「都市拠点における新たな交通軸、賑わい創出」をテーマに大津市&京阪バス(株)が実証実験を行うこととなった自動運転バスに乗車しました。2020年度、自動運転バス(中型)による実証実験は5か所で実施。
8月28日、大津市で、琵琶湖ホテルからびわ湖大津プリンスホテルまでの往復、中型自動運転バスに乗車しました。
この地域での中型自動運転バスの運行は、「都市拠点における新たな交通軸、賑わい創出」をテーマに大津市&京阪バス株式会社が行うことになった実証実験の一環です。当初、5月下旬から3か月間の運行を予定していたけれども、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、7月12日から9月27日(予定)に変更となったようです。
自動運転といっても、運転者は乗車しています。公道においては自動運転化レベルは最大で3の運用。公道ではハンドルに手を置いていかないといけないようです。
(中央がミリ波レーダ、側方がLIDAR)
(側方LIDAR)
今回の実証実験は、7月12日から自動運転を開始し、8月3日からは電車踏切(1か所)との連携を、8月24日からは信号(8か所)との連携を図っているとのことです。信号機のシステムを実験のために変更はできないので、信号機との連携は、左右の信号(相手側?)の歩道信号機に先読みするセンサーを付けている?というような説明がありました。
運転者が確認する画面と同じものが車内にも掲示されていましたが、信号や踏切の状態、車間距離、自己位置(GPS・磁気マーカ)、障害物、自動運転の状況など、走行中、表示を楽しませてもらいました。木立が並ぶ湖岸通りやホテルの大屋根の下はGPS感度が悪く位置把握できない。地面に磁気マーカを埋め込んでいるところもある。最高時速40キロでの走行、ハンドルが細かく動いてロータリーを回転、歩道に侵入する前の一旦停止など、自動運転で危なげなく対応。画面を見ていると、時々手動運転に切り替わるのですが、乗り心地からは判断できませんでした。「自動運転か手動運転かわからない」というのは誉め言葉であるとか。
(運転席)
(車内掲示)
(信号連携)
(湖岸通り。GPS受信不良)
(ホテルの大屋根の下。磁気マーカの連携)
(ホテルの大屋根の下に埋め込まれた磁気マーカ)
今回の実証実験で日本初が4つあり、信号連携、踏切連携の他、スマホでのチケット決済システムの導入(非接触型モバイル乗車券)。そして、乗り込みステップでの運動能力の測定とのこと。これは転倒リスクの研究に使えればと考えられているようです。
中型自動運転バスの実証実験について、経済産業省・国土交通省のホームページを検索しました。
経済産業省および国土交通省が共同で行う「高度な自動走行・MaaS(Mobility as a Service)等の社会実装に向けた研究開発・実証事業:専用空間における自動走行などを活用した端末交通システムの社会実装に向けた実証」を国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)が受託。自動運転におけるバスモデルを確立するため、多様な走行環境において実証を行うことを目的とした事業で、昨年度、中型自動運転バスを2台開発。中型自動運転バスの実証実験の前段として、2020年2月に、福岡県北九州市・苅田町地域にて、小型自動運転バスを用いたプレ実証が行われ、今年度、公募で選定された全国5地域で、バス運行事業者等が各地域において走行環境の整備等の準備を進め、順次実施してきているようです。自治体が参加しているのは大津市だけとのことでした。
大津市のホームページにおいてもしっかりと情報発信されています。(※画像をクリックすると大津市のホームページに移動します。)
自動運転バスの乗車を終えてから、琵琶湖ホテル内の会場で説明会がありました。
行政としては、高齢者など交通弱者の移動手段確保が大きな課題で、赤字路線であっても地域住民が必要とする路線の維持のため、自動運転バスの実用化に期待されているのではないかと思います。
今回の自動運転バスの実証実験について、実験したいから実験するのではなく、自動運転による地域交通課題への挑戦は、客を呼び込むビジネスモデルとして検証したい、と京阪バスの担当者。中型自動運転バスの実証実験とともに事業性を検証し、人口減少が進み、公道での自動運転実用化の可能性(制限)を考えると、自動運転のみではなく、さまざまな収益改善施策を早期に推進してくことが必要であるとして、最後はMaaSによる利用促進・付加価値についての報告がありました。
国土交通省の「日本版MaaS推進・支援事業の実証実験」に、大津市、京阪ホールディングス株式会社、京阪バス株式会社、日本ユニシス株式会社が応募し、昨年度に引き続き採択されたことが大津市のホームページに記載されています。
枚方の交通課題の解決においても、自動運転やMaaSの導入が有効となるものがあるかもしれません。そんな話が浮上してきたときにしっかりと対応できるよう、先行事例に学んでおきたいと思います。
採択されたMaaS推進・支援事業についても、大津市のホームページではしっかりと情報発信されています。(※画像をクリックすると大津市のホームページに移動します。)