新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、社会経済情勢が大きく変化しているなかでも、あえて巨大事業に着手するのか。枚方市駅周辺再整備について質問しました。9月定例月議会、一般質問の報告②です。

2020/09/20

ここでは、「2.枚方市駅周辺再整備について」の報告です。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、さまざまな状況が大きく変化している中、昨年度までに検討した構想や計画が、「ウィズ・コロナ」のこれからの時代にも有効なのか、あえて着手しようとしている巨大事業の内容を確認するという観点から質問を行いました。
まず、GDPも大幅に下落、経済の先行きも不透明、京阪ホールディングスの経営も悪化、再開発事業組合もさらなる支援を求めているなか、③街区の市街地再開発事業は本当に大丈夫なのか、予定していた枚方市の負担は増えないのか尋ねたところ、「まちなか交流拠点等の形成とあわせて市駅周辺再整備全体のまちづくりのトリガーとなる事業で、まち全体の魅力を高められる大変重要な取り組みであり、市は、市負担額約75億円を維持しながら、国制度に基づいた再開発補助金の増額や、バンケット付きホテル整備の実現に向けた支援等を行っていく」との答弁でした。
新型コロナウイルス感染症による財政面の影響は、現時点では不透明な状況であるとしながらも、「新庁舎整備は、国・府・市有財産の最適利用によるまちづくりや大規模災害時における対応などの観点から、⑤街区での配置を基本として考えている」、「新庁舎の建設用地については、④⑤街区における土地区画整理事業に伴う換地処分による取得を考えている」、「④街区は、民間ノウハウ等を活用し、公民連携で『職・学・住・楽』近接のライフスタイルを創造する機能を誘致することをはじめ、ニッペパーク岡東中央等を活用したみどり・憩い・賑わいの公園・広場を中心とした新たなまちづくりをイメージしている」と市の考えを次々と述べられましたが、いずれも新型コロナウイルス感染症の感染拡大前の考え方や内容をベースに、年度内の正式な計画決定に向けて取り組みを進めておられるように感じられます。
そこで、伏見市長に対して、現在の「コロナショック」は一時的なもので、インバウンドを含めたにぎわいも、経済もすぐにV字回復的に戻ると考えているのかと尋ねたところ、「市駅周辺再整備は、コロナ禍に伴う景気後退という厳しい社会状況の中でも、枚方の未来を担うまちづくりの最重要課題であることから着実に進める考えである」とのお答えでした。
市民に説明できる状況判断のお答えは得られず、とても残念ですが、首長として的確な状況判断・財政判断を行い、市民とともに考える姿勢をもって、枚方の未来に禍根を残すトリガーは決して引かないよう、要望しました。

 

 


 

以下、9月15日の一般質問のやりとりを掲載します。

2.枚方市駅周辺再整備について

Q.私の質問
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、さまざまな状況が大きく変化している中、昨年度までに検討した構想や計画が、「ウィズ・コロナ」のこれからの時代にも有効なのか、非常に疑問である。枚方市駅周辺再整備事業は、巨額の借金をして行う、歴史的な事業である。しかし、現時点でも、わからないことだらけ、である。私にも、市民に説明する責任がある。市民の目線で、わからないことを順次、お伺いするので、わかりやすくお答えいただきたい。

GDPも大幅に下落、経済の先行きも不透明、京阪ホールディングスの経営も悪化、再開発事業組合もさらなる支援を求めている、という状況である。さらに、先日、北大阪商工会議所が、③街区への参画を見合わせた、との報告を伺った。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大前に着手した③街区の再開発事業は、本当に大丈夫なのか、予定していた枚方市の負担は増えないのか、まず最初に伺う。

A.市駅周辺等まち活性化部長の回答
③街区の市街地再開発事業は、地権者が中心となった組合が主体となり、まちなか交流拠点等の形成とあわせて市駅周辺再整備全体のまちづくりのトリガーとなる事業であり、本事業を着実に進めることで、新たな都市機能を配置し、まち全体の魅力を高められる大変重要な取り組みであると考えている。
その実現に向け、現行の長期財政見通しで位置付けている新たに必要となる市負担額約75億円を維持しながら、今回、再開発組合からの要望への対応として、国制度に基づいた再開発補助金の増額や、バンケット付きホテル整備の実現に向けた支援等を行ってまいりたいと考えている。

 

(※以下、HP「枚方市駅周辺再整備基本計画策定に向けてのさらなる検討について」から引用)

