行財政改革は、次代を見据えた「行政」の再構築と「市民自治」の推進を図るものであるべき。「次期行財政改革プラン(案)について」「まち・ひと・しごと創生総合戦略について」「第2次情報化基本計画(第3期)の策定について」の3案件の協議を行いました。(総務委員協議会の報告②)

2023/11/24

枚方市議会議員の奥野みかです。

11月24日に開催された総務委員協議会の報告②です。

(2)まち・ひと・しごと創生総合戦略について[企画課]
(3)次期行財政改革プラン(案)について[行革推進課]
(4)第2次情報化基本計画(第3期)の策定について[DX推進課]

上記、総合政策部の3案件について、報告します。

 


(2)まち・ひと・しごと創生総合戦略について[企画課]

◇第2期総合戦略(2020~2023)の総括評価

第2期総合戦略の取り組み目標は、4年間で子育て世帯(20 歳~44 歳の夫婦のみ及び夫婦子あり世帯)の転入超過を累計1,500 世帯とすること。「目指すべき将来像」を「市民が住み続けたい、市外の人が住みたいと思える魅力的なまち」として「政策指標」を設定し、「目指すべき将来像」を実現するための「3つの基本目標」と「基本的方向」を体系的に位置付け、目標達成や業績評価を測るための指標を設定。

各指標の達成状況等は、別紙「総括評価報告書」のとおり(以下、抜粋)。
※全体はこちら→「第5次枚方市総合計画 第2期実行計画 及び枚方市まち・ひと・しごと創生総合戦略(第2期)総括評価報告書
主観的成果指標の値は、2019年及び2023 年に実施した市民意識調査によるもの。評価については、主観的成果指標の推移を踏まえ、「①目標値を達成したもの」「②目標値には至らなかったが、策定時の値を上回っているもの」「③策定時の値を下回っているもの」の3段階で評価。→※7指標/11指標が「③」=策定時の値を下回っている。
重要業績評価指標(KPI)の推移については、全85 指標のうち43 指標(50.6%)が、策定時の値を上回っており、14 指標(16.5%)が目標値を達成。42 指標(49.4%)については、策定時の値を下回っている。→※71指標(83.5%)が目標値に届いていない。

【総括】

子育て世帯については、2020年以降、300世帯以上の転入超過が続いており、政策指標等の推移については課題があるものの、第2期総合戦略に基づく取り組みにより、一定の効果があったものと総括する。今回の総括評価に係る市民意識調査や施策評価の結果を踏まえ、目標達成につながる具体的な施策における課題を検証するとともに、次期総合戦略の策定に向けて、施策の改善や新たな施策の検
討を進める。また、施策の進捗管理のため、より適切な重要業績評価指標(KPI)の設定が必要となっている。

◇第3期総合戦略の骨子

地域ビジョン(目指すべき将来像)
第1期・第2期「市民が住み続けたい、市外の人が住みたいと思える魅力的なまち」

第3期「人口減少が進む中においても、持続可能な発展により誰もが幸せを実感できるまち」(第1期、第2期を包含)
「重要目標達成指標(KGI)」として、生活満足度(Well-being)、年少人口・生産年齢人口割合を設定。(→2月に報告)
「3つの基本目標」と「基本的方向」は第2期から継承。


枚方市の総人口は、2009(平成21) 年10 月の410,800 人をピークに減少傾向となり、2023(令和5)年5月1日時点では395,460 人となっている。今年度実施した人口推計では、10年後には2023年と比較して約19,900 人減の375,594 人、30 年後には約 89,000 人減の306,409 人となる見込み(参考①)。少子高齢化の傾向については、30 年後には、15 歳から64 歳までの生産年齢人口と65 歳以上の老年人口の割合がおおよそ1:1の状況となる見込み(参考②)。

奥野の意見

まち・ひと・しごと創生総合戦略の第3期の策定にあたっては、増加する外国人市民も踏まえた人口ビジョンを描いていただきたい。そして、多文化共生を含め、多様化する市民ニーズを踏まえた地域ビジョンに基づき、さまざまな施策の構築を行い、誰もが幸せを実感できる、持続可能なまちづくりとなるよう、お願いしたい。

(※以下、奥野の発言を掲載します。)

【奥野の質問】
「子育て世帯(20歳~44歳の夫婦のみ及び夫婦子あり世帯」の転入超過を累計1,500世帯を目標、と資料2ページにあるが、「子育て世帯」に「ひとり親の子あり世帯」は含まれていないのか。

