9月20日、2022(令和4)年9月定例月議会(第4日)、一般質問終了後に、訴え(控訴)の提起についての議案の審議を行いました。
枚方市議会議員の奥野みかです。
2022(令和4)年9月20日、定例月議会(第4日)の一般質問終了後、議案第46号「訴え(控訴)の提起について」の審議が行われました。9月7日に、大阪地方裁判所から「市の請求を棄却する」判決の言い渡しがあり、市はその判決内容を不服として大阪高等裁判所に訴え(控訴)を提起するにあたり、控訴期日が9月21日(2週間以内)であることから、9月20日の支援提出となったとのことです。
私は、会派(連合市民の会)の皆さんとともにこの議案には反対しましたが、賛成多数で可決となりました。
9月20日の議決結果は次のとおりです。
▶ 付議事件議決結果一覧
▶ 議案書
・2022(令和4)年9月定例月議会議案書(追加➀)
【9月21日追記】
枚方市は、議案可決(訴え[控訴]の提起)をもって、2022年9月21日付けで控訴を行ったとの報告がありました。
◇付議事件(9月20日)の概要について
議案(その他)1件
議案第46号 訴え(控訴)の提起について
→[控訴人]枚方市 代表者 枚方市長、[被控訴人]大阪府 代表者兼処分行政庁 大阪府労働委員会、
[概要]枚方市職員労働組合に対し、枚方市職員会館の一部の使用を許可してきたが、その使用を巡り本市が同組合に対して行った行為の中に不当労働行為があったとして、同組合は、2019(平成31)年1月18日及び2019(令和元)年7月8日に、大阪府労働委員会に対し、救済の申立てを行った。この申立てを受け、2020(令和2)年11月30日付けで同委員会において、本市の行為の一部が不当労働行為として認定され、救済命令が発せられたことから、大阪地方裁判所に対し、その取消しを求めて訴えを提起した。今般、2022(令和4)年9月7日に、大阪地方裁判所から判決の言い渡しがあったが、判決内容は本市の請求を棄却するものであり、不服であるため、大阪高等裁判所に訴え(控訴)を提起するものである。
条例案件での議案質疑
◇第46号 訴え(控訴)の提起について
大阪府労働委員会「労働委員会命令データベース」に掲載されている内容は次のとおりです。
↓
大阪府労委平成31年(不)第2号・令和元年(不)18号「不当労働行為審査事件」 (M-R02-007)
同じ内容ですが、大阪府労働委員会の発2020(令和2)年11月30日付けの「命令書」はこちら。
↓
「命令書」(2020(令和2)年11月30日 大阪府労働委員会 会長 宮崎裕二)
なお、大阪府労働委員会を枚方市が訴えた事件(「令和2年(行ウ)第174号救済命令取消請求事件」)について、「判決の言い渡しがあった」ということですが、「判決内容は本市の請求を棄却するものであり、不服であるため、大阪高等裁判所に訴え(控訴)を提起する」とはいっても、判決の具体的な内容がわからないので、下記(要請書)を掲載します。この中に「令和2年(行ウ)第174号救済命令取消請求事件」の判決(写し)が添付されています。
▶ 2022年9月8日 要請書
2020年12月の定例月議会、議案第108号「訴えの提起について」に対する私の質疑の内容はこちらです。
自治体行政が大阪府労働委員会を相手に訴訟を起こす、それも、労働委員会制度がある以上、その決定を揺らがせるような司法判断を期待することはかなり困難であるにもかかわらず、訴訟費用として多額の公費を使い、対応する職員の手間もかけて訴訟を起こす。独立行政機関である大阪府労働委員会から救済命令として求められた内容は交渉に応じることと謝罪だけ。職員対応、労使関係のあり方としてこれでよいのか、枚方市という公の行政組織の長としての選択・判断とは思えない、解決のためにコミュニケーションを図る方法(団体交渉)を選択いただきたいという思いから質疑を行ったものです。
結果として、議案第108号は賛成多数で可決され、市は、大阪府を相手取って大阪地方裁判所に救済命令取消請求の訴えを提起することが決まり、残念でしたが、今度は控訴。結果として、本日の議案第46号「訴え(控訴)の提起について」は賛成多数で可決されました。あり得ない、そんな思いでいっぱいです。
※議案第46号に対する会派(連合市民の会)の八尾議員の質疑のやりとりは次のとおりです。
【質問】
