ふるさと納税の寄附額を増やすための取り組みを考える。人権問題の複雑化・多様化が進む中においても、違いのある一人ひとりが主体となる心豊かな住みよいまちをめざして。2月13日、2案件の協議を行いました。(総務委員協議会の報告②)

2024/02/13

枚方市議会議員の奥野みかです。

2月13日に開催された総務委員協議会の報告②です。

【案件名】

(3)ふるさと納税制度の取り組み強化について
(4)人権尊重のまちづくりに向けた取り組みの進捗状況について

上記、市長公室の2件について、報告します。

 


(3)ふるさと納税制度の取り組み強化について[広報プロモーション課]

【目的】
ふるさと納税制度の運用については、新たな返礼品事業者の開拓やふるさと納税ポータルサイトの運用拡大等により寄附額の増加を図るとともに、特色ある返礼品の提供等を通じてシティプロモーションにつなげる取り組みを進めてきた。
本市への寄附額は増加傾向にあるものの、枚方市民が他市にふるさと納税をすることによる市税の流出額は、寄附受入額を大幅に超過しており、寄附額増加のためのさらなる取り組みの強化が課題となっている。
そのため、自主財源の確保に向けた積極的な取り組みとして、ふるさと納税返礼品に係るプロモーション業務等を専門的に行う事業者に対して業務委託を行い、インターネット広告を活用したPR等の取り組みを強化するもの。

◇委託業務の提案内容

・ふるさと納税返礼品のPRは、ウェブマーケティング等専門分野でのノウハウを有効活用し、かつ多岐に渡る媒体を戦略的に運用していくことが重要となることから、プロポーザル方式で事業者の公募を行い、事業者選定にあたっては本市附属機関における有識者で構成するプロポーザル選定審査会にて審査の上、事業者からの企画提案内容や事業費等から総合的に事業者を選定する。
・ふるさと納税返礼品に係るプロモーション業務等を専門的に行う事業者に対して業務委託を行い、インターネット広告を活用したPR等の取り組みを強化。シティプロモーション。4大サイトすべて活用している上に、行うもの。
・内容→①市場分析に係る提案、②広告展開係る提案、③寄附拡大に向けたその他の提案。
・上記の他、ふるさと納税ポータルサイト内検索連動型広告の広告料として2,710千円を計上。エリア・頻度・年齢層等ターゲティングを踏まえたPR等。

・75%相当は交付税の算定で加味されても、本市として、2022(R4)年度で、266,203千円のマイナス。(寄附額と流出額の収支)
・寄附額による税収入の流出。他市への流出(市民が他市へ寄附したことによって、入ってこなくなった税額)
→2022(R4) 1,399,172千円、 2021(R3) 1,226,822千円
・ふるさと寄附額の推移。特色ある返礼品 うまい棒ケース、腸内フローラ検査サービス(72,825千円)
→2022(R4) 211,712千円、 2021(R3) 151,800千円

奥野の意見

ふるさと納税は、今のような厳しい状況のもとで、明らかに地方税の減収が生じてしまう制度。「75%相当は交付税の算定で加味」と言うが、減収を国が負担するか、地方が負担するかという、そうした次元の問題ではなくて、そもそも国全体としてこれだけの赤字を抱えて、新発国債を出さなくては回っていかないような中でやっていていい制度なのか、正直ギモン。
災害だから、とかということよりも、返礼品につられて集まってくるお金で、返礼品競争に勝ったところが手厚い歳出ができるとかというのはどうか。手厚い歳出をしたかったら本当は住民が負担しながらきちんと歳出もして、というように、負担を伴う歳出であるのが本来の姿ではないかなと思う。

他の委員の意見

・返礼品に関する体制強化が要るのではないか。
→好きな自治体に寄附すため、全国では寄附金の取りあいになっている。市は14億円の流出。自主財源確保のため、返礼品に体験型のアイデアを取り入れる等、力を入れている。
・自治体の課題。ガバメントクラウドファンディングには、営業部隊(体制)も必要ではないか。
・ふるさと納税をしてくれる人(どんな人が寄附してくれるのか、年収等)の人物像(ペルソナ)をアンケート等で把握する。

