11月30日、緊急議会が終わりました。人事院勧告に基づく給与改定などの条例改正が主な案件で、報告1件、議案3件の審議が行われました。

2021/11/30

枚方市議会議員の奥野みかです。

2021(令和3)年11月緊急議会は、11月30日(火曜日)10時から始まりました。

冒頭、市長の挨拶は、公文書の偽造にかかる市幹部の不祥事により、本市に対する信用を著しく失墜させたことへの謝罪から始まりました。「改めて綱紀粛正を徹底するとともに、信頼回復に向け努める」とのことでした。
広辞苑に「綱紀粛正」は「政治の方針や政治家・役人の態度の乱れを正して厳格にすること」と説明されています。この事件の経過については、新聞記事等をたどりながら振り返っています。公文書の「偽造」という事件そのものも全く不要な「不正」(団体からの寄附として推薦しても褒章を受けることはできます)ですが、私は、事件発覚後の市の対応についても「公正さを欠く」ものであったのではないかと考えています。「綱紀」と言われていますが、綱紀が乱れたから発生したのか。公文書の偽造が明らかになった後、そのことへの対応が適切であったのか等について、公正な職務の執行を確保するという観点から改めて確認をしていきたいと考えています。

www.sankei.com
褒章推薦のため文書偽造 「寄付くれるから…」 大阪・枚方市
大阪府枚方市は29日、団体役員を褒章の候補者として推薦するため寄付金の領収書の名義を偽って作成したとして、観光にぎわい部の男性部長(58)を減給10分の1(6カ…
続きを読む

 

さて、本議会では、専決事項の報告1件、人事院勧告を踏まえた市長等の給与や職員の給与に関する条例改正議案2件、同じく議員提出の条例改正議案1件の審議が行われ、すべて原案可決となりました。

付議事件議決結果一覧
(※クリックするとPDFファイルが開きます。)

 


◇枚方市職員給与条例及び枚方市会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の一部改正について

【内容】
8月10日に発令された令和3年の人事院勧告を踏まえたもの。なお、衆議院の解散のあり、国会では給与法の改正は12月に行われる予定。市は、11月24日の閣議決定に基づき発出された「地方公務員の給与改定等に関する取扱いについて」を参考に、今回の条例案を作成し、提案したもの。

なお、令和3年8月の人事院勧告は以下のとおり。

▶ 令和3年 人事院勧告・報告について(令和3年8月 人事院)

 給与勧告の仕組みと本年の勧告のポイント(人事院)

(※以下は上記資料より抜粋)

市は人事院勧告に準じた給与改定を行っているため、条例を改正するもの。期末手当の0.15月分引き下げ。月例給は改定なし。今年度は12月分で0.15月、次年度以降は6月分と12月分で0.075月ずつ減額する。

期末手当について、一般職員は、2019年度は合計で2.60月→2020年度は合計で2.55月(△0.05月)であったところ、2021年度以降、合計で2.40月(△0.15月)となる。(勤勉手当と合わせると4.30月)
再任用職員は、2019年度は合計で1.45月→2020年度も合計で1.45月であったところ、2021年度以降、合計で1.35月(△0.10月)となる。
特定任期付職員は、2019年度は合計で4.50月→2020年度は合計で445月(△0.05月)であったところ、2021年度以降、合計4.30月(△0.15月)となる。(勤勉手当なし)
なお、会計年度任用職員は、2020年度は合計で2.60月、2021年度は合計で2.55月(△0.05月)、2022年度以降、合計2.40月(△0.15月)となる。

全会計ベースで、影響額は令和2年度は約2億円、令和3年度は約2億2,000万円の見込み。

【議員からの質問】は次のとおり。
・人事院勧告に準じた0.15月の引き下げについて、国は来年6月に調整するが、枚方市はなぜ今年12月から行うのか。国がどのように減額するかも決まっておらず、早期に是正が必要であるとも言っていない。
→国会等の諸状況を鑑み、国は翌年度の6月期末手当で調整するが、本市は、官民給与における格差是正のため、できる限り早く、労使確認を行いながら、今年12月で実施するもの。
・経済格差の是正よりも経済の回復が当然。今年12月から引き下げる府内の市町村について。
→大阪府以外には、大阪市、堺市、豊中市、八尾市、箕面市、摂津市、守口市、島本町、能勢町(7市2町)に、枚方市が加わる。
・会計年度任用職員について、月収は減額となるが、年収では上回ると説明されてきた。0.15月の期末手当の減額は非常に大きいのではないか。対象となる会計年度任用職員の数について。
→退職・採用があり、示すのは困難であるが、2021年6月12日現在、市全体で対象は約1,026人。

 


報告第23号  専決事項の報告について(3件)

・専決第15号 損害賠償の額を定めることについて
市民と園児の接触による負傷(園内人身事故)
・専決第16号 損害賠償の額を定めることについて
公用車(3.5トン塵芥収集車)とマンション入口の鉄製ポール接触による車両物損事故
・専決第17号 損害賠償の額を定めることについて
公用車(小型貨物車)と軽自動車との接触による車両物損事故

