大切なことは、市が適切に公共的なファシリティ・マネジメントを行い続けること。「民設民営」を検討している幼児療育園跡地の活用について、質問しました。9月定例月議会、一般質問の報告①です。
枚方市議会議員の奥野みかです。
ここでは、「1.幼児療育園跡地の活用について」の報告です。
三矢町にある幼児療育園は廃止されていますが、その施設が放置されています。地元から利活用したいという要望もありましたが、市は「民設民営」の(観光交流)施設を検討するとしています。その現状について、確認しました。
私は、「民設民営」という事業手法は、市が適切に公共的なファシリティ・マネジメント(財産を時代や状況の変化に合わせて総合的に企画・管理・活用し続けること)を行い続けている場合、その機能が働いている中では、有効な場合もあると考えています。
「不易流行」という言葉があります。その「流行」を具体化する施設整備の事業手法としては、民間の知恵をお借りすることは有効な場合もあると考えます。しかしながら、「不易」の要素を実現するには、公的負担等が絶対に必要で、市が公的責任を放棄してはいけないと考えています。
以下、9月20日の一般質問でのやりとりを掲載します。
1.幼児療育園跡地の活用について
Q.私の質問
幼児療育園跡地の活用については、「民設民営により事業者の発想・ノウハウを活用する」、「公募型プロポーザル方式により広く提案を募る」、「選考過程における地元意見の反映」といった整備方針を説明されていますが、現状を伺う。
A.観光にぎわい部長の答弁
幼児療育園跡地については、本市の観光まちづくりに資する効果的な活用を図るため、現在、枚方宿地域の賑わい創出の拠点整備に向け、民間事業者が考える土地活用のアイデアや、参加しやすい事業条件等を把握するための、サウンディング型市場調査の実施を進めている。
本サウンディング後、11月下旬にはサウンディング結果の概要を公表し、プロポーザル方式による事業者公募を行うため、その選定のための審査会を設置したいと考えている。なお、事業者公募にあたっては、公募条件等の内容について、地元との意見交換を行いながら進める予定としている。
Q.私の質問
先の議員の質問で、サウンディング型市場調査のスケジュールをお示しいただき、予算はないとの答弁であったので、直営で丁寧に実行していただけるということかと思うが、枚方市の土地の上に、民設民営で「観光交流」施設を整備・運営しようとする時に、最も重要なことは、市が何を実現したいのか、どのような条件があるのかを明らかにした上で、民間側にそれを担う意欲があるのか、事業を成立させる上で何か問題はないのか(事業の実現可能性)、こうしたことに関する意見を聴き、実際の公募を行う際の条件を精査することである、と考える。
「初期投資によるリスクをいかに低く抑えることができるか」、「その後の事業継続において、安定的な収益の確保が可能か」等を重視、とのご説明もあった。まさに、民間事業者にとって最も重要なのは「リスクの評価」と「採算性」であると考えるが、「採算性」では、用地に係るコストと既存施設の解体撤去のコスト負担がポイントとなるのではないか。それらに関する現時点での市の考え方について、伺う。
A.観光にぎわい部長の答弁
今回のサウンディング実施時に提示する条件としては、土地は市が事業用定期借地として 30年間程度貸し付けることを想定しており、用地に対する貸付料をお支払いいただくこととし、また、既存施設の解体については、事業者による撤去を求め、その撤去に要した費用について市が負担することで検討を進めているところである。
Q.私の質問
地元 7 団体から市長に対して要望が提出されていたが、今年度の市政運営方針において、幼児療育園跡地は、「地域と連携する中で民設民営により、新たな賑わい創出の拠点として活用していくため、事業者公募を行う」とされている。
市は、地元からの要望はどのようなものであると認識されているのか、そして、地元からの要望を実現するため、市はどのような事業スキームとすることが必要と考えているのか、伺う。
A.観光にぎわい部長の答弁
地元要望については、幼児療育園跡地の活用検討に際し、尊重すべきご意見であると考えている。今後も地元の方々との話し合いを通じ、本市が目指す、枚方宿地域における賑わいづくりに資する施設の整備に向け、取り組んでいく考えである。