【参考】

●「財政制度等審議会財政制度分科会(2023.10.04)」より、河村委員の意見を引用
~もう1点、ふるさと納税については、今のような厳しい状況のもとで、19ページの図でいみじくもお示しくださっていますように、明らかに地方税の減収が生じてしまうんですね。それを国が負担するか、地方が負担するかという、そうした次元ではなくて、この国、そもそも国全体としてこれだけの赤字を抱えて、新発国債を出さなくては回っていかないような中でやっている国がこうした状況で、本当はやってよいのかなというふうに私は正直思います。産業政策のコストとして認識してもよいのではないかというふうな御意見が先ほども出ていましたが、国全体が財政収支も均衡、利払費まで含めて均衡であるとか黒字であるとか、国も地方も黒字であるとか、財政収支が黒字だったら、そうしたやり方もあってもよいかもしれませんが、これだけ厳しい状況で、これから財政制約を意識しなくてはいけない状況で、やはり少しこれは問題で、何で減収になるかといったら、例の返礼品なんですよね。地方税のところから返礼品、さっきカタログショッピングというお話があって、みんなそう思っていますが、そっちに持っていく余裕、この国、本当はあるのかねという気がいたします。

また、もう一つの問題は次のページの寄附金の使途のところですが、結局、追加的にお金がいろいろ出せるわけですね。ふるさと納税をした人が選べるし、市長さんに一任ということもできるということなのですが、こうした追加的な歳出を地方ができる財源として、災害があったときに返礼品がなくても、みんな気持ちで寄附するのがありますね。ああいうのはとても良いことであると思います。本当にやって良いと思います。だが、そうではなくて、ふるさと納税、ある意味、そうした災害だからとかということよりも、返礼品につられて集まってくるお金で、返礼品競争に勝ったところが手厚い歳出ができるとかというのは、手厚い歳出をしたかったら本当は住民が負担しながらきちんと歳出もしてというふうに、負担を伴う歳出であるのが本来の姿ではないかなと思いますので、そうした意味でも改善していく余地があるのではないかなと。財審としていろいろ、この問題、言いにくいところがあるのは承知していますし、すごくよく分かりますが、やはりもう少し問題点、前に出して言っていってもよいのではないかなと私は思います。

 


(4)人権尊重のまちづくりに向けた取り組みの進捗状況について[人権政策室]

【目的】

あらゆる人権侵害を許さず、一人ひとりを大切にするまちを実現することは、私たちの願いである。しかしながら、今日もなお、人種、民族、信条、性別、障害、社会的身分による人権侵害が存在しており、近年では、これらの人権侵害に加え、性的指向、性自認、疾病等による人権侵害が課題となっている。また、それらが複合的に絡み合い、被害がさらに深刻になるとともに、情報化の進展や社会情勢の変化に伴い、人権問題の複雑化・多様化が進んでいる。
そこで、人権意識の醸成に努め、一人ひとりがまちづくりの主体となってお互いを思いやる心豊かな住みよいまちを築いていくため、市の責務に加え、事業者の責務や市民の役割、人権侵害行為の禁止について新たに示すとともに、人権施策の総合的かつ計画的な推進に関する市の基本的な考え方をまとめるもの。

◇内容

市の責務、事業者の責務、市民の役割、人権侵害の禁止、基本計画

 

奥野の意見

※以下の質問を行いました。

【奥野の質問】
今回、条例が改正されるとのことであるが、条例は改正した後、市民にどのように浸透させていくかが大切である。今、人権をめぐる社会の認識は大きく変わってきており、人権感覚のアップデートを図ることが必要だが、人権意識の醸成のためにどのような周知啓発を考えているのか伺う。

【答弁(人権政策室)】
条例は大きな理念を掲げたものとなり、見直しをすることとした経緯やその詳細の説明、また、条文に込めた思いや意味などは詳細に書かれていないため、その内容を見える化し、周知啓発していく必要があると考えている。
市ホームページなどによる広報活動をはじめ、市民対象の講座やイベントなど、あらゆる機会を捉えて、周知啓発に努めていく。
また、企業においては、人権に関する感覚が古いままでは、存続に関わる事態になることも少なくないし、社会的影響力から責任が伴う。
企業に対する周知啓発については、市内100以上の企業が加入している「枚方事業所人権推進連絡会」と連携し、民間企業が人権尊重の視点から事業活動を行うにあたっての社会的責任などを共に学び、市全体で人権尊重のまちづくりを推進していく。

【奥野の要望】
行動の主体である多様な市民・事業者にどれだけ届くか、自覚していただけるかということが大きいと思うので、子ども向けや、わかりやすい版の資料も作成する等、効果的な周知・啓発に努めていただきたい。
今、性犯罪や震災時の人権、犯罪被害者の人権など、様々な人権課題がクローズアップされている。今回、疾病や性的マイノリティといった文言を前文に追加されようとしておられるが、人権に対する社会の認識が日々変わっている状況で、常に人権感覚をブラッシュアップすることが求められている。市の施策に人権尊重のまちづくりの理念を活かすのはもちろん、市民、事業者への啓発にも努めていただきたい。

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