6月定例月議会で「感染者に対する人権侵害を誘発しない感染症対策の推進について」等、7つの項目について、一般質問を行いました。
枚方市議会の2020(令和2)年6月定例月議会、
6月22日(月曜日)、一般質問に立ちました。
質問者29議員のうち、14番目。
議場の演壇にも発言席にも、そして、傍聴席にも飛沫感染防止シート設置です。
新型コロナウイルス感染症の拡大に対して、市民が安心して暮らせるよう、市はさまざまな支援施策に取り組んでこられています。第2波・第3波も想定する中での今後の取り組みを確認するとともに、これまでの対策の問題点を通常業務にどのようにフィードバックしていくのかを確認する観点から、7項目の質問を行いました。
マスク着用での発言なので、声がうまく通らなかったかもしれません…。
14 奥野みか(連合市民の会)
1.感染者に対する人権侵害を誘発しない感染症対策の推進について
2.インフルエンザ等との複合的流行を見据えた地域における診療体制の確立に向けた取組について
3.妊産婦に対する安心して産み育てることができるための支援について
4.高齢者のICT利用促進を支える基盤整備について
5.学校臨時休業中の児童の居場所の運営について
6.新型コロナウイルス感染症対策に係る財源について
7.感染症対策を踏まえた避難所の在り方について
私が取り組むとお約束した政策課題としては、
多様性を認め、差別と暴力のないまちをめざす
「あらゆる場面で、人が抱えるさまざまな『違い』が尊重され、排除されないことの徹底」
「さまざまな差別、ハラスメント、DV、性暴力等を許さず、被害を受けた人を支える体制の整備」、
安心して出産・子育てができるまちをめざして
「妊娠・出産・子育てを切れ目なく、家族全体をサポートする体制の整備」
「放課後や長期休業期間の子どもたちの安全な居場所や活動場所の整備」
「乳幼児や学童の保育等、子どもたちの成長を支える職場における処遇改善と人材の確保・育成の推進」、
さまざまな困難を抱えた人を、お互いさまに支えるまちをめざす
「介護が必要になっても、住み慣れた地域で暮らせる介護サービス等の整備」
「医療と介護の連携強化」、
災害に強く、安全に暮らせるまちをめざして
「災害発生時の避難誘導体制の整備」等にかかわる質問を設定しました。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の中、恐れるべきは感染した「人」ではなく「ウイルス」であるにもかかわらず、この病気が感染症であることから、社会不安を増大させ、感染者、医療従事者等に対する不当な差別やさまざまな人権侵害事象が見られました。「1.感染者に対する人権侵害を誘発しない感染症対策の推進について」の質問では、保健所長から、現在の感染症法の理念は「人権への配慮」であること、そして、誰しもがあらゆる感染症の当事者になることを意識し、行政が中心となって感染症に関する正確な知識の普及に努めることが大切であるとのお答えをいただきました。
また、「2.インフルエンザ等との複合的流行を見据えた地域における診療体制の確立に向けた取組について」では、初期の診療・検査体制をどのように構築する考えなのか、発熱を伴う呼吸器疾患の診療体制に関する「基本的な方向性」について質問し、保健所長から、特定の医療機関に集中させず、市民のかかりつけである一般医療機関において十分な感染対策をとった上で診療できる体制が本来の地域医療の在り方であり、それぞれの医療機能に合わせた診療体制がとれるよう進めていくことが必要とのお答えをいただきました。
いわれのない差別や攻撃を受けることなく、重症にならないうちに的確に治療を受け、新型コロナ肺炎で命を奪われる者が出ないようにするためには、まだまだ未知の部分は多いとはいえ、症例に応じた素早い検査・診断・治療がうけられる適切な検査・治療体制を確立することが重要で、人権侵害を誘発しない感染症対策としては、「普通」の医療を「粛々と」迅速かつ的確に提供する地域における診療体制の確立に力を注いでいただくことが重要であると意見しました。