【企画課長の回答】
第2期総合戦略の取り組み目標である、子育て世帯の転入超過の累計については、「ひとり親世帯数」を含めて計数している。目標数値の説明として、適切な表現になっておらず、誤解を招くものとなっている。大変申し訳ない。今後、転入超過の子育て世帯数を公表していく中で、対象世帯の区分を正しく表現させていただく。
また、第3期総合戦略をはじめ、指標や数値を掲載する場合には、その説明について、正確な表現となるよう、留意する。

【奥野の質問】
核家族世帯は、「夫婦のみの世帯」「夫婦子ありの世帯」「ひとり親の子あり世帯」の区分なので、「ひとり親の子あり世帯」は、転入超過を期待する「子育て世帯」の数に含まれていないのかと、実は、かなりドキッとしたところ。行政の資料なので、「子育て世帯」の説明は適切に行っていただくようお願いしておく。
この「子育て世帯」の内訳はわからないが、決算特別委員会での番匠議員質疑で明らかになったように、「13 年ぶりに692 人の転入超過」という昨年の社会増は、「日本人は121人の減少、外国人は813人の増加」という外国人の転入超過による影響であった。人口ビジョンを日本人だけに限定して考えるのはもはや現実にそぐわないことは明らかなので、外国人市民に対する支援、多文化共生、国際化施策の視点も、「総括」そして、次期戦略の中に含めていただきたいと意見しておく。
次に、その「総括」である。
11ページからの「総括評価報告書」において、「主観的成果指標」が前回より下回っていることについては、「ニーズの高まりがうかがえる」という評価もされているが、示された内容は、目標に届かないどころか、第2期総合戦略の策定時である2019年度の値をも下回っているものがほとんどであるという結果。3ページには、「政策指標等の推移については課題があるものの、一定の効果あったものと総括します。」とまとめられ、先の委員に「新型コロナ感染拡大の影響」「KPIの関連付けや見直し」が課題であるというお答えもあった。では、主観的成果指標の基礎資料とされている「市民意識調査」については、どのような課題認識を持っておられるのか、伺う。

【企画課長の回答】
政策指標や施策主観的成果指標の達成度合いを測る市民意識調査の結果については、これまで実施してきた結果を踏まえると、その時々の社会情勢や目に見えてわかりやすい施設整備の実績を反映していることが伺えるが、一方で、多様化する市民ニーズを的確に捉えた施策展開を図っていく必要があると考えている。
ニーズの把握という観点では、現行の市民意識調査の方法では、総合計画に掲げる全ての分野を対象に、「安心して妊娠・出産できる環境が整っている」など、施策目標に対する満足度を回答いただくものとなっている。
また、今年4月に実施の市民意識調査では、18歳以上の市民2,500人を無作為抽出している。2,500人のうち、18歳~29歳は約320人とその構成比は約13%となっており、回答者約970人のうち、18歳~29歳の回答者数は約70人、約7%と低い状況となっている。
これらの状況から、市民意識調査の課題としては、施策目標に紐づく、具体的な取り組みに対するニーズや満足度の把握、若い世代の意見を十分に聞いていく必要があると考えている。
なお、今年4月に実施の市民意識調査の若い世代の回答数を補うために、9月には、15歳~29歳を対象とし、ハガキにQRコードで案内する「若者アンケート調査」を追加実施し、約660件、約26%の回答を得たところである。

【奥野の意見】
無作為抽出での若年層の回答確保は他の調査においても課題であると思う。市民意識調査における今回の取り組み、「QRコードで案内する若者アンケートを追加実施、補完的調査」は参考にしていただければと思う。庁内にも披露いただきたい。
「KPI(重要業績成果指標)」の推移についても、全85指標のうち半分が策定時の値を下回り、8割が目標値を達成していないという状況なので、しっかりと「総括」いただき、次期戦略につなげていただきたい。
その次期戦略、「まち・ひと・しごと創生第3期総合戦略」について、今回の資料から「骨子」の詳細はよくわからない。7月に第1回、10月に第2回が開催されている「意見聴取会」の資料をHPで確認しようかと思ったが、案件に「骨子(案)」とある10月の資料はHPにまだアップされていないし、7月の「会議録」も逐語ではない。コンプライアンス推進課が確認されていると思うが、情報提供という観点から、ルールに則った「会議録」の内容を公表すべきであると、これは指摘しておく。

