共創で期待する地域経済の活性化は、次につながる産業政策に。次代を見据えた「行政」の再構築と「市民自治」の推進を図る、真の行政改革をめざすプランの策定を。9月14日の2件です。(総務委員協議会の報告②)

2023/09/14

枚方市議会議員の奥野みかです。

9月14日に開催された総務委員協議会の報告②です。
(2)ひらかた万博共創事業創出補助制度の創設について[政策推進課]
(3)次期行政改革プランの策定について[行革推進課]
上記2案件について、報告します。

 


 

(2)ひらかた万博共創事業創出補助制度の創設について[政策推進課]

◇ひらかた万博共創事業創出補助制度

【補助対象】
ひらかた万博共創プラットフォーム参加登録事業者(2023年8月末時点で103団体)のうち2者以上の共創で生み出す新たな特産品や参加・体験型による観光コンテンツの開発、広報・販売促進に要する経費。市の地域資源を活用した持続可能なビジネス創出をめざす、新たな共創事業が補助対象。既存の特産品・観光コンテンツは対象外。

【補助経費種別】

【補助額】
最大300千円(補助経費種別に記載の費目総額の2分の1の額以内)
2023年度は9月補正に、1,500千円(300千円×5事業)を計上。
※2022年9月設置の「枚方市ひらかた万博推進基金」を財源。2022年度末 240万円→2023年度(現在)350万円

【その他】
実施期間は2025年度末まで。原則、1つの事業主体あたり、補助金採択事業は1件まで(当該年度中)。

奥野の意見

目的とする「地域経済の活性化」は、産業政策の基本です。自治体が担うべき産業政策は、「特別」なものにとどまるのではなく、そこに暮らす人々、その日常を支える各種の施策に関わる事業の活性化や安定、人材確保を図るものでなければならないと考えます。
今回の制度のような補助制度の実効性を考えるのであれば、ひらかた万博とともにふわーッと始めて、ふわーッと終わる場当たり的な仕組みではなく、さらなる地域経済の活性化に資する産業政策として、次につながる検討をお願いしたいと要望しました。

なお、当該補助金制度の構築にあたっては、時間的な制約もあり、外部に審査機関を設けること等はない、担当部署の決裁手続きでで決定するとのことでしたが、継続性(事業計画)、採算性、新規性、市のPRにつながるか等の「審査基準」を明示して決定していきたいとのことでした。スピード感が優先される中、行政としてのあたりまえの検討や審議がおざなりになっていることが懸念されますので、適切な手続きを踏んでいただきたいと考えています。

(※以下、奥野の発言を掲載します。)

【奥野の質問】
ひらかた万博共創プラットフォーム参加登録事業者は現在103事業者とのこと。
今回の補助対象を「ひらかた万博共創プラットフォーム参加登録事業者のうち2者以上の共創」とした理由について、伺う。

【政策推進課回答】
ひらかた万博の目的の一つが地域経済の活性化である。
共創によって、新たな特産品や観光コンテンツを創出し、持続可能なビジネスとして地域経済の活性化に繋げることが必要であるということで、2022年9月に設置したひらかた万博共創プラットフォームは、現在103団体の企業、大学、市民団体等で構成し、共創(多様な主体同士の連携で新たな価値を創る)に向けたアイデアを互いに出し合い、対話を進めている。
共創によるビジネスを始めるためにも、初動に係る費用を市が一定後押しする補助制度へのニーズは、共創プラットフォーム事業者へのアンケートで把握したので、今回の補助制度によって、共創プラットフォーム事業者間の対話やマッチングをさらに深め、共創の推進により様々なビジネス創出に繋げたいと考えている。
補助制度が活用できることが共創プラットフォームへの参加インセンティブにもなれば、参加事業者の増加、共創アイデアの多様化も期待できる。

【奥野の意見】
これは時限の制度であるが、行政改革の名のもとに、多くの補助制度を整理されてきたわけであるから、新たに補助制度を構築するのに、スピード感重視で、どこで審議するのかとか、審査基準とか、何を根拠に評価するのかとかが、どうぞおざなりにならないようお願いしておく。
また、プラットフォームに入っていただいても何もないので、事業者が参加するインセンティブ、メリットになればということなのかもしれないが、目的とされる「地域経済の活性化」は産業政策の基本かと思う。
産業政策というものが「非日常」の「特別」なものでとどまっては、宙に浮いた効果のないものになってしまう。そこに暮らす人々、その日常を支える各種の施策に関わる事業の活性化や安定、人材確保を図ることこそが自治体が担うべき産業政策であるわけである。ふわーッと終わってしまうことを回避するため、今回の制度を実施するのであれば、地域資源を生かしたブランドの開発や地域ビジネスの創出など、地域経済の活性化に資する産業政策として、次につながる検討を、とお願いしておく。

