学校教育における安全・安心対策は、授業・放課後・部活・各種学校行事など、トータルでの取り組みが確立されているのか。まずは、学校施設の安全・安心な教育環境について、熱暑災害にどのように取り組んでいるのか、質問しました。9月定例月議会、一般質問の報告①です。

2024/09/17

枚方市議会議員の奥野みかです。

私は、自治体行政が果たすべき基本的な役割は、地域住民が安全、安心に暮らせるようにすることだと考えています。

今回の一般質問では、いまなお、災害級の厳しい暑さが続いていますが、熱中症対策をはじめ、学校に通う子どもたちが直面している安全面での課題や、引き続き、大規模災害への備えが求められるいま、枚方市駅周辺における防災対策の取り組みなどについて、さらに、多くの人が集まることになる防災機能も備えた「みどりの大空間」という屋外公共施設における受動喫煙対策について、市はどのように取り組もうとしているのかなどについて、順次、質していきました。

質問項目は以下の4項目です。

1.学校教育における安全・安心の確保について
(1)学校施設の安全・安心な教育環境について
(2)児童の豊かな放課後対策における環境整備について
(3)学校水泳授業における安全管理について
2.市駅周辺における防災対策の推進について 

 


 

最初に、「1.学校教育における安全・安心の確保について」「(1)学校施設の安全・安心な教育環境についての報告です。

近年の地球温暖化の影響により、日本の平均気温は上昇を続けており、今年も気温35℃以上の猛暑日が全国各地で観測されています。今年の夏も本当に暑く、本市においても、連日、熱中症警戒アラートが発表されるなど、熱中症リスクの高まりが続いています。熱中症被害で気になるのは高齢者もさることながら、乳幼児・児童・生徒など子どもたちです。
いまの酷暑は 「災害級」ではなく「熱暑災害」そのものです。学校における安全対策が、授業・放課後・部活・行事など、トータルでしっかりとした対策が確立されているのかについても確認が必要です。小中学校の教育現場においても、児童、生徒や教職員等の熱中症の防止に向けた施設整備を進めていく必要があると考えます。
そして、子どもたちが長時間過ごす教室の、特に、閉め切った夏や冬の空気等の環境状況の把握についても、空気環境測定等が義務付けられているのか、実態把握と対策の具体化は必須であると考えます。
さらに、現在の学校の劣悪な環境を改善するためには、断熱改修と換気設備の設置が急務であり、天井と壁の断熱や内窓の設置、窓の日射遮蔽などを行うことによって、夏だけでなく冬も快適な学習環境を整備することができるようになる、教室自体の断熱改修が必要という専門家の指摘もあります。(※【参考】参照
小中学校教室等空調設備更新DBO事業」も始まりますし、「枚方市学校整備計画(第2期実施計画)」の策定も予定されている中です。まずは、学校施設の安全、安心な教育環境の整備について、順次、質問しました。

 


 

以下、9月17日の一般質問でのやりとりを掲載します。

1.学校教育における安全・安心の確保について
(1)学校施設の安全・安心な教育環境について

Q.私の質問

熱中症警戒アラートがほぼ毎日のように発表されるなか、学校教育の現場において、熱中症リスクに対応する施設整備は必須である。
そこで、現在、入札手続きが進められている小中学校の教室等の空調設備の一斉更新事業について、伺う。
屋上や外壁への太陽の日射の影響で、特に夏場の熱い時期においては、最上階の教室や角部屋の教室はかなり高温となり、適切な温度を確保することが難しいと思うが、更新する設備の冷暖房機能、また、更新後の性能について、どのように管理されるのか、伺う。

A.都市整備部長の答弁

冷暖房機能については、本事業では、最上階の教室や角地の教室など、各教室の設置状況を考慮した冷暖房機能を満たすため、それぞれの教室について、熱負荷計算に基づき、冷房時28℃以下、暖房時18℃以上とすることを要求水準書に規定し、事業者に求めることを必須条件としている。
設備更新後の性能管理については、毎年度のモニタリング調査により、機器別の室内温度、運転時間、電気エネルギー使用料など、性能基準の確認を行い、要求水準が未達成の場合は、その都度、事業者に対し、是正措置を求めていくこととしている。

Q.私の質問

「要求水準が未達成の場合は、事業者に対し、是正措置を求めていくこととする。」とのご答弁である。しかし、猛暑が続く中、「冷房時28℃以下」という要求水準は、相当、厳しいのではないか。
適正なモニタリングにより、性能基準を満たしていないことが判明した場合に、市はどのような是正措置を求めることになるのか、具体的な内容について、伺う。

A.都市整備部長の答弁

モニタリング等により、空調設備の性能基準を満たしていない場合の対応としては、児童、生徒の教育環境に大きな影響を与えることから、要求水準が未達成となった原因の調査を指示した上で、性能基準を満たすよう是正勧告を行い、速やかな改善対応を求めることとしている。

Q.私の質問

省エネ効果や適温を保つために窓を閉め切るなか、必要な換気ができているのか、また、二酸化炭素濃度など、教室内の衛生管理はどのように行っているのか等、教室等の換気機能について、空調設備更新DBO事業での取り扱いとあわせて伺う。

A.都市整備部長の答弁

教室等の換気機能については、主に2008(平成20)年度にPFI事業により一斉に設置した空調機器を対象に、今回、教室等空調設備更新DBO事業として実施するもので、そのPFI事業においては、窓を開けず閉めたままで換気が可能となる全熱交換機一体型の空調設備を設置しており、今回実施する事業においても同様に、必要換気量を確保する全熱交換機を設置することとしている。
また、教室内の衛生管理については、学校環境衛生基準に基づき、換気や温度、湿度等の定期検査を年2回実施しており、空調設備更新後においても、引き続き定期検査を実施することとしている。

O.私の意見

ご答弁で、「要求水準が未達成の場合は、適合に向けた是正勧告を行い、事業者に厳しく改善対応を求められる」とのことであるが、この猛暑災害ともいえる状況のもと、教室の環境によっては達成が困難な場合があるのではないか。また、エネルギー消費を著しく拡大させることにもなりかねない。教室自体の断熱改修が必要との指摘をされている専門家もおられるので、そうしたアプローチ、取り組みも必要ではないかと意見しておく。

 


【参考】

▶ 当たり前な学習環境を実現するためには学校の断熱改修が急務だ【セーブアース 第23回_2024年8月17日/ゲスト:前真之氏(東京大学大学院工学系研究科准教授)】

現在の学校の劣悪な環境を改善するためには、断熱改修と換気設備の設置が急務であると前氏は言う。まず、天井と壁の断熱や内窓の設置、窓の日射遮蔽などを行うことによって、夏だけでなく冬も快適な学習環境を整備することができるようになる。また、学校はオフィスや住宅と比べて大勢の生徒が一定の空間に密集するという特徴があるため、大量の換気をする必要がある。冷暖房の効率と必要な換気量の確保を両立するためには、デマンド換気や熱交換換気の導入が求められる。

 

 第3次学校安全の推進に関する計画(概要)

2022(令和4)年3月25日に閣議決定された「第3次学校安全の推進に関する計画」においては、近年、学校施設の老朽化に起因する安全面の不具合が増加し、事故が断続的に発生していること等を背景に、学校設置者による点検・対策の強化が求められています。

 

▶ 学校施設における維持管理の徹底等による安全確保について(文部科学省)(2024年4月15日

学校環境衛生管理マニュアル 平成30年度改訂版

▶ 新しい時代の学びを支える安全・安心な教育環境の実現(2023年度の取り組み/都市整備部)

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