他の委員の質問

・国の補助金交付の条件になっているのか。
→2022年度に、地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)に係る地域再生計画として認定を受けている。
・骨子について、社会情勢は随分と変化しているが、第1期及び第2期の目標等の継続でよいのか。
→ デジタル田園都市国家構想を踏まえ、DX推進を打ち出している。
・「一定の効果」との評価。策定時の値をも下回っているものがほとんどであるという状況の説明について、「ニーズの高まりがうかがえる」との記載もあるが、市民の受け止め方も考慮して記載すべきではないか。
・意見聴取会について聞く。
→ 外部有識者も含め、委員10名で構成されている意見聴取会。

令和5年度_枚方市施策評価報告書(総合計画及び総合戦略の進捗管理)(2023年11月)

枚方市将来人口推計調査報告書(2023年11月)

 


(3)次期行財政改革プラン(案)について [行革推進課]

◇改革の目的と方向性

現行の「行財政改革プラン2020」が2023年度をもって計画期間の満了となることから、今後の社会経済情勢を見据えた行政改革の方向性を示すとともに、個々の改革課題を掲載する次期行政改革プランの策定に向けた取り組みを進めるもの。

行財政改革プランの実効性を高めるためには、個別改革課題それぞれについて目標を明確化したうえで的確に取り組みを進める必要があることから、次期プランでは、個別改革課題ごとに、現状の課題を解消していくのか、明確な課題はないもののさらなる改革を行うのかといった観点を明らかにする「改革の視点」を設定。

現行の行財政改革プラン2020では各個別改革課題の目標効果額が設定されているが、次期行財政改革プランでは目標効果額の設定に加え、「その他指標」として、収入や支出の観点ではなく、「窓口での待ち時間がどれだけ減少したか」など、市民の皆様の負担軽減や、職員の業務効率化を測る指標が設定されている。あわせて、行革プラン策定後においても、これまでと同様に、各課題の取り組み状況を当該年度中に把握し、次年度の取り組みにつなげるなど、的確に進捗管理を図っていく。


奥野の意見

行財政改革プランの実効性を高めるためには、個別改革課題それぞれについて目標を明確化したうえで的確に取り組みを進める必要があると。しかし、「目標の明確化」といっても、「目標効果額の設定」、お金だけではないと。経費節減や人を減らす、人件費の抑制だけではないとの説明である。ただ、加えて「その他指標」で設定するという「市民の負担軽減の指標」や「職員の業務効率化を測る指標」についても、あくまで、経費節減や人件費の抑制同様、効率性を向上させるための手段というか、ツールの一部であると思う。

行財政改革の目標は、次代を見据えた「行政」の再構築と「市民自治」の推進を図るものであるべき。
行うべき行政課題に対して、目標設定を行い、どのような取り組みをするのか、実際、どれだけの事務事業を行っているのかという「全体把握」、「可視化」が必要となる。行政サービスの質を向上させ、事務事業の効率性と効果を高め、公共の利益を最大化(市民福祉の最大化)するために、行財政改革に求められていることは、行っている事務事業の全体把握や可視化を徹底し、財政活動の透明性を高め、説明責任を果たす、果たせることであると考える。
大きな財政負担を伴う重要な政策課題が山積する現在、最も重要なことは、政策の優先順位を明確にし、税を「市民を支えるために賢く使う」ことができるようにするための仕組みづくりであると考えるが、今回、財政運営に対する基本的な考え方を所信表明で示さず、毎年度の予算編成で決めるなどといわれたのは、まったくもって論外、行財政改革というものを軽視していると指摘しておく。

