小学校が臨時休業となったこの間の留守家庭児童会室での緊急対応等、学校臨時休業中の児童の居場所の運営について質問しました。6月定例月議会、一般質問の報告④です。
ここでは、「5.学校臨時休業中の児童の居場所の運営について」の報告です。
「ただいま」「おかえり」で始まる留守家庭児童会室は、保護者が就労等により不在となる児童の家庭に代わる毎日の「生活の場」として、児童福祉法に規定された放課後児童健全育成事業として設置されているもので、本市においてはすべての小学校の施設内に設置されています。小学校が臨時休業となったこの間の緊急対応について、目の間にいる保育の必要な子どもたちを支えるという使命感の支えもあり、感染リスクと隣り合わせの中、身体的にも精神的にも厳しい状況で留守家庭児童会室の職員は職務を果たしてこられましたが、運営の責任体制等、さまざまな課題も包含しながらの運営であったと思われることから、「学校臨時休業中の児童の居場所の運営について」では、それぞれの段階における留守家庭児童会室の運営の実態、職員に対するケアについて確認しました。
第2波、第3波の到来を見据えた今後の留守家庭児童会室の運営の見通しについては、学校教育部長から、この間の取り組みにおける、学校との連携や職員の働き方などの検証結果も踏まえながら、子ども達にとってより望ましい体制のあり方を検討するとのお答えでした。
この間の緊急対応については、しっかりと検証していただき、さらに学校教育の現場と連携を図りながら、第2波、第3波の到来の見据え、どのような状況で、どこがどのような居場所を整備するのか等、緊急時の運営方法を整理するとともに、保育の必要な児童の受け皿である留守家庭児童会室の運営が崩壊しないよう、そこに働く職員が見通しを持って安心して勤務することができるよう、課題の共有や情報の伝達も含め、しっかりとコミュニケーションを図っていただくことを強く要望しました。
すべての児童の豊かな放課後をめざす市の取り組みには期待しますが、新型コロナウイルス感染症対策における小学校の臨時休業に伴う臨時的で緊急の「児童の居場所」事業と、教育委員会に事務委任され取り組まれている児童福祉法に規定される放課後児童健全育成事業である「留守家庭児童会室事業」は、その目的も機能も異なるものであるということを正しく認識した上で取り組みを進めていただきたいことを最後に意見しました。
新型コロナウイルスの影響で突然の小学校休校が始まった3月以降、医療従事者をはじめエッセンシャルワークを担う人たち支える社会インフラとして、報道などでも注目を集めた放課後児童クラブ。公設公営、公設民営、民設民営と自治体によって運営形態が様々で、小学校休校による影響も、地域によって違いがある。ただ共通するのは、従事者である放課後児童支援員の給与が生活できるギリギリか、それ以下だということ。そこに働く職員の声を聞いた特集です。ご覧ください。
➣放課後児童クラブのこと、知っていますか。~枝野幸男が聞いた処遇改善から置き去りにされた学童保育の実情
(※クリックするとリンク先に移動します)
以下、6月22日の一般質問のやりとりを掲載します。
5.学校臨時休業中の児童の居場所の運営について
Q.私の質問
まずは、3月2日以降、小学校の臨時休業期間に、留守家庭児童会室を朝8時から夜7時まで、全日の開室を決定した経過と理由について、伺う。
A.学校教育部長の回答
2月27日付け厚生労働省通知を受け、児童会室は、共働き家庭など留守家庭の小学校に就学している子どもを対象としており、特に小学校低学年の子どもは留守番をすることが困難な場合があると考えられ、学校と異なるものであることから、2月28日に開催された「枚方市新型コロナウイルス対策本部会議」において、市の方針として、留守家庭児童会室は臨時休校中も8時から19時まで開室することを決定したものである。
Q.私の質問
「ただいま」「おかえり」で始まる留守家庭児童会室は、保護者が就労等により不在となる児童の家庭に代わる毎日の「生活の場」として、児童福祉法に規定された放課後児童健全育成事業として設置されているもので、本市においてはすべての小学校の施設内に設置されている。
小学校が臨時休業となったこの間のそれぞれの段階における留守家庭児童会室入室児童の登室率及び昨年実績との比較、あわせて、これらの実績をどのように捉えられているのか、伺う。
A.学校教育部長の回答
まず、本年の3月2日から4月7日における児童会室への児童の登室率は60.6%、4月8日から17日は40.2%、「児童会室と臨時的な児童生徒の居場所」を共同実施した5月18日から27日は19.7%となっている。なお、「緊急的な居場所」を設けた4月20日から5月15日は、児童会室は休止している。
一方、昨年の平成31年3月から5月にかけての登室率は、約75%である。
本市では、子どもの安全を最優先に3密を防ぐ観点から、4月8日以降、家庭保育の協力をお願いするとともに、緊急事態宣言により仕事を休まれる方に対して、登室を控えていただくよう強く要請をさせていただいたので、市民の皆様にご理解ご協力をいただけた結果、昨年よりも低い登室率になったものと考えている。