 

(※以下、2020年8月の総務委員協議会資料から引用)

 

 

Q.私の質問
「大丈夫なのか」とお伺いしたら、「大変重要な取り組みであると考えている」とのご答弁であった。これ、答えになっているだろうか。
③街区の市街地再開発事業に対する市負担額は75億円を維持するとのことであるが、再開発補助金の増額や、バンケット付きホテル整備の実現に向けた支援等を行うとのことであるから、市の負担増額の危険性は充分にある、のではないか。

次に、枚方市駅周辺再整備の中では、新庁舎整備も大きな目的の1つとされている。現在の社会経済情勢の中で、新庁舎建設に巨額の税金を使うのであれば、これからの社会を展望して、市役所の機能をどこにどのように配置しようとしているのか、また、どのような庁舎にしようとしているのか、明確なビジョンを説明できなければならない。
例えば、「淀川が決壊しても市役所はちゃんと機能する庁舎をつくる」等といったビジョンがあるのか、伺う。

A.市駅周辺等まち活性化部長の回答
新庁舎整備については、これまでから国・府・市有財産の最適利用によるまちづくりや大規模災害時における対応などの観点から、⑤街区での配置を基本として考えている。
また、例えば、淀川が決壊した場合、洪水ハザードマップで想定される浸水深は、0.5メートルから3メートル未満のエリアになるが、新庁舎の低層階には機械室などの設置をしないなど、災害対策拠点としての機能を充分に発揮できる庁舎を目指していく。

Q.私の質問
「低層階に機械室を設置しない」というだけで、淀川の決壊に対応できるものだろうか。また、「国・府・市有財産の最適利用」という言葉がこれまでから何度も出てきているが、何がどう最適なのか、市民にはちっともわからないと思う。
「新庁舎は⑤街区での配置を基本」とのご答弁であるが、「新庁舎を、なぜ、わざわざ他人の土地に建てるのか」という素朴な疑問に答えていただきたいので、現在、北河内府民センターのある⑤街区に新庁舎を建設するという案の場合、用地の取得に、いったいいくらかかるのか、また、その用地の取得にかかる費用はどのようにして確保するのか、わかりやすく説明をお願いする。

A.市駅周辺等まち活性化部長の回答
新庁舎の建設用地については、④⑤街区における土地区画整理事業に伴う換地処分による取得を考えている。

Q.私の質問
「換地処分による取得」がわかりやすい説明だろうか。

私が拙い説明をさせていただくなら、「今後、④、⑤街区を対象に大規模な土地区画整理事業を実施する。大阪府は⑤街区に北河内府民センターの土地を持っている。市は④街区に土地を持っている。これらを交換して、市は⑤街区に用地を確保する」と、ざっくり言うと、このような内容か。
そうなると、現在の市役所や市民会館がある④街区の土地を換地により取得した大阪府は、その土地をどうしていく考えなのか。北河内府民センターは③街区に移転する予定かと思うので、③街区の床の取得費用は必要であっても、④街区に土地は必要ない、と思われるが、大阪府は何か方向性を示しているのか、伺う。

A.市駅周辺等まち活性化部長の回答
平成29年8月に国、大阪府、市において、国・府・市有財産の最適利用・効率的なまちづくりを進める観点から、北河内府民センター用地については、国・市の合同庁舎を整備する方向で進めることが最も有効であることを確認したことに基づき、現在、④、⑤街区の整備に向けて、国・府をはじめ関係機関と土地区画整理事業を想定した事業内容等の検討を行っているところである。

 

Q.私の質問
ただいまのご説明では、土地区画整理事業で、現在の市役所や市民会館などのある④街区はどのような姿になるのか、イメージが全然見えてこない。市にとって大切な財産である④街区はどのような姿になるのか、伺う。

A.市駅周辺等まち活性化部長の回答
昨年12月の全員協議会でお示しした「基本計画策定に向けてのさらなる検討の視点」のとおり、④街区については、民間ノウハウ等を活用し、公民連携で「職・学・住・楽」近接のライフスタイルを創造する機能を誘致することをはじめ、ニッペパーク岡東中央等を活用したみどり・憩い・賑わいの公園・広場を中心とした新たなまちづくりをイメージしている。

Q.私の質問
新型コロナウイルス感染症の拡大前のイメージのままだということであるが、民間事業者にまかせたら、結局、大部分が住宅地化されることになるのではないかと、私は危惧している。