他の委員の質問

・効果額のみならず、その他指標を設定するとのこと。
→経費削減効果のみならず、利便性の向上や職員の業務効率化を指標とする。
・経費削減をいうが、あらゆる分野で人材不足が進む中、人件費は投資対象となっている。思考の転換を。
・「個別改革課題シート」を完成させることが目的になってはいけない。
→プランはPDCAサイクルで確認し、毎年度末、アップデートする。
・別冊「具体的な取り組み 目標と実績」より、「基本方針2_行政サービス・行政資源を最適化する」の「11.水道料金・下水道使用料の福祉減免制度の見直し」、「17.希釈放流センターの今後のあり方検討(公衆便所の廃止に向けた検討について)」及び「19.公園利用者の利便性向上に向けた検討(自動販売機の設置について)」、「基本方針4_職員の働き方と職場を変える」の「2.生き生きと輝ける職場風土の醸成」、「基本方針5_民間活力の活用や協働を推進する」の「9.学校プールの民間施設の活用」について意見あり。
→福祉減免制度の見直しは、生活保護受給世帯には、重複支給になっていることから見直しを検討。公衆便所の廃止に向けた検討は、枚方公園駅の2か所。
・パブリックコメントや意見聴取の期間が重なると、生涯学習市民センター等、かなりの分量の資料が並ぶが、適切に管理されているのか疑問である。

※参考:「行財政改革プラン2020

行財政改革プラン2020(本編)Ver.2

行財政改革プラン2020(別冊)Ver.7 

 

 


(4)第2次情報化基本計画(第3期)の策定について[DX推進課]

◇情報化計画について


情報化計画は、国の情報化戦略等との整合を図っており、官民データ活用推進基本法の基本的施策(市町村関連)を本計画の取組みにも反映し、市の官民データ活用推進計画としても位置づけられている。また、自治体DX推進手順書に基づき、枚方市DX推進全体方針および枚方市DX推進計画としても位置づけられている。

「第2期」→「業務プロセス・システムの標準化・共同化(自治体クラウド等)の推進」
「第3期」→「業務システム標準化・共同化の実施」

国は「2025年度までに、ガバメントクラウドを活用した標準準拠システムへの移行を目指す」とシステムの標準化にかかる基本方針を示しており、本市として、業務システム標準化については、20業務15システムについて、国の定める標準準拠システムや国が整備するガバメントクラウドへの移行を行うための必要な検討を進めており、昨年度から今年度にかけては、各システムにおいて国の定める標準仕様と現行の業務システムとの仕様の比較分析を行っている。
なお、今後については、各事業者と具体化な導入スケジュールを調整した上で、比較分析の結果に基づき、市の独自業務など現行システムの機能で、標準仕様との差異があるものについての対応を具体化するなど、令和6年度から令和7年度にかけて、円滑なシステム導入にむけて取り組みを進めていくとのこと。

奥野の意見

業務システム標準化については、国の定める標準準拠システムや国が整備するガバメントクラウドへの移行を行うための必要な検討を進めており、各システムにおいて国の定める標準仕様と現行の業務システムとの仕様の比較分析を行っているとのことである。
「標準準拠システムの利用にあわせて、現行業務フローを見直すことや、これまでカスタマイズにより現行システムで運用してきた市独自施策が標準準拠システムでは運用できない可能性があるが、そのような場合でも、必要な施策については、運用の見直しや別システムでの対応を行っていく。」と、昨年12月の一般質問で答弁いただいている。標準仕様のシステムで対応できないため、本市の優れた独自施策の運用を見直すということがあっては、本末転倒である。「標準仕様との差異があるものについての対応を具体化する」とお答えいただいているが、本市の独自施策が後退することのなきよう、計画の中でも具体化しておいていただきたい。
業務システムのあり方は、新庁舎の建築・電気設備・通信設備の設計に大きな影響を与えるし、逆に、新庁舎整備を含む市域全域における自治体DXのあり方(スマートシティ)を決めなければ、業務システムのあり方の詳細を描くことも難しいのではないかと考える。どうぞ、スケジュールに遅れることなく行政内において的確で詳細な検討を進めるとともに、検討結果を、議会にも市民にも公開、説明し、きちんとした議論ができるようにしていただくことを要望しておく。

他の委員の質問

・スマートデバイスを活用した行政情報の発信と、デジタルデバイド対策の両立スマートデバイスとデジタルデバイド(情報格差)について。
→市民目線で誰一人取り残されない行政の推進を図る。
・枚方ならではの独自施策・制度がなくならないか。
→現在、各システムにおいて国の定める標準仕様と現行の業務システムとの仕様の比較分析を行う中で、確認している。
・業務システムの標準化並びにガバメントクラウドへの移行等の作業は、200~300人程度の人材を必要とすると思うが、DX推進課の職員は13人と聞く。これは、スピードを諦めるか、ハリボテ対応となるか、突貫作業でミスやむなしとするか、いずれかの選択しかない。また、新しい庁舎を構築するくらいの整備が求められると考える。

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