「3.妊産婦に対する安心して産み育てることができるための支援について」の質問では、市独自支援策である妊婦への特別給付金が現時点で約60%の支給状況であることを確認し、6月補正予算で計上された「母子健康教育事業(オンライン母子保健事業)」の内容を質問しました。
健康福祉部長からは、感染リスクを軽減するため、妊娠・出産について不安や悩みの相談について、ビデオ通話によるオンラインでの個別相談、予約制のWebセミナーとしてのマタニティスクールの開催などを検討しているとのお答えでした。妊産婦の皆さんはデジタル機器を身近なツールとして使いこなされている方も多いと思いますので、安心して産み育てることができるための支援として、今後は、オンラインを活用した情報提供や相談等にも積極的に取り組んでいただくことを要望しました。さらに、昨年、母子保健法の改正により対象が出産後1年まで延長された産後ケア事業についても、支援が必要な方に必要な支援が行き届くようさらなる充実を要望しました。
「枚方版新生活~コロナ第2波見据え、非接触と『心のつながり』をめざす」と市もメッセージを発しています。「新しい生活様式」のなか、誰もが安心して暮らせるまちをめざしてという観点から、「4.高齢者のICT利用促進を支える基盤整備について」は、新型コロナウイルス禍で突然にやってきたリモート革命の中で明らかになった高齢者世代の「情報格差(デジタル・デバイド)」の解消への取り組みについての質問を行いました。
健康福祉部長からは、特に高齢者においては、ICTが利用できるかどうかで、その生活の質に、より大きな格差が生じることが危惧されるため、利用を促進することが必要であると考え、その利便性やメリットなどについて啓発を行うとともに、今年度実施する調査結果を踏まえてまずは高齢者個人への利用促進を図るため、今後は情報通信事業者との連携についても検討し、身近な場所でスマートフォンやタブレットの便利な使用方法等についての講座を開催するなど適切な支援に努めるとともに、将来的には、介護サービスの提供事業者等に対し、ICT化に向けた働きかけなども検討するとのお答えでした。
非接触のなかにあっても心のつながりを支えるツールとして、社会からの孤立を防ぐツールとして、スマートフォンやタブレットなどのデジタル機器の利活用が必要ですが、それだけではなく、在宅高齢者の見守り、オンライン相談やオンライン診療等も含む、在宅介護・在宅看護・在宅医療という地域包括ケアの充実にICTの活用がしっかり組み込まれること、さらには、在宅看取りを支える体制の確立に活用されることまで展望して取り組みを推進することを要望しました。
「ただいま」「おかえり」で始まる留守家庭児童会室は、保護者が就労等により不在となる児童の家庭に代わる毎日の「生活の場」として、児童福祉法に規定された放課後児童健全育成事業として設置されているもので、本市においてはすべての小学校の施設内に設置されています。「5.学校臨時休業中の児童の居場所の運営について」では、小学校が臨時休業となったこの間の緊急対応について、目の間にいる保育の必要な子どもたちを支えるという使命感の支えもあり、感染リスクと隣り合わせの中、身体的にも精神的にも厳しい状況で留守家庭児童会室の職員は職務を果たしてこられましたが、運営の責任体制等、さまざまな課題も包含しながらの運営であったと思われることから、それぞれの段階における留守家庭児童会室の運営の実態、職員に対するケアについて確認しました。
第2波、第3波の到来を見据えた今後の留守家庭児童会室の運営の見通しについては、学校教育部長から、この間の取り組みにおける、学校との連携や職員の働き方などの検証結果も踏まえながら、子ども達にとってより望ましい体制のあり方を検討するとのお答えでした。
この間の緊急対応については、しっかりと検証していただき、さらに学校教育の現場と連携を図りながら、第2波、第3波の到来の見据え、どのような状況で、どこがどのような居場所を整備するのか等、緊急時の運営方法を整理するとともに、保育の必要な児童の受け皿である留守家庭児童会室の運営が崩壊しないよう、そこに働く職員が見通しを持って安心して勤務することができるよう、課題の共有や情報の伝達も含め、しっかりとコミュニケーションを図っていただくことを強く要望しました。
