9月定例月議会で「新たな災害対策を支える『地域の避難所』の確保等について」等、8つの項目について、一般質問を行いました。
枚方市議会の2020(令和2)年9月定例月議会、
9月15日(火曜日)の1番目に一般質問に立ちました。
質問者28議員のうち、8番目。
今回も議場の演壇にも発言席にも、そして、傍聴席にも飛沫感染防止シート設置です。今回、発言時にはマスクを外すことが認められ、消毒液が設置されています。
新型コロナウイルス感染症の収束もまだ見通せない中、この後、さらに厳しい財政運営が求められます。市民が安心して暮らせるよう、市は新型コロナウイルス関連の支援施策に取り組んでいますが、「何のために、何が必要か」を突き詰めることなく、場当たり的に課題に飛びついてはいないだろうか、さまざまな状況が変化するなか、それに対応して「なすべきことを行う」、「見直すべきことを見直す」という基本的な方針転換が行われているだろうかという問題意識から、今回は8項目の一般質問を行いました。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、社会経済情勢は大きく変化しています。ウィズ・コロナの社会における新たな課題を踏まえて、公的支援が必要なところに支援を届けること、そして、枚方の未来を見据え、適切な状況判断と財政判断のもと、立ち止まることも含め、いま必要な施策に真摯に向き合うことが行政に求められていると思っています。
14 奥野みか(連合市民の会)
1.新たな災害対策を支える「地域の避難所」の確保等について
2.枚方市駅周辺再整備について
3.枚方市新型コロナウイルス感染症対策事業者支援実行委員会について
4.職員採用における課題について
5.国際化施策の推進について
6.幼児療育園跡地の有効活用について
7.「子どもを守る」ために重要なことについて
8.子どもにとって豊かな放課後環境の整備について
私が取り組むとお約束した政策課題としては、
多様性を認め、差別と暴力のないまちをめざす
「あらゆる場面で、人が抱えるさまざまな『違い』が尊重され、排除されないことの徹底」
「在住外国人に対する日本語学習の支援や相談体制の整備」、
安心して出産・子育てができるまちをめざす
「放課後や長期休業期間の子どもたちの安全な居場所や活動場所の整備」
「児童虐待を防ぐとともに、虐待された子どもたちの命と心を守る体制の拡充」
「乳幼児や学童の保育等、子どもたちの成長を支える職場における処遇改善と人材の確保・育成の推進」、
みんなが楽しく、はつらつと暮らせる魅力あるまちをめざす
「感動する文化芸術にふれ、まちの魅力を楽しめる枚方市駅周辺地域の整備」
「まちの歴史や魅力を感じさせる地域資源の保全整備」、
災害に強く、安全に暮らせるまちをめざす
「家屋・擁壁等の耐震性向上の促進」
「重層的な避難所の確保」、
「草の根民主主義」が根づくまちをめざす
「直接的で実りある対話を大切にした地域コミュニティやNPO等との協働の推進」等にかかわる質問を設定しました。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の中、3密を避ける分散避難を受け止めるためにも地域の避難施設が重要になるとの観点から、6月定例月議会で「感染症対策を踏まえた避難所の在り方について」質問を行った際、「自治会集会所等を避難所として活用するための方策に取り組む」旨の答弁でした。
「1.新たな災害対策を支える『地域の避難所』の確保等について」の質問では、まず、自治会集会所等を避難所として活用するため、具体的にどのように取り組むのかを質問したところ、「地域住民による地区防災計画の策定を促進し、その計画の中で集会所を地域住民のための避難所として位置付けていただくよう働きかける」と地域の側に下駄を預けるお答えでした。
「自治会館の建設助成制度の見直しに向けて検討を進める」と答弁をいただきましたが、築40年を超える自治会館等が約3割というのが実情なので、避難所としての自治会館の位置づけが促進されるよう、大きな災害に襲われる危険性は高まっているなか、危機管理施策として、一刻も早い具体化を行うよう要望しました。
