女性参政権行使75周年記念「増やそう、女性議員! つなげよう、女性のチカラ!」~オンラインで開催されたトークフェスに参加しました。
枚方市議会議員の奥野みかです。
4月10日は、日本で女性が初めて参政権を行使した日。ちょうど75年前の1946(昭和21)年4月10日、戦後初めての衆議院議員総選挙が行われ、当時、約1,380万人の女性が初めて投票し、39名の女性国会議員が誕生しました。
メモリアルな4月10日、パリテ・キャンペーン実行委員会が、ウィメンズネットワーク・アクション(WAN)と共催で開催したオンラインイベント「女性参政権行使75周年記念 オンライン・トークフェス 増やそう、女性議員! つなげよう、女性のチカラ!」に参加しました。
とても好評で、オンライン参加の定員(500名)を超えたようですが、参加できなかった方、すべて視聴できなかった方、後日、当日の録画映像の配信をしていただけるようですよ。
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女性をつなぐ総合情報サイト「ウィメンズ アクション ネットワーク(WAN)
女性参政権行使75周年記念 オンライン・トークフェス「増やそう、女性議員! つなげよう、女性のチカラ!」
世界各国の議員たちでつくるIPU=列国議会同盟によると(2020年7月)、世界の女性議員比率について、世界平均は、下院または一院制議会で25.0%、上院では24.8%と、まだまだ政治分野での男女格差はあるものの、徐々に改善されています。その中で、日本の状況はさらに厳しく、日本の衆議院の女性議員比率は9.9%(2020年6月)で、世界190か国のうち163位、参議院の女性議員比率は22.9%(2020年7月)となっています。
冒頭、ウィメンズアクション・ネットワーク(WAN)理事長の上野千鶴子さんが、「女性に関わる課題が山積する中で私たちの力で政治を変える一歩にしたい。」と挨拶をされ、パリテ・キャンペーン実行委員会代表の三浦まりさんから、「1946年に戦後初めて女性が参政権を行使した日である4月10日を記念して、2016年からイベントを企画実施してきたが、75周年という節目の今年、WANと共催で記念イベントを企画した。日本のジェンダー・ギャップ解消をめざし、たくさんのゲストをお招きしたので、半日、学んでいただきたい。」と趣旨説明があり、セッションが始まりました。予定終了時間の17時を超え、第6セッションまで休憩もなく、17時30分過ぎまでみっちりと、皆さんの取り組みの紹介、問題提起や熱い訴えが続きました。
第2セッションでは、現役の国会議員からは、アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み、偏見)のなか、女性が議員になるのには5つの「障壁」がある、すなわち、①志を立てるカバ、②候補者になるカベ、③選挙のカベ、④両立(育児・介護等)のカベ、⑤継続のカベで、候補者になること自体にさまざまな「障壁」があることといったことや、「24時間、働けますか」とこれまでの男性議員モデルの活動を求められること、また、当選した後の環境整備も必要であるといった意見、議員を続けながら妊娠・出産・育児をすることの難しい現状などを訴える声がありました。
「どうすれば女性議員が増えるか、増やせるか」については、「女性議員の数だけではなく、育てることまで」といった意見、「パーソナル is ポリティカル、個人的なことは政治的なこと。#Me Too、#Ku Too等、みんなが思っていることは政治につながることであると思えることをたくさんつくることが大切」「政治モデルを変える、永田町の現状をさらす」「リスクをとれる人しか政治家になれないというモデルからの脱却」「多様性の排除となる選挙制度(小選挙区制)の見直し」「議員活動と家庭生活の両立を支える制度構築(産休・育休等)」の意見が出され、「政治家になることがリスクではなく希望であるように」との訴えもありました。「ママパパ議連」等ができているといった新しい流れの話もありました。
やりとりの中にあった「障壁」については、内閣府の男女共同参画局のウェブサイトに「令和2年度 女性の政治参画への障壁等に関する調査研究(令和3年3月)報告書」「同概要版」が掲載されています。男女の候補者の数ができる限り均等になることをめざすことを基本原則とする「候補者男女均等法(政治分野における男女共同参画の推進に関する法律。パリテ法)」制定時の参議院内閣委員会付帯決議において、内閣府は女性の政治参画への障壁等に関する実態調査等を行うことととされていますので、法に基づく調査、ということですね。
この調査に対して、パリテ・キャンペーン実行委員会代表の三浦まりさんのコメントが朝日新聞の記事「女性の政治活動を阻む『壁』は? 内閣府の地方議員調査」に掲載されていましたので、記事をリンクしておきます。
【三浦まりさんのコメント(※抜粋)】
上智大学の三浦まり教授(政治学)は「女性に対するハラスメントは女性の政治参画を妨げる効果を持つ。それが立候補につながらない理由になる。問題を可視化した意義はある」と指摘。そのうえで「男女が持つ『政治は男性のもの』という意識が、女性の政治に対する自信を失わせている。議会は社会の規範を作るので、自らそうした規範を構築していくべきだ」と語る。
