子宮頸がんとHPVワクチンについてに質問しました。6月定例月議会、一般質問の報告⑤です。
枚方市議会議員の奥野みかです。
ここでは、「5.子宮頸がんとHPVワクチンについて」の報告です。
2019年度、子宮頸がんの受診率は15.7%で、全国1737市区町村のうち、878市区町村の受診率が10%台であると報告されています。(←厚生労働省「令和元年度_地域保健・健康増進事業報告」)
本市においても、子宮頸がん検診の受診率は低調です。2020年度の子宮頸がん検診の受診者数は14,330人で、受診率は13.4%で、年齢別の受診者数は、20代が2,191人、30代が2,957人、40代が3,971人、50代が2,560人、60代が1,370人、70代以上が1,281人との説明を受けました。受診勧奨に向けた取り組みとしては、20歳、25歳、30歳、35歳、40歳の方に子宮頸がん検診の無料クーポンを配付しているのに加え、無料クーポン配付後2年を経過した22歳、27歳、32歳、37歳、42歳の方に受診勧奨はがきを送付し、2年に1回の受診勧奨(個別送付)を行い、若年層からの子宮頸がん検診の定着化に努めているとのことでした。
近年、20代や30代の若年層で子宮頸がんは増加傾向にあるとのことです。子宮頸がんは、子宮の入り口である子宮頸部の表面の細胞にがんができる病気で、進行するまでは自覚症状はほとんどありません。子宮頸がんを早期発見するためにも、1年度に1回、がん検診の受診を勧められています。
(※以下は、厚生労働省リーフレット「詳細版」より抜粋)
WHOは、子宮頸がんの予防戦略を次のように示しています。
▶ 「全世界的な公衆衛生上の問題:子宮頸がんの排除」
(※クリックするとPDFファイルが開きます。以下は資料からの抜粋です。)
子宮頸がんの根本的な原因となるHPV感染そのものをワクチンによってブロックしてがんにならないようにすること(1次予防)と、検診によるスクリーニングで高度前がん病変と早期のがんを発見して治療し、結果的に浸潤がんを減らし、がんによる死亡を予防すること(2次予防)の両者の併用による予防の重要性が世界的に認識され、検診とワクチン接種を組み合わせることにより、それぞれの欠点を相互に補填しあうことで、より効果的な子宮頸がんの予防を目指すことが世界の流れとなっていますが、残念ながら、日本は、どちらの点でも立ち遅れているのが現状であると言われています。
現在、HPVワクチンは「定期接種」に位置付けられていますが、積極的な接種勧奨は行われていません。子宮頸がんの「1次予防」がそのような状況であることも踏まえ、「2次予防」としての子宮頸がん検診について、若年層からの定着化に努めていただくことを強く要望しました。
HPVワクチン接種(子宮頸がん予防ワクチン)については、昨年11月、高校1年生のお子さんを持つ保護者の方からのご相談を受けたことから、確認させていただきました。2021年3月までの接種スケジュールが参考に示され、「子宮頸がん予防ワクチン定期接種について」の文書を受け取ったが、どう判断すればよいのだろうかというご相談でした。厚生労働省のリーフレットも同封されており、そこには、HPVワクチンの効果やリスクも記載されているが、「接種をおすすめするお知らせをお送りするのではなく、希望される方が接種を受けられるよう、みなさまに情報をお届けしています。」とあり、悩んでいるとのことでした。
HPVワクチン接種は、予防接種法に基づく「定期接種」に位置付けられているけれども、その対象期間を超えると、接種は有料となることや、接種被害があった場合の取り扱いが変わること等をお伝えしましたが、HPVワクチンの効果やリスクを踏まえて接種の判断していただかないといけないので、わからないことがあれば市にご相談くださいお伝えしました。
この内容について、担当課に確認すると、2020年10月、厚生労働省から発出された「ヒトパピローマウイルス感染症に係る定期接種の対象者等への周知に関する具体的な対応等について」という文書に基づき、2020年は高校1年生相当の未接種者に個別送付による情報提供を行い、2021年度も定期接種の対象者及びその保護者に、HPVワクチンが公費によって接種できるワクチンの一つであることについて知っていただくとともに、接種について検討・判断するためのワクチンに関する情報(厚生労働省リーフレット)や、接種を希望した場合に必要な情報を届けることを目的に、定期予防接種の対象年齢である小学校6年生から高校1年生相当の未接種者に個別送付による情報提供を順次行っているとの説明を受けました。
HPVワクチン接種については、国の通知内容に基づき、定期予防接種の対象年齢の未接種者に個別送付による情報提供を順次行っているとのことですが、通知を受け取った若い人たちが困惑することのないよう、HPVワクチンの接種について検討・判断できる情報をわかりやすく伝えていただくよう、また、定期接種の対象年齢を超えると自費接種・任意接種になること等、「定期接種」の意味も周知いただくよう、一般質問の際にあわせて要望しました。