議案第53号 市長等の給与に関する条例の一部改正について

期末手当の支給率を改定する。100分の10(△0.10月)の減額
・100分の167.5(現行)→100分の157.5(2021年12月1日から)→100分の162.5(2022年4月1日から)
すなわち、市長等は、2020年度は合計100分の335であったところ、2021年度は6月支給分100分の167.5と12月支給分100分の157.5で合計100分の325となり、2022年度は6月支給分100分の162.5と12月支給分100分の162.5で合計100分の325となる。

【参考】
枚方市の特別職の給与は、人事院勧告に基づき改定を行ってきている一般職に準じて改定してきたが、平成30年度以降は、国の「特別職」(大臣等)の給与改定の準拠に変更しているとのこと。今回、12月1日までに国会での審議が行われず、国の特別職の給与法が改正される前ということもあり、市が府市町村課に確認したところ、国の特別職は、一般職の指定職職員(事務次官等)に準じて改定しているとの情報を得たため、人事院勧告における一般職の指定職の改定(「指定職俸給表の適用を受ける職員」)にあわせて△0.10月としたの説明がありました。

議案第54号 枚方市職員給与条例及び枚方市会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の一部改正について

期末手当の支給率を改定する。100分の15(△0.15月)の減額、再任用職員は100分の10(△0.10月)の減額
・一般職員は、100分の127.5(現行)→100分の112.5(2021年12月1日から)→100分の120(2022年4月1日から)
すなわち、一般職員は、2020年度は合計で100分の255であったところ、2021年度は6月支給分100分の127.5と12月支給分100分の112.5で合計100分の240となり(△0.15月)、2021年度は6月支給分100分の120と12月支給分100分の120で合計100分の240(△0.15月)となる。
・再任用職員は、100分の72.5(現行)→100分の62.5(2021年12月1日から)→100分の67.5(2022年4月1日から)
すなわち、再任用職員は、2020年度は合計で100分の145であったところ、2021年度は6月支給分100分の72.5と12月支給分100分の62.5で合計100分の135となり(△0.10月)、2021年度は6月支給分100分の67.5と12月支給分100分の67.5で合計100分の135(△0.10月)となる。

【参考】
勧告」では、「令和3年12月期は、特定管理職員及び指定職俸給表の適用を受ける職員以外の職員の期末手当の支給割合を1.125月分(再任用職員にあっては、0.625月分)とすること。令和4年6月期以降は、6月及び12月に支給される期末手当の支給割合をそれぞれ1.2月分(再任用職員にあっては、それぞれ0.675月分)とすること。」と記載されている。再任用職員の減額月数も「勧告」に準拠したものであるとの説明がありました。

・特定任期付職員は、100分の222.5(現行)→100分の207.5(2021年12月1日から)→100分の215(2021年4月1日から)
すなわち、特定任期付職員は、2020年度は合計で100分の445であったところ、2021年度は6月支給分100分の222.5と12月支給分100分の207.5で合計100分の430となり(△0.15月)、2022年度は6月支給分100分の215と12月支給分100分の215で合計100分の430(△0.15月)となる。(勤勉手当はなし)
・会計年度任用職員は、100分の127.5(現行)→100分の120(2022年4月1日から)
すなわち、2021年度は変更なしで合計100分の255のところ、2022年度から、6月支給分100分の120と12月支給分100分の120で合計100分の240(△0.15月)となる。

議案提出第8号 市議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例の一部改正について

期末手当の支給率を改定する。100分の15(△0.15月)の減額
市議会議員は、100分の222.5(現行)→100分の207.5(2021年12月1日から)→100分の215(2021年4月1日から)
すなわち、市議会議員は、2020年度は合計で100分の445であったところ、2021年度は6月支給分100分の222.5と12月支給分100分の207.5で合計100分の430となり(△0.15月)、2022年度は6月支給分100分の215と12月支給分100分の215で合計100分の430(△0.15月)となる。(勤勉手当はなし)

市議会議員の期末手当について、一般職の支給率と同様とするとして議会改革懇話会の報告に基づき支給率の改定を行うもの。

 


 

【参考】 内閣官房長官談話(令和3年11月24日)

1 政府は、本日の閣議において、一般職国家公務員の給与について、人事院勧告どおりボーナスの支給月数を引き下げることなどを内容とする公務員の給与改定の方針を決定しました。
2 本年の勧告は、調査時点の民間の給与実態を反映し、国家公務員のボーナスの引下げを行う内容であります。
3 政府は、労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告制度を尊重しつつ、民間への影響など、コロナ禍の異例の状況下での国政全般の観点、特に経済対策等政府全体の取組との関連を考慮し、国民の理解を得られる適正な結論を出すべく検討を行った結果、本日、勧告どおりボーナスの支給月数を引き下げることを決定したところであります。なお、令和3年度の引下げに相当する額については、令和4年6月のボーナスから減額することで調整を行うこととしております。
4 地方公務員の給与改定については、各地方公共団体において、地方公務員法の趣旨に沿って適切に対応するとともに、ボーナスの調整時期については、地域の実情を踏まえつつ、国家公務員の取扱いを基本として対応するよう要請することとしております。
5 公務員諸君においては、一人一人が国民全体の奉仕者であることを強く自覚するとともに、改めて厳正な服務規律の確保と公務の適正かつ能率的な運営を図るよう強く期待するものであります。

^