「2.枚方市駅周辺再整備について」では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、さまざまな状況が大きく変化している中、昨年度までに検討した構想や計画が、「ウィズ・コロナ」のこれからの時代にも有効なのか、あえて着手しようとしている巨大事業の内容を確認するという観点から質問を行いました。
まず、GDPも大幅に下落、経済の先行きも不透明、京阪ホールディングスの経営も悪化、再開発事業組合もさらなる支援を求めているなか、③街区の市街地再開発事業は本当に大丈夫なのか、予定していた枚方市の負担は増えないのか尋ねたところ、「まちなか交流拠点等の形成とあわせて市駅周辺再整備全体のまちづくりのトリガーとなる事業で、まち全体の魅力を高められる大変重要な取り組みであり、市は、市負担額約75億円を維持しながら、国制度に基づいた再開発補助金の増額や、バンケット付きホテル整備の実現に向けた支援等を行っていく」との答弁でした。
新型コロナウイルス感染症による財政面の影響は、現時点では不透明な状況であるとしながらも、「新庁舎整備は、国・府・市有財産の最適利用によるまちづくりや大規模災害時における対応などの観点から、⑤街区での配置を基本として考えている」、「新庁舎の建設用地については、④⑤街区における土地区画整理事業に伴う換地処分による取得を考えている」、「④街区は、民間ノウハウ等を活用し、公民連携で『職・学・住・楽』近接のライフスタイルを創造する機能を誘致することをはじめ、ニッペパーク岡東中央等を活用したみどり・憩い・賑わいの公園・広場を中心とした新たなまちづくりをイメージしている」と市の考えを次々と述べられましたが、いずれも新型コロナウイルス感染症の感染拡大前の考え方や内容をベースに、年度内の正式な計画決定に向けて取り組みを進めておられるように感じられます。
そこで、伏見市長に対して、現在の「コロナショック」は一時的なもので、インバウンドを含めたにぎわいも、経済もすぐにV字回復的に戻ると考えているのかと尋ねたところ、「市駅周辺再整備は、コロナ禍に伴う景気後退という厳しい社会状況の中でも、枚方の未来を担うまちづくりの最重要課題であることから着実に進める考えである」とのお答えでした。
市民に説明できる状況判断のお答えは得られず、とても残念ですが、首長として的確な状況判断・財政判断を行い、市民とともに考える姿勢をもって、枚方の未来に禍根を残すトリガーは決して引かないよう、要望しました。
「3.枚方市新型コロナウイルス感染症対策事業者支援実行委員会について」では、市内事業者の感染症対策の促進を目的とする総事業費15.6億円の「コロナ対策実施店舗応援事業」を実施するために設置した実行委員会の内容について、内部統制やコンプライアンスの観点から質問を行いました。
「コロナ対策実施店舗応援事業」は、北大阪商工会議所、枚方信用金庫、枚方市の三者で構成される実行委員会が発行者となる500円クーポン券を約240万枚を作成し、市民1人あたり3,000円分(500円×6枚)を市内全世帯に特定記録郵便で郵送配布する事業ですが、実行委員会の実行委員長は市長の補助職員である枚方市観光にぎわい部次長で、副実行委員長が北大阪商工会議所専務理事、会計監査が枚方信用金庫理事・業務部長とされています。
内部統制の観点から、この実行委員会方式に問題がないのか、発行するクーポン券の法的性格はどのようなものなのかを質問したところ、「コンプライアンスの観点から問題はないと判断し、厳正に事業を実施していく」、「本事業に関わる法的根拠などについては、庁内関係部署との協議を踏まえたものである」との答弁でしたが、再度、事業執行全般に関わる法的な問題や執行体制のあり方を検討し、クーポン券配布開始までに見解を議会に対して説明するとともに、違法・不当な事実を残さないよう、適正な実施を要望しました。
新型コロナウイルス感染症による影響や、近年、社会的課題となっている就職氷河期世代への対応、また民間企業等で培った経験などを発揮していただける優秀な人材を確保するという観点も踏まえ、市は、年齢制限の撤廃を行った職員採用試験を実施したとのことですが、「4.職員採用における課題について」では、まず、初任給の上限金額を確認し、いまだに年功序列型の制度・文化が強い本市において、採用時の年齢制限の撤廃を行ったことは評価できますが、何のために雇用したのかを疑われることのないよう、年齢制限撤廃に対応した初任給格付けのあり方や、採用後の処遇体系なども含めた抜本的な制度改革に早急に取り組んでいただくよう要望しました。