すべての児童の豊かな放課後をめざす市の取り組みには期待しますが、新型コロナウイルス感染症対策における小学校の臨時休業に伴う臨時的で緊急の「児童の居場所」事業と、教育委員会に事務委任され取り組まれている児童福祉法に規定される放課後児童健全育成事業である「留守家庭児童会室事業」は、その目的も機能も異なるものであるということを正しく認識した上で取り組みを進めていただきたいことを最後に意見しました。
これまで総額445億3,300万円、そのうち市負担額は29億800万円となる「6.新型コロナウイルス感染症対策に係る財源について」は、新たに設置した「新型コロナウイルス感染症対策応援基金」の運用も想定されているとのことですが、市負担額の財源となる財政調整基金は27億8,800万円の繰入れを見込み、その結果、現時点での財政調整基金の残高見込みは75億7,400万円で、国の地方創生臨時交付金を加味すると約86億円となる財政調整基金について、市の評価を確認したところ、新型コロナウイルス感染症への対応を想定し、令和元年度における特定目的基金約10億円への積み替え等の見送りにより、本市として目安とする70億円の残高は確保している状況であるとのお答えでした。しかしながら、今後、新型コロナウイルス感染症の第2波・第3波の到来や自然災害への対応に加え、市税収入の減少など歳入面の影響が現時点で不透明であるとのことです。
そうした厳しい財政状況の中、「この街に住みたい基金」については、行革効果額として令和元年度3月補正予算に計上した5億円の積立てを執行し、令和2年度は、「この街に住みたい基金」への4億1,000万円の積立てと6億4,500万円の取崩しが予算化されています。
社会経済情勢が激変し、市税収入の見通しも不透明、新型コロナウイルス対策で予期せぬ費用も増大するという状況が想定される中、「この街に住みたい基金」への行革効果額の積立てやそれを財源とした新規事業の実施については、いったん立ち止まって見直すべきであること、行政改革による効果額の算定にあたっては、決算を経て、効果が確実なものに限って行うべきで、効果が出る前から、歳出予算に基づいて基金積み立てを執行すると財源に穴が開き、結果的に「財政調整基金」を減らすことになることを指摘し、「この街に住みたい基金」の「運用」には慎重であるべきこと、そして、社会経済情勢の激変に対応しながら市民のくらしの安心を守るためには、「財政調整基金」を重視した財政運営を行うべきであることを意見しました。
「7.感染症対策を踏まえた避難所の在り方について」では、市の指定避難所で収容できる人数は約10万2,500人、感染症対策を踏まえると約5万人程度との推定であることを確認し、避難とは「難」を「避」けることで、安全な場所にいる人まで指定された避難所に行く必要はなく、在宅避難や安全な親戚・知人宅への避難という選択もあるという考え方もある中、感染症対策を踏まえた避難所の在り方について質問しました。
危機管理監からは、これからの避難所について、5月に策定した「避難所における新型コロナウイルス感染症への対応方針」において、第2次避難所開設に向けた体制整備や自治会集会所等を避難所に活用すること、自宅療養者等の専用避難所を確保することなどを定め、現在、具体的なマニュアルづくりや研修の実施等、体制整備に着手しているとのことで、今後は、課題としている「地区防災計画」の策定を地域に働きかけていく必要があると考えているとのお答えでした。
市民の皆さんが適切な避難行動を確実に取れるよう、「避難行動判定フロー」の周知とともに、避難所の運営にあたっては、大阪北部地震や豪雨災害の際に明らかになってきたさまざまな課題への対応とともに、新型コロナウイルス感染症への対応も想定しながら、市民の生命を守るため、複合災害の中でも実現性のある避難所の在り方を検討いただくよう要望しました。
それぞれの質問の詳細については、追って報告します。