、換地処分は円滑な事業推進に努め早期実現を目指していく。
事業期間や施行者、具体的な資金計画などについては、関係者協議などを行いながら令和5年度の事業認可に向けて市の財政状況なども踏まえ事業計画案を作成する考えである。
また、新庁舎整備を含む④⑤街区の再整備において現時点で想定している事業費は、約 247億円、市負担としては、約 198億円であり、その内訳として、新庁舎整備費は約 116億円を見込んでいる。 市負担額の財源として基金をはじめ起債、一般財源、市有財産有効活用を予定している。

Q.私の質問及び意見
申し訳ないが、おそらく、ご答弁いただいたようなスケジュールは「絵に描いた餅」だと思う。
次に、④街区における土地区画整理事業について、事業概要としては、都市計画道路を予定している地区内の「新たな道路」の整備とあわせて良好な市街地形成を図ることが目的であるとのご答弁である。「新たな道路」の整備が大義の面整備、すなわち、土地区画整理事業ということになるのか。
実際のところ、⑤街区の土地所有者である大阪府と、④街区の土地所有者である枚方市の「換地」が主目的なのではないか。
④街区におけるイメージ図を見る限りでは、土地区画整理事業として行う道路整備と公園整備を、市民会館大ホールなどの既存施設の上に計画して、何が何でも移転補償の対象とし、「国補助金」をもらうという意図でしかないように思われて仕方ない。④街区で何をしたいから、何をめざすかという目的があと回しになっている。「国補助金」について、公共団体とはいえ、自らの土地をどう使うか、自らの判断で完結できる事業、すなわち、市が市の土地の中で区画を変える事業は、本来、国が補助すべき土地区画整理事業ではないと「ハシゴを外される」リスク、「捕らぬ狸の皮算用」になるのではないかという懸念が私には拭いきれない。
何よりも、市民会館大ホール棟の移転補償費を補助対象経費とするために、わざわざ公共施設としての道路や公園などの整備を行うと言われているようで、その場所に本当に道路や公園が必要なのかということについて、まちづくりの観点から説明されているようには思えないわけである。補助金財源を何とか獲得したいということを出発点にしてしまうと、時間コストが削減できない事業スキームになっているのではないか。

あくまでも手段でしかない補助金の獲得を至上命題にし、まだまだ事業計画も事業概要も不透明な⑤街区における事業と一体で土地区画整理事業を進めようとすると、結局、ズルズルと長い時間がかかってしまい、その間、不必要な維持管理コストを出し続けることになるばかりか、新たな活用可能性をつぶすという莫大な機会損失と逸失利益を発生させることになると、これは指摘しておく。

Q.私の質問
次に、「3.市民会館大ホールの解体・造成に係る事業手法等について」、もう少し詳しくお尋ねする。
「参考資料1」に、「土地区画整理事業(A案)」、「市単独事業(B案)」、それぞれ、事業費の試算額が記載されているが、公共(自治体)としての「枚方市」と、土地区画整理事業の実質的な事業主体としての「枚方市」と、土地所有者・地権者としての「枚方市」と、「枚方市」は3つの顔で登場している。

各事業費の資金の実際の動きは、「移転補償費等の支払いについては、早くても既存施設の解体など本工事と合わせた時期となる」とのご答弁で、それ以上のことは現時点ではわからない、時期は未定ということだが、ここでは、各事業費の積算内訳・積算根拠と、誰から誰に支払われるのかについて、確認していきたいと思う。

まず、公共(自治体)としての「枚方市」は、土地区画整理事業の実質的な事業主体、すなわち、「枚方市」が中心の事業主体に対して、「補助金」約 10.6億円を支払うこととなっているが、約 10.6億円の積算内訳・積算根拠について、伺う
次に、公共としての「枚方市」が、「枚方市」が中心の事業主体に支払う「補助金」約 10.6億円の1/2の約 5.3億円は「国補助金」として公共としての「枚方市」が収入し、「枚方市」が中心の土地区画整理事業の事業主体から、市民会館大ホールの土地所有者・地権者としての「枚方市」に支払われる「移転補償費」約 9億円を公共としての「枚方市」が収入することとなっているが、約 9億円の積算内訳・積算基礎について、伺う
さらに、「B案」の工事費、公共としての「枚方市」が負担する  1.6億円の積算内訳・積算基礎について、伺う