第4セッションでも、「候補者男女均等法(パリテ法)」の改正やクオータ制について、たくさんの意見がありましたが、「ガラスの天井(見えない天井)というが、日本では見える天井である。男性が「ガラスのゲタ(見えないゲタ)」を履いていることに気づくことが必要。既得格差を打ち破らなければならない」「日本のジェンダーギャップは、政治分野がさらに押し下げている。環境整備も人材育成も必要」「企業の役員比率(現在6%)を30%にという動き(30%クラブ・ジャパン)もある。経団連も目標を掲げている。経営者・機関投資家の中でもジェンダー平等を重視する機運は高まっている」「総選挙の争点に数値目標の入れていただきたい」といった意見が出て、いま、流れが来ているので、法改正についても、粘り強く実効性のある行動をと最後にまとめられました。
このセッションで、稲田朋美衆議院議員が「ガラスのゲタ」の話をされたことは印象的でした。自民党内の議員連盟「女性議員飛躍の会」では、「女性議員が永田町の壁を砕く」なんて本も出されていますね。
第5セッションは、女性たちの声を受け止める女性議員は絶対に必要であるという、女性関連政策の各ロビー団体からの訴えでした。第一次夫婦別姓訴訟弁護団事務局長で参議院議員の打越さく良さん、全国女性シェルターネット代表理の北仲千里さん、性暴力禁止法をつくろうネットワーク代表の周藤由美子さん、Spring代表理の山本潤さん、女性差別撤廃条約実現アクション【OP-CEDAWアクション】の柚木康子さんの報告でした。
第6セッションは、声を上げられなかった女性たち、そんな女性の声を聞き取ろうとしてきた女性たちの声を聞くセッションでした。何者でもない一個人が声をあげること。教科書に載らなかった事件があり、語られなかったことばがあり、呼ばれなかった名前がある。「エトセトラや等々」と多様であるがゆえにくくられてきた女性たちの声。記録に残さないとなかったことにされてしまう。時代を超えて、地域を超えて、女性たちの声をつなぐ。そんなさまざまな活動の報告がありました。
最後に「わたし達が動かなければ、政治が変わることはない。社会で高まるジェンダー平等の流れを私たちが一層推し進め、ケア領域における性差別の解消を推進し、平和の実現に受けて努力を重ねよう。女性たちの声を受け止める女性議員を倍増させるために、わたしたちはそれぞれの持ち場で、できることをすべて行動に移す。男女の完全な平等が実現された公平な社会を築くために、一歩ずつ前へ進んでいく。」という「パリテ宣言2021」が読み上げられました。
■ 女性参政権行使75周年記念 オンライン・トークフェス
「増やそう、女性議員! つなげよう、女性のチカラ!」 プログラム
総合司会 元橋利恵(パリテ・キャンペーン実行委員会)
13:30-14:00
開会の挨拶 上野千鶴子(ウィメンズアクション・ネットワーク理事長)
趣旨説明 三浦まり(パリテ・キャンペーン実行委員会代表)
セッション1 政党からの祝賀メッセージ
各党党首・幹事長と女性議員からの祝賀ビデオ・メッセージを放映します
14:00-15:00 セッション2
土曜討論 女性議員と語る「どうやって女性を増やすか?」
司会:安藤優子(キャスター)
伊藤孝恵(国民民主党)、尾辻かな子(立憲民主党)、木村弥生(自民党)、佐々木さやか(公明党)、吉良よし子(共産党)、永野裕子(豊島区議)ほか
15:00-15:30 セッション3
「各党幹事長への署名キャンペーン:どこの政党が本気だった?」
司会:町田彩夏(パリテ・アカデミー中級トレーナー)
天野妙(みらい子育て全国ネットワーク代表)、井田菜穂(選択的夫婦別姓・全国陳情アクション代表)、大橋ゆうり(パリテ・キャンペーン実行委員会)、蛭田ヤマダ理紗(Voice Up Japan)、増田薫(フェミニスト議員連盟)、山崎まや(クオータ制を推進する会)
15:30-16:00 セッション4
クオータはなぜ必要か?候補者男女均等法の改正を目指して
司会:三浦まり(上智大学)
稲田朋美(衆議院議員、女性議員飛躍の会)、中川正春(衆議院議員、政治分野における女性の参画と活躍推進議連・会長)、土屋品子(衆議院議員、同議連・幹事長)、矢田わか子(参議院議員、同議連・事務局長)、中野洋昌(参議院議員、同議連役員)、只松美智子(デロイトトーマツコンサルティング Gender Strategy Leader, 30%クラブ・ジャパン創立者)
16:00-16:30 セッション5
女性関連政策ロビー団体「やはり女性議員が必要!」
司会:西川有理子(パリテ・アカデミー事務局長)
ゲスト:打越さく良(第一次夫婦別姓訴訟弁護団事務局長、参議院議員)、北仲千里(全国女性シェルターネット代表理事)、周藤由美子(性暴力禁止法をつくろうネットワーク代表)、山本潤(Spring代表理事)、柚木康子(女性差別撤廃条約実現アクション共同代表)
16:30-17:00 セッション6
女性の声をつなぐ
司会:岡野八代(同志社大学、WAN理事)
北原みのり(Love Piece Club代表)、福田和香子(学生アクティビスト)、松尾亜紀子(エトセトラブックス代表)、リボアルなみの(ミモザプロジェクト)、柳原恵(WANミニコミ図書館)、河野和代(徳島フェミニストカウンシル)・東條恭子(徳島県議)
パリテ宣言 2021
◆政治分野における男女共同参画の推進に関する法律 リーフレット(2020年7月作成)
◆都道府県別全国女性の参画マップ(2020年12月作成)【地方議会編】