Q.私の質問
緊急事態宣言の中、休業要請等に従って家庭での保育が可能となった保護者の協力もあり、児童の登室率は低くなったということであるが、3月2日(月曜日)以降、小学校の臨時休業中の留守家庭児童会室の開室時間は朝8時から夜7時までとなっている。ご答弁では、全日の開室は3日前の2月28日(金曜日)の「枚方市新型コロナウイルス対策本部会議」で決定したとのことである。
通常の留守家庭児童会室の勤務時間ではないこの間の緊急対応分については時間外勤務として対応したと聞いているが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う小学校の臨時休業に対応するため、留守家庭児童会室の職員がもともと想定していたこの期間の働き方は大きく変わっているわけである。子育てや介護を担っている職員もおられる。留守家庭児童会室の職員一人ひとりがどのような状況でこの緊急対応を受け止められたのかについて、思いを馳せていただかなければならないと思う。
そこで、職員の働き方がどれくらい変更となったのかを表す一つの指標として、3月から5月にかけて、各月の標準的な勤務時間と時間外勤務の状況について、伺う。
A.学校教育部長の回答
まず、児童会室職員の標準的な勤務時間であるが、概ね週31時間の勤務となっており、春季休業期は8時から19時までの開室で8時間勤務、春季休業期を除く通常時は学校終了後13時15分から19時までの開室で、早番は4時間45分、遅番は5時間45分のシフト勤務を基本としている。
コロナ対応時の開室時間は、8時から19時までを開室時間としている。
次に、時間外勤務の状況であるが、特に登室率が高かった3月が1人あたり53.9時間、4月は28.3時間、5月が35.8時間となっている。
Q.私の質問
週31時間の勤務を想定して働いている職員が、3月には1人あたり53.9時間の時間外勤務であったとのご答弁である。3月当初、11時間勤務が連続したとの声もあった。
児童に感染させてはいけない、感染してもいけないという感染リスクとも隣り合わせの緊張感の中、保育に従事してこられらた留守家庭児童会室の職員からは、体力的にも精神的にも厳しいとの声を多く聞いている。
今年度、45小学校の留守家庭児童会室に合計100班が設置され、本市の児童全体の約24%に相当する約5,000名の児童が入室しているとのことであるが、職員の配置は、サポート員も含め、326人に過ぎない。
市は、職員の過重労働解消やメンタルヘルス対策としてどういったことに取り組んだのか、伺う。
A.学校教育部長の回答
今般の前例のない学校の一斉臨時休業に際し、通常であっても年間を通じて業務量が多くなる年度末及び年度当初に、児童の安全を最優先としたきめ細やかな対応が求められ、児童会室職員の負担は例年と比べて大きくなった。こうした様々な課題に迅速かつ適切に対応するため、担当課配置職員も現場の状況を確認し、児童会室職員から意見を聞くなど、適切に対応してきた。
Q.私の質問
職員の疲弊・留守家庭児童会室の崩壊につながらないよう職員に対する適切なケアを行っていただきたくよう強くお願いしておく。
6月15日以降、学校における通常の教育活動が実施され、引き続き登室自粛の協力を要請しながら、留守家庭児童会室は通常時の開室時間での運営(13時15分から19時)となっているが、第2波、第3波の到来を見据えた今後の留守家庭児童会室の運営の見通しについての見解を伺う。
A.学校教育部長の回答
今後の留守家庭児童会室の運営については、この間の取り組みにおける、学校との連携や職員の働き方などの検証結果も踏まえながら、子ども達にとってより望ましい体制のあり方を検討していく。
O.私の意見
学校の臨時休業中の緊急対応については、目の間にいる保育の必要な子どもたちを支えるという使命感の支えもあり、職員は踏ん張ってこられたが、運営の責任体制等、さまざまな課題もはらみながら今日まできているわけである。この間の対応については、しっかりと検証していただき、今後はさらに学校教育の現場と連携を図りながら、第2波、第3波の到来の見据え、どのような状況で、どこがどのような居場所を整備するのか等、運営方法を整理するとともに、保育の必要な児童の受け皿である留守家庭児童会室の運営が崩壊しないよう、そこに働く職員が見通しを持って安心して勤務することができるよう、課題の共有や情報の伝達も含め、しっかりとコミュニケーションを図っていただくよう強くお願いをしておく。
「子ども達にとってより望ましい体制のあり方を検討する」とのご答弁であったが、くれぐれもご注意いただきたいのは、新型コロナウイルス感染症対策における小学校の臨時休業に伴う臨時的で緊急の「児童の居場所」事業と、教育委員会に事務委任され取り組まれている児童福祉法に規定される放課後児童健全育成事業である「留守家庭児童会室事業」は、その目的も機能も異なるものであるということである。すべての児童の豊かな放課後をめざす取組には期待するが、内容も体制もあいまいな全児童対象の放課後児童対策の名目で、「留守家庭児童会室事業」を事実上放棄するなどということは断じて許されない、と意見しておく。