A.市駅周辺等まち活性化部長の答弁
参考資料1において土地区画整理事業(A案)でお示ししている市支出の補助金約 10.6億円については、大ホールの建物補償費や損失補償費、除却整地費を試算したものである。その内訳としては、大ホールの建物補償費や損失補償費として約 9億円及び解体・造成に伴う工事費として約 1.6億円を補助金として見込んでおり、それぞれ市収入の移転補償費約 9億円と市単独事業(B案)の工事費約 1.6億円に当たるものである。移転補償費の積算については、建物の構造や経過年数、類似事例を踏まえ推計したものである。

Q.私の質問及び意見
ご答弁によると、「土地区画整理事業(A案)」では、公共としての「枚方市」は、「枚方市」が中心の土地区画整理事業の事業主体に対して、「市収入の移転補償費約 9億円と市単独事業(B案)の工事費約 1.6億円に当たる」約10.6億円を、「補助金」として支払うけれども、1/2の約 5.3億円は「国補助金」として収入し、約 9億円は「移転補償費」として収入するので、公共としての「枚方市」は約 3.7億円の収入超過となり、大ホールの解体・造成工事を市単独事業(B案)で約 1.6億円を支出するよりも、約 5.3億円、お得である、ということのようである。
各事業費の資金の動きの時期は未定であるし、ヒアリングの際に尋ねると、事業認可に問題はないと思うとのご説明であったが、このような土地区画整理事業を国は本当に補助対象と認めてくれるのだろうか。先の議員に対するご答弁では、「効果的・効率的に実施できるよう、国・府と連携して取り組む」と実現性を語られていた。

繰り返しになるが、公共団体とはいえ、自らの土地をどう使うか、自らの判断で完結できる事業、すなわち、市が市の所有地の中で区画を変える事業は、本来、国が補助すべき土地区画整理事業ではないと「ハシゴを外される」リスク、「捕らぬ狸の皮算用」になるのではないかと懸念されるし、本当に公正といえるのかと意見しておく。

さらに資金移動の時期は未定であるとのご答弁であったが、廃止施設であっても、残存する限り、維持管理コストは必要である。2021(令和3)年度の維持管理及び保全・改修に必要な費用は約 7,200万円とのご答弁であった。参考資料1の「A案」では「大ホールの早期撤去」が課題とあげられてはいるが、2022(令和4)年度以降、どの程度、必要かも未定で、その後、何年必要になるかもわからない維持管理コストは、約 3.7億円の収入超過から差し引かなければならないことを指摘しておく。

Q.私の質問
次に、「参考資料2」の2ページ、「④街区における新たな道路の必要性と事業手法の比較(案)」に記載されている「A案」の「補助金」約 37.7億円、「国補助金」約 18.9億円、「移転補償費」約 29.5億円についても、それぞれの積算内訳・積算基礎について、伺う

A.市駅周辺等まち活性化部長の答弁
参考資料2の土地区画整理事業のA案でお示ししている市支出の補助金約 37.7億円については、新たな道路に伴う建物補償費や損失補償費、除却整地費、都市計画道路築造工事費に要する補助金である。また、国庫補助金は制度に基づき補助金約 37.7億円の1/2の約 18.9億円を計上している。移転補償費については、新たな道路の整備に伴う市民会館大ホールや市役所別館の補償費であり、建物の構造や経過年数、類似事例を踏まえ推計したものである。

Q.私の質問及び意見
ご答弁によると、「土地区画整理事業A案」では、公共としての「枚方市」は、「枚方市」が中心の土地区画整理事業の事業主体に対して、約 37.7億円を「補助金」として支払うけれども、1/2の約 18.9億円は「国補助金」として収入し、内訳は市民会館大ホールが約 9億円で、市役所別館が約 20.5億円との説明を受けたが、「移転補償費」として約 29.5億円も収入するので、公共としての「枚方市」は約 10.7億円の収入超過となり、一般街路事業として市単独事業B案で約 1.9億円の支出超過となるよりも、約 12.6億円、お得である、ということのようである。