Q.私の質問
地元からの要望の実現には、事業の「採算性」を下げるリスク要因があるかもしれないが、民間事業者に意見を聞く考えがあるのか、また、市として何らかの対応を検討する考えはあるのか、見解を伺う。
A.観光にぎわい部長の答弁
民間事業者へのサウンディング調査においては、地元要望も踏まえたヒアリングを行うこととしており、事業実施に際しては、ヒアリングの結果を踏まえ、地元要望の実現に向け努力していく。
O.私の意見
「地元要望も踏まえたヒアリングの結果を踏まえ、地元要望の実現に向け努めていく」と、たくさん踏まえていただけそうなご答弁である。地元からの要望をどのように認識しているか伺うと、「尊重すべきご意見である」とお答えいただいた。しかし、その地元要望が何であるのかを本当にきちんと理解されているのか、私には不安である。
枚方宿において、日常、さまざまな活動を行っている団体や、地元住民の皆さんは、「活動の拠点となる交流の場を確保してほしい、それだけなんや」と言われている。枚方宿を何とか発展させようと思って活動を積み重ねて来られた地元の皆さんの思いや願いに寄り添っていただくということは、これまでの経過を踏まえれば、当たり前のことである。「市役所が勝手に進めるんやったら、勝手にすればいい」とも言われている。つまり、「いつまで自分たちをほっておくんや」ということである。
この後、民間事業者による事業展開が順調に進めばいいが、現在の社会経済情勢では、どうなるのかわからない部分もある。そんなことを考えると、「まずは老朽化した建築物を解体していただき、更地となった広場を暫定活用できればいい」、そういった地元の要望も、是非、前向きに検討いただきたいと要望しておく。そして、「観光交流施設の整備のために」寄附を受けた 2億円を、市の負担で行う解体財源に活用することも検討いただきたいと要望しておく。
【追記(9月20日)】
▶ 「枚方宿にぎわい創出施設についてのサウンディング調査を実施します」民間事業者の皆様の活用アイデアや参加しやすい事業条件等のご意見をお聞かせください。(※枚方市ホームページはこちらから)
→枚方市幼児療育園跡地の利活用に関するサウンディング型市場調査実施要領
※以下は、「枚方市幼児療育園跡地の利活用に関するサウンディング型市場調査実施要領」より抜粋
4.サウンディングの内容
(2)現段階で想定している事業スキーム
・施設は民設民営とし、土地は市が事業用定期借地として30年間程度貸し付けます。(貸付料は、年額2,892,000円を最低価格として、公募型プロポーザル方式による提案により決定していく予定です。ただし、今後の土地価格の動向等により、最低価格が変動する場合があります。)
・事業者は自ら建物を建設し、テナント等のリーシングを含めた管理運営を行うことにより、その収益で建物の建設費用も含めて回収し、自立経営を行います。
・現在ある建築物については事業者で撤去することとしますが、その費用は、市が適正と認める範囲において、市が負担します。
【参考】
▶ 2022年3月17日 予算特別委員会「幼児療育園の跡地活用について」
2022年度の市政運営方針で、民設民営での活用方法の検討が提案されている幼児療育園について、老朽化した施設の更新や解体にあたっても、地元への丁寧な説明が必要になる。アスベストの含有が想定される公共施設の解体について、公的機関が責任をもって実施するというのは当然のことかと思うが、そもそも解体工事というのは、騒音・振動・ほこりといった、周辺地域に及ぼす問題も大きいことから、公的機関が適切な管理のもとで責任をもって実施するべきであると意見。
▶ 2020年9月15日 9月定例月議会「幼児療育園跡地の有効活用について」
すぐにでも活用可能な市有資産を放置することは、機会損失になることから、地元の要望も踏まえながら、今年度内の活用に向けての検討を要望。
▶ 2020年3月24日 予算特別委員会「未利用施設(元幼児療育園)の維持管理について」
用途廃止となった資産について、市として大きな機会損失とならないよう、例えば、建物の解体費用を基金から繰り出すシステムを構築されている他市事例も参考に、地元からの要望も踏まえた資産活用方策を早急に確立することを要望。