「5.国際化施策の推進について」では、今年4月に策定した「国際化施策に関する考え方」という指針に基づき、どのような推進体制で、何をどのように取り組むのかについて確認し、この9月に示された国の「地域における多文化共生推進プラン(改訂版)」も参照しながら、必要な見直しや改訂を行うとともに、国際化施策の推進にあたっては、庁内の横断的な連絡調整を強化し、国際化施策を所管する観光交流課が指針の総括を行うとのことですが、適切な進捗管理を行っていただくよう要望しました。
また、今年度末で解散となる枚方市文化国際財団が担ってきた役割の適切な引継ぎも踏まえ、それぞれの取り組みの担当部署を明らかにするとともに、適切な進捗管理を行いながら、外国人市民に対する新たな課題への取り組みも展開していただくよう要望しました。
今年3月の予算特別委員会において、幼児療育園跡地を活用もせず放置していることの問題点を指摘した「6.幼児療育園跡地の有効活用について」では、所管は引き続き子ども未来部のままとのことでしたが、庁内の公共施設マネジメント推進委員会で検討を行った結果、今後の施設の行政目的は観光交流施設として活用する方向で検討を進めていることを確認しました。
施設の具体的な内容や事業費、財源などの検討においては、一定の期間を要することから、既存施設の暫定活用も含め、地元と話し合いを進めるとともに、暫定活用の時期についても検討していくとの答弁であったため、すぐにでも活用可能な市有資産を放置することは、機会損失になることから、地元の要望も踏まえながら、今年度内の活用に向けての検討を要望しました。
子どもや家庭をめぐる問題は複雑・多様化しており、子どもの虐待などの報道が絶えないなか、子どもの「安心・自信・自由」の権利を尊重し、「子どもを守る」ための体制をしっかりと作ることが重要になっています。
「7.『子どもを守る』ために重要なことについて」では、まず、全国の中核市における児童相談所の設置状況と、本市における、児童相談所の設置に関する考え方について、確認しました。平成31年4月現在、中核市54市のうち児童相談所設置は3市、本市を含む26市は「設置の有無を含めて検討中」とのことでした。
児童相談所の中核市への設置について、大阪府とどのような話になっているのかを確認することも含め、本市の子ども家庭支援と大阪府の児童相談所の役割の違いについても質問を行いましたが、本市として、「子どもを守る」ために最も大切なことは、理念的な条例を作ることでもなく、情報をシステムで一元管理することでもなく、子どもの最善の利益を優先し、目の前にいる、現に危険な状況にある子どもたちの支援のために動ける人材の確保と体制の整備であり、児童相談所の移管の働きかけに対しても、「子どもを守る」ために真に必要な支援体制を整えるという観点をしっかりと持って対応いただくことを要望しました。
「8.子どもにとって豊かな放課後環境の整備について」では、確認の意味も含めて、「放課後キッズクラブ」はどのような事業で、何を委託するのかを確認しました。令和3年度からの2年間、留守家庭児童会室と放課後子ども教室の総合的な運営を行う「放課後キッズクラブ」は直営2校、委託2校での実施を予定しており、平日の留守家庭児童会室と土曜日と三季休業期の放課後キッズクラブの民間委託にかかる募集要項や仕様書の具体的な内容は、児童の放課後対策審議会の意見聴取ではなく、新たに設置する委託事業者選定審査会での決定を予定し、緊急時・災害時の基本的な対応並びに業務内容変更にかかるリスク分担についても仕様書等に定めていくとの答弁で、もし、委託での実施が困難な場合については、会計年度任用職員も活用しながら、直営4校で放課後キッズクラブの導入を行うとのことでした。
留守家庭児童会室の運営においても人員確保が困難な状況の中、放課後キッズクラブ事業もあわせて実施する人員を確保できると考えておられるのか非常に懸念されるという意見とともに、子どもにとって豊かな放課後環境の整備のためには、国制度も活用しながら、留守家庭児童会室職員の処遇改善を図り、人材を確保するとともに、新たな事業の実施に向けては、現場職員の意見もしっかりと聞きながら、焦ることなく丁寧に進めていただくことを強く要望しました。
それぞれの質問の詳細については、追って報告します。