繰り返しになるが、市民会館大ホール等の移転補償費や損失補償費を加えて事業費を膨らましているけれども、結局、「国補助金」以外の「財源」は、公共としての「枚方市」と、土地所有者としての「枚方市」が負担するわけだから、違いは「国補助金」だけである。補助金を得るための、道路や公園などの整備プランであれば、その場所に本当に道路や公園が必要なのかということが問題になる。もっとほかに、魅力のあるまちづくりのプランが描ける可能性があるのではないだろうか。

Tサイトの裏の道を延長してセブンイレブンのある交差点に延長する「道路」と、その「道路」の西側に、現在の緑道を挟んで設定される、ニッペパーク岡東中央が少し拡張された「公園・広場エリア」という公共施設整備を加えることにより、土地区画整理事業として組み立て、大ホール棟などの移転補償費を収入していく。土地区画整理事業の大義となる「道路」の東側、川原町側の民間活力導入エリアについては、現実的には、民間住宅開発という形になっていくのではないだろうか。
そして、大ホール棟などの移転補償費、さらに、④街区の大半を売却して住宅開発を誘導し、その財源をもとに⑤街区の大阪府の土地を取得して、新庁舎を建設する、それが市駅周辺再整備基本計画の着地で、④街区は少し拡張された「公園」とその中での少しの工夫以外は、住宅と道路だけが中身の計画なのかと思ってしまう。
その結果を得るためだけであれば、大ホールエリアは自ら解体して、公園・広場を整備し、コンペ方式等を活用して市有地をまとめて売却して、開発協議の中で必要な道路整備をさせてもいいのではないかとさえ、本意ではないが、思えたりもするわけである。

冒頭、市民会館大ホール棟や市民会館本館の残存により発生するコストを取り上げた。約 1.6億円で解体・撤去が実施できるのであれば、解体・撤去を先行するコスト・メリットは計り知れないと考える。
市民会館本館が稼働していると、施設・設備の構造上、市民会館大ホール棟の撤去も実は困難であるという話も聞いている。市民会館廃止後、一気に更地にして、中途半端なコストをすべてカットして、本格的な跡地活用までは暫定活用で便益を確保するという選択肢もある。市有地であるわけだから、そんな活用もできるわけである。
市民会館大ホール棟の敷地面積は約 5,000㎡である。そこが更地になると、新しい景色が見え、新しいビジョンも生まれてくるのではないでしょうか。本格活用を検討するにあたっては、制約の強い都市公園でなくても、行政財産・普通財産の広場として活用することを選択肢に持った方がコスト的にも、魅力的にも、よいものが生み出される可能性が大きいのではないかと思う。
是非、市民と考える姿勢をもって、市民の役に立つ市駅周辺再整備事業が④⑤街区で実現できるよう、検討いただくよう要望しておく。

 

 

 

 


 

「枚方市駅周辺再整備基本計画」について


 

(枚方HUB協議会の取り組みについて)

  官民連携によるまちづくりについて(枚方市ホームページ)

都市再生を推進することを目的とした国の支援事業「官民連携まちなか再生推進事業」の2021(令和3)年度の実施事業者として、「枚方HUB協議会」(事務局:京阪ホールディングス株式会社)が採択されたとのことです。
この事業の対象は「枚方市駅周辺エリア」で、内容は「発展的で持続可能なまちの仕組みづくりや自然豊かな特徴を最大限生かした来訪者や居住者にとって居心地が良い憩いの場や交流の場の創出により、パブリック空間が多様な人々の「居場所」と「誇り」となるまちを目指し、エリアプラットフォームの運営及び未来ビジョン等の新規策定に向けた検討を行う。」とされています。(国土交通用プレスリリース

京阪ホールディングス(株)・京阪電気鉄道(株)プレスリリース

 

 


 

(市民意見聴取の方法について)

 このまちの未来、一緒に考えませんか。ワークショップとアンケートを実施します(枚方市ホームページ)

(※クリックするとYouTubeの説明動画にリンクします。)

(※クリックするとPDFファイルが開きます。)

 

 

 


 

 枚方市駅周辺地区市街地再開発組合ホームページ

新町地区の住民対象に実施された説明会の資料や、周辺地区住民対象に実施された中高層建築物の建築計画についての説明資料(枚方市開発事業等の手続きに関する条例に基づく説明会)も掲載されています。

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