また、知人には、接種による被害ではないかと長く悩んでおられる方もおられます。実際、症状に苦しむ人の中には、副反応の症状や健康被害を理解してもらえないことに傷ついている方もおられます。HPVワクチン接種の積極的勧奨を控えている背景には、接種後の多様な副反応や健康被害があることにも起因していると思います。接種被害の方への対応については、救済制度だけでなく、どうぞ、その方の苦痛に寄り添った丁寧な対応や診療を、と要望させていただきました。
以下、6月22日の一般質問のやりとりを掲載します。
5.子宮頸がんとHPVワクチンについて
Q.私の質問
子宮頸がん検診の状況と受診勧奨に向けた取り組みについて、伺う。
A.健康福祉部長の答弁
令和2年度の子宮頸がん検診の受診者数は14,330人で、受診率は13.4%である。
受診勧奨に向けた取り組みとしては、20歳、25歳、30歳、35歳、40歳の方に子宮頸がん検診の無料クーポンを配付しているのに加え、無料クーポン配付2年後の受診勧奨はがきの個別送付により、若年層からの子宮がん検診の定着化に努めている。
O.私の意見
子宮頸がんについては、HPV感染そのものをワクチンによってブロックしてがんにならないようにする「1次予防」と、検診によるスクリーニングで治療を促し、がんによる死亡を予防する「2次予防」の併用による予防の重要性が世界的に認識されている。しかし、残念ながら日本では、どちらの点でも立ち遅れているのが現状だと言われている。
HPVワクチン接種については、国の通知内容に基づき、定期予防接種の対象年齢である小学校6年生から高校1年生相当の未接種者に個別送付による情報提供を順次行っているとのことだが、通知を受け取った若い人たちが困惑することのないよう、HPVワクチンの接種について検討・判断できる情報をわかりやすく伝えていただくようお願いしておく。あわせて、定期接種の対象年齢を超えると自費接種・任意接種になること等、「定期接種」の意味も周知いただくようお願いしておく。
また、HPVワクチン接種の積極的勧奨を控えている背景には、接種後の多様な副反応や健康被害があるとお聞きしている。実際、症状に苦しむ人の中には、副反応の症状や健康被害を理解してもらえないことに傷ついている方もいらっしゃる。健康被害の対応については、救済制度だけでなく、その方の苦痛に寄り添った丁寧な対応や診療を要望しておく。
そして、「1次予防」がそのような状況であることも踏まえ、「2次予防」としての子宮頸がん検診について、若年層からの定着化に努めていただくことを強く要望しておく。
(厚生労働省リーフレット「詳細版」「概要版」)
▶ ヒトパピローマウイルス感染症について ~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、性経験のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスです。子宮頸がんを始め、肛門がん、膣がんなどのがんや尖圭コンジローマ等多くの病気の発生に関わっています。特に、近年若い女性の子宮頸がん罹患が増えています。
HPV感染症を防ぐワクチン(HPVワクチン)は、小学校6年~高校1年相当の女子を対象に、定期接種が行われています。
▶ 子宮頸がん予防ワクチン接種状況について(枚方市)
・2010(平成22)年度 2,545人 2011(平成23)年2月から接種費用全額助成(任意接種)
・2011(平成23)年度 14,303人 9月に2価ワクチンに加え、4価ワクチンも対象となる。
・2012(平成24)年度 8,307人
・2013(平成25)年度 10,178人 4月、定期接種となる。6月、厚生労働省勧告により積極的勧奨を差し控える。
・2014(平成26)年度 10,059人
・2015(平成27)年度 9,827人
・2016(平成28)年度 29人
・2017(平成29)年度 58人
・2018(平成30)年度 67人
・2019(令和元)年度 175人
・2020(令和2)年度 1,258人 10月9日、厚生労働省からの定期接種対象者への周知に関する文書を受け、10月末日に高校1年生相当(女子)の接種対象者(未接種者)に個別通知
・2021(令和3)年度 小学校6年生から高校1年生相当(女子)の接種対象者(未接種者)に個別通知
以下は、HPVワクチン接種についての資料や記事です。
▶ 子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために(日本産科婦人科学会)
▶ 積極的勧奨控え8年 HPVワクチン効果、国内外で報告(朝日新聞)
【2021年9月追記】