本議案は、2020(令和2)年12月に大阪府労働委員会の命令の取消しを求めて大阪地方裁判所に訴えを起こしたものの、市側が敗訴したため控訴をして争っていくものとの事であるが、この控訴人は枚方市、被控訴人は大阪府労働委員会であり、いわば行政機関同士の訴訟で、私は、正直このような争いをしても、市民にとっては直接的なメリット・デメリットはないものだと2年前に申し上げた。
それにもかかわらず、大阪地裁の判決を受け入れずに控訴してまで争う必要があるのかと、非常に憤りを感じる。
このことに貴重な市民の税金を投入することが、果たして市として適切な対応といえるのか懸念を感じ、この訴えの提起は市民にとって全く不要なものであると考える。
今回の大阪地裁の判決において、「訴訟費用(補助参加によって生じた費用を含む。)は原告負担とする。」となったとの事で、これは議案書の「4.判決内容」のところにも記載があるが、この原告負担とする訴訟費用とは、どのようなものであるのか、また、その金額はどれくらいなのか、伺う。
【総務部長答弁】
判決内容にある、原告負担とするとされている訴訟費用については、弁護士費用は含まれておらず、書面の作成提出費用、代理人の出廷にかかる旅費及び日当が主な内容となる。
また、その額につきましては、訴訟が終結した後に確定するものであることから、現時点においては、確定していない状況である。【質問】
訴訟にかかる費用についてご説明をいただいたが、訴訟が終結していないから現時点において確定していないとの事である。ただ、控訴をすればさらに費用が掛かることになる。この市民にとって直接メリットがない裁判に、訴訟費用は、この裁判が終結するまで確定しないかもしれないが、これ以外には弁護士費用や、職員の人件費などの経費は発生しているはずである。
であるから、これ以上貴重な税金や人員を投入することは、市民の理解を得られない事であるし、私も到底理解できない。
先程も言ったが、この訴訟は、控訴人、被控訴人ともに行政機関同士であり、また、そもそも争いの根幹は、枚方市の行政内での単なる内輪揉めである訳であるので、この裁判を続ける意義はない。市として、これ以上控訴をして争わず、大阪地方裁判所の判決を受け入れるべきだと考えるが、どのように認識しているのか、市長に伺う。
【市長答弁】
先の一般質問でも答弁したが、この裁判は、労働組合の政治的活動の是非を争っているものではなく、行政財産である職員会館の使用許可を巡る訴訟である。
そもそも、枚方市職員労働組合が本市職員会館の一部を組合事務所として使用することができるのは、本市がその使用を許可しているからであり、当該許可に際して管理権に基づき条件を付しており、そのことを許可者、利用者ともに理解、認識していたところであるにもかかわらず、この条件への違反が繰り返し見受けられたことから退去を求めたものである。
このような背景から、労働問題として取り扱われるものではなく、行政財産の管理に関する問題で取り扱われるべき案件であると考えており、本市の主張が認められなかった大阪地方裁判所の判決は不服であり、受け入れられないものである。
職員会館は市民の財産である行政財産であり、その管理を適正に行うことは、私の責務でもあり、市民の財産である施設の適正使用を守るためにも、控訴して争っていくというのが私の考えである。
【意見・要望】
只今、市長からの答弁を伺ったが、私は前々から市政の重要課題は多くある中で、今後も、このような内輪揉めの裁判に貴重な税金や人員を投入することが、本当に市民の利益になるのかということを申し上げてきた訳である。
すでに、市と同じ行政機関である大阪府労働委員会が、不当労働行為を認定した訳である。繰り返しになるが、この裁判で訴える相手方は(被控訴人は)大阪府労働委員会である。枚方市職員労働組合ではない。「行政財産である職員会館の使用許可を巡る訴訟である」と市長は答弁されているが、前にも申したが、職員会館は市民利用に供する建物ではないと言う事で、この件については、前にも申したが、市民の財産と言われてもピンとこない。そして、まさしくこれから市駅周辺再整備で、この建物自身、解体をして新しいまちづくりをしていくわけである。
そうであるならば、この内輪揉めに、これ以上むきになる事をせず、新しい街づくりに最大限注力するべきである。
そのためにも、このような裁判は続けていくべきではないと考えており、その考えを所属議員全員で共有している、連合市民の会としては、本議案に賛成できないと申し上げ、私からの質問を終了する。