では、次に、財政面から伺う。先日の総務委員協議会で市が示したスケジュールでは、12月頃に予定している全員協議会に提出する基本計画等(素案)に先立ち、財政シミュレーションも示していくとの内容であった。
計画全体を支える財源については、「行革で財源を生み出す、長期財政見通しで確認」ということであったが、現在の「コロナショック」などの社会経済情勢の変化に伴う今後の税収見込みや経済成長率について、どの程度まで見込んだうえで、財政シミュレーションをされようとしているのか。
また、令和2年2月に示された長期財政の見通しでは、③街区分のみ反映しているとのことであったが、この後、示される財政シミュレーションには、④街区・⑤街区分も含まれるのか、伺う。

A.総合政策部長の回答
新型コロナウイルス感染症による財政面の影響については、現時点では不透明な状況であることから、財政シミュレーションに際しては、本年2月にお示しした長期財政の見通しをベースとして、歳入面では、リーマンショック時の経済情勢を参考とした市税の減収や今年度の普通交付税、臨時財政対策債などの見直しを行い、歳出面では、今年度に入り、これまでのコロナ対策など補正予算で対応した経費を見込むなどの時点修正を加えるとともに、枚方市駅周辺再整備事業については④・⑤街区における事業費についても反映していく。

 

(※以下、2020年8月の総務委員協議会資料から引用)

 

 

Q.私の質問
先週、大阪府が77億円分の事業の実施見送りや縮小を決めたとの報道があったが、「新型コロナウイルス感染症対策を最優先し、いったん立ち止まって考える」ために、多額の事業費がかかる開発事業や、市庁舎をはじめとするハコモノの建設等、事業の凍結をされている首長が全国にはたくさんおられる。
そのような中、枚方市駅周辺再整備事業については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前の考え方や内容をベースに、年度内の正式な計画決定に向けて取り組みを進めておられるように見える。この姿勢は、伏見市長の状況認識や、考え方にもとづく判断だと思うので、最後に伏見市長に伺う。
伏見市長は、現在の「コロナショック」は一時的なもので、インバウンドを含めたにぎわいも、経済もすぐにV字回復的に戻ると考えておられるのか、伺う。

A.伏見市長の回答
市駅周辺再整備は、コロナ禍に伴う景気後退という厳しい社会状況の中でも、枚方の未来を担うまちづくりの最重要課題であることから着実に進める考えである。

O.私の意見
状況判断に関するお答えは、まったく述べられていない。とても残念であるし、これでは市民に説明できないと思う。
来年度、およそ970億円の財源不足になるという見通しだと発表した横浜市の首長は、「前例にとらわれることなく、議論を尽くし、知恵を出し合う必要がある」というメッセージを出し、徹底的な事業の見直しや施策の実施時期の再検討などを進めるよう指示されてる。これが今、市政を預かる首長が示すべき姿勢だと思う。
的確な状況判断・財政判断を行い、市民とともに考える姿勢をもって、枚方の未来に禍根を残すトリガーは決して引かないよう、切にお願いをしておく。

 


 

▶ 2019(令和元)年12月定例月議会において、⑤街区への考え方を確認するため、「枚方市駅周辺再整備について~安全・安心を高める施策について」(※クリックするとリンクします。)の一般質問を行いました。あと作成した奥野みか市政報告の一部です。

 

 


 

▶ プレスリリースです。バンケット付きホテルを整備する場合、支援する固定資産税及び都市計画税等相当額はどの程度かについてヒアリング時に質問をしたところ、建物形状もわからないので、現時点では答えられないとのことでした。支援の方策もこれからとのことですが、奨励金支給の条例制定になるのでしょうか。目的はホテルの誘致?

 


▶ 以下は、枚方市HP「枚方市駅周辺再整備基本計画策定に向けてのさらなる検討について」から引用しています。

大阪府が換地によって⑤街区の代わりの用地を取得する時期、③街区の床を取得する時期はどうなるのでしょうか。


▶ 枚方市駅周辺地区第一種市街地再開発事業(③街区)について(※クリックすると以下のHPにリンクします。)

 

以下は、市街地再開発事業・道路事業に関連する整備計画(社会資本整備総合交付金)の『枚方市駅周辺地区における安心・安全で快適に暮らせる市街地の整備と賑わい創出のまちづくり』の内容からの抜粋です。

 

 

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