他の委員の質問

・「ひらかた万博共創事業創出補助金」よりも「地域経済活性化事業補助金」の方が適当ではないか。
・マッチングの方法について。
→2つ。①共創PT会議の場、②メールニュースによる情報提供。今後、登録する者はチャットツールを導入。場づくりに努める。
・当該補助制度の評価について。
→事業の継続性を確認する。概ね3年後に状況を提出してもらう予定。
・この機を特産品開発の後押しにしていただきたい。
・とっかかりはひらかた万博。実績を精査し、効果検証を行い、この後、ものづくり補助金として等、つながるものを。
・30万円で何ができるか。補助の意義について。
・「大阪・関西万博」終了後も取り組みを続けるのか。
→申請は2026年3月まで受け付ける予定。

※参考:ひらかた万博共創プラットフォーム

 


 

(3)次期行政改革プランの策定について [行革推進課]

◇改革の目的と方向性

現行の「行財政改革プラン2020」が2023年度をもって計画期間の満了となることから、今後の社会経済情勢を見据えた行政改革の方向性を示すとともに、個々の改革課題を掲載する次期行政改革プランの策定に向けた取り組みを進めるもの。

◇現行プランからの見直し点

・「個別改革課題を設定する視点」(改革の視点)を追加

・効果額(金額)のみならず、効率化や負担軽減の効果等についても把握
・設定する個別改革課題が各部の個別計画にも掲載されている場合は、課題設定時に「〇〇計画に記載あり」と示す

奥野の意見

(※以下、奥野の発言を掲載します。)

お金だけではない。行財政改革というのは、経費節減や人件費の抑制を「目的」とするものではない。経費節減や人件費の抑制は、効率性を向上させるための手段の一部であるべきで、市は、公共の利益を最大化し、市民の幸福を追求するために効果的な行政改革を行う必要がある。
「行財政改革プラン2020」については、廃止された「このまちに住みたい基金」等という仕組みもあったが、行財政改革で求められているのは、単なる「効果額(金額)の見える化」ではないし、経費節減や人件費の抑制は、効率性を向上させるための手段の一部であり、それ自体が「最終的な目標」では決してないわけである。行政サービスの質を向上させ、施策というか、事務事業の効率性と効果を高め、公共の利益を最大化(市民福祉の最大)するために、行財政改革に求められていることは、行っている事務事業とか、財政活動の透明性を高め、説明責任を果たす、果たせることであると思う。
行うべき行政課題に対して、目標設定を行い、どのような取り組みをするのか、実際、どれだけの事務事業を行っているのかという「全体把握」、「可視化」が必要。これが行財政改革で求められている「見える化」である。

「見える化」により、市民や利害関係者は、行政の施策とか財政活動を理解し、監視することが容易になる。透明性の向上は腐敗の予防にも寄与する、ということだと思う。

行政改革の目的として、「枚方市の『魅力』の向上をめざし、次代を見据えた『行政』の再構築と『市民自治』の推進を図る」とあり、方向性として、「基本方針」とか、「スピード感」とか、「行政改革効果の見える化」とあるが、どうぞ、行政の透明性を高め、説明責任を果たせる取り組みを目指していただけますよう、お願しておく。

他の委員の質問

・個別改革課題を設置する視点(さらなる改革/課題あり/課題なし)が記載されているが、誰がどのように設定するのか。誰の視点で設定するのかが課題。
→行革推進課。担当部署とのヒアリングによる。
・12月に「次期行政改革プラン(案)」のパブリックコメントを予定されている。「次期行政改革プラン(案)」の膨大な内容を設置場所で確認するのは困難。市民とともに考えていくという姿勢であれば、データを掲載予定であるHPでの確認が困難な市民向け、持ち帰り用の紙資料を用意していただきたい。市民生活に必要なことの決定にあたり、市民参加の確保を。

※参考:「行財政改革プラン2020

行財政改革プラン2020(本編)Ver.2

行財政改革プラン2020(別冊)Ver.7 

※参考:この街に住みたい基金について

※抜粋
(参考)この街に住みたい基金について、奥野の意見
基金設置時に、市は、目的は「行財政改革による効果額、また、その使途について、見える化を図る観点から創設」であると。そして、使途は「総合計画を実現するために実施する新規・拡充事業、ICTの導入など行政改革の推進のための取り組み、その他、市民サービスの向上に資する施策に活用していく」と回答されました。一般財源的に市長がいつでもその財布を開けて自由に使えるという趣旨のものでは決してない、予算編成過程などにおいて議会の意見等を十分に踏まえながら適切な運用に努める、とも説明されてきましたが、財政運営上の無理もあり、特定目的基金としてのこれ以上の継続は困難、との判断であると理解しているところです。

振り返れば、基金設置のため、枚方市基金条例の一部改正議案が提出された2020年3月の定例月議会以降、「特定目的基金」としての役割を果たし得ない「この街に住みたい基金」について、私の方からも多くの意見・要望を発してきましたので、今回の廃止にあたって反対はしませんが、そもそも何を「目的」として設置したものなのか、その目的達成のためにどのような対案を検討するのか、「行財政改革プラン2020」の骨子に位置付けて運用を図ってきている現状等、しっかりと検証いただきたいと思います。そして、基金設置により、「行財政改革の効果額」の積立のみならず、市民からの「指定寄附金」としても収受してきたわけですから、基金廃止に係る説明責任を市民に対して